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コンニャクの価格

2010年 11月 4日

 昨日、下仁田で買ったコンニャクを、昼飯の鍋で食べた。普段食べるコンニャクよりも弾力があった。本当かどうかは判らないが、「香りがある」と言う人もいた。


 この「やまふぐ」のコンニャクは、大量生産体制でコンニャクを作れないらしい。これからこんにゃくいも収穫シーズンで、コンニャクを作る最も忙しいときらしい。そして、寒くなっていくこの頃、コンニャクが最もよく売れる時期でもあるらしい。そのため、大手メーカーでは量産体制がとられる。下仁田にもそういうメーカーがあるらしい。

群馬やまふぐ本舗ブログ

 しかし、量産するには、ただ単に大規模化するだけでは駄目らしい。やまふぐの主人が言っていたけど、コンニャク粉を水で戻す作業から、手間をかけることが、今日食べたコンニャクを作ることに繋がるそうだ。2日間かけてする作業を、たった2時間で終わらせる技術もあるという。大手メーカーでは大抵そういう方法がとられるそうだ。ふうたろうたちを駅まで送ってくださった旦那たちも一緒に話していたのだけど、「水でのばしているので、柔らかくなっている」という話もしていた。
 これだけ手間をかけて、弾力があり、こだわりも持っているコンニャク工場であるが、やはり後継者が育たないらしい。技術も賃金も、厳しい情勢なのだろう。それこそ、「平均的なコンニャクに要する労働力」に規定される価格に対して、手間の価値が見合わないのである。
 でも、弾力もなく、文化もあるのかどうか怪しいコンニャクと、ここで作られているコンニャクは、「平均的」に並べられるものなのだろうか。本当に、単純に生産力の発展で成し遂げられたコンニャクの生産、なのだろうか。品質が変わり、外国産(中国産)のコンニャク粉を使うことが、本当に「生産力の発展」なのだろうか。コンニャク製造の全工程にかける労働時間が減り、かくしてコンニャクの平均的な価値が下がった(やまふぐのコンニャクの価格はその辺りのスーパーの3~5倍はする)。正しいとか誤っているというのではなく、コンニャクの形をしていて、あるいはコンニャクという名前が付いてさえいれば、それは「コンニャク」なのだろうか。
 ふうたろうたちを送ってくれた旦那のお母さんが言っていたけど、「豆腐でも何でも、同じことが起こってるよね」と話していた。まったくその通りだと思う。
 コンニャクなんて、普段殆ど食べないので、違いなんて考えたこともなかった。でも、しっかり社会の経済的諸関係に組み込まれていることを改めて感じた。ふうたろうがこのコンニャク製造所の「やまふぐ」に来ていちばん良かったのは、それを考える機会を得られたことだと思う。
 ちょうど、今日は突発的なSKで、資本論のNHKスペシャルの録画を見ていて、タイムリーだった。


天気:晴れ時々くもり(埼玉県所沢市・東京都板橋区)

  1. 11月 15th, 2010 at 05:49 | #1

    ふうたろうさん、先日はありがとうございました。ウチの店、ブログに取上げてくれてたんですね。知りませんでした。
    今の世の中はコンニャクに限らず「なんでもかんでも」効率最優先で、商品の価格を下げたがりますが・・。その「効率」って部分では見えない所に「本質」と「文化」が隠れてる事って多いんですよね。
    折角コンニャクの町下仁田で蒟蒻屋に生まれ育ったのだから、私が生きているうちはこの文化を守りたいですね!
    今後とも宜しくお願い申し上げます。

  2. ふうたろう
    11月 15th, 2010 at 13:27 | #2

     どうもこんにちは。
     先日はおいしいこんにゃくとこんにゃくのお話、
     ありがとうございました。
     本当は、この題名も、こんにゃくの「価格」ではなく、
     こんにゃくの「価値論」とすべきだったかもしれません(笑

     ふうたろうも食品に関わる研究をしていました。
     まあ、具体的にはどうとはいいませんけども。
     こんにゃくに限らず、あのお母さんがおっしゃった豆腐でも、
     牛乳の殺菌方法、味噌や醤油の醸造、果汁飲料、
     食品に限らずとも、様々なものが、生産力の向上、いわゆる「効率化」で、
     大量生産されるようになりました。
     その生産様式自体は悪いことではないけど、
     その裏の「非効率」に含まれる文化や経済を、
     今の日本は特に無視しているなと思うのです。
     そして、何より、たつじんさんのこんにゃくを買うだけの、
     購買意欲が今の国民には余り無いのではないかと思うのです。
     陳腐な言い方をすると「不況」でありますけども。

     …ともあれ、また下仁田の町は訪れたいと思います。
     あのピザ屋さんと一緒に、
     今度はマッタリと行きたいと思います。
     こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。

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