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吸血モンスター(高千穂峰:鹿児島県・宮崎県)

2008年 8月 14日

※記録:8月17日22時台

 高千穂河原キャンプ場にて、湿った朝を迎えました。夜中は結構雨が降っていたようです。
 テントは濡れに濡れて、本当にこんなものを持っていくのかと思いました。


 天気はぼちぼち。
 同じキャンプ場に泊まっていたという明治大学のワンゲル部が僕よりもかなり早く発っていったそうですが、ガスの中登山するのはもううんざりなので、ある程度晴れるのを待ち、出発は7時半頃になりました。


 高千穂河原のビジターセンターのあるところです。かなり晴れてきました。


 実は、韓国岳あるいは霧島のバッジを手に入れていませんでした。100名山踏破の記念に必ず手に入れるようにしているバッジ。係員に無理言って、店を開けてもらって、買いました。ありがとね!


 登山を始める時、ほぼ必ず最初は暗い道です。この瞬間、ぐったり来ます。でも、辛抱なんですね。


 出た!
 石畳ですよ…。
 文句言ってもしょうがないので、登るしかない。


 早く展望の良いところに出たいっす。でも、地面が溶岩で、もうすぐっす。


 樹林がいきなり途切れ、中岳が見えました。
 …ここ数日の中ではもっとも素晴らしい展望と天気です。
 そして、当然、熱い(ママ)。


 溶岩のザレた、赤い道。左手奥には隼人町や鹿児島市などが見えているはずです。たぶん。


 黒い岩場の溶岩。足元を丁寧に見ながら、登ります。
 はっきり言って、かなり急登で、太陽の力がなければかなりキツかったと思います。


 高千穂峰手前のお鉢。
 大きな火口です。持っている一眼レフの広角でも(18ミリ)、入りませんでした。


 赤茶けた登山道。まだ高千穂峰山頂まで半分ですよ。


 なぜかこんな所に一匹だけ、バッタがおりました。そういえば、13年前に登った奥穂高岳にも、一匹だけナメクジがいましたっけ。ナメクジを見たことがないという同級生のために、小屋まで持って帰ったような気がします。何とバカなことを…。


 いきなりガスが出てきました。晴れるのはある程度判っているけど、やっぱりもうガスは見たくないですわ。


 高千穂峰の最後の急坂は、ずっとガスっていました。滅入る。


 高千穂峰に着いた時は頂上はガスで、展望ゼロ。
 今日は待ちますよ。どうにでもなりますから。下界が見えるまで待ってやりますとも!


 水分やカロリーをテキトウに補給しながら、カロリーメイトやダイジェスティブビスケットを口にくわえたまま、カメラを持ってウロウロ。
 暫くすると北側の展望が良くなってきました。


 そして、山頂の天気もこの通り。さっきまでパタパタ動いていた日の丸も萎れました。


 東霧島神社に向かって歩き始めました。もう、南も北も、晴れた風景を見ましたから。
 見ての通り、登山道の向こうに高原町や小林市の田園風景です。


 稜線に沿うように、登山道が続きます。開放的なルート。


 高千穂峰の稜線から南側に見える山脈や町はどこになるんでしょうか。地図を見てもよく判りませんが、遙か先には大隅半島があるでしょう。


 町を覆い尽くす群青色の空。


 群青というなら、こちらの方が相応しいか。


 高千穂峰からつるつると下りてきたのです。鞍部(稜線の一番低いところとでもいいますか)から見上げたら、もう、あんなに高く…。


 そろそろ、今日の宿泊予定地、そして、最後の宿泊予定地の、御池が見えてきました。御池は「みいけ」と読みます。
 左側のが御池です。右のは小池というそうです。


 霧島連山がきれいに見えています。当初降り口にするはずだった、夷守岳(ひなもりだけ)も見えています。
 上ってきた登山家が言っていましたが、一昨日までは熱帯低気圧の影響でボロボロだったそうです。そう、熱帯低気圧。


 二子岩(南)と都城市および山田町の風景です。
 至福のひとときです。


 韓国岳までずっと続く大森林。どこまでも広い、山です。


 二子岩(北)の裾野からずっと広がる森林と高原町および小林市の風景。
 ここで暫く昼寝でもしたい…。


 二子岩は最後の展望台。やっぱり居着いてしまいます。隣の稜線を、その向こうの地平線とも水平線とも判らない線を、しばし見ていようぞ。


 二子岩の間から、御池が見えます。僕が立っている岩が、実はもう一つあるんですね。本当は三つ子岩?


 御池に向かって下り道。草やぶがだんだん深くなってきました。


 岩の下をくぐっていきます。ここ、どこだっけな。何カ所か、岩場はあります。


 展望プレゼントはもう終わり。これから暑く、長い樹林地帯が始まります。しかも、それだけじゃないんですよね、ここ。


 荒れた登山道です。日当たりも悪い。


 僕は事前に聞かされていたので、ある程度警戒はしています。しかし、その予想を大きく上回る状態が、この辺りで生じています。


 ううううっ!
 おぞましいっっっ!!
 足下からヒルが這い上がってきます。靴下二重にして、靴下の間にタイツを穿いて、でているのは手と顔だけの状態になっていますが、それでも、靴やスパッツの上を這い上がってくるこのヒルは、おぞましい。しかも、一匹や二匹ではありませんから!


 猛ダッシュで東霧島神社まで下りてきたら、前述のワンゲル部の学生たちが、まさにヒルの餌食に遭っていました。血みどろの闘いに敗れ去った感じです。
 しかし、さすがに、神社の境内で闘うのはまずかったな。おいらも反省です。


 みんな二度と登りたくないと口々に。
 そりゃそうでしょうとも。ヒルの餌食になんかなりたいやつはいませんよ。
 ザックを降ろしたら背中のところに一匹丸まっていたのにはさすがに退きました。このヒルども、体形を自在に変えて、さながらドラクエなどに出てくるモンスターのようです。いや、本気でおぞましい。
 踏みつぶそうとしても潰れないので、ライターで焦がしたりして倒しましたが、手を近づけるとカウンターが来ます。


 御池キャンプ場はヒルから守られています。何故だか解らないけど。
 とりあえず、僕がテントを張ったこの場は、ヒルなんかいません。しかし、御池周辺の散歩道は、当たり前のようにヒルの巣です。キャンプ場の管理棟では、食塩水を靴にかけるように指導しているようですが、それが有効だと気が付くまで、5年かかったそうです。
 うぬぬ…、ヒルのやつ、どこまでもおぞましい。


 御池の水面はやや強い風で波立っています。無風なら無風で今度は信じられないくらい暑いでしょうけど、水面に映る雲や空はきれいでしょうなぁ。


 身体のどこかにヒルがくっついていないかの点検も兼ねて、シャワーを借りました。このキャンプ場には200円出せばシャワーが使える設備があります。
 服を脱ぐ行為ひとつひとつがおそるおそるです。あのおぞましいものが肌にくっついているだけでもおぞましいのに、血まで吸われていたら更におぞましいし、あろう事か、抗トロンビン作用のあるヒルジンが、あのおぞましい身体から注入されるのであります!
 …抗トロンビン作用とは、血を固まらせなくすることで、ヒルジンは分子量2万のタンパク質だそうです。カルボキシル基がたくさんあって、等電点は4.0…。
 ううううっぅっっぅ…
 化学的に書いてもおぞましいものはおぞましい。
 結果的には付いていなかったのでよかったのですが。


 気を取り直して、湖面の雲と現実の雲。こんなに素敵なキャンプ場なのに、周りにはアレがいるのかと思うと…。


 夜は最後の一袋となったレトルトのグリーンカレーに、市房ダムの側でゲットしたオクラをトッピング。美味いっす。最後の方、かなり腹一杯でキツかったけど。
 野営も今日で最後ですね。


 日も暮れて、月が昇ってきました。まだ少し太陽の光も残っていて、薄雲に赤い光を残しています。人の目ではこういう風景を判別できないんですよね。


 日はとっぷりと暮れました。月が湖面に道を作っています。僕の旅も、もう終わりに近づいています。


 山行日程をすべて終えました。あとは移動行程が2日残っているだけです。今日はかなりのんびり、高千穂峰を歩いていましたが、後半のヒル街道は戦慄が走りました。何でこんなにヒルがウヨウヨしてんだ?
 相手は生物なので、駆逐するのは簡単ではありません。攻撃をかわすことくらいしかできません。


天気:晴れ時々くもり、未明は雨(鹿児島県姶良郡霧島町・宮崎県小林市・都城市・北諸県郡高原町)

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