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踏み抜き地獄(黒法師岳寸又高塚山縦走コース:静岡県)

2012年 2月 18日

 寝たり起きたりを繰り返し始めたのは日付が変わる直前だったと思います。収まらない雪のテントを叩く音に辟易しながら最後に起きたのは4時か5時か。あまり記憶はありません。とりあえず、あまり受け付けない食欲でベジタブルカレーにチーズを載せて、食っていました。…が?いつの間にか空はガッツリ晴れている…!?


 この大きな広場にテントを一つ、たった一人で過ごすのです。贅沢の極みです。


 テントが凍っているので、撤収がやっぱり大変です。もちろん、折りたたんで袋に入れる、なんて悠長なことはやってられませんから。
 時間だけが無情に過ぎてゆく。


 この広場にも日が差しました。そろそろ出発しましょう。


 天気の回復がもう少し早ければ(あるいは風があっただけで本当は晴れていたのかもしれない)、もう少しくらいうちに動き始めていたのですが。


 まあ、この朝日と雪に免じて、いいとしますか…


 ど快晴の空に黒法師岳。しっかりこってり雪を被っているようです。


 それでは出発。風が非常に強い。


 この取り付きのところから、黒法師岳がガッツリ見えます。うん、遠いね。


 ああ、朝日が眩しいぜ…


 この雪景色は100万ドルです。これから地獄の道が待ちかまえていようとも、やっぱりこの景色は…


 さて、その地獄の道に取り付きます。景色がいいと言っていられるのは果たしていつまでかな?


 深雪に影。


 歩みは亀以下です(滅


 少しの上り坂が猛烈にきつい。少しの平坦な地も猛烈にきつい。要するに、既にきつい。


 ああ空が青いなあ(棒読み)


 遂に白い悪魔が牙を剥きます。天然の落とし穴、ウルトラデラックスハイパー雪踏み抜きゾーンです。まさか、黒法師岳までで今日が終わるのではあるまいな?


 ああ空が青いな雪が白いな木が立ってるな(棒読み)


 ふうたろうのジタバタした足跡が左の端に見えていますが、そんなことよりも雪景色がきれいだなあ(棒読み)


 ああ枯木の雪景色がきれいだなあ(棒読み)


 黒法師岳はこごえるふぶきを吐いた!ふうたろうとカメラは60のダメージを受けた(何


 …見てる分にはきれいですよね、ほんとに。実際のところ、この行程がもう一日多く、3泊4日で行ければ、絶対余裕綽々で楽しめると思います。


 そろそろ二ッ山の東峰ですか。しかし、黒法師岳はまったく近づいてきません。ふうたろうは地吹雪をくらい続けています。


 ふうたろうもこうやって写真を撮ることで、足を休めているんですよ。


 ところで、この辺りは樹林が深いため、進むべき尾根を探すのが難しい。何となく踏み跡があったり、のぞき込んだり、場合によっては方向を確かめ、進みます。活路は必ず開かれますから(何


 二ッ山西峰はたった20mほどの登りですが、かなり険しい坂です。まあでも、がんばるしか。


 一向に近づかない黒法師岳。でも、さっきよりはかなり近づいているはず。距離では半分くらいに迫っています。


 バラ谷山が見えてきましたね。さりげなく、だけど。


 この辺から倒木の量が増えてきて、立ち枯れの切り株とかにわかんを引っかけてすっ転ぶことが増えてきます。頭に来ます。


 このおぞましい倒木雪ヤヴゾーンを見よ!


 この辺り、笹がかなりありそうですがすべて雪に埋もれています。しかし何より深刻なのは、この雪がとにかくデラックス系の踏み抜きをぶちかましてくることです。苛立ちは頂点というか。


 ああきれいだなあ(ドスの利いた棒読み)


 黒法師岳手前の200mほどの上り坂は、この雪の量だと恐ろしく地獄です。死ぬ思いで戦闘中。


 もうすぐ…か?


 どうやら黒法師岳山頂に到着です。闇テンのススメしたあそこをでたのが6時54分で、山頂着は11時11分。4時間17分もかかりました。雪道、恐るべし。せめて、ウルトラデラックスハイパー雪踏み抜きゾーンがなければすんなり進めたんですが…、ええ、あの大門山から笈ヶ岳の時みたいにね。あの時の5万倍はキツい。


 ああ…やっと山頂だ…(遠い目


 登ってきた方を振り返ってまた…(遠い目


 杏仁豆腐で一杯!
 …と思ったら、食ってる最中にシロップが結晶化を始めるという罠。いったいこの世界は何℃なんだと。
 …裏の表示を見ると、炭水化物が100g中17gと書いてあるので、むちゃくちゃ大雑把に砂糖が17%として、スクロースの分子量が342、凝固点降下の理論を使って、この黒法師岳山頂の気温が計算できないかと思ったけど、その数式を忘れてしまったので、宿題にすることにしました。
 結論からすると、凝固点降下を求めるには、
 ΔTK×m
 ΔTは下がる温度。Kモル凝固点降下で、水の場合は1.86。m重量モル濃度で100g中17gの砂糖が溶けたシロップと見なせば、約0.5。よって、シロップは-0.9℃ほどで凍る液体という話です。
 ただし、砂糖以外にも溶けているものがたくさんあるので、-0.9℃よりはもっと低くなっているはず。しかもこれが薄い濃度の溶液と言えるかというと微妙です(この式は薄い液体の時に当てはまるものだそうで)。
 まあ、それがみるみるうちに結晶化(凍結)していく黒法師岳山頂の気温がすごいと言いたかったという話でした(黒笑


 さて、お勉強も終わったので行動食をイナヅマ食いしたらバラ谷山に向かいましょう。
 道がないと思っていたところでしたが、何と、千頭山の会の名前で方向指示板が。


 猛烈な風に吹きさらされながら、遠くの山を眺めます。どれがどの山なのか判りませんが…


 どこまでも山・山・山…。黒法師岳の山頂は樹林に囲まれていますが、看板のあるところまで行くと展望抜群!(雪無いときは知らん)


 そして、次登るバラ谷山を見さだめ。
 ♪今終わる ひとつのこと いま越える 一つの山~♪
 まあ、この後に、風わたる草原と続くんですが、ふうたろうの目の前には、足がヅヴォッとなるほどの雪原が広がっているというズレがあるんですね。
 いやあ現実は楽しいなあ(棒読み)


 坂は非常にキツい。雪の斜面で、そのまま滑り落ちてしまわないか不安になるほどです。


 空にちぎれ雲が現れて、時々日が陰ります。


 バラ谷山。


 実は遠くに太平洋も見えます。


 雪の斜面を下りてきて、バラ谷山が高く見えます。


 おお、これを下りてきたのか…。


 平坦なところは、ヅヴォッといくところも。でも、黒法師岳の登り部分よりは全然楽ですわ…(遠い目


 黒法師岳を見返してみます。ああよく登ったなあ…


 でも、これから高塚山の三ツ合ジャンクションピーク(尾根の分岐)まで、いったいどのくらいかかるのやら…(目が点


 黒法師岳の登りは200m。バラ谷山はそれよりは低いけど150mは登らなければなりません。でも、あれを見ると、踏み抜きスペシャルはどうも回避できそうな…?


 坂は心臓が風船になりそうなくらい猛烈です。修行です。でも、踏み抜かないから精神的にはこちらの方が遙かに楽です。


 実は、黒法師岳とバラ谷山の間にも、ダラッとしたピークがいくつかありまして。この山は全体的にダラッとしたのとかギリッとしたのとかがぎょうさんありますよってに(滅


 このバラ谷山は、さっき黒法師岳側から見たとおり、樹林帯が剥がれています。おかげで展望抜群。やっぱ山はこうでなきゃ(何


 だからといって、坂が緩くなるわけでもないし、肉体疲労がたまらなくなるというわけでもないと。筋原繊維はちぎれ、乳酸はたまっているんだと(吐血


 ああ黒法師岳と前黒法師岳がダブルで聳えてるなあ(棒読み)


 でもマジでいい景色。今年の雪山では最高だと思います。いや、三本杭(愛媛県)に並ぶかな、良さの質が違うだけで。この山は深い山域だけど、三本杭は町の城という感じです。それぞれの良さがあるのですね。


 吹きさらされてクラストした路面。いやあ、道のコンディションとしては、涙ちょちょぎれるほど快適ですよ。


 そして、45分ほどでバラ谷山を登り詰めました。いや、時間かかったけど、がんばった…
 バラ谷山からは黒法師岳がとにかくよく見えますから。


 バラ谷山で少し休んで出発すると程なく、本邦最南2000mの地だそうで。こんな、どマイナーな称号が手に入るとはっ(黒笑


 さて、ふうたろうの道はまだまだ続く。風わたる雪原が続く(ぇ


 ちょっと変なところを下りすぎて、トラバース気味のトレースがやたら踏み抜くという件。


 しかし、雪に佇む疎林が、空気のように美しい存在です。


 小さいけどプチシュカブラだって。


 左手に大無間山と右奥には富士山が。


 相変わらず踏み抜きにうんざりし続けてきたふうたろうですが、どうやら雪庇すれすれのところに踏み抜かないラインが引かれているようです。そこを歩くふうたろう。でも、端っこに行きすぎるともちろん落ちます。


 雪庇の端から50センチ~1メートルくらい?を。おたすけ雪庇とか言いながら歩いています。


 しかし、更に進んでだだっ広い尾根に出てくると、雪庇なんかできる場所はありません。それでもまだこのように真っ白な場所はいいのですが…。


 ふうたろうの足跡も自然ですね。


 ふうたろうは、木などの植物帯を遠巻きに歩いています。そして、斜面のあるところを横に切るように歩いています。


 こんな感じに。ただ、斜面で付いた雪の斜面じゃなくて、風の具合で付いた斜面の場所を探しています。…わかりにくい日本語だなあ(滅


 が、いくら理屈をこねても、もはや笹ヤブゾーンの雪原に入り込んだら、ゴキブリほいほいに捕まったゴキちゃん状態です(黒い笑


 ゴキブリみたいに暴れながら何とかほいほいゾーンを抜け出したら、もう15時半。バラ谷山の山頂は13時半前だったんですがね…あそこからまだ2kmは進んでないかと思いますよ?


 生姜糖でケアルガかけておきます(何
 冗談抜きで、生姜糖の糖分のおかげか、それともほいほいゾーンを抜け出した開放感からか、テンションアップ。


 景色もきれいに見えるので、シャッターを押す指の動きもなめらかという件。


 時々踏み抜きはあるにはあるけど、雪がたまって固まっているところはかなり快適に歩けます。


 真ん中から左の雪が尖って盛り上がっているところ付近は、踏んでも抜けません。なぜなら、踏み抜きの起こるところは、凍った雪の薄い層があるからです。できたての雪庇にはそんなのはないはず。はず、だけど。


 太陽もだいぶ傾いてきました。もう16時回りそうですかな…。


 歩いてきたふうたろうの足跡。


 こういう薄い笹ヤブは、むしろ笹のところを歩くと踏み抜かないことが多い。


 これは締まった雪があることを信じて、左の尾根づたいに歩いてみましょう。


 光と影の部分ができてきて、イイ感じの雪景色になってきました。


 今まで歩いてきた、黒法師岳からの尾根…


 冬枯れの木の影が落ちるおたすけ雪庇ロード。


 さて、そろそろ房小山…あの左奥にそれっぽいのが見えますか。


 16時23分、やっと房小山。黒法師岳から三ツ合までの中間地点くらい、か…


 地図を見ると、房小山から三ツ合までも、かなり遠そうですぞ。


 房小山からの下りは大展望のオープンゲレンデ。


 テント張って過ごしたら、さぞかし気持ちいいだろうね…


 高塚山は…どれだろう?


 もう、日没も近い。


 木のシルエットがイイ感じになってきました。


 日が落ちるぎりぎりまで、できるだけ距離を稼ぎたい。


 こんなヤブの中で日が暮れると大変。


 アーベンロートになりつつある…


 できればこういうところの、平らなところを探して闇テンしてしまいたいが…


 結局こういうどうにもならない場面にまで来て、慌てるふうたろう。


 そして、遠き山に日は落ちた…


 結局、三ツ合までは全然の状態で今日が終わりました。あの踏み抜きの多さは異常でした。本当に厳しかった。明日は若干早出して、できればやっぱり高塚山を踏んでいきたい。どうにも間に合わないなら、終バス逃すことも覚悟で、ぎりぎりまで歩く。
 …ともあれ、明日中に下山はせねばならないので、最奥にいる今できるのは、明日の朝に備えることくらいです。がんばりましょう。


天気:晴れ時々くもり(静岡県榛原郡本川根町・磐田郡水窪町)

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