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至福の山頂(至仏山・笠ヶ岳湯ノ小屋コース:群馬県)

2010年 11月 28日

 起床3時半。昨日より1時間起床が早くても、就寝は6時間早いので全然問題なし。
 ところで、清潔な水が無いので、新雪に期待していましたが、まったく降っていないようでした。また泥水調理か…。まあ、「泥」と言うほどオーバーではないけどさ…。


 5時過ぎ、まだ暗闇の中、出発です。
 何だ、もう少し進めばあそこよりもきれいな雪があるじゃないか…。まあ、あの松葉か何かが混ざった雪よりきれいというレベルだから、目くそが鼻くそを笑うレベルだけども。


 程なくして、小笠に着きました。小笠はピークを巻く形でルート敷設されています。


 慌てても良いことは何もないので、暗いうちに月や雲の流れを撮影しますか。Bulb機能を遠隔操作できなくなって久しいので、これはちゃんと修理する必要がありますなあ。それとも、コードを買い直せばイケるという話か。


 三脚も出して万全の態勢。ちょっとシャッタースピードを長めにして撮影していきましょう。


 西から東へ、ちぎれ雲が流れては消えてゆきます。


 南西の空、笠ヶ岳の方はまだ暗いですが、それでも青みがかってきました。


 日の出まではまだ時間がありそうです。三脚を片付けて、笠ヶ岳山頂で夜明けを迎えてみますか。


 何かここに印っぽいのがあります。ここから山頂に行けるのだろうか。行ってみよう。


 しかし、その努力はこのヤブにぶち当たることで終わりました。何でいつもウルトラヤブ漕ぎゾーンにぶち当たるんだよ…。


 草つきの場所を選んで横移動し、山頂に回り込みました。
 何のことはない、笠ヶ岳南面に人が歩くに相応しいルートがきちんと存在するではありませんか。


 さあ、笠ヶ岳山頂。300名山の中に入っているわけではないけど、ここの展望はおそらく至仏山よりもいいと思います。何せ360度の大展望。日光女峰山並みに山頂は狭いけど、名山と名前が付かなければ人の入りは極端に減りますから。


 三脚を立てて、岩の上に腰掛けて、休憩を兼ねた写真撮影開始。
 ま、撮影と言うほどの技術はないので、シャッター押し遊びってか。


 高層雲みたいに空いっぱいに雲が広がっているわけではないので、朝焼けは部分的ではあります。


 でも、徐々に東の空に遠のいては消えていく、赤く燃えた積雲の運動は美しいものですね。


 大きな塊が小さくバラバラに。


 刻一刻と、色も形も変わっていく。


 消えました…ね。


 ヌオッ!(゚Д゚#)
 またCCDにゴミがっ!!
 チャックつきの袋に入れておいた綿棒秘蔵っ子を取り出し、CCDをキュッキュッと。ブロワーでボフボフっと。それを何回か繰り返しているうちに空の色はガラッと変わってしまったではないか。


 さて、この黄金のモルゲンロートをじっくりと見ましょうか。


 高層雲の焼けとは違う積雲の朝焼け。絹雲や絹積雲の焼けも素晴らしいのですが、まだそんなにお目にかかったことはありません。温暖前線通過の6~12時間前くらいが最適、でしょうか。まあ、低気圧との位置関係やその強さの問題なのだと、結局は思いますが。


 短い一日の始まりです。山頂で朝日が見られることは滅多にありませんから、これはふうたろうの人生の中でも特に贅沢だと思います。
 もっとも、これも昨日のビバークを経ての話。避難小屋まで行けていたら無かった話です。


 日が昇りきってもまだマッタリしています。片藤沼の方にある針葉樹林帯がまた霧氷になっています。でも、昨日はそんなに長い時間ガスっていなかったので、霧氷が発達するような条件ではなかったでしょう。まあ、ともあれ、運、ですな。


 樹林が一斉に花を咲かせたようですね。霧氷や樹氷は、冬に咲く静的な花。


 改めて武尊山を見ています。ちょっと煙っていますね。キリッとしたのを見たいところです。


 笠ヶ岳の山頂にまばゆい日の光が差し込んでいます。


 西の遙か彼方まで日の光が届いたようです。でも、あちらは黒い雲が覆っています…。


 越後方面の山々は、それぞれの区別が付かないほど曇っています。山が多くて、どれがどの山だか、実を言うとあまり解らない。しかも、谷川岳とか苗場山とかのあたりは、特に一人で旅していない地域なので、ましてや解らない。


 ここでやっと気が付きました。何と、影笠ができています。これは、適度な濃度の煙霧がないと見られない現象だと思います。いつもは展望を遮る厄介者ですが、こういう現象も起こすのですか、そうですか…。


 小笠の向こうに小至仏山と至仏山が双耳峰のように見えています。更に右奥彼方には本物の双耳峰である燧ヶ岳。


 もうひとつの笠ヶ岳。錐体状の笠ヶ岳だから、影もきれいですね。そう、キミの影なんですよ。…と、山に語りかけながら写真を撮っている気分です。


 日が少しずつ高くなってきました。片藤沼の森林帯も、霧氷の部分だけが白く浮き上がっています。


 幻想的な朝のチンダル現象。


 さて、そろそろ下山しますか。
 うむ、至仏山よりたくさん楽しみましたな。実はこちらが本命、ってところ?


 人の道を下ってくると、そこにはちゃんと人が読める字で案内板が立っているではありませんか。何という犬死に…(滅


 東の空だけが明るく、さっき霧氷がいっぱいに広がっていた樹林が、今度は影絵を見せてくれています。


 ここは片藤沼。「片藤」というのは、片品村と、水上町の藤原との名前が取られているのかなあとか思ったり思わなかったり。


 全面結氷の片藤沼。


 陽が差して木の影が落ちるときれいですね。


 陽の差し具合が、刻一刻と変わります。おもしろい。


 ちょっと氷の上を歩いてみよう。


 ヌオッ!Σ(゚Д ゚;)
 氷が割れた!?


 …ドボンは怖いからやっぱり縁から撮ろう…


 片藤沼での大騒ぎを終えて、先に進むと、もうひとつ、沼がありました。でもこちらは道から離れすぎていて、湿原を踏まないと行けないのでパスです。それにそんなに位置的によろしくない。


 さっきの湿原を過ぎるとこれからはひたすら樹林帯を歩きます。雪道が暫く続くでしょう。


 笹原があったりなんかも、たまにはする。


 何故か稜線を歩いているのに、沢があります。しかもこれは(上から!)2本目。ここでは水が汲めます。


 これは3本目の沢で、ここも水が汲めるようにパイプが取り付けられていますが、水量が極端に少ないため、採水不可です。季節によるかもしれません。


 晴れたり曇ったりを繰り返しながら、空は徐々に雲が多くなっていきますが、まだまだ、大丈夫そう。
 ところで、トータル5本、これから行く避難小屋まで、小さな沢を渡ります。下からなら3本目と4本目が水場ということになりましょうか。


 これが、咲倉沢の頭避難小屋のようですな。2006年度の昭文社の地図には、「保存はよいがトイレと水場がない」と書いてあります。しかし…?


 これの何処が「保存よい」じゃーヾ(゚Д゚#)
 ドアが外れて、もはや雨風さえしのげなさそうじゃないか…。俺はこんな所をあてにして昨日急いでいたのか…。


 しかし、どうでもよいことなのですが、何故かこの避難小屋の壁というか屋根に、錆びた鉄梯子が立てかけられていて、小屋の屋根に登れます。武尊山の展望が抜群というか何というか。
 なるほど、この小屋は展望台ってことでOKなのですね。


 咲倉沢の頭避難小屋のある1678mの小ピークから、うんざりするほど急な下り坂を下ってくると、駐車スペースのような広場に出ます。(ここまで車が入ってこられるのかどうかは知りませんが)
 あの車道(?)の脇に山道に復帰する脇道があります。


 脇道に入ると再び山道。さあ、ガンガン歩け。


 車道と並行の山道が暫く続くのです。


 いつの間にか雪道はなくなっています。この辺りは関東地方の真冬の里山という感じがします。


 湯ノ小屋温泉まで4kmだそうです。さあ、疲れてきたけど、がんばって山道を歩こう。


 再び車道に当たります。


 そして、その車道が大カーブするところで再び山道に復帰します。ここから車道を大きくそれた、登降を繰り返す道になります。


 延々と歩いていきます。空はもう完璧に曇ってしまい、それどころか小雨がぱらつき始めました。


 登下降と蛇行を繰り返す道。もう終わりのような勘が働きます。


 概ねここで終わりです。このまま車道を歩いて湯ノ小屋温泉に下りていくこともできます。…が、そんなことが許されるかと。


 忠実に湯ノ小屋方面の山道まっしぐらです。


 暫く車道歩きで再び山道に復帰。復帰するところには必ず看板があるので、ふうたろうみたいに変なところで無理やり樹林帯に突撃してはいけないのです。


 しかし、忠実に山道を辿ると、ここは始終刃の浅いノコギリのような稜線を、えっちらおっちら登下降させられます。死にます。ダルすぎます。


 そんなダルすぎ下山路もようやく終わりが見えてきましたか。


 再び車道。ここでも、さりげなく、どさくさに紛れて少し登ります。


 そして最後の山道。さすがにこれからの100mほどの歩行でまた上りがあったら死ですが、そこまで悪行をはたらくことはありませんでした。


 しかし、この看板が見えて、さあ終わりというところで、ふうたろうは木の根っこか落ち葉に足が宙を舞いました。もはや脚に力が入らないので、ちょっとした隙に滑ってしまいます。いや、厳しい…最後まで油断大敵ですな。


 葉留日野山荘です。2005年3月13日頃、B型インフルエンザから復帰して間もなく、宝台樹(ほうだいぎ)スキー場に茨城のみんなで行ったとき、立ち寄った温泉宿です。残念ながら、午前中は掃除やらで利用不可でした。でも、折角なので、手に入れられなかった武尊山の山バッジを手に入れて帰りました。
 この小屋の女将さん、どこかの小屋と違ってよかったなあ(棒読み)


 葉留日野山荘でないと温泉に入る意味もあまりないなあと思ったので、他の温泉宿は横目で見るにとどめてバス停に直行です。小雨がぱらついていて、しっとりとザックなどが濡れてきます。


 これが湯ノ小屋バス停。龍洞(何と読むのか解らない)という都会っぽい駐車場を備えた高級そうな旅館の先に、ポツンとこの湯ノ小屋バス停があります。実質上の下山完了です。ここまでで7割方ふうたろうの旅が終わりということになります。
 まだバスの時刻11時45分まで50分ほどあるので、靴の履き替え、荷物の再編成、ゴミのまとめなどを済ませて、mixiで下山報告をば。


 バスの運転手さんはとても饒舌なおっちゃんでした。山菜採りやクマの話など、如何にも地元の気の良いおっちゃんでした。

 「ほら、あれがクマ棚だよ!」
 「え?わかんないッス!」
 「ほら、葉っぱがダンゴになったような、木の枝が折れたのがあるでしょ。」
 「あ~!ほんとですね!!」
 「この辺りはクマが出るので、道に熊スズとして、一斗缶をひっくり返したようなやつがあるでしょ、ほらそこに。」
 「おお~~!」
 「今年は高いところよりも下の方、里の方に下りてくるんですよ。」

 45分ほどで水上駅に着きました。話をしていたのであっという間でしたなあ。まあ、電車の時刻を調べられなくてけっこう焦ったこともあったけど(汗


 このあと、無事、何事もなく大宮・新秋津経由で帰宅です。
 高崎方面と所沢との行き来は、大まかに3通り、厳密には4通りも行き方があります。池袋経由、武蔵浦和経由または南浦和経由、そして、知る人ぞ知る飯能・高麗川経由です。やすいのは高麗川経由、早いのは南浦和または武蔵浦和経由。池袋経由は都会の通過でダメージを受けます。
 今回は南浦和経由。大宮から武蔵野線に入って行くには、大抵は武蔵浦和経由が早いですが、電車の時刻によっては南浦和の方が良いようです。まあ、そんなわけで、上越・高崎方面のルートは混乱しますな。
 所沢に帰ってきてから、昼飯を食べるほどの待ち時間がなくてハラが減りまくっていたため、ジョリーパスタでサクッと食っていきました。外はもう殆ど夜なのにまだ17時になっていません。夜飯なのかおやつなのかという時間帯ですが、まあ、夜飯ということで。若干量が多く、しばらく胃もたれしました(滅)そして、ミニコープでキムチを買って帰りました。
 99個目ともなると、なかなかクリアが難しくなってきますね。至仏山も楽に行かせてもらえるかと思いきや、全然そんなことはなかったですな。見かけよりも長く険しく、下山時刻が早かったことだけは救いと言いましょうか。それでも、山頂からの景色は宝箱を開けるときのようなときめきでしたね。特に笠ヶ岳の朝焼けと影笠は素晴らしかった。
 #99至仏山クリア。


天気:くもり時々晴れ、小雪および小雨降る(群馬県利根郡片品村・水上町、移動中は含まない)

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