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緑の砂漠、そして過去へ(空木岳池山登山道:長野県)

2008年 11月 23日

 ヤセ尾根の道の途中、実際はトラバース気味の崖っぷちのところ。こんな所でテントを張るなんぞ信じられんところ…というのも大袈裟ですが、とにかく、決してVIPとは言えない場所で、一夜を明かしました。起床3時半。
 夕方転かした鍋の水を被って、寝袋の中で温めてもまだ乾いてこない厚手の靴下を、むりやりストーカーハンガーを使って乾かしました。


 テント撤収までにどのくらい時間かかったかな。撤収よりも、朝飯を食べて、崖から物が落っこちないように、暗がりの中慎重に行動することの方が大変。歩き始めた頃には、やっと夜明けが。


 周囲は樹林で覆われているけど、このシルエットだけはどうしても樹林がないとうまくいきませんね。なぜか、針葉樹の方がサマになる…、と僕は思います。


 雪道を歩いています。これは歩いてきたところを振り返ったところです。ホームセンターで買った安いヘッドランプ(それでも発光ダイオード)が大活躍。


 踏み痕なんかないッスよ。リボンがあればそちらに向かって歩くのですが、判らなければ、ピッケルとかで雪の下の地面を小突いたりしながら歩きます。ヘタすれば、ヅボッ!ちーん…、ですから。


 雪の斜面に陽が差してきましたが、ここ、アレですな。鉄の階段、タチ悪うございますな。


 ところどころ展望が開けそうなところがあります。でも、シルエット専用。


 数秒経てば、数度角度を変えれば、見えるものは変わる。


 この雪に当たる日の光の色の再現は難しかった。何枚か撮ってみて、色温度を変えて、これが一番近かったような。ふうたろうの目には、こう見えました。


 ぬ!
 上層雲~中層雲程度の雲だけかと思っていたら、下層雲がたなびき始めました。おいおい!樹林登り切ったら今度はガスの中かよ!!


 やっとの事で稜線に出たけど、歩けば歩くほどガスが濃くなる傾向にあり、進めば進むほど登る気を失う傾向にありました。目の前には森の生き物の足跡と膝上の雪。時間が無限にあるのなら前へ進むのもアリですがね。


 というわけで、気力で登るふうたろうの気力がなくなったので登れなくなり、下山。ある意味、便利な登山家根性かもしれませんね。みんな、「勇気の撤退」ができなくて、こじれるんですから。
 ふうたろうは、景色を見られない山には行きません。


 雲がどんどん巨大化してくる…。
 それにしても、下山も一苦労ですな。こんなにしんどいの、体調に何かあるのか…?


 狭い樹林の窓から見えているのが何なのか判らないけど、雲が山を乗り越えているように見えます。嗚呼凶悪…


 笹っ原に雪。原というか下草みたいな感じですけど。


 マセナギというところ、実は道のすぐ側が崖になっていました。そんな気はしていたけど、昨日は登る気力がなかった…。でも、行ってたら、ガスが晴れた中央アルプスが見られたかもしれないね。


 西風が強くて、ものすごい勢いで雲が移動しています。この前の爺ヶ岳と同じ崩れ方ですわ。


 で、その立っている崖のところ。石ころがパラパラと音をたてています。さっさと退いた方が良くないか?


 広葉樹林帯ですが、こんな所、昨日通ったっけ、と思いながら。間違いなく、通っているんですがね。


 これが、池山避難小屋です。駒ヶ根市が設営しているとか。なかなか、落ち着いたたたずまいですな。


 しかーし!
 何だ、これは。
 山小屋の便所に消臭剤って、要らんやろ。


 ブラシとバケツはいいと思う。でも、塩酸と逆性石けんが混ざった洗剤が、何でここで必要やねん。(゚ロ゚メ)ゴルァ


 トイレットペーパーを別に捨てさせる袋を用意しているところを見ると、一応生分解性を期待したトイレでしょうか。なら、なおのこと、塩酸なんか使うなよ。


 で、トイレに入ってビッグベンをする前から気になっていたんですけど、何で小屋の中にテントが張られてんの?
 もし、10人くらい人が来たら、ここでテント張っていた人、どうするつもりなんでしょ。しかも、張本人は、おそらくふうたろうが踵を返してしばらくしたところで出会ったグループでしょうから、戻ってくるまで時間がかかるでしょうに。今日みたいに天候怪しくて、池山避難小屋使う人が出てきたらどうすんだろ。…。


 水場は完璧。いい水でっせ。
 ところで、小屋ノートに、1ページくらいにわたってNew Zealandの山小屋と比較しても素晴らしいと絶賛する記述が。確かに、きれいですが、塩酸&アルキルトリメチルアンモニウムじゃなぁ…。


 さて、せっかくですから、どこかピーク踏んで帰ろっと。池山がとりあえず近いですか。
 何だか、御前山とか伊豆ヶ岳を歩いているみたい。


 ここ、アルプスだと言っても信じてもらえないかも。ま、いいんですけどね。ふうたろうの旅は、決して計画通りに進まないから。
 あ、ここ、池山山頂ですね。


 池山からBダッシュで下りてくると、野生動物を監視…じゃなかった、観察する小屋があったりして。さすがにこの中にテントを張っている人はいなかったけど…。


 暇つぶしに昨日行かなかった岩窟に寄ってみました。誰かがそこで修行したらしいけど、何の修行をしたのやら…。食料があれば、目の前には沢もあるし、昔なら今みたいな登山客もいなかろうから、そんなに苦行しなくても数日は暮らせると思いますが。


 この駐車場まで下りてきても、まだ先はありまっせ。つづら折りのアイスバーンを3~4回突っ切って下山道。その前に、辛ラーメンをば。


 樹林の中を再び下っていたら、心身ともに疲れてしまいました。ザック投げ出して、その上にひっくり返って、ザルのような落葉樹林を見上げていました。


 下山完了。
 そして、それと同時に木曽駒ヶ岳方面の雲が晴れるという、またこれ凶悪な…。
 今回で判ったのは、楽とかキツいとかを基準にすることではなく、行きたいところを押さえるコース設定をすることが大事だと。おとなしく、ロープウェーで千畳敷まで行って、木曽駒ヶ岳近くのテント場で昨日の夜を明かせば良かったのだ。


 とりあえず、ふうたろうのドロップアウト山行記はこれで終わりです。でも、まだこの後、オチが待っているのが、本当のふうたろう旅日記ですから。


 さて、懐かしい伊那市駅。この伊那谷は、ふうたろうの第1~2を争うくらいのふるさとです。ふうたろうのゆかりのある人たちがここにはいます。下山中の疲れでそのまま帰ろうかとも考えましたが、ここはもういっちょ思い出を残して帰ろうではないか。


 でも、その懐かしい伊那谷は、広大です。そして、バスが、ない。ふうたろうのゆかりの人は、北西方向の水平ベクトルに、更に200mくらいの垂直ベクトルが足されたところにいます。


 何キロあるか忘れたけど、とりあえず歩いてりゃ着くだろう、そんな気持でテキトウに北西に向かいました。実は、正確なルートを把握せずに歩いています。
 嗚呼、夕日がきれいだ…。


 これ、小沢川?だっけ。その向こうには経ヶ岳が見えています。見ず知らずの農学部の先輩にふらふら~っと付いていって登ったのを思い出します。すき焼きを食った気が…。


 雲が輝いています。所沢でもきれいな雲を見るけど、それとはまた違ったきれいさがありますな…。


 できれば車の少ない、懐かしい道を通ろうではないか。この川沿いの道、ふうたろうが学生時分、市街地でのショッピングに行く時によく使ったものです。
 当然チャリで。
 ふうたろう、こんなに素敵なところに、2年も住んでいたんですねぇ…。人生の7%。


 もう殆ど暗くなってしまったけど、この道、細くて急なS字状の坂から撮っているのです。ふうたろうのシャンゼリゼ通り。


 でも、シャンゼリゼ通りを歩ききった先にあったものは、ふうたろうの思い出の中にあるものではありませんでした。それどころか、あまりの変貌ぶりに、ふうたろうは、本気で遭難しました。ここで、行動食とヘッドランプが大活躍しました。
 広域農道沿いにできているパチンコ屋。こんなの、ふうたろうは見たことありません。


 伊那市駅を一歩踏み出してから2時間半後の18時半、暗がりの中アヤシい、でかいザックを背負った(ピッケルとヘッドランプ付き)ふうたろうは、みはらしファームに着きました。ドラクエ並みの徒歩をやってしまいました。


 この一画に、みはらしの湯という温泉があって、ついでに対面には公明党のポスターが裏手にこっそり貼られている羽○荘という温泉があって、後者の方では入浴を断られて(昔はやっていたのだが)、この鉄火丼に至りました。そしたら、今夜泊めてもらうことになっていたIさん宅で料理の準備をしていたとのこと。
 何だか、やることなすこと、裏目だけが出ていますね。表だけが出る確率とサイコロで言えば同じですけど、こういうアタリはたまらない。しかも、鉄火丼を食っていたら、ふうたろうを背にして座っていた子連れの母親が、ケツを半分(以上?)出していました。…つまり、股上が浅いズボンを穿いていたということですな。鉄火丼に向き合おうと思えば、広角レンズのようなふうたろうの目に、否応なく入ってくるので、ハートはマックロでしたわ。他にも、吐き気をもよおす子どもがいたりとか…。
 うん、今日の呪いは、緑の砂漠からずっと続いているのですな。嗚呼、よくぞ生きて戻ってこられたふうたろう殿…。


 呪われていたふうたろうを迎えてくれたIさんと、連絡を取り合ってくれた旧友Mと、再会を果たしたのは20時前。ダークグリーンの砂漠を、ようやく抜けましただ…。
 ええ、夜中までIさんパパと募る話をしましたさ。でも、それを書くとまた長くなるので、今日のところはこれまでにしましょう。
 とてもとても長い一日が、24時を過ぎて、終わりましたとさ。


天気:晴れ時々くもり(長野県駒ヶ根市・伊那市・上伊那郡南箕輪村?

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