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天空の山(十勝連峰:北海道十勝支庁)

2009年 9月 22日

 薄暗い明け方、どうやら夜中にテントをノックしていた雨は止んでいるようです。でも、太陽は拝めそうにありません。ふうたろうの北海道晴天率は非常に高いのですが、晴天率は遂に下がるのか。


 夜中から異常に喉が渇きます。恐らく、脱水症状が来ているのだと。夜になる前に沼の水を沸かしていてよかったようです。朝になって熱いままの湯を持っていると何かと不便ですから。
 このみかんゼリー飲料は、最後の1本。渇きに耐えかねて手を付けています。


 出発は6時前だったでしょうか、何やら空が明るいですね。


 オプタテシケ山もきれいに見えています。こちらから(北東側)見ると、日光男体山のようにきれいな形をしています。


 これが水を採った沼です。人間、死ぬ思いをすれば何だって口にするんですかね。


 オプタテシケ山の方に向かう道は、まるで魔界の森。スゴく歩きにくいです。


 しかし、オプタテシケ山は良い形していますね。晴れていたらもっと良いでしょう。


 日が差し始めたようですが…?
 今現在空を覆っているのは高層雲。まだ天気は崩れ始めということでしょうか。


 ここが本当のキャンプ場、双子池キャンプ場。でも、双子池なんて遙か下の方にあるんだけどね。


 オプタテシケ山は取り付きから一気に急坂です。カブト岩のあった丘がぐんぐん高度を下げていきます。って、そんなはずはないんだけどね。


 高層雲にも薄い厚いはあって、何だか放射状の影ができていますね。快晴の空だとこういう光の悪戯は見られません。


 しかし、キツい坂です。その分、見下ろしたときの裾野に広がる樹海は素晴らしいです。


 天気の変化は激しい。天高く覆っている雲はかなりのスピードで南西から北東方向へ移動します。上空の雲が見かけでそうならば地上のものはもちろん猛スピードです。南東から山越えを試みる雲が一気に!


 ほら。あっという間に上の方までガスが上がってきました。


 展望は利きづらくなりました。そして、雨もぱらついてきました。もはやここまでか。


 ところが、オプタテシケ山山頂の肩辺りまで来たところ、空がパッと明るくなりました。びっくりして周りを見渡すと…?


 *(゜◇゜)オオッ
 すげぇえぇえぇ~~~!!!
 俺、雲の上に立ったぞ!
 あの遠くの、少し頭を出した山は何だろう。


 すごいっ!カブト岩の上を巨大な鳥が飛んでいるっ!


 実は、写真を見直すまで気が付きませんでした。ふうたろう、スゴいものを撮ってしまったような気がします。


 とりあえずこの雲のパフォーマンスで、再びスーパーハイテンションになった!
 雲海スゲェ!


 瞬く間に、再びガスってしまいました。でも、かなり満足。雨の予報であそこまで見せてくれたのだから。
 そして、あの上がどうもオプタテシケ山の山頂のようです。


 オプタテシケ山の北西斜面はものすごくえぐれています。噴火があったのでしょうか。切り立っていて、見晴らし最高&迫力満点です。


 思い返せばあの壁のような坂を上ってきて、よくがんばったと思う。この山、ものすごく厳しかったですよ。曇っていたし、荷物は重いし。
 でも、ここ、周りに何もないので、晴れていたら360度の大展望です。晴れてくれないかな。


 というわけで、晴れるのを待ってみます。見込みがありそうなので。こなぐすりになりかけたキティーランドでも食べながら。


 おっ!
 晴れてきたか。見え始めたのは十勝岳でしょうか。


 どうやらオプタテシケの展望はシャレにならないようです。もう少し晴れてほしい。


 ダメなようです。結局30分以上待って、強風に煽られて寒くなったので美瑛富士の方に向かうことにしました。


 しかし、なぜかこの辺は雨週末の法則が成立するのか、一歩踏み出した途端晴れてきました。山頂に戻って強風に煽られ直すのもアレなので、これからは斜面から見下ろすことにしました。


 うむ、どうやら、雨どころか、晴れ間まで出そうな気配です。しかし、見事な雲海です。


 雲が山越えレース。


 エゾリスに出会いました。望遠の利かないレンズなのでトリミングで申し訳ない。
 静かに見守ってやらないと、怖がって逃げます。あまり近づけないのです。


 長いシッポですね。


 ハイマツの実でも抱えているようです。冬に向けて種を貯め込んでいるのかな?それにしても、これほど動物がふうたろうの前にじっとしていてくれることは珍しい。
 そういえば、幌尻岳でもエゾリス、見ましたね。あの時は撮る間もなく逃げてしまったけれども。


 再び、見事な雲海です。青空がかなり広がりました。


 美瑛町方面の下界は日まで差してきたみたいです。


 雲の上に浮かぶ島々。嗚呼、本当に登っててよかった。


 本当に空が青い。この3日間の中で最も空がきれいです。低気圧通過中の不安定な天気だからこそこれほどの青が出るのでしょうか。


 シャープなオプタテシケ山。


 しめ縄のような雲の向こうに大雪山。


 しかし、そろそろ宴も終わりのようです。また雲が湧いてきました。


 ふうたろうは悩みにふけるとどこまでも引きずり込まれてしまう質です。この岩を歩きながら、ふうたろうは自分のある問題を見つめていました。…暗くなるばかりです。


 上空は晴れていたのですね。でも、周りがガスで何も見えないのですよ。


 ベベツ岳の山頂。特に何があるという感じでもない、ただのピークです。それとも、晴れていたらかなり展望の良いロケーションでしょうか。


 見えているのは石垣岳。登る山ではありません。南東側を巻いていきます。


 石垣岳を巻くと、美瑛富士が見えてきます。ふうたろうはその裾にある美瑛富士避難小屋で今日の行程を終えるつもりです。


 石垣岳はその名の通り、本当に石垣のように大岩小岩で成り立っているかのようです。歩きにくいったらありゃしない。


 その石垣を歩ききると、草原に行き着きます。地図にないけど、石垣岳方面から、美瑛富士避難小屋へのショートカットがちゃんとあります。


 天気は崩れるとのこと。まだ低気圧の東側にいることを考えるとこれからの天気はあまり信用できないでしょう。今日はここで停泊ですか。


 中で昼飯です。インスタント焼きそばを作りました。水を思わず大量消費してしまいました。


 うーん…。
 スゴい晴れ方ですな。
 とりあえず小屋の周りを散歩。


 ここは水場だったのかもしれません。涸れきっています。


 やっぱりスゴい晴れ方ですね。本当に雨が降る予報?低気圧、どういう動きをしているんでしょう。


 小屋に戻ると、オプタテシケ山に登っていた新潟県のおっちゃんが下りてきました。実は、宴が終わった頃の坂ですれ違っていたのです。
 おっちゃんは色々、身の上話をしてくれました。こういうマッタリ感は、山小屋の醍醐味ですよね。
 また、おっちゃんはふうたろうの水筒に気が付いて、お茶を分けてくれました。このお茶が死ぬほどうまくて、死にそうでした。


 それだけではなく、水までくださいました。もう下山するから必要ないと。下山するまでに必要な分はもう持っていると。
 いや、命の恩人です。


 時刻12時42分。天気は信じられないくらい良い。いてもたってもいられない状態で、ふうたろう、冒険に出ました。
 このまま上ホロ避難小屋まで突っ切る!


 かくして、美瑛富士を巻き、美瑛岳に取り付きます。
 美瑛岳の上りも、オプタテシケ山ほどではなくとも厳しいです。


 みるみるうちに下の登山道が低くなってゆく。
 見えているのは美瑛富士を巻いている道です。


 オプタテシケなどの主稜線も見えます。嗚呼、スゴいッス。


 晴れたり曇ったりを繰り返しつつ、雲のパフォーマンスも見応え抜群。


 美瑛岳は完全に登り切りません。道標はパッと見、美瑛富士と美瑛岳の方向しか示していませんが、このまっすぐ奥にトラバースするように進むと、十勝岳の方に向かう稜線に出ます。ホワイトアウトすると迷いやすそうなので注意ですね。


 まるで飛行機にでも乗っているかのよう。今日の山は一段と高い。


 美瑛岳をトラバースすると足場のやや悪い岩だらけの道。落ちたら命はない。


 美瑛岳の南側は、北側の穏やかな様相とはうってかわります。荒々しい岩石がむき出しです。


 歩く道も肩幅ほどしかありません。突風に注意。


 こちら側(美瑛岳側)とあちら側(オプタテシケ山側)はまったく別の次元のようです。何だか、歩いていて瞬間移動でもさせられたような感じです。


 本当に、この広い風景には圧巻です。山も雲も青空も、本当に大きい。


 十勝岳が見えてきました。あちらは雲がかかっているみたいです。


 う~ん…、さすがにあの上では雨に撃たれるかもしれない。


 不毛の大地に続く山道。何だか、さっきまで歩いていた道がうそのようです。


 ガスの中に消えゆく砂漠の道。


 大変なのはこれからです。この辺りの地面は火山灰や火山礫で構成されていて、踏み込んでも足がずり落ちます。猛烈に体力を消耗する上に、本気で拷問のようで精神力を削がれます。


 ザレていて、転んだらこのままアリ地獄に呑まれてしまいそうな感じです。おそるおそる、トラバース。


 なんだか、別世界を歩いているみたいですよね。


 こんな時にシャリバテっぽくなって、冷たい風とガスの吹きッ晒しの中でカロリーメイト。いったい何を考えているんだか。写真まで撮る余裕はいったいどこから生まれてくるんだろう。


 ヤヴァイ!ガスでルートをロストしたッ!
 何とかGPSを頼りに右往左往し、道標をガスの中に発見。


 ここは十勝岳手前の平ヶ岳という場所ですが、このホワイトアウトのしかたはとんでもないですね。面倒だからこの辺でテント張っちゃうか。


 そして、ガスの中を延々歩いていると、遂に#57十勝岳に到達。ふうたろう、トムラウシ~十勝岳縦走をやってしまいました。
 でも、今は感動している場合ではないッ!
 暗くなってきたし、ガスも濃いし風も強いので、上ホロ避難小屋に急ごう!


 ガスでマッシロの道を蛇行しながら南下。ガスで眼鏡が曇っていいかげんうざいので、外してカメラバッグの中に放り込みました。


 突如現れたヤセ尾根。むしろ両隣が曇っているので怖くない?


 (゚Д ゚;)アブネー
 よりによってこんな所で眼鏡を落としちまったじゃねーか。奈落の底に消えてなくてマジよかった。
 しかし、落としたこと、よく気が付いたもんだ。


 ま、色々あったけど、このくらいなら余裕ですね。足は疲れたけど、上ホロ避難小屋まで来れば、明日は楽して下りられます。
 さ、小屋はすぐそこだ!


 なかなか造りも立派な小屋ではありませんか。さあ、入って今日の疲れを癒しましょう。


 どうやら今日もまた独りです。元々今日は天気が崩れる予報だったので、山に寄りつく人も少なかったのでしょう。しかし、やっぱり寂しい。


 ふうたろうが小屋に入って30分ほどで、外は強風を伴った雨になりました。とても運の良かった行程だったみたいです。ちょっとこれが十勝岳の山頂とかで食らっていたら、シャレにならないッス。まあ、今更だから、結果オーライということで。
 明日は晴れれば十勝岳をもう一度シバいて、上ホロカメットク山および上富良野岳を経て、十勝岳温泉に下ります。万歳するときは近い。でも、最後、慎重に。


天気:くもり時々晴れ、のち雨、強風を伴う(北海道上川支庁上川郡美瑛町・空知郡上富良野町・南富良野町・十勝支庁上川郡新得町)
覚え書き:水の量が危機的

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