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月明かりの下で(大千軒岳:北海道渡島支庁)

2010年 11月 23日

 19時辺りからウトウトしていて、雷雨の中、いつの間にか眠っていました。もちろん、何度か目が覚めましたが、6~7時間寝たことになりますか。
 起床は2時45分頃。どんなもんだろうと、薄明るいテントの壁を見て、テントのチャックを開けると、ちぎれ雲が空を舞っているものの、素晴らしい天気ではないですか。


 冬枯れの木の枝と、流れるちぎれ雲と、輝く星々と。林道の下で何が楽しゅうてテントなんか張って寝ているのか、と言いたいところかもしれない。でも、これが楽しゅうて寝ていると、胸を張って言える、今は。


 空が晴れていると枝のシルエットはコントラストが悪いけど、雲が流れると枝の細かい部分まではっきり見える。
 でも、実をいうとこの写真を撮るのは実に難しい。ファインダを覗いても暗すぎて、ピントを合わせられない。もちろん、自動ピント合わせ機能も、同じ理由で働かない。そういうときはライトを被写体に照らしてやると、自動ピント合わせ機能が動くときがあるので、試してみるといい。…って、何をエラそうに(滅


 さて、インスタントラーメンを食って、りんごを剥きますか。今日はもう、米の飯は食い尽くしてしまったので、残っているのはアルファ米とインスタントラーメン系です。今回、よく食ったと思う。
 …が、ここで食ったりんごがデカすぎて、胃もたれしました(滅


 5時37分、テントを出ました。サブザックにアイゼンや防寒具、行動食(お菓子だけだけど)、飲み物を詰め込んで、大千軒岳を目指します。


 昨日の夜降ったばかりの雨、しかも大雨だったから、林道もそこかしこが水浸しです。でも、汚い川の流れなんかと違って、どちらかというと癒し系の流れです。


 細かい名もない沢や、知内川(しりうちがわ)の流れの音を聞きながら、6時4分、登山口の駐車場に到着です。いや、駐車場まで歩いてきたのですがね。


 登山口の木道が見えてきました。空は白んではいてもまだ真っ暗なので、暫く黙々と歩きます。


 暗い河原の道です。河原と高巻きの繰り返しの道。さすが奥地の300名山、地元の山なのでしょう、この時点でかなり険しさを感じます。


 6時を過ぎると、平地ではもうそろそろ日の出を迎えますから、空を見上げるとかなり明るい様子です。


 30分ほどで「広い河原」に出ます。まだ少し暗いですね。


 この河原に出たら、渡渉をしなければなりません。


 できれば飛び石で渡渉を済ませたいけど、河原をウロウロしてもそういう場所は見つからないみたい。空がどんどん明るくなってきますね…。


 結局靴を脱いで渡渉ということですが、この知内川の水の冷たさは凄いですな。


 渡渉が終わったら、更に知内川の遡上続行。


 空は完全に明るくなり、この川の谷間も明るくなってきました。


 若干増水しているのだろうと思うけど、せせらぎが清々しい。


 今度は知内川の左岸(流れていく方向の左)を延々と歩きます。


 ここは砂金を採取していた歴史のある場所らしく、それに関する遺跡がちょくちょくあります。こんな深山で…と思いながら歩くのでした。


 空の青が濃くなってきて、冬枯れの里山歩き満喫です。


 彫りの深い谷と、急になってきた坂と。これから千軒平まっしぐらで登っていくのです。


 前千軒岳方面の稜線が見えてきました。


 坂は猛烈に急で、休み場と銘打った場所まで、さっきの砂金の遺跡から1時間半ということになっています。


 しかし、ふうたろう、なんと29分で着いてしまいました。さすがに笑いが止まりませんでしたな…。


 休み場を過ぎても、急坂の連続。


 程なくして初めての展望が開けます。


 しかし、若干雲が多くなってきた気がする。


 この千軒岳稜線からは渡島半島東部が見渡せそうです。


 しかし、ここまで来て千軒岳の稜線はなかなか近づいてこない。


 稜線にはちらほら雪が散らばっているようです。昨日の大雨でだいぶ溶けたのだと思います。


 もうすぐ稜線ですね。ちょっとこの辺りは辛抱、ですかね。


 大千軒岳が見えてきましたぞ。


 さあ、千軒平!


 前千軒岳や旧道方面との分岐です。まずは#218大千軒岳を撃破しに行きます。


 ここにも同じ十字架が。そういえば、キリシタンがなんとか、っていってたっけ…?


 あの手前の丘を越えて、あの奥の大千軒岳へ。


 大千軒岳にさしかかると、さすがは稜線の主峰。縦走路が見渡せます。


 もうすぐ山頂かな。胸が高鳴りますな。


 坂が無くなりました。


 そして、大千軒岳登頂です。本当に登れるとは思わなかった。嬉しかったなあ。


 空には寒気に伴う雲が漂っていて、どうも稜線に光が足りない。目で見るには十分だけど、写真写りが悪いなあ。


 大千軒岳より向こう側の稜線にも、まだ道は続いているようです。この稜線、雪山の縦走とかすると、おもしろそうですな。


 しかし、北西から何層にも連なった雲が近づいてきて、若干興ざめ。さっきまで晴れていたと思ったんだけどなあ。


 ふうたろうは、どうもあの前千軒岳が気になるようだ。だって、あの向こうにキラキラと輝く津軽海峡が見えているのですから。


 さて、大千軒岳を堪能したら思い切って前千軒岳を目指してみましょう。


 雨は降りそうにはないですが、雲が多い…。


 千軒清水という矢印がありますが、その向こうはヤブしかありませんぞ。それに、北海道、エキノコックスが怖いからなあ…。


 大千軒岳の帰りは稜線を見ながら歩きます。雪山を、ぜひ歩きたい。


 この辺りの雪景色とか、たまらんでしょうね…。今年も、もう少し遅かったら雪景色、見られたでしょうか。


 前千軒岳が近づいてきます。どちらかというと、前千軒岳の方が見栄えが良さそうですね…。


 あの十字架が見えてきました。分岐がもうすぐ。


 千軒平の分岐を前千軒岳の方に進み、この旧道と前千軒岳の分岐を、更に前千軒岳方向に。
 なお、旧道というのは、松前町側(渡島半島西部)側に下りていきますが、もちろんバスはありませんし、車道歩きは数十キロ強いられるのではないでしょうか。


 前千軒岳を登る人は大千軒岳よりも少ないでしょうか。このウルトラヤブ漕ぎゾーンは凄まじい。


 しかし、こちら側の稜線の方が、何となく、景色も良いように思います。


 窪みにはおそらく池があったのでしょうけど、今は雪のたまり場。


 前千軒岳の鋭い峰。


 知内川の谷。


 切り立った前千軒岳双耳峰。


 前千軒岳の北峰から南峰を見ています。もちろん、北峰・南峰なんて名前は付いていませんが。


 前千軒岳(南峰)に到着です。大千軒岳よりも展望はよく、笹原が清々しい。


 前千軒岳の看板。まさか、これより先には進むな、ってことなのかな?後で気が付いたけど。


 ちょっと笹薮をもふもふして、津軽海峡冬景色(何)を眺めたくなりまして。


 青空が、雲の多い空だからこそよりいっそう深い青色をしているような気がします。


 ここからの展望は素晴らしい。紅葉のシーズンであれば、卒倒しそうなんだろうな…。秋に来てみたいものです。


 陽が差すまで15分くらい北風に吹かれながら、海と笹原を眺めていました。


 さあ、今日は所沢まで帰らないといけないので、時間がそれほど潤沢にはありません。戻りましょう。


 町が遠いなあと、改めて思います。


 笹薮の前千軒岳北峰。


 ここでふうたろうに悪魔のささやきが。前千軒岳北峰からダイレクトに尾根を下ろうなどということを考えてしまいました。時間短縮を狙って。


 しかし、想像以上にウルトラヤブ漕ぎを強いられ、かなり難儀します。


 展望の方は登ってきたあのルートよりは良いです。


 しかし、途中から踏み痕が出てきました。これは昔、登山道として使われていたということなのかな。それとも、ただの獣道…。


 呑気に歩きたい。でも、時間がない。それゆえにイライラしてしまう。こういうバリエーションは、時間のあるときにやるべきだと、心の底から思いました。今いる場所は大雑把ではあっても解るし、いざとなったらGPSもあるわけだから、迷うことはない。問題は、時間の余裕を持たせられるかどうか、です。


 この坂を下ろうとしましたが、ここを下ると元の木阿弥です。短縮にはならないので、もう少しさっきの獣道を進んでみることにしました。…が、それに戻るのも一苦労。愚かですね。


 展望が良いと呑気なことを言っている場合ではないのですよね。Time is money!


 ふうたろう、何を血迷ったか、沢に迷い込みました。これが大変!


 この滝を下りるときは本当に冷や汗が出ました。ぬかるんだり、ナメの岩を踏んだりで、1~2m滑り落ちました。いや、そんなに滑っていないかもしれないけど、良いことではないですな。


 支流の沢を下ってきたら、知内川の右岸にぶち当たりました。ここは広い河原を少し千軒平方面に進んだところ。


 見慣れた風景がこれほどありがたいとは…。


 でも、ホッとしたらどっと疲れが。写真を撮ることもほとんど無く、黙々と来た道を戻っていきます。


 登山口の橋です。これで大千軒岳は、とりあえず下山完了。


 しかし、ふうたろうはこの駐車場からまず、テントまで戻らなければなりません。


 テントがクマやキツネなどに襲われていないか、実はかなり気がかりでした。しかし、何事もなく、杞憂に終わり、ホッと胸をなで下ろす。


 30分ほどかけて、昨日の雨でずぶ濡れのテントやマットその他を片付け、帰ってからの片付けも楽になるように順番に詰め込みました。100リットルザックがパンパンでしたな…。


 来たときにも気になっていた工事現場。これは何のための工事なんだろうね。


 この林道は一時通行止めになっていたようです。山行が中止になったという張り紙が貼ってあります。


 来るときは2時間かかった道ですが、どうも歩いているスピードを感じるに、ほぼ半分の時間で歩いているようです。


 昨日の錘が垂れ下がったような空と違って、清々しい冬空の下、冬枯れの林道を歩けます。気持ちよい。


 まっすぐの砂利道。


 あっという間に4.4kmの看板。30分ほどで2km、ですか。


 舗装路に出てきました。ここで15時前。速い速い。


 15時5分くらいで目印の電波塔。驚異的なスピード…なのかな。


 バスの時刻までまだ20分以上あるようです。この国道出合から千軒バス停まで20分あれば十分です。


 昨日も渡った市の渡橋。知内川を越えます。


 何処にあるのだろうと思っていた、大千軒岳の休憩所。国道の東側に看板が掛かっているではありませんか。
 ちなみにこの休憩所、申し込みが必要だとかなんとか。それに、ここで前泊しても、1泊2日ではおそらく大千軒岳は下りてこられない。


 地元の人が近くを歩いています。挨拶しつつ、千軒バス停到着!万歳!!


 15時28分のバスに乗れると、一本早い電車で家に帰れます。しかも、それは木古内駅よりも本土よりの知内駅に停車する特急の便で、バス代は400円も安くなります。
 かくして、知内駅。


 しかし、知内駅、道の駅から非常口みたいなところを通ってホームに出る仕組みで、なんか、駅がちょっと脇役的な扱いを受けています。
 ところで、この道の駅(電車の駅ではないのがポイントですが)、店番している人が、売り物のことをちゃんと理解していない。ちょっと商売に難ありですな。


 16時27分、八戸行きのスーパー白鳥号に乗ります。


 こうしてふうたろうのロングランは終わりますが、帰りの長さと、睡眠不足(3時から起きていたわけだから)で具合が悪くなったのとで、帰りはかなり辛かった。それでも、ガスやら朝焼けやら雷雨やら冬空やらで、変化に富んだ自然を堪能できたのはやっぱり素晴らしい。晴れだけではこうはならないね。
 山は哲学科の教授ですな。
 #97岩木山クリア。
 #98八甲田山クリア。
 #218大千軒岳クリア。


天気:くもり時々晴れ(北海道渡島支庁上磯郡知内町・檜山支庁檜山郡上ノ国町・松前郡福島町、移動中は含まない)

  1. みゃーみ
    12月 1st, 2010 at 22:04 | #1

    お疲れさまでした~。リンゴ、しこたま買いこんだのですか?
    はだしの徒渉まであり、雷雨、雪、きれいな空の数々、終わってみるとどれもイイ感じですね。内容が濃すぎて忘れなれない山行ばかりですね、毎回。

  2. ふうたろう
    12月 1st, 2010 at 22:40 | #2

     買ったりんごは3個です。
     八甲田山で1個、林道の真ん中にテントを張って2個、
     食べました。

     ふうたろう、どんなに辛い思いを瞬間でしていても、
     終わってみると、悪かった山ってほとんど無いなと思います。
     歩いているときにイライラしていたのに、
     何で日記書いているときは、
     こんなに楽しかったことばかり思い出すんだろうと。

     ふうたろうは、そういう物事の多面性を、
     山に教わりましたね…。
     山は忘れられないどころか、
     もはや生き方そのものかもしれません(笑

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