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暑い熱い後方羊蹄山(羊蹄山比羅夫コース・お鉢巡り:北海道後志支庁)

2010年 6月 26日

 かくして翌朝。寝たのか寝てないのか解らないような感覚で、とりあえずトイレ。時刻としてはもう5時半頃ではあったけど、この明るさはふうたろうの感覚では8時とか9時ですな。
 ひとまず、散らかした荷物を全部ザックに詰め直さなければ。


 これが北海道の朝です。
 …う~ん、あまり実感が湧かない。どちらかというと、新潟にでも来たような感じが…。異様に空気が生暖かいし。
 それでも唯物論的に言えば、ここは紛れもなく長万部駅。


 6時12分発の函館本線。昨日の夜コンビニで買ったパン類を貪りながら行きます。


 …が、あまりにもパンがくどくて、もう一個あるパンを残しました。そして、眠りこけて、昆布駅やらニセコ駅やらを過ぎて、比羅夫駅。はっきり言って寝足りん。


 噂通り、比羅夫駅は宿になっているようです。一度でいいからここに泊まってみたい。


 おや。無人の駅かと思ったら、駅長がいましたな。まだ朝早くて寝てるっぽいけど。


 比羅夫駅。さあ、出発だ。


 バスはないので、とりあえず歩きます。上り坂なので、意外と時間がかかります。


 道路の遙か向こうに羊蹄山の影が。そして、道路には昨日の夜長万部駅の待合室を徘徊していた毒毛虫と同じ生き物がたくさん転がっています。


 畑の作付けも始まっています。っていうか、まだ8時なのに、この異常な暑さは何だ。


 バス通りに出てきました。ここからは前に通った道と同じ。
 この前と違うのはこのアオアオとした草もそうですが、政党ポスターがそこら中にあること。そう、参議院選挙戦。最近はもう若干慣れたけど、この選挙運動に参加しろという誘いが本当にしんどかった。投票依頼のためだけに人に話しかけるという不自然な行為が、本当にふうたろうの生き方そのものと合わない。消費税だの普天間基地問題だの、矛盾を感じていることとはまったく別の話なのに、そこを理解してもらえたことはあまりなかった。


 この2ヶ月弱の間に草に占拠されたバス停。


 雪でバリバリだった羊蹄山は、もうその残雪もほぼ消えてなくなっているようですね。


 滑走路を駆け上がるルート。


 前は冬枯れだったっけ。積雪も凄かったし。


 ここは半月湖キャンプ場。あの時アイゼンなどを装備したあずまやが笹薮と樹林の中に肩身を狭くして建っています。


 雪が消えたためか、駐車場には大量の車が。これ相応の人が山に入っているということなんですね。


 さあ、登りましょう。
 しかし、何だか全然雰囲気が違う。雪に覆われていたときはもっと開けていたというか、開放感があったというか。これではあずまやだけでなく、ふうたろうも窮屈に感じるぜ。


 樹林の深さもそうですが、この暑さに加え、虫が大量に湧いています。そうだ、新潟の山では耳がギョーザになったんだった…。
 そのあまりに不快な下道に閉口し、次第に急坂に誘導されるふうたろう。


 2合目です。暑い、とにかく暑い。ここは本当に羊蹄山か。5月1日、雪しかなかったあの羊蹄山とはまったく違う雰囲気です。たぶん、歩いているところもまったく違うと思いますが。ええ、zベクトルも違いますよ。


 基本的にルートは抉れていたり深い樹林に囲まれていたりして、展望はあまりありません。これで風が吹いていなかったら新潟の古峰山の時みたいに熱中症で死んでいたに違いありませんが、幸い風は吹いていたので助かりました。


 高度が上がってくると、少しずつ展望の利く場所も出てきます。


 雪がまったく無くなったニセコアンヌプリ。300名山なので明日登ろうかと思っていますが、実をいうと、登りたいという意欲のあまり湧かない山なのですなあ。


 これが羊蹄山比羅夫コースのデフォルトの樹林。暑い。展望ない。坂キツい。


 やっと4合目。樹林を抜けるのはいつだろうか。雪道であれば、もうそろそろ展望がよくなっていた頃だった気がするけど…。


 太陽ぎらぎらで新緑眩しいのに、樹林帯で暗い。あ"ー暑いぞー景色見たいぞー(゚皿゚;)


 だいぶ低木の割合が多くなってきたけど、まだ大展望ってわけにはいかない。


 ニセコアンヌプリがどんどん低くなっていく。


 遂に荷物を一旦置いて、フルーツパックに手を出しました。喉の渇きが尋常じゃない。


 恐らく、この前後あたりで、前ビバークした7合目の高さあたりを迎えたと思います。もっとも、ビバークしたのは、今は猛烈なヤブになっているところが雪原と化した場所だと思いますが。
 この辺りは、倶知安町が一望できますねー。


 8合目の看板。9合目くらいまで行けば展望も開けていくだろうと思いますが、8合目ではまだこのとおり。


 ところどころ樹林の剥げた場所が出てきました。


 空気中の塵がもっと少なければ、展望は最高だったでしょうが…。


 9合目付近です。突然風景がガレ場になりました。


 暑さと今までの坂のきつさでかなりバテ気味だけど、とりあえず蝦夷富士(羊蹄山)のお鉢まっしぐらで行きますぞ。


 さっきの樹林の道とはうってかわって、今度はザレです。歩きにくい。


 まだ雪渓があります。この暑さの中でも、あまりに多かった雪が溶け切れていません。


 すっかり高山植物帯になった羊蹄山。


 よし、ここを登りきったらお鉢だ!…けど、ザレて登りにくい。
 あとで判ったことですが、ここは廃道です。


 ニセコアンヌプリがあんなに低くなっています。


 そして、この旧羊蹄山避難小屋跡。やっとお鉢に着きました。12時を少し回りましたね。
 ここ辺りから高山植物が更に多くなります。花は、あまりにも多いので、後日付で別に記録します。


 お鉢の南の縁、つまり、北斜面にはかなりの雪がまだ残っています。滑ったらあの青い水の中にドボンですね。


 登山者は、あの車の数に見合って、たくさん。


 さて、ふうたろう、この真狩(まっかり)コースの分岐の岩にザックを置いて、サクッとお鉢巡りしよう。予定では今日中に真狩コースを下りて、明日朝一でニセコアンヌプリにアタックをかけるのだから。


 硫酸銅が溶けたように青い水がたまっています。


 おっと、見えました、洞爺湖。生まれて初めて、洞爺湖を見ました。そういえば、洞爺湖サミットの行動で2年前の7月、札幌に行ったなあ。


 新緑の美しいお鉢。さあ、行こう。


 道のりは長い。でも、行く先々で他の登山者たちが励ましてくれます。


 真狩の分岐から反時計回りに進むと、程なくして岩場が現れます。遠くから見ているとだいぶ険しそうでしたが…。


 実際歩くと、そうでもありません。荷物を担いでいるとしんどいでしょうけど、空身で歩いている分にはサクサク進めます。暑いのが難点なだけです。


 岩の崖っぷちから下界を見下ろせます。この風景、霧島の南端、高千穂峰から見た宮崎県高原町や小林市を思い出します。


 岩場をひたすら駆け抜けるふうたろう。山頂はどこだろう。


 あの大雪渓がかなり後ろにいきました。


 意外と長いお鉢岩場編。


 京極町方面の田園と市街地が見えてきました。


 あそこに山頂の標っぽい棒が見えています。


 岩に何か書いてあるけど、よく読めない。っていうか、読む気力がない。


 うひゃー、着いた。後方羊蹄山山頂!
 記念撮影と行きたいところですが…


 凄い人の数だったので、テキトウに撮って足早に逃げます。


 山頂をあとにして。


 これは山頂より5m低い1893mの三角点。ここが山頂だといっても、それはそれでいいのだと思います。


 京極コースの分岐。下で登山届を書いたときはこちらに下りるとか書いてきましたが、今の気分はまったく別。


 岩場が終わります。羊蹄山のお鉢は東半分が岩場です。


 さっき山頂でワラワラと集まっていた人々が追いかけてきました。逃げるぞー!


 真狩コースの分岐のコル(鞍部)と大雪渓が向こうに見えます。


 そのままさっきのところをまっすぐ行っていれば近道ですが、ふうたろうはあえて遠回り。北山、すなわち比羅夫側の稜線を、回っていきます。


 倶知安町の田園風景と市街地。お鉢巡りで全部見ていくのです。


 実は、この羊蹄山、火口が3個ほどあるみたいです。大きいのはこのお鉢巡りの中心ですが、ふうたろうが寄り道で歩いてきた北山のすぐ側に小さめの火口がひとつあって、そこにも水がたまっています。


 さて、さっきの行列はふうたろうが北山を回っている間に小屋跡の方に抜けていきました。
 小屋跡手前で、今回初めてで唯一の雪渓を歩きます。


 さて、戻ってきました。もうすぐ真狩コース分岐。


 分岐のところに、あとで判ったことですが、北大のサークルの青年たちがお鉢巡りをするとかしないとかで話し合っていました。
 ふうたろうは少し休んで真狩コースを行きます。


 あそこに9合目の避難小屋が見えますなあ。


 洞爺湖方面が一望できる真狩コース。見たいと思う方向に下りればいい。


 あのピークすぐ下が、小屋と下山ルートとの分岐になります。


 予定変更。ふうたろう、この羊蹄山で夜を明かして明日の朝速攻で下りることに決めました。やっぱり山で泊まらなきゃ、もったいない!


 雪渓が熱で溶けて川が生成。水を汲むがいい。


 月山の時みたいに登山道が川に…。


 さて、羊蹄山避難小屋に着きました。今日のゴール。
 既に先に到着しているグループがいましたが、みんな地元の人で今日中に下りてしまうそうです。少し寂しい感じもしましたが、その中に小屋番の人が混ざっていたみたいで、みんなが去っていったあと、この小屋の前のテーブルで、山話なんかしてしまったりして。そして、小屋泊まりを決定。


 老朽化が激しい避難小屋。ふうたろうは知らなかったけど、近々建て替えをするとか。でも、なかなか予算が下りないとか。ムダな公共事業はそこら中でやってるくせに。


 小屋番のKさんと色々喋っていたら、さっきまでの行程のせいもあって猛烈にハラが減りました。朝からろくなもの食ってないし、当たり前といえば当たり前ですね。


 小屋に入ってメシを食ったのは16時頃。北海道の夏至の時期の昼は猛烈に長い。まだ、小屋を出入りする人もいます。さっきの北大のサークルの青年たちも水汲みにウロウロしていたり。


 この水場の前で、小柄な女性がひとり。Kさんとも話をしていたみたいですが、何とその方、比羅夫と京極のコースを、1日のうちに往復したとか!なんちゅう体力!!(゚Д゚;)…くやしいけど、敵いませんな、それには。


 小屋の周り、少し雪渓が多く残っています。だからこそ、さっきみたいな水場があるのですが。
 ちなみに、キタキツネなども上がっては来ないので、エキノコックスの心配もないだろうとのことです。


 嗚呼緑がきれいな斜面!


 しばらくして、Kさんのおともだちの方たちがやってきました。OさんとMさん。Kさんがたった2時間前くらいに会った見知らぬふうたろうを紹介してくださったので、すぐに仲良くなれました。夕食も少し御馳走になったり。さっきカレーを食ったのでたくさんは食べられませんでしたが。


 2回目の夕食(?)のあとだというのに、まだ北海道の昼は続いています。嗚呼、青空がきれいだ。


 西の空には薄雲が出てきました。明日は下り坂なのかな。


 ちょっとモヤッとしてるな。夕日、きれいなの、見たかったな。


 小屋のすぐ脇にあるハイマツには、隠し通路があって、ヘリでも飛んでこられそうな広場があります。そこはお花畑になっていて、マッタリすることもできます。
 おや?ハイマツの木、何だか赤い実というか芽というか、ありませんか?


 斜面一面に広がるハイマツなどの低木。


 小屋に夕日が当たっています。


 雲が燃えています。こうして、長い長い北海道の一日が今終わろうとしています。


 日が当たらなくなって暗くなった小屋の中。でも、KさんMさんOさん、そしてふうたろうの4人だけだった小屋の中で、ずっと話していました。部分月食が見られるという話もあったし、洞爺湖畔で花火が上がるという話もあったし。まあ、結局花火は見られなかったんですがね。


 部分月食を見るために、小屋脇に積み上げられていたコークスの袋の上に乗っかっていました。そしたら、Oさんも便乗してきました。なかなかよいポジションでしたね。
 …そこで、色々話し込みましたね。ほんと、会って4時間くらいなのに、よく話しました。何だか、懐かしい感じがしました。
 山の出会い、いいですね。おかげさまで、とても温もりのある夜を過ごせています。
 こうして、長い羊蹄山山行1日目が終わるのでした。
 明日はニセコアンヌプリに行こうなんて思っていたけど、もう22時。天気もそれほど良くはならなさそうだし、みんなと過ごしていると、がむしゃらに突っ走らなくてもいいかという気にもなってきましたね。


天気:晴れ(北海道後志支庁虻田郡倶知安町・ニセコ町・真狩村・喜茂別町・京極町、移動中は含まない)

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