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これが6月の山なのだ!!(笠ヶ岳クリヤ谷コース:岐阜県)

2010年 6月 6日

 夜中、信じられないくらい寒い。当然、真冬-14℃とかの冬山で過ごしてきたふうたろうだから、それとほぼ同等の装備を持ってきてはいて、シュラフは完璧。でも、この寒さはなんだっ!あまりに寒いし寝ていられないので、2時半頃に起きてさっさと朝飯にしてしまいました。結局2度寝したんですがね。
 でも、夜明の早さはやっぱり夏です。嗚呼、4時台とかに陽が昇ってくるのはやっぱり夏だわ。


 おはようございます。穂高連峰の向こう側から昨日沈んだ太陽がまた昇ってきます。


 ふうたろうはこんな所で過ごしていました。贅沢です。金出しても無理です。でも、決して過ごしやすいとは言い難いです。


 太陽と空を撮ろうとすると、やっぱり気になるのがローパスフィルタ(CCDの前に付いているやつ)のゴミ。絞り値を低くして撮るとそうでもないけど…。


 上げるとだめです。


 昨日の登りでやっぱり体力を使い果たしたみたい。この坂、しんどすぎる。あるいは、寒さと湿気で寝苦しかったから、寝不足か。


 高山方面、雲海が広がっています。岩手山の時みたいにダイナミックではないけど、これはこれで。


 しんどいと言っても笠ヶ岳山荘と山頂は目と鼻の先。山頂にはほこらがあります。真冬は雪に埋もれているでしょうけども。


 遮るもの何も無し。360度の大展望です。穂高連峰のギザギザも全部見えます。


 抜戸岳方面から陽が差しています。やっぱり夏、6月の山なんだなあ。


 実は、ほこらすぐ横の雪庇の方が、あっちにある三角点よりも高いところにあるので、こっちが山頂でも良かったんだけど…


 まあ、そういわず移動。


 ふうたろうの顔は看板だった。
 笠ヶ岳山頂、2898m、到着!


 影笠ヶ岳。笠ヶ岳はまさに名前の通りの山です。


 ふうむ、問題は、これから下山するルートがどんななのかですが…。


 まずは高山特有のガレ場。ふうたろうはこのガレ場の石が当たる音が大好きです。中間をはしょって言うと、希望の音。


 そして、すぐにまた雪渓です。さっきアイゼン脱いだのに、だりー(´Д`;)


 でも、履かないと奈落の底ですよ。


 いやー、凄い雪の急坂ですなあ。こんな所、本気で歩くんでっか。


 あの鋸みたいな稜線をどないかして縦走するんですね。今回の最大の難所です。


 雪渓が裂け、巨大なクレバスが。でも、その裂け目の深さが数十メートルなどと言うことはありません。なお、そういう裂け目に落ちると、体温が奪われて意外と早くヤバくなるそうです。


 雪渓を過ぎ、何事もなかったように登山道が延びています。本当に夏と冬の同居状態です。


 お、快晴の抜けるような空に飛行機雲が。
 …絞り値落としているから、多少マシですか。でも、絞りは絞った方がきれいになるんじゃないかな。こういう写真は。


 杓子平に穂高連峰。凄い風景が連続します。


 笠ヶ岳を見上げてみます。かなり高いです。


 さっきの鋸の稜線、トラバースの登山道を巨大な雪渓が埋め尽くしていて、まともに通れません。面倒でもピークを通っていきますか…。ちょっと暑くなってきたので、出発の時に着てきた上着とか脱がなきゃ…。


 岩場とヤブのコンボです。でも、この程度、屁でもない。


 これが道に見えるふうたろうはちょっとずれているかな?


 鋸の刃は二枚刃。もう一つあります。
 でも、もう一回の上り返しが嫌になったので、雪渓トラバース。ハイマツやダケカンバにしがみついていれば何とかなるだろう。


 (゜◇゜;)ガーン
 この画面のどこか(ただし遠い方の山)にヘルメット忘れて来ちゃった!(滅
 さっき上着脱いだところのハイマツの中です。きっと鳥たちの巣になることでしょう。


 ヘルメットを忘れてきてショックに打ちひしがれながら、踵を返して下山ルートを。
 ヾ(*゚゚> o< ゚)エーン


 落ちればひどい目どころではすまないけど、この雪渓はまだ大丈夫。登れば済んだから。


 とりあえず、3つあるうちの2つの難雪渓を通過し、振り返ります。笠ヶ岳が見えます。さっきヘルメットを忘れたところも見えます。


 最後のいちばん大きく厳しい雪渓が見えてきましたぞ。


 (×Д×)グヘッ
 こんな斜面、素で渡れるかっ!
 っていうか、もう渡ってきたあとだから写真撮る余裕があるんだけども。上の方にあるハイマツなりダケカンバなりに捕まり、ピッケルとアイゼンで一歩一歩慎重にカニ歩きです。


 この岩が、雷鳥岩でしょうか。何だか滅びた山中のお城みたい。


 岐阜県を見下ろす場所にお城。城主、雷鳥や小鳥たち。


 ふと上を見るとまた飛行機雲。


 雷鳥岩を過ぎたら次はクリヤノ頭という場所を通過します。
 何だかあっちも雪渓が…と思ったけど、どうやら登山道にはそれほどかかっていないみたい。


 崖から折り重なる山々が見えます。展望はもはや言うことなしです。


 さっきの雷鳥岩のあったところを見上げています。何か、凄いところ登っているんだなあと、改めて思います。


 低木が茂る森林限界付近の稜線から、周囲の山脈が見えています。


 今日は空気が澄んでいます。5月頃の濁った空ではなく、色んなものがシャープに見えます。そう、これが6月の山なんです!


 さて、クリヤノ頭からまた急斜面を下りるのですが…景色、いいですが…


 雪がビッシリ着いているんですけど。


 じゅくじゅくに溶けている雪がビッシリ着いているのとか、けっこう鬱陶しいんですけど。


 こんなのがいつまでも続いたら、本気で下山できなくなる(タイムオーバーになる)。


 でも、何となく雪の上を歩くのになれてきて、楽しむ余裕も若干出てきたような。


 しかし、登山道は完璧雪に埋まっています。日差しも風もマルッキリ夏なのに。


 青々とヤブがふうたろうの前に立ちはだかったり。


 登るとき、こういうところに迷い込みたくないですね。今回は迷い込まなくて良かった…。


 ものすごい雪の坂。でも、身体のバランスの取り方が何となく解ってきて、断然下りが速くなりました。


 写真撮る余裕があるのだから。


 西穂高方面がはっきり見えています。この澄んだシャープな景色はこの時季6月ならでは。秋でもこういうのはあまり見られません。


 景色サイコー!これが6月の山だ!!


 ふうたろうの前に先行者がいるようですが、会わなかったな…。


 ツボ足(アイゼンとかスキーとか何も履かない状態)のようで、斜面に苦戦のところも。
 でも、ふうたろう、アイゼンとピッケルを、何度着脱したか。


 青葉と青空の青々コンビ。嗚呼、素晴らしい天気です!


 しかし、一面の青空を貫いて強烈な日差しが照りつけているので、暑い。喉も猛烈に渇きます。沢で潤します。これが北海道だったら飲めないだろうな…。


 遠くに焼岳。


 初めて出てきた指示板。


 …もうアイゼンの着脱もいらないだろう。


 背丈を超える低木帯に入ってきました。そろそろ水場が現れるのではないかと…


 恐らくこれがそうでしょう。喉が渇いてしょうがない。飲みます。


 ヒメイチゲ(キンポウゲ科)ですかね。前もやっぱり花の同定で迷っていたような気がします。八幡平で咲いていたのか。


 この頃お馴染みショウジョウバカマ(ユリ科)です。もっと赤紫の濃いものもあります。


 新緑の高木樹林帯の上に、錫杖岳山塊がそびえています。


 新緑が萌えている笠ヶ岳山麓。こういう時季の深山山行は初めてです。ふうたろう、この木の新芽たちと同じように新鮮な気持ちでいっぱいです。足もかなり疲れて痛くなってきたのに、テンションは至って高い。


 ツバメオモト(ユリ科)でしょうか。チゴユリかと思ったけど、花が若干違う。何より、葉が違う。


 さっきからこういう標識がそこかしこに見つかります。数字は書いていますが、等間隔にある…というわけではなさそう。


 サンカヨウ(メギ科)のようです。初めて見た花です。沢沿いの道にたくさん咲いていました。


 エンレイソウ(ユリ科)です。シロバナエンレイソウと違って茶色の花というか、がくというか。


 カニコウモリなどのコウモリソウ属の葉っぱ?なのかな。この葉っぱはとても癖のある形をしているので、目にとまりました。


 これは、オオバキスミレ(スミレ科)ではないでしょうか。2週間前、有明山でたくさん咲いていたのを見ましたが、もうほぼ終わりのようです。


 沢にぶつかると渡渉です。水量が、雪解けの影響で多いです。


 新緑の下、沢を渡ります。涼しげで、明るくて、とても気持ちがいい。


 沢沿いの道は展望という意味では恵まれなくても、水の流れが視界を潤してくれるのでいいです。


 水、きれいだなあ。


 顔を浸けて飲みたいくらい。


 きれいだから、青い。


 青空の青、新緑の青、水の青。トリプルブルーだ!


 ここの渡渉はつらい。でも、少しくらい濡れても平気ですよ。こんなに天気よくて暑いくらいだから。


 ちょっと鬱蒼としています。上の写真と同じ場所の、渡渉のところです。


 ここ、何だか木片やら何やらで荒れています。実はここ、地面ではなく、みんな雪渓の上です。


 このリンドウは、何リンドウだろう。持っている図鑑の中に春に咲くリンドウの項目はあるが、これと同じものが見あたらない。


 クルマバソウ(アカネ科)でしょうか。乾かすとクマリンのにおいがあるらしいので、ちょっと揉んでみればよかったかも。


 最後の渡渉。ここが最も流れの激しい場所です。


 無事渡れましたが、ちょっと水流がキツいです。雪解け時期は、無理な人は無理でしょう。


 渡渉を終えると下山まであと少し。でも、もうお昼過ぎました。


 樹間から西穂高ロープウェーが見えます。


 樹林が濃くなってきて…


 下山完了です。笠新道からクリヤ谷まで歩ききりました。万歳!


 さて、中尾温泉口バス停からのバスは毎時58分。この温泉宿でその時刻を聞いたときは12時55分頃でしたので、ここで露天風呂に入ってから行くとしますか。
 しかしこの温泉、環境的に(?)身体が洗えない(石けんなどが使えない)という難点が。


 中尾温泉口バス停は、上りと下りのバス停がかなり離れています。とても判りにくい。


 平湯温泉経由高山行きのバスが来るまで、さっきの温泉、槍見館で買った塩大福の冷凍品でも囓っておきますか。っていうか、アイスじゃなくてただ冷凍保存してるだけだったのね…。


 平湯温泉で高速バスのチケットを買いました。これで新宿までダイレクトに帰れます。買ったときはそう思ったのでした。


 バスまで小一時間あるので、メシ。
 イワナのヅケ丼なるものがあったので、話のネタに食ってみました。1200円というのはだいぶ高いですが、ボリュームはかなりあります。シソかエゴマの葉っぱの細切りが大量に折り込まれていてシソ系の薬味を好まないふうたろうにはけっこう難儀でした。


 ここは諏訪湖SA。高速バスは順調に走っています。
 しかし、それはここまでの話。諏訪湖から1時間ほどで甲府を過ぎ、大月方面に向かう頃、猛烈な渋滞が始まりました。渋滞が始まる直前の電光表示板では、八王子まで5時間以上との表記が出ています。どうすんだ。
 …20時頃になって、あれは藤野辺りでしょうか。徐々に渋滞が緩和されてきて、八王子手前くらいで21時頃、新宿に着いたのは21時50分頃でした。5時間までは行きませんでしたが、2時間も遅れました。高速バスで帰るとは、政治情勢を知らない奴がやることだな…。判断を完璧ミスった。


 帰ってきたら23時半前後。このロングコースを歩ききった上に早起きですから、もうヨタヨタ。22時過ぎに新宿でネギトロ丼を食べても、全然余裕で寝られそう。結局寝たのは1時頃になってしまいましたが。
 真冬を思わせる残雪と、本来の初夏を思わせる澄んだ空や新緑と、こういうのをひっくるめて初夏の北アルプスなんでしょうね。なんて表情豊かで楽しい山だったのでしょう。新緑のすばらしさを、思い切り感じた山行でした。
 #73笠ヶ岳クリア。


天気:晴れ、午後薄曇り(岐阜県吉城郡上宝村、移動中は含まない)

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