月山の拒絶
5時半に起きて、キムチチャーハンで軽く朝メシ食って、山形到着10時8分。着いた途端雨が降ってきました。
出発直前になって腹が痛くなり、危うく電車に乗り遅れるところだったけど、遅れなかった代わりに、テントのポールを忘れました。
天気は驚くほど気まぐれです。雨が降ったり止んだり、晴れたり曇ったりの繰り返し。
でも、こういう繰り返しの天気なら、断続的にでも進むことはできる。
山形駅発酒田行きのバスに乗って、西川バスストップ下車。酒田行きのバスは高速バスです。山形交通バス。
西川バスストップは何か大きな中枢的なバス停かと思ったけど、ただの高速バス乗り場です。
さっきの階段を下りていくと、西川ICバス停があります。ここで西川町営バスを待ちます。
ふうたろう、ここで手にカメラを持ったまま、カメラをなくしたと慌てていました。どこまで気持に焦りがあるのか。
西川バスストップからダイレクトに西川ICバス停まで繋がっています。迷うことも困ることも絶対にありません。
高速バスが最大3分くらい遅れても何とかなるようですが、バスの乗り継ぎというのは実に心臓に悪い。ここでバスに乗りはぐれたら、いったい次のバスは何時間後なんだ?こんな道路しかないところで待っていたら死ぬ。
西川町営バスで月山の登山口のひとつ、姥沢(うばさわ)バス停まで。山形駅前とは違い、月山は真冬の様相で、積雪量もハンパじゃありません。
これを見て4月だとは思わない。2月といわれれば納得できるけど。
空は曇っている。
…そんな生やさしいもんではありません。大粒の雪がバンバン降っています。今日は4月24日。毎日毎日、いいかげんにしろといいたい。
暦に合わせてリフトは動いています。しかし、これは春スキー用のリフトじゃないのか?
リフトは本来埋まっているのですね。この雪からリフトの軌道を掘り出しているという感じです。
リフトが終点に着いた。ふうたろうはいよいよ月山に登る準備をば。
しかーし!なんだ、この恐ろしい曇りかたは。ウェアを着ている人が居なかったら手抜きの写真になるじゃないか。
姥ヶ岳まで来ました。地図で見るよりも意外と坂がキツいです。みんなゼーゼーいいながら登っていました。
ふうたろうはこれからまだ登らなければならない…。
でもこのひどすぎるホワイトアウト、とてもじゃないけど前に進めない。
テントのポールを忘れたことの重大さがここで現れます。テントがあればあの五竜岳の遠見尾根みたいに、晴れるまでビバークできます。天気予報はそれでも一時晴れるような予報だったので、待つ価値はありました。しかし、ビバークの道具がない。もはや救いようがありません。
結局リフトの終点まで降りてきました。もう諦めて下山する態勢です。
しかし、振り出しに戻るだけならまだ良かったのですが、どこかで買ったばかりの手袋を落としたらしい。東北の山って、何でこんなに不運なことばかり起こるんだろう。
実際は、ふうたろうに余裕がないだけの話。今日の月山山行に対する心構えから、既に成っていなかった気がする。
敗北気分たっぷり、連敗気分満タンで、ゲレンデを下ります。帰りのリフトは乗れないのだそうです。
だんだん天気が晴れてきて、大朝日岳の方がよく見えてくるようになりました。
しかし、下りてきたら後の祭り。不安定な天候に右往左往していたら、結局その場で動けなくなってしまうので、下山します。
嗚呼、これからふうたろうはどうしたらいいのだろう。
まず、バスで山形市方面に戻るか、鶴岡市方面に行くか、悩みます。西川町内で停泊するということも考えました。
今日中に月山が晴れることはないでしょう。でも、明日はどうなるのやら。携帯の天気予報を見ると一日曇りとの予報が出ていましたが…。いや、明日一日晴れたところで登る時間はないので登りませんが。
朝日連峰の天気の良さ。あちらは月山よりも更に豪雪なんじゃないかな、本来は。
ふうたろう、バスの運転手さんたちの助言などを頂ながら、結局鶴岡に下りてきました。特に鶴岡市に用がある訳じゃないけど、もう山には登れないから…。
鶴岡駅前の大型スーパー。
…と思ったら、どうも潰れているようです。看板がピンクの無地。「MARICA」という文字だけが、かつて入口だったところに残っていますが…。
地方都市を見ると、いったい全国各地の同じような都市たちはどうすればいいのかと頭を抱えます。なんで仕事も人口もなくなるのか。本当に、地方都市の衰退にはいつも危機感を覚えます。
ふうたろうはそのまま酒田に来ました。持っているウィークエンドフリーパスの最も端っこのところまで来たのです。
しかし、酒田駅前は、鶴岡駅よりも更にひどい。大きめのビルといえば東横インとこれからふうたろうが泊まる「α-1」というホテルふたつくらい。食堂は19時にもなっていないのにどこも閉まっていて、辛うじて開いているのは飲み屋チェーン店くらいです。
そんな中でひとつ、ラーメンチェーン店が開いていたので入ったら、このネコ様がお出迎え。
しかし、正直、あまり美味いラーメンではありませんでした。店に客は居ませんでしたが、人口がないという理由だけではない気がします。
スナックみたいなのがあります。音痴な歌が聞こえたりして人は入っているようですが、何となく風前の灯火のような、悲しい気分になります。
ふうたろうも、大型格安ホテルなんかに泊まっている場合ではなく、地元の旅館を選ぶべきだったんでしょうか。
夜は長いです。一人の夜ですから。山の夜とも違う。
有料の映画を、なんと4時間もぶっ通しで見ていました。ひとつは『愛の叫び』…だったかな。アフリカの方の紛争の最中の、恋愛の物語(というと俗っぽいけどそんな感じ)。もう一つは日本映画で、『252』。東京を巨大台風が襲い、被災者の救出劇を描いた物語。なかなか、ふうたろうの心にオキシドールを塗るような映画でした。人のためにここまで一生懸命になれるのは、素晴らしいことだなと、改めて思います。だからこそ、ぶっ通しで見ていられたんだろうけど。ただの戦闘映画なんてつまらんし。
…中身については、省略。
というわけで、今日も山に拒まれました。
天気:雪のち晴れ(山形県西村山郡西川町・鶴岡市・酒田市、移動中は含まない)