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雪と岩の早池峰山(早池峰山平津戸コース:岩手県)

2010年 11月 13日

 キラキラ号が、前沢(5時25分)あたりで40分ほど遅れているとの車掌からの報せがありました。しかし、盛岡で放り出された時刻は6時25分頃で、こいつは瞬間移動でもできるのかと思いつつ、6時半の到着に遅れなくてよかったと胸をなで下ろすのでした。
 昨日の夜は、ここ1ヶ月で最もよく寝た夜でした。朝になっても眠気が残っていない、それなりに具合も良い、というのは、実に久しぶりの話です。
 ひとまず、国民の利益に適わないTPPを決着させようとしているAPECの関係で、各駅のゴミ箱が塞がれているのにイラツキながら、6時35分盛岡駅東口発の宮古行きバスに乗るのです。


 JR山田線がバス路線とほぼ同じところを通っています。それでもバスを使った理由はこのナメたダイヤグラムのせいです。何やねん、始発17時40分って。12時間間違うとんのとちゃうか。
 ちなみにここは平津戸駅(ひらつと―)。


 平津戸駅は無人駅どころか、便所もない駅。盛岡駅からバスを使って早池峰山に登ろうと思えば、事実上盛岡駅で用を足しておかないと、エラい目に遭う場合があります。


 7時47分、電車は使っていないけど平津戸駅出発。


 盛岡方面に歩いて一本目の橋を渡ります。なんか、この風景は荒海山の長い長い長い車道歩きを思い出します。


 材木工場の横を通り過ぎます。


 迫力満点。こういう国産材(だよね?この辺りは落葉松林が多い)が日本で潤沢に使えると良いのに。TPPではこういうものもより自由化されるのだろうか。


 荒海山ほどではないけど、長い長い車道歩き。舗装されていないところはまだマシ、かな。


 明るい沢沿いの道です。
 でも…実の話、心ここにあらずです。3週間のブランクは、山に臨む気持ちさえも衰えさせるのだと後で気が付きました。


 吉部沢を突き詰めていくと50分ほどしてようやく登山口が見えてきました。しかし、何やら「許可無く通行した場合責任は負わない」などと書いた看板があったりして。


 この辺りの風景、あまり覚えていません。同じような景色が続き、まだブランクに対する不安が拭えないのか、心ここにあらずです。


 道が不明瞭な箇所があります。ササが覆っていて、ヤブというほどでもないけども、一般登山者向けでは、ひいき目に見てもなさそうです。


 この倒木が川に架かるように倒れていました。まるで橋として渡れと言わんばかりに。そして、実際これを渡ることで、この沢は渡渉できます。そうでなければ、川は深くてずぶ濡れになるでしょう。


 このワイルドな倒木あたりから、だんだんふうたろう山心が復活を始めます。沢もきれいです。


 歩きやすそうな道になりました。


 しかし、倒木を渡った直後は、このようなハイパーヤブ漕ぎゾーンが待っていました。もちろんかき分けて歩きましたが。


 2度目の林道の出合です。ここまで来ると、早池峰山の取り付きである6合目までかなり近づいたことになります。


 林道を、出合に出てから左に歩いていくと、右手の斜面に猛烈に急な分岐を見つけます。林道で油断コいていたので、出鼻を挫かれたような。


 ここからひとまずしばらくはトラバース気味の上りが続きます。樹林帯なので展望もあまりありません。
 しかし、じきにピークというか、尾根を迎えます。そのなだらかな尾根を越えると再び下ります。地図で見ていて気は付いていましたが、こういう上りの下りというのは、萎えます。


 ヌオッ!Σ(゚д ゚;)
 何じゃ、この苔生した戸板もどきは!まさか、ここを歩いたら、ヴァキッとかいって川底にドヴォンなんてオチなんじゃなかろうな。
 とりあえず、特に右の板がやたらとたわむので、左側を中心におそるおそる渡りました。最大の難関といってもよいくらいです。


 倒木や戸板を越えて、6合目に到着。門馬(かどま)コースとここで合流します。門真コースの方が楽なようですが、地図を持ち合わせていなかったので、平津戸から来たのです。しかし、平津戸コース、荒かったなあ。


 ここからひたむきな上り坂です。鳥海山の万助小屋コースなんか屁の突っ張りにもならんと思うくらいのひたむきな上り坂です。針葉樹林がきついです。


 7合目付近からちらほら雪が見られるようになりました。


 樹林の隙間から北上高地の山並みが見えますが、今日は黄砂が舞っているので展望は良くなさそうです。


 地面は雪に覆われてきました。この劇的な変化がおもしろいやら不安やら。


 樹林の切れてくるところが出てきますと、そこからの展望は抜群です。遠く岩手山まで見渡せます。


 8合目です。展望が見え隠れしてくる頃です。


 たおやかなのを想像していた早池峰山ですが、どうやらそれは罠らしい。このゴツい岩を見よ!


 上空は澄んでます。飛行機雲と吹き流しのような絹雲の切れ端が美しい。


 岩の上に立てる場所がありました。そこからの展望は素晴らしい。これが紅葉した樹林だったら、500万ドルの風景ですね。


 初冬の早池峰山、その岩肌には雪や樹氷を纏いつつあります。


 みるみるうちに雪の厚みが増していきます。木にも雪が積もっています。


 そろそろスパッツをちゃんと付けないと、靴の中に雪が入ってくるレベルになってきました。


 こんなことなら、アイゼンだけでなく、ピッケルも持ってくるんだった。
 ところで、何気にさっきから胃がもたれるような感じが。


 急坂を振り返ると、ずいぶん背の低くなった樹林の向こうに北上高地の山並みが。


 ん?(・ε・)
 …稜線は、ガス?


 心なしか、さっきよりも空が青い気がします。雪のせいなのか、黄砂の層を抜けたせいなのか、それとも本当に気のせいなのか…。


 どうやらこれが9合目のようです。…が、精確な位置がつかめません。


 9合目の水場は、前立腺肥大症状態です(滅


 たおやかな雪道に見えますが、岩場の隙間トラップがひどくて、よく脚を滑らせました。斜めの岩とかマジでタチ悪いし…


 しかし、いつになったら稜線に出るのだろう。長い。


 青空に透かす樹氷は最高にきれいです。由布岳思い出すなあ。


 ところどころ樹氷の樹林帯から、黄砂に覆われた下界を見下ろして。


 これは極楽です、といいたいけど、ふうたろう、けっこうイッパイイッパイです。なかなか苦しんでいます。


 そんな苦しい状態でも、これはさすがに美しいと思っているわけだから、もっと状態の良いときに登ればきっと走り回っていることでしょう。


 雪に覆われた早池峰山の斜面。やっぱり、雪は残雪よりも旬の雪ですよねぇ!


 疲れているので、何度も立ち止まっては振り向いて。
 このルートは下山路に使うといいかも知れませんね。


 ところで、稜線はまだか。


 だんだん道が不明瞭になってきた…。でも、トレースがないので、とれとれピチピチの雪景色が堪能できます。


 だいぶ登ってきたけど…まだか。


 雪景色は飽きないけど、雲行きが怪しいので早く稜線に着きたい。


 飛行機雲の影が空中に下りています。これもチンダル現象、ですかな。


 ひたむきな雪の上り坂。嗚呼長い。


 樹氷は死ぬほどきれいです。


 もっとゆっくり登りたい。山頂の小屋に泊まれたらいいのになあ。


 絹雲は天気が崩れる前触れを表していますが、この絹雲なしに空の美しさが語れないのも事実。嗚呼、天は二物を与えず。


 早池峰山の樹氷群はもう少しで脂がのってきそうですな。


 動物先生の足跡が。


 このオブジェはなんだ?


 雪のまとわりついた灌木類。いいかげんうんざりしてきたかも。


 青空に透かすと、まあ、すぐにデレーーっとするんだけども。


 9合目を見てから稜線に出るまでの長いこと。まだ着かない。


 長かったけどもなんとか到着。6合目から3時間じゃ登れません。100リットルザックと雪道で、ピッケルアイゼン無し(アイゼンは持ってはいる)では厳しすぎです。


 この分岐から数人分の足跡が付いています。人影自体は全くないけども。


 お決まりのように、呪いのガスが(滅


 折角着いた稜線がガスってのはうんざりですな。


 しかし、1秒とて同じ景色にはならぬ。


 凍り付いた岩。気温何度だろうなあ。


 ガスがなかったら、日差しがあれば、この樹氷は輝いているんだろうなあ。


 早池峰山頂避難小屋到着。でも、この小屋にはなぜか泊まれないことになっている。登山口に積み上げられていたパンフレットに「宿泊施設ではありません」と書いてあった。


 とりあえず、山頂を踏もう。この朱色の建物の近くがおそらく山頂だろうけど、ガスと雪で何処に三角点があるのやら…。


 凍てついた小屋の壁。
 三角点は無事発見され、96個目の百名山を踏みました。なお、撃破を叫べるのは下山後です。


 山頂のガスは湧いたり消えたりを繰り返します。南側に多くガスがたまっていて、展望を遮りますが…


 樹氷パラダイスですな。もう少し余裕があれば、もう少し天気が良ければ、楽しさは倍増なのですがね…。


 景色が良いので、寒さも気にせず、周囲をウロウロ。もちろん、人っ子一人居ません。


 山頂部から小屋を見下ろしてみました。遠そうに見えるけど、目と鼻の先。


 小屋の中でもそもそと雪見カレーうどん&雪見カレー雑炊をシバきました。


 カレーうどんを食っている間にガスが薄くなりました。こんなことなら先にカレーうどんを食っておくんだったとか思ったり思わなかったり。


 南側の展望を遮っていたガスが吹き飛んだようで、雲海が広がっています。早池峰山の宴も最高潮です。


 樹氷きらきらの岩肌。


 朱色が目立つ神社。


 さて、これから暗くなる前に、小田越峠にある、小田越山荘に着かなければなりません。14時半になったけど、日没までに着くかなあ…


 山頂避難小屋はあくまでも泊まるなと書いてあったので、泊まらずに行こう。日は思いっきり傾いているけど出発だな。


 早池峰山の上を境に、南は絹層雲、北が快晴という状態です。ふうたろうの真上はどちらかというと南の絹層雲っぽい(滅


 そして、南側の小田越峠に向かって歩き始めると、南斜面はガスりまくっているという。


 こんな梯子とか、ガスの中萎えまくりですから。


 ヌオッ(゚皿 ゚;)
 確かに、移動性高気圧は小粒だった。だから、予想よりも早く崩れたのかもしれないな。


 時々消えるガスの隙間から岩肌を楽しむ程度です。


 瞬間的にガスが晴れました。小田越峠を越えるガスの向こうに、明日登る薬師岳が。


 黄金の雲。
 こうやって日和見主義的にいつも山を歩いています。


 薬師岳の全貌。夕方というか、日が暮れ始めてガスが切れてきたのですな。


 地上は暗くなってきたけど、空はまだ夕方の宴真っ最中。


 早池峰山の岩山の展望は素晴らしい。


 それも樹林に入ると奥多摩の針葉樹林帯とあんまり変わらないという話?


 この木道は滑りやすくてイカン。なんでチェック柄に彫られているのだろう。歩きにくうてしょうがない。


 小田越峠到着。山ぎわに夕日。


 早池峰山横断終了。でも、ふうたろうの早池峰山は明日、大出バス停に着くまで終わらない。


 上空には絹雲がたなびいています。移動性高気圧の位置(昨日見た天気図)からすると、明日は晴れは望めないだろうなと思います。


 小田越峠の監視小屋。裏手に便所があります。15分ほどビッグベンに費やしました。何せ、これから行く小田越山荘には便所がないので。


 この市境のあたりに小田越山荘に向かうルートの入口があります。


 水場があることにはなっていますが、水質が一定していないそうです。結局まともに使えないってことじゃん。煮沸が必要というのは大変面倒なことなのですよね。燃料を余分に使うわけだし。


 というわけで、もってきた水(所沢の水)だけで今夜を過ごそう。小田越山荘。


 もう真っ暗で夜飯か就寝かという話になりそうだけど、実はまだ17時にもなっていないんですよね。こんな誰もいない、便所も水もない小屋で一人っきり、これから何をせえと。
 コーンスープ飲んで、マンゴープリン食って、早池峰山の地図を眺めながら栗駒山や神室山などにうつつを抜かしつつ、ウトウトしていました。
 …が、19時頃、例の胃腸症候群で気分が悪くなって…。ソラナックスとプリンペランのどちらが効いたのか知らないけど、とりあえず同時投与で治まりました。


 無事、早池峰山を登り切りましたが、まだ道半ばです。明日は薬師岳を越えて遠野市に抜けますが、問題は天気ですな。ガスっていたらそれだけでやる気を無くすので…。


天気:晴れのちくもり(岩手県稗貫郡井川村・下閉伊郡大迫町・盛岡市、移動中は含まない)

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