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霧氷の欠片(高原山剣ヶ峰~大間々コース:栃木県)

2011年 2月 6日

 さて、お楽しみの山の朝。これを見るために登りに来ていると言っても過言ではないくらい。晴れた夜明け、雲海もバッチリ…
 しかし、飯まで食ったのに3度寝をかましてしまい、睡眠薬も飲んでいないのに寝坊という罠(滅。


 凍り付いたテントの撤収は本当にめんどくさい。そして、そんなテントをバタバタと片付けている間に、日が昇ってきました。
 きれい、ですが、本当のところそれどころではなかったという本末転倒ぶりがまた…(滅


 高原山を見ています。期待していたモルゲンロートはそれほど色濃くは出ず。ちょっと残念ですが、今のふうたろうにはこれくらいがちょうど良いようです。


 しっかり風景に溶け込んでいるふうたろうのテント。
 そうか、まだテントどころか、中にあるものの撤収も終わっていないという罠か(爆滅


 ああ、朝日がきれいだなあ(棒読み)


 ガスで日がぼやけていい感じになっているなあ(棒読み)


 しかし、ふうたろうがテントを撤収し終わって出発する頃、ものの見事に稜線はガスまみれ。これからやる気の起きない山頂アタックが始まります。


 西平岳から中岳へのルートは、札付きの険しさ。歩いているとイライラしてくるひどさです。


 腹が痛くなって雪中の…(略)
 空を見上げたらその間だけ晴れていました。


 中岳山頂に到着しましたが、写真を撮る気力もなくなるほどの低木ヤブと踏み抜きの深雪を苦労した甲斐もなく、展望なし。足場も悪いし、悲惨の極致です。


 しかも、この中岳を過ぎて釈迦ヶ岳までの鞍部に着くまでの樹林帯の険しさたるや、燃やしたくなるほどひどいものでした。凶悪の一言では片付けられないひどさです。


 釈迦ヶ岳への上りは、思い切りガスってはいますが、低木を覆い隠すほどの積雪が締まっているので、登りやすそうです。


 このガスの影響で霧氷ができつつあります。3時間弱ほどで…、早いなあ。


 釈迦ヶ岳の急坂の途中で、晴れたり曇ったりを繰り返しています。


 霧氷と青空、もう少しガスが晴れてほしいけど…


 まあ、今日はこれくらい晴れれば良しとしましょう。


 いい風景に出会えているときは背中の荷物の重さも、坂のきつさも、悪かったことのすべてをも、忘れ去っています。


 急坂の途中で止まって写真を撮ります。


 今を逃すと、もうこれ以上いい風景は拝めないかも知れないし。


 ガスの中に輝く霧氷。


 山頂はもうすぐだけど進まない。


 時間があれば、こういうところで晴れたり曇ったりするのを一日中眺めているのもいい。そんなことをしてみたい。贅沢の極みですね。


 つかの間の喜びでしょうけど、雪景色を。


 見えてきました、釈迦ヶ岳山頂の標と神社が。


 釈迦ヶ岳到着。三脚を出すのがめんどくさいので、三角点の上にカメラを置いて記念撮影。


 待っていれば晴れるかも知れないけど、待つ時間はないなあ。あの中岳の凶悪な樹林帯で、1時間半ほどロスしているので。


 山頂から更に北に向かって、鶏頂山と剣ヶ峰に分岐する尾根の先端に出るのですが、また樹林帯。ただ、中岳付近の密林ほどではないので、一応、樹林帯を避ければ、歩けなくもないです。


 しかし、猛烈にガスっているという件。


 静かなガスった樹林帯の中荷物を放り出して座ります。


 あまり美味しくないチョコチップパンを食います。


 にわかに空が晴れてきました。曇っている時間が長いからこそありがたみを感じるのかも知れません。


 雪の崖に立つ木。


 霧氷を纏った木々。


 くすんだ青空と冬枝の下を歩く。


 青空を見たり、ガスの空を見たり、という天気がいちばん楽しいのだと、本来は思います。


 疎林の雪原は比較的雪質が締まっていて歩きやすいです。


 これが、この気圧の谷(今温暖前線が通過していると思います)が通過し終わって、そのあとの寒気が過ぎ去った辺りでここを歩くとまた一段と霧氷が美しいでしょう。


 松の木に霧氷の花が咲いています。


 …しかしあれ以降、天気はだんだんと悪くなる一方。風が強くなってきて、霧氷の欠片が顔に刺さります。ピークごとに登る踏み抜きの雪原が辛いので、そろそろ心のテンションも限界。


 こういう雪庇状の場所は雪が締まっていて歩きやすい。ただ、下がどうなっているだけは気をつけないと…。


 剣ヶ峰。あっという間に着いたように感じますが、釈迦ヶ岳から2時間はかかっています。長い。


 剣ヶ峰あたりから、大間々台からやってきたと思われる人々のスノーシューやわかんの踏み痕があります。これがあれば、何も考えずに歩けます。頭を休められます。


 しかし、剣ヶ峰を過ぎて、大間々台方面に歩き始めてすぐ、キッツい上りがあります。


 矢板市最高峰とか、もうええっちゅうねん…(滅


 足ガクガクのまま、雪原を進みます。本当ならもう山行を終わりたいけど、これから塩釜温泉まで、まだ数時間歩く見込みです。がんばるしかない。


 林間コースと見晴らしコースの分岐がある神社です。風が強く、霧氷の欠片が刺さってきます。


 と見るだけで、燃やしたくなるほど凶悪な中岳の樹林帯を思い出すので、見晴らしコースを歩きます。


 でも、その実態は、結局樹林帯で、相変わらず顔めがけて飛んでくる霧氷の欠片に脅かされるのです。


 閉口して雪道を下ってきました。ここから大間々台まで雪の積もった林道を歩きます。


 あの中岳一帯を思うとホッとせざるを得ない風景ですなあ。


 青空…
 まあ、見えなくはなかったけど、どっちかというと、頭の中に青が広がっていたような気がするよ…(滅


 大間々台の駐車場。除雪がされていないので車は入ってきていません。まあ、これ故に、人の入りも剣ヶ峰が限界って話なのでしょうね。


 あの便所っぽい建物の裏に、これから進む道、学校平への道があるようです。


 ツツジ園でしょうか。とりあえず冴えない空の下、延々と歩くしかないと。


 ツツジ園が終わったら広葉樹の冬枝の下を。


 そして、学校平に出ました。ここまでくればもう一息。


 山の駅たかはらとかいう箱物らしい。国から補助金が出ているので、1年中開けておかないといけないという決まりがあるそうです。


 冒険コース?
 …ふうたろうの今までのルートそのものが冒険だったぞ。


 ふうたろうはこれから滝コースを抜けて、塩釜温泉バス停に降り立つのです。


 ここから3時間ほど。がんばるぞ…
 ………
 ……
 …


 ヌオッ(゚皿゚;)!
 …ここは矢板駅。
 実は、滝コースを下り始めて直ぐ頃に、栃木県にお住いの夫婦に出会いました。ふうたろうが塩釜温泉まで下りる話をします。
 旦那:「どこまで行くんですか。」
 ふうたろう:「塩釜温泉バス停まで、です。」
 旦那:「咆哮霹靂(ほうこうへきれき)の滝の下まで?」
 ふ:「はい。」
 旦那:「そこ、5年以上前くらいから崩落していて通行禁止ですよ。」
 ふ:(゜◇゜;|||)ガーン
 旦那:「……近くの駅まで乗せてったげましょうか?」
 ふ:「………お願いします(|||_ _)」


 というわけで、下界でのたれ死ぬ危険性も、ご夫婦のおかげで何とか切り抜けて、駅前の食堂でメシにありつくのでした。
 しかし、何気にこの食堂、断水中で、庭に汲みおいた雨水みたいなバケツの水で手を洗うという罠。まさか、下界に下りてきても天然水(っぽい)を使うことになろうとは…。っていうか、山の上では水道水(水筒の水)しか使っていないという件。


 色々踏んだり蹴ったりの旅路でした。自分で選んだ道でこれほど外したのは久しぶりではないかと思います。
 しかし、時折見える青空と、夜明け前の雲海、助けてくれた夫婦との山話、終わったあとの充実感、などは、登って良かったと思う大きな要因です。特に、助けてくださったご夫婦には、本当になんとお礼を言っていいやら。
 帰りは矢板から宇都宮に出た後、湘南新宿ラインで池袋まで一本、バスで家の近くまで寄せて、楽々帰宅です。19時を回らずに帰れると、負担は非常に軽い。
 家に帰って、テント干した途端に雨が降ってきた、というのはまたひとつ罠だったりもしますが、こうして終わってみれば良い思い出として残るのですな。
 #223高原山クリア。


天気:くもり一時雪、朝のうち晴れ(栃木県塩谷郡藤原町・塩谷町・矢板市、移動中は含まない)

  1. itochan
    2月 7th, 2011 at 19:04 | #1

    こんにちは!
    釈迦ヶ岳は大間々台の駐車場からと、日塩道路側から歩いたことがあります。
    夏道は鮮明に覚えていますが、やはりこの時期は別世界ですね。
    それにしても新藤原駅から西平岳登山口までの林道歩き・・・
    大間々台から塩釜温泉(これって塩原温泉界隈?)まで歩くなんて考えられません!
    矢板駅まで乗せてもらえて良かったですねぇ・・・。
    本当にお疲れさまでした。

  2. みゃーみ
    2月 7th, 2011 at 21:47 | #2

    お疲れさまでした~。
    上の方のコメントを読んで、尋常じゃない道のりが想像できました。

    凍りついたテントってパリパリなんですよね?
    むりやり畳んだら、ついでに切れたりしないんですか?たたむの大変そう。。。
    袋に入らなさそう。。。

    すごい景色に出会えてよかったですね!
    朝日もすごいけどモルゲンロートもすごいきれい。
    うすいって言ってるけど、十分ピンク色になっているのがわかります。きれいです~。

    ご夫婦に出会えてよかったですね。
    捨てる神あれば拾う神あるです。ほんとに最近そう思います。

    それで、今週末はどこ狙っているんですか?

  3. totigi senn
    2月 7th, 2011 at 22:09 | #3

    せっかく栃木県に来てくれたのに、昨日は残念でしたね。
    いただいた名刺で、絵日記を見せてもらいました。
    雲海や霧氷の写真がきれいですね。
    雪の中でテント泊なんて・・・すごい!
    私たちも西平岳から釈迦が岳まで、5月頃に行きましたが、それでも残雪があって大変でした。

  4. ふうたろう
    2月 8th, 2011 at 08:22 | #4

    >itochanさん

     日塩道路というのは、高原山西部を走っている有料道路のことですか。
     スキー場のシャトルバスを使えばそちらからの登山になりますが、ハンターマウンテンのリフト、「道具を装備していないと乗せない」とか書いてあったので、このコースを選びました。
     しょうがないので、新藤原駅から歩きました。とりあえず、道もあるということで選んだのですが、これがなかなか…

  5. ふうたろう
    2月 8th, 2011 at 08:27 | #5

    >みゃーみさん

     距離自体はそんなでもないと思います。せいぜい20kmくらいだと。雪道なので倍歩いている思いではありますが(何
     距離よりも、あの雪のヤブとか長い車道とか、そういうものが精神的な負担になったとは思います。まあ、あの電車に比べれば…(ため息

     モルゲンロート、きれいなときはこんなもんじゃないんですよねえ…。ちょっと期待が大きすぎたかも知れません。天気の崩れが早すぎましたね。

     今週末?3連休は友人たちとスキー交流会なので、まあ、半分山と言えば無理やりそういえなくもないですが、今週末は山の予定はありません。再来週とかその次とか、鉢盛山とか奥三界岳とか考えています。

  6. ふうたろう
    2月 8th, 2011 at 08:33 | #6

    >totigi senn さん

     その節はお世話になりました。
     本文に書いたとおり、あそこで救われていなかったら、本当にのたれ死んでいるところでした。あるいは、崖の滝に突っ込んで、とか…

     雪の中のテント泊は、ここ数年デフォルトになっています。山ではよほどのことがない限り必ず1晩泊まっていきます。山の空気を吸いながら過ごしたいですから…。
     雪洞掘るのとかめんどくさいので、吹きさらしの中にテントをゴンと置いて、たまに星を眺めながら、夜を明かします。ただ、テントの出し入れが大変で、凍ったテントはあとで溶けて水浸しになるのが…。

     西平岳から釈迦ヶ岳のルートは鬼ですよね。ルートもハッキリしないし、今回に限って言えば、雪崩が起こりやすそうな弱層がいっぱいあって…踏み抜きも泣きそうでした。

     もっとも、こう書いていても、終わってみればすべて良し、です。「燃やしたいほど腹の立った」樹林も、後半ずっと覆っていたガスも。そして、矢板までお話できたことも嬉しかったです。ありがとうございました。

  7. NYAA
    2月 8th, 2011 at 10:02 | #7

    鶏頂山側から降りれば、日塩までなだらかなので、そちらから降りれば、良かったかも?ハンターで待ってたのに(笑)ちなみに鶏頂山は、めちゃくちゃ急斜面です。

    私も、西平岳経由で登ったことがありますが、なんと、GWでも西平岳~釈迦ヶ岳の区間には、氷が残ってました。

    ところで、釈迦ヶ岳山頂のお釈迦様の写真は?埋まってた?掘り起こして、写真撮らないと(笑)

    大間々台からのコースは登ったことがないですね。ツツジの時期に行きたいと思っているのですが。あるいは、スノーシューとかで歩いても楽しそうな雰囲気ですね。

  8. ふうたろう
    2月 8th, 2011 at 11:20 | #8

    >NYAAさん
     ハンターに下りようとも考えました。NYAAさんが待っているかなあと思って。
     でも、アップダウンが厳しそうで、とてもハンターのリフト上まで歩く気がしませんで、大間々方面に下ってしまいました。

     釈迦?確かあった気がします。そんなに埋もれてもいなかったですが、余り興味が湧かず、スルーしました。写真は撮っているような気もしますが、撮れていないかもしれません。とりあえず、踏み抜きがダルかったので、余りウロウロも出来なかったという…。

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