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雪の陰を歩く、魔のシャドウ歩き(男鹿林道遡上:栃木県)

2012年 2月 4日

 躊躇していた山行、出発してしまえばこちらのもんです。いやあ、空も晴れているようだし、雪も思いの外多くなさそうだし、案外チョロいかも。
 …なんて言ってますが…


 野岩鉄道男鹿高原駅到着…。
 既に、猛烈に分厚い雲と猛烈に多い雪。


 国道121号線まで出ます。


 国道は除雪されていますが、シャーベット状の雪がまだ残っています。まだ10時にもなっていないので、食堂も開いていませんか。


 トンネル工事をしているおっちゃんらの応援を受け、少しだけ励まされます。


 集落の中に入ります。何だか、雪がガチガチに固まった道路の上に車がたくさん停まっています。


 ん?(・ε・)
 人が集まっていますね…。


 どうも、屋根の雪下ろしを総出でやっているようです。そこの区長と名乗っているおっちゃんが、黙って入っていく人がいるけど、一応誰が入ったかを知っておきたいのでというので、免許証を見せました。遭難したときに捜索に当たるのは、きっとこういう人たちなんだろうから、それはしょうがないことです。
 それはともかく、(那須)男鹿岳に登ると言うと、目を丸くするのは、さっきの工事現場のおっちゃんと同じでしたな。


 小さな集落を過ぎようとしています。


 そして、キャンプ場の看板のあるところで、遂に除雪区間も終わりました。


 なんとか轍の跡をたどって進んできました。ここが、JOBSおじかというところらしい。昔は、ネイチャーステーションとか何とか…


 ここからは踏み跡さえもない広漠とした雪原が(滅


 完全に雪に埋もれた橋とか。


 ああ橋から見える川が清らかだなあ(棒読み)


 わかんを履いても15cmくらい沈む雪を踏みしめ、25kg前後のザックを背負って進みます。
 ああ冬枯れの雪景色が静かだなあ(棒読み)


 川幅が狭くなっているのは、山の奥に入っていくためだけだと思いたい。


 しかし、谷が橋ごと埋まっているところとかを見ると、それがただの希望的観測であることが判るという件。


 わかんを脱いだ方が、雪がくっつかなくて歩きやすいのかなとか思って脱いでみましたが、雪質に依るとしか言いようが無く、ムラのある雪質の中で無駄なあがきをしても仕方がないと観念したところです。


 時折日が差す雪の谷。しかし、決して雪は止まなかった。


 ああ空が青くなってきたなあ晴れればいいなあ(棒読み)


 リポビタンDのコマーシャルみたいに、ソリの上にザックを置いて紐で引っ張ってみたら楽にならないかと、ザックカバーをソリに見立てて、カムエク手前の札内ヒュッテで出会った岩手県のおっちゃんにもらった紐を結わえて、引っ張ってみました。


 しかし、それが無駄な作業であることを知るのに、30m歩く必要もなく、再び、激しく雪に埋もれた橋を渡ります。


 15~30cmほどの沈み込み、というのはどういうことかと言いますと、その沈み込んだ足をまた同じくらいの高さ引き抜かないといけないということです。15cm沈めば、同じ15cmと言わないまでも、10cmは上げないとだめです。だから、10km歩くとすれば、一歩歩幅50cmとして、2万歩。つまり、200000cm=2000m脚を上げることを意味します。10km、雪で15cmほど埋まる平地を歩くということは、2000mの山を登るのと同じと考えていいのかも知れません。
 考えなければよかった吐き気がしますね(棒読み)


 下の沢を登った方が楽だったんじゃないかなあ(棒読み)
 でも、南予篠山の下を流れる槇川であの冷たさだったからなあ(棒読み)


 地図は必ず持ちましょう。そして、現在地は必ず確認しましょう。これを、跡のついている右へ行くのか、看板しか見えない左へ行くのか、地図を見ましょう。ふうたろうは左の何もない方向へ行きますが、何か。


 いつものように人のいない方向へ進んでいます。雪に閉ざされた谷は、不思議な美しさがあります。実は、本当はこういうところは好きです。曇っていても、晴れていても。ただ今は疲れまくっているからダルいだけです。


 広場に出ました。昔はここが駐車場だったのかなあ?とか思いつつ。


 立入禁止のペラペラが雪を掘っています。気にせず進みます。ふうたろうが進むべき道はここしかないんだから。


 雪は相変わらず深い。5cmくらいしか沈まないところと、30cmくらい沈むところと、ムラがあってこれがいけません。辛い。


 落石よりもこの雪質を何とかしてほしい。なお、積雪量よりも雪質の方が重要です。よくふうたろうも、「~mくらい積もっていましたよ」なんて言うけど、5mだろうと10mだろうと、沈み込みが0なら、30cmの積雪で15cm沈む雪の方が、さっきの吐き気を催す計算のように、辛いのです。


 ここでまた橋を渡りますが、もちろん、橋なんて見えません。


 …水源涵養林、か…。そういうところを、放射能で汚染したんだよな。自然に対する冒涜ですわ。那須付近はホットスポットらしいですからね…
 ところで、こういうところで、「放射能じゃなくて放射性物質だ」などということを言う奴が時々います。…一般人が書く(言う)分にはどうでも良いっちゅうの。


 しかし、放射線どうのこうのに関係なく、ふうたろうは山を行く。誰に気兼ねするでもなし、こういうところを自分の力で歩けるのは幸せです。そう、辛い道のりだけど、辛くないことより幸せです。


 沢が完全に埋もれています。雪の量が本当にハンパない。


 木が幹ごと曲がって道を塞いでいます。
 そして、ふうたろうの余裕がだんだん無くなってきました。


 これが、今日渡る最後の橋です。まあ、見ただけじゃ判んないけど(黒笑


 これも橋なんだけど判らないですよねえ(棒読み)


 雪崩や落石に遭いたくないので、橋の上にテントを。でも、橋が崩落したらどうしようとかも考えたりする。
 結論、危険はフィフティーフィフティーで。


 そして、恒例のパスタ。今日はいつもの青い飯盒ではなく、ニコスカードのポイントでもらった着脱式片手鍋を持参。パスタが茹で易いの何の。雪を融かすのも広口なので楽です。
 すばらしい回復アイテムです。


 荷物が猛烈に重くて、雪もハマって、かなり辛い結果となりました。明日の朝、荷物を軽くして、テントの中に殆どのものを置いて、男鹿岳を目指そうと思います。
 …が、うまくいくかどうかはまだ判りません。
 なお、今日歩いたところは、みんなシャドウです。シャドウ歩きです。まだ登山口に着いてさえいないという、恐るべき事態です。


天気:雪、一時強く降る(栃木県塩谷郡藤原町、移動中は含まない)

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