Home > ふうたろう旅日記 > 歩いて歩いて歩き抜け(大雪山層雲峡~忠別岳:北海道上川支庁)

歩いて歩いて歩き抜け(大雪山層雲峡~忠別岳:北海道上川支庁)

2009年 9月 20日

 池乃屋で目覚めた朝、窓から、北海道の早い朝を告げる光がふうたろうを叩き起こしました。素晴らしい天気のようです。昨日の夜の雨は晴れを呼ぶ雨でしょうか。


 不健康科学的な朝食を、さわやかなお日様の光の下で食べるミスマッチ。もはやその意味を述べるまでもないですね。


 7時上川駅前発の層雲峡行き。晴れたのは良いけど、バスの中で10分ほど待っているのに、寒い寒い。
 層雲峡に着いたら、身体は山モード。さて行きますか。


 けっこう寒い。大丈夫だろうか。


 ロープウェーが黒岳駅に到着。観光客がワラワラおります。


 「本当は足跡なんか残しちゃダメなんですよねー。」
 なんてツッコミを周りの人と入れあったり。


 埼玉なんかまだ夏なのに、こちらはもう晩秋。


 雲は多めかもしれないけどリフトから見る黒岳は晴れているようです。


 (゚_ ゚ ;)
 たった10分リフトに乗っている間に、雲が増えてきました…???


 リフトから降りて見回すと、ご覧の通り、全天を雲が覆っています。


 そして、そういう早く出発したいときに登山届けをする場所がしこたま混んでいるという。スーパー吐く腸はもういいよ。


 てかてかに焼かれたおかきのような雲が表面を山に押しつけてきます。


 信じたくないけど、天候の崩れは必至ですよ。


 いつ降り始めるかは時間の問題ですね。嗚呼、紅葉はそこそこきれいなのにね。


 たまーに晴れるんですが。


 ようやく8合目。今まで天気の崩れに気を取られていたけど、この黒岳の急坂はです。


 しかし、家族連れなんかがほいほい歩いています。ふうたろうは「十勝岳まで行きたいんですよー」などと軽々しく言うので、周りには奇異に見られるやら驚かれるやら。


 黒岳山頂近くなると見晴らしも良くなってくるので、カメラを抱えた人々がわんさか。三脚をスタンバイで気合が違う。


 苦労して着いた黒岳山頂はものの見事にっています。しかも、霧雨が降り始めました。ここがゴールではないのがせめてもの救いですが、犬死に感漂いますなあ。何せ、今日は晴れの予報だったんですよ?


 黒岳を越えて石室に向かう道。嗚呼、先が見えない。何という幸先の悪さ!


 大雪山の公園の風景です…が、ガスっています。


 晴れていたらきっときれいなんだろうけど、これじゃ、広大な大雪山も羽をもがれた蝶みたいなもんですよね。


 これが黒岳石室。…だったかな。
 お泊まりできるようですが、こんな所でまさか停泊するなんてありえないッス。ふうたろうは、今日中に20kmは先であろう忠別岳避難小屋まで歩く予定なのです。


 ほんの少し休憩したら出発。ボヤボヤしている暇なんてありません。くもっていて撮るものもないんですからスーパー吐く腸で行きますよ。


 広く曇った大地。嗚呼、まさかこの先このままなんじゃないだろうか。不安が募ります。天気が崩れたらまさかあのトムラウシの事件みたいに…?


 でも今ジタバタしてもしかたあるまいて。浸食の進んだ登山道をひたすら小走りで。


 石室から北海岳に向かう道です。地図では平に見えますが、意外と起伏があり、ふうたろう程度の荷物の量(25kgくらい?)だとけっこう息が上がります。


 その道には渡渉する場所があります。先日など雨が降っていたせいか、やや水かさが多いようです。でもふうたろう、ニクワックスをたっぷり塗っていたので、余裕です。


 時々晴れ間は見えるけど、ひたすら霧雨が強弱を繰り返して降ります。辛い。雨を認めたくないけど、早速カッパを出しました。


 北海岳を越えるとしばらく道は楽になります。でも、かくのごとくホワイトアウト。もはやカメラを出す気にもなれませんが。


 ところが、南下してゆくと徐々に雲が切れてきました。


 時々、大きな雪渓があります。がちがちに凍っています。転んだらどこまで滑るかな?


 白雲岳・小泉岳・大雪山南部方面にでる四つ辻に立つと、天気は急に回復し始めました。そう、5年前の夏、当時の彼女と登った旭岳のようです。ロープウェー乗り場付近では雨、登っているときはガス、山頂に着いた途端、晴れ。
 …負けません。


 草もみじに青い空。広大な大雪山を美しく見せるためにはどうしても太陽光と広い青空が必要なようです。


 青空が湿地をより潤しているようです。
 ここは白雲岳避難小屋手前の水場。


 ところがこのきれいな水場に、ラーメンのカスが。どういう感覚で捨てているのか、想像できなくもないですが、不法投棄ですね。


 とりあえず白雲岳避難小屋に着いたので、休憩。こなぐすりと化したクッキーをば。


 小屋を覆う空が明るい。青空って本当にありがたいな。


 青空の下、こなぐすりになりかかったキティーランド。


 白雲岳避難小屋より南はまだ雲が多めです。それでも、じきに晴れてくるという大体の確信がありますので、進みます。


 低めの広葉樹に覆われたところを下り勾配で南下。


 さわやかな空に揺れるチングルマのわたげ。


 晴れた空に広さを増す大雪山国立公園。


 執拗にまとわりつく石狩岳方面の雲。


 構造土が見られるという崖っぽいところにさしかかりました。忠別岳避難小屋まで行くというふうたろう、道行く色々な人にだいぶ遠いと言われながらも、写真を撮りつつマッタリモードで進みます。


 うん。さすが広大なる大雪山。紅葉のスケールもデカい。
 でも、去年10月に登った越後平ヶ岳に比べたらまだ足元にも及ばない。


 旭岳が見えています。
 それにしても、この大雪山は、山と言うより広い台地ですね。


 なんだかんだ言っても、やっぱりきれいですよ、この紅葉は。
 ところで、ふうたろうが進む道は、この崖のすれすれのところを奥に向かって走るものです。信じられないくらい長いです。


 一面紅葉の場所がほしかった。でも、それはなかった。ズームで撮ってみた。


 歩いていると、ところどころ、こういうヤブに遭遇します。ふうたろう、腰の右にカメラをぶら下げているので、引っかかりまくっています。


 何気にこの辺りの笹ヤブは侮れません。手強いです。


 ダラダラと登る坂とあまりにも単調な平原に、ふうたろう、徐々に飽きてきました。そして、当然のことですが、かなり疲れてきていて、ペースも落ちてきました。


 それもそのはず、もう7~8時間、ろくに飯も食わずに歩いているのだから。
 忠別岳が遠い。


 向こうに見えているのは忠別沼。まだ予定タイムでここからゴールの忠別岳避難小屋まで2時間ほどあります。しかし、もう15時半くらいではなかったでしょうか。


 再び、ガスが湧いてきました。気温も一気に下がってきて、不安になります。


 忠別岳です。そこから西を見ると、切り立った崖。大雪山はこういう地形が良いですね。
 忠別岳を過ぎれば後は下りだけ。何とかなる。


 忠別岳からはどうやらトムラウシ山も見えるようです。あそこは何があっても必ずやもらいに行きます。
 ところで、忠別岳避難小屋、どこだろう?


 ぐぬっ!!
 樹木が幅寄せしてくる…!!


 エアーズロックみたいな(見たことないけど)忠別岳のゴツい岩肌。嗚呼、日が暮れるぞ。


 小化雲岳(ぽんかうんだけ)などの稜線に日が落ちました。嗚呼、9月20日、おやすみなさい。
 でもふうたろうはまだ休めないよ。


 忠別岳避難小屋付近は、主稜線部分も含めて、ヤブがキツいです。予定よりかなり時間がかかりました。もちろん、ふうたろうの初日から9時間という歩行時間による疲れもありました。


 キエェッ!!
 …エゾシカの鳴き声のようです。クマではなくシカに吠えられて、ふうたろうはビビってしまいました。


 これが忠別岳避難小屋です。9時間半の歩行、よくがんばった。


 避難小屋に入ったとき、大勢の人でごった返していました。老若男女入り交じって、ふうたろうはテントを決め込みました。でも、大きな声で「ここひとり分ちょうど空いてますよっ!」と。
 …若い女性でした。山には珍しい…。


 ふうたろう、アルファ米を食べた上に更にぜんざいまで食っていますが、かくして胃もたれ発生。巻機山避難小屋のごとく寝苦しい夜になってしまいました。もっとも、それだけではありませんが…。
 胃もたれ(プリンペラン錠で解消)と妙な感覚で眠りは異常に浅く、睡眠のことだけ考えたらテントの方が良かったとさえ思います。でも、こういうのも、集団の楽しさ、なんでしょうねえ。
 寝る前に、さっきの女性の仲間の男性ともお話ししていたのです。ふうたろう、彼には単独行の楽しさ、「単独でも全然寂しくないですよね。だって、こうやってみんなと話せるんですもの。」なんて言っていたりしました。でも、それは本当は嘘だと思います。やっぱり寂しくて、こうしてみんなに話しかけているんじゃないですかね。ひとり歩いていれば、誰に気兼ねせずともスピード上げて、難路でも突き進むことができる。でも、疲れたときに励ましてくれる人は側にはいないし、感動を分かち合う人もいない。ましてや、人に心ときめかせることもないのですから。
 人のあまり入らない季節、あるいは山ばかり歩いていると、ついそんな事実さえも忘れてしまいます。
 真っ暗で殆ど顔も見えなかったけど、話してくれたみんな、ありがとう。ふうたろうはまた明日からも歩きます。


天気:雨のち晴れ(北海道上川支庁上川郡上川町・美瑛町)

Comments are closed.