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ひとりではない長いひとり旅(御嶽山・五ノ池小屋:長野県・岐阜県)

2006年8月16日

※記録:8月19日

 予定よりも少し早い3時53分、起床。夕暮れ時、田ノ原から御嶽山の登山道にかけて、ガスがかかっていました。台風10号の影響でもはやこれまでかと思っていました。
 しかし、起きて空を見ると、星空が非常にきれいで、東の空には金星が見え、白々と明るくなってきています。人影が朝焼けに照らされておもしろい。


※写真を右クリック・「表示」で拡大可能(400×300pxs.)

 出発。田ノ原から御嶽神社(剣ヶ峰)への急登コースです。しかし、標高2180mの地点はほぼ森林限界付近です。したがって、見通しが良く、あまり疲れません。後ろ向いたり横見たりしながら、サクサクと登りました。切り立った崖、遥か遠くの雲海、低く見下ろせる山々、縦に伸びた入道雲…。水も光も緑も大地も、みんな味方してくれます。


 頂上だと思った王滝頂上小屋。そのあと、山頂の小屋まで砂利道が待っているので、それも楽しみます。

 山頂目前で、御嶽神社は修行を要求。20段ほどの階段です。これがキツ~イ!

 ところで、こういうところで楽しいのは、旅人との出会いです。田ノ原登山道入口からすぐのところに展望台がありますが、ここで、見知らぬ人10人くらいと記念撮影。そのあと頂上までの登山道では、ある時は子どもと手をつなぎ、年配の方と冗談を言い合い、若い女性の疲れた声を聞き、行き交う人と挨拶をし…一人で旅しているはずが、気楽なパック旅行。いろんな人の表情がとてもおもしろい。

 御嶽山頂・剣ヶ峰は3067m。ガスがかっているけど、時々晴れる時に見える景色がその分引き立ちます。ガスも立派な登山の味方。唐辛子のようなアクセント。いい感じです。なお、頂上は神社の境内です。見える風景は、田ノ原からの登山道とそれほど変わりません。
 ところで、何日か前に、王滝山頂に雷が落ちたそうです。後述の五ノ池小屋のスタッフに聞きました。雷なんて、鳴る気配もなし。太陽が僕の後ろをついてきてくれています。

 山頂の神社の裏を回って、一ノ池(池はなくなっている)を西に巻くガレ場のコースです。国土地理院の地図には道として記載されていませんが、登山道はあります。稜線には丸印が打たれ、よそ見しなければ迷わずにいけるでしょう。途中の地獄谷や水のなくなった一ノ池を堪能し、踏むと揺れるガレ場の岩の音に耳を澄ませ、ガスの白みに涼みましょう。疲れなんて知ろう筈がない…。

 地獄谷は、御嶽山の噴火でできたそうです。確かに、地獄を思わせるごりごりした岩肌。見る者を圧倒!噴煙がまだ僕たちを威嚇します。

 西回りガレ場コースは50分の所要時間です。あっという間に過ぎ去ると、そのガレ場の先の岩からは二ノ池がマルっと見えます。水の青が美しい。二ノ池小屋本館の水源になっているもよう。きれいに扱わなきゃね。

 次は、二ノ池小屋本館から新館を通り、「賽の河原」を抜け、白竜教会、麻利支天(まりしてん)山分岐、五ノ池山荘に抜けるコースです。
 賽の河原とはよく言ったものです。小石が積み上げられ、そこら中ケルンだらけです。誰が積んだんだろう…?

 賽の河原には避難小屋があります。使いやすそうですが、泊まれません。
 白竜教会のところで分岐しますが、横着せず、上り坂の方(左)に行きます。すると、麻利支天山方面と五ノ池方面の分岐があります。この分岐から見る景色はまた抜群です。西にある麻利支天山の方向以外、三ノ池、賽の河原、二ノ池、それから木曽福島方面の山並み、みんな見えます。特に、三ノ池の展望が素晴らしい。麻利支天山はひどくガスっていたのでやめました。

 五ノ池山荘に着いてお腹が減ったので飯。12時半くらい。みるみるうちに周りはガスが広がっていきます。三ノ池避難小屋に泊まろうとしていたので(事前に観光案内所に連絡)、この後、三ノ池の畔まで下りて、小屋の扉をガラッと…。
 しかし、重い荷物を持って下ったその小屋は、鰻の寝床。目が点。だめ押しのひと言が、「緊急時以外に使わないでください」の看板。…そりゃそうだ。
 再び五ノ池山荘。なんか、御嶽山が庭になったような気分です。「ちょっと散歩してくるわ~」みたいな。見通しのいい岩場を登り、五ノ池山荘。ちょっと予定外の出費かな。隣にある五ノ池は殆ど水がかれています。茶色く濁っている…。

 ところが、災い転じて福となす。この五ノ池山荘、若いスタッフたちの雰囲気と小屋の美しさはピカイチ。あか抜けた、照明は暗いけど、雰囲気が明るいこの小屋は、間違いなく若いスタッフの力です。小屋番の方は物資調達のために下山しているようですが、小屋番の方の奥様とその1歳10ヶ月のお子さん、3人の(臨時?)スタッフを全面的に信頼している感が見えます。スタッフ全員が自立的に活動しているため、みんな活き活きしています。別の山小屋を経験したというそのスタッフの一人は、その違いをまさに感じているようでした。泊まるなら、ここ、一押しです。


 それで終わりません。中学生の女の子を連れた父娘とも知り合いに。そのつながりは翌日の予定に大きな影響を与えました。
 小屋のスタッフや父娘のみんなとの交流は当然あり。旅の醍醐味ここにあり。目的のかなりをこれで達成できたと言ってもいい。

天気:晴れのちくもり(長野県木曽郡王滝村・開田村・岐阜県益田郡小坂町)

ふうたろう旅日記