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緑の絶壁(笊ヶ岳雨畑~椹島縦走コース:山梨県)

2011年 7月 16日

 4時10分にかけた目覚まし(携帯電話の)。昨日の夕方に慌てて買ってきたMERUNのパンを慌てて食べ、テントを撤収、パッキング完了。しかし、腹の具合はデフォルトで悪いので、やっぱり長かった便所。その間に5時を少し過ぎました。そして、若干寝不足で、気分も悪い…。


 しかし、キャンプ場の管理人のおっちゃんが、ありがたいことに登山口まで送迎してくれました。そもそも、タクシーで硯の里まで来る人は初めてらしく、それもあって、なんでしょうねえ…。相変わらず、誰もやらないことをやっているらしいふうたろう。
 キャンプ場は登山口から100mくらい標高で上がらなければならず、逆に登山口に向かうときは下らなければなりません。歩けばかなり時間はかかります。本当に助かりました。
 このゲートで5時22分。


 天気の方はどうやらかなり良いようです。まさに夏の朝。しかし、既に蒸し暑い。


 まずは林道を突き進んでいきます。さっきのゲートの前で車は入れなくなるので、誰もがここを歩かねばなりません。


 樹林の隙間からこんもりとした布引山が見えます。しかし、実際、登ってみるまであれが布引山であるということは、なかなか気がつかないでしょう。


 しばらく進むと、お茶畑が。お茶と聞くと、最近は放射能のことをすぐに連想してしまいます。こいつは大丈夫だろうか、と。


 殆ど真っ暗な針葉樹林帯を進んでいます。


 程なくして、廃屋が並ぶところに至ります。ここにはいつまで、どんな人が住んでいたんだろうなあと、思いを至らせてみたり。なお、この建物はトイレです。使えないけどね。


 そして吊り橋。ここまで、歩いて1時間弱。


 似たような道が続きます。緑がきれい、と思えるのは、時々です。


 この先、最終水場
 喉の渇き方もすごいので、水場では水分を大量に補給しておきましょう。ま、あれば、の話になりますが。


 ここは、奥沢谷を詰める最終地点。ここまで1時間半ほど歩いてきたわけですが、これまでは準備運動です。


 水量が、この少雨にあっても多い沢。


 靴を脱いで渡渉というわけですが、この沢は意外と冷たくない。むしろ、猛烈に暑いので、気持ちよいのです。


 沢を渡ったら、岩のところで足を乾かしつつ、山登りに精を出している幸せを噛みしめておきます。まあ、せいぜい今のうちに(何


 緑の深い急坂がここから始まります。ジグザグに掘られた長い長い上りで、鳳凰山の時の中道を彷彿とさせますが、あれよりは確実にきつい。


 これが山の神、と、昭文社の地図に書いてある地点のようです。すぐ隣に祠がありますが、出発するまで気がつきませんでした。ここで7時58分。


 見上げれば、広葉樹林のステンドグラス。緑主体の、ステンドグラス。でも、この樹林は、半分以上が針葉樹林ではないかな。


 一瞬、展望が開けるところがあったようですが、印象薄く、覚えていません。しかし、この天気の良さ、山頂からの展望は絶対抜群ですよ。


 ところで、さっきからワイヤーみたいなのが転がっているのが妙に気になります。使い終わったなら撤去しろよ、と思います。


 これはウィンチか?まあ、ペットボトルとかパンの袋みたいなプラスチックを捨てられているよりずっとましだけど(違


 急坂は徐々に凶悪さを増します。斜度、ジグザグに登ってもいったい何度あるのやら。


 さしずめ緑の絶壁と思われる坂が少し落ち着いてきたかと思ったら、桧横手山はもう近い。


 桧横手山。ここで2021mだそうです。


 ところが、ここには、さびたウィンチの方がましだと思うような、ペットボトルや食べ物の空の、しかも焦げたものが散らかっているではないか。こういうことをするやつがいるから、すぐにどこもかしこも幕営禁止になるのである(怒
 …焦げているので気が進まなかったけど、ゴミ袋に拾い集めました。どうせ、この閑古鳥コースで、しかも猛烈な坂で、誰も拾わないと思ったから。


 コウモリソウ属っぽい植物が一面を覆っているようです。秋口になったら、カニコウモリなどが咲き乱れるのでしょうか。


 絶壁のような急坂はまだまだ続きます。上りにすればもう後500mほどで布引山ですが、今までの標高差が既に1500m前後で、かなりきています。


 朽ちかけた倒木が苔生しています。そして、その倒木からゴゼンタチバナが花を咲かせています。森の物質循環ですなあ。


 突如、樹林の薄くなったところから直射日光。意識していなかったけど、この深い樹林帯がなかったら、猛烈な急坂と暑さに、道中のたれ死んでいたかも知れません。


 岩場の混ざった樹林帯に変わりました。しかし、いつまでも、樹林帯の高度だけを上げるという、量的な変換作業が終わりません。


 向こう側が少し明るいような気がします。


 樹林をやっと抜けました。ここで11時44分。樹林帯を6時間22分も歩いていたのですね、連続で。


 疎林越しに、南アルプス深南部の山々が見渡せます。


 ウスユキソウも咲いています。


 布引山南面は崩落地で、展望が良いのです。明日登る予定の上河内岳や茶臼岳が見えています。
 …ほんとに行くのか?


 沸き立ったガスがウロウロしています。


 主稜線上(聖岳とかを含む稜線)のガスも増えています。今日は猛烈に暑いから、上昇気流も起こりやすい?


 これからずっとこういう岩場が続けば、気も楽なんですけどね…。


 実は、このあたりの木には、大量の虫がいて、近くを通ると一斉に飛び立って集(たか)ってきます。そうなると、展望どころではないという話です。


 あまりにも不快なので、この崖っぷちを歩いたりすることもありましたが…


 こんなところヅドンはしゃれになりませんよ。


 右から聖岳、上河内岳、茶臼岳。明日はあちらの稜線に立てていればいいのになあ。


 そして、再び樹林帯に入ったと思ったら、程なくして布引山。ここで12時9分。6時間47分です。恐ろしく遠かった…。奈良田から農鳥岳に登ったとき並みの強烈さだったぞ…


 布引山付近には平らなところがあって、テントも張れそうな感じ。もちろん、水なんてないので、全部持って上がること。そして、ゴミは持って帰れ、直火でたき火はするな(怒


 そして、次は第一目的地の笊ヶ岳(ざるがたけ)へ。これを越えないと、自動的に上河内や茶臼に行けないことになります。笊ヶ岳は南アルプスの裏門ですから。


 ガスってきているのが非常に気になります。東斜面、真っ白になるまであまり時間がかからなかったと思います。


 疲労がたまっているので、歩みは亀のノロい。全部の上り下りの坂がつらい。


 13時27分、ようやく笊ヶ岳到着。布引山からやたらと時間がかかりましたが、もう、へろへろ。実は、ふうたろう、痔がひどく悪化しているようで、集中力まで落ちています。今朝、トイレの時にイヤな予感はしていましたが。


 展望の方はというと、360度の大展望、という割に、東側は真っ白だし、西側の展望もモヤッとしているし、樹林も何となく伸びていて、ぶっちゃけ今ひとつ。ふうたろうのこの苦労を返せと怒鳴ってもしょうがないんだけど、先週の樽前山の15分の1くらい苦しい。


 稜線の東側には立ち上るガスが。


 さて、出発しましょう。…って、どこへ?というような場面ですな。


 ヤブ漕ぎゾーンっぽいところを進みます。道は、判るには判るはずです。


 椹島(さわらじま)へ下る分岐を探します。さあ、早く行かないと、もう14時だぞ。しかも、痔も患っているので、早く今日の行程を終わりたい。


 分岐発見。しかし、看板を見ると、椹島まで5時間かかるとのこと。5時間、痔に耐えて歩くと。


 道は少し荒れているような感もあります。でも、ここ以外に進む場所はないし、そもそもこの程度で荒れているなんて思ってはいけません。裏門ですから。


 涸れた沢に下りて、そこを下ります。涸れてから久しいのでしょうか、かなり草などが生い茂っているようですが。


 ここから再び斜面トラバース。


 そして、地図にも書いてある、尾根と沢の登下降で非常にハードらしい、数kmのトラバースがここから始まります。


 この草原(?)で道が途絶えているように感じますが、涸れた上倉沢に下りる踏み跡があるはずです。進みましょう。


 対岸側の取り付きは、あの崩落したところより手前です。よく見ると、赤いリボンが見えますので、慌てて上まで行ってしまわないように。


 ハコベの仲間のような感じがする花が。なんだろうね。


 そして、難所といわれるトラバース道へ。


 でも、何だか難所という割にはそうでもないような。ロープとかはあるけど、使わなくても行けますし。


 ただ、曇ってきているので薄暗い。


 沢がありますね。水をグビグビしましょうか。


 またトラバース。


 今度ははしご。結構速く進めるじゃないか。


 しかし、この道のややこしいところは、25000分の1の地図にルートがないこと。沢は涸れたのもあわせると何本もあり、細かい尾根越えは、地図にないこともあります。そのため、地図の読み違えで、実は進んでいるように見えて殆ど進んでいなかったことが、後になって判明。


 また出てきたはしご…。じゃあ、今まで印を打っていたところはいったいどこだったんだ…


 ようやく、この長いトラバースが終わり、標柱に至りました。ここで16時24分。上倉沢から1時間38分もかかりました。


 ふうたろう、疲れ切ったので、カレーうどんを、ぶぎゅるストーブで食べます。足も投げ出し状態。集るアブを追い払う気力もなし。


 食べたら、再びキッツーい針葉樹の暗い急坂を下ります。もはやここまで来ると、苦行そのもの。この最後が本当に厳しかった。


 そして、その苦行の末、やっと東俣林道へ出ました。東俣林道とは、椹島や二軒小屋などの、南アルプス南部各山の登山基地を繋ぐ道です。


 東俣林道の橋を渡り、少し南下します。


 椹島ロッジ(キャンプ場併設)の入口。


 そして、椹島ロッジ到着。18時35分。職員のお姉さんに労われ、これでも雨畑からここまで13時間13分で来たことは早いと言われ、どっと疲れが出るやら安心するやら。


 受付して、風呂もテン場利用料の中に含まれるというので、ありがたく使わせてもらって、テントを張りました。地図を見て明日のコースを確認していましたが、明日も明日でまたハードそうです。20時過ぎ、ふうたろうは寝ました。


 布引山までの強烈な上り坂と、登下降の繰り返しおよび強烈な下り坂、2100m上って1500m下りました。恐ろしく頑丈な門でしたね。
 明日は、天気も含めてどうなるでしょうか。台風がウロウロしているので、明日はもう夕方からダメなのか、それとも昼にはアウトなのか、あるいは一日持ってくれるのか…。天気予報が拾えないので、天に願うしかない。
 せめて、疲れを残したまま登りたくはないですが、今日の疲労度はハンパない。


天気:晴れのち時々くもり(山梨県南巨摩郡早川町・静岡県静岡市)

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