Home > ふうたろう旅日記 > 霧氷林に見えた幻(ペテガリ岳東尾根コースリタイア:北海道十勝支庁)

霧氷林に見えた幻(ペテガリ岳東尾根コースリタイア:北海道十勝支庁)

2012年 3月 19日

 夜中は吹雪だったようです。朝(未明)になったらかなり積雪が増えていて、昨日踏んできたトレースは消えかけていました。テントの周りにも新雪が積もり、気温も大幅に下がったようです。
 …そうだよ、冬山はこうでなきゃ(何


 さて、4時45分出発。その気になれば2時くらいに出る勢いでもあったけど、雪降ってたし、疲れが取れてないのでだめです。
 一昨日17日が、日の出~日没の時間が12時間になるところだったようです。1日3分ほどの勢いで昼間が長くなっていきます。程なくして周囲も明るくなります。


 荷物を軽くしているせいなのか、踏み抜きは断然少ない。しかも、気温が下がってくれたおかげで雪が少し締まったようです。
 まあ、それでもキツいのはキツいけどね。


 ふうたろうは1121mのピークの手前にテントを張っていました。37分でそのピークに到達します。
 空はどうやら晴れていて、木の間からポンヤオロマップ岳も見えます。


 徐々に周りが明るくなって、改めて判ることでしょうけど、昨晩降った雪と突然下がった気温で、恐ろしくきれいな景色が望めそうです。


 昨日までのきたなごり雪ではないぞっ!れっきとした冬の雪です。


 低気圧がもたらした雲が遠くに流れたようです。気圧配置を見ると、どうも西高東低。しかし晴れ予報が出ているので、ビミョーに訝る感じです。


 ともあれ、この霧氷状態の樹林帯は凄まじくきれいです。


 気温が上がるとなくなってしまいます。それまでの儚い美ですか。


 雲の向こうから日が出てきたようです。


 ポンヤオロマップ岳も、その樹林帯に雪を纏って真っ白です。


 お隣(北)の尾根にも真っ白の霧氷林。


 展望自体はいい場所では、決してありません。しかし、その展望を隠している樹林そのものが美しい。秋の紅葉や初夏の新緑もすばらしいですが、この冬の霧氷は次元が違います。


 ふうたろうの目がハートになっていきます。


 見上げる空は青く、木々は白く。青刷りの世界です。
 ん?(・ε・*)


 何かキラキラするもんが見えるなあと…?


 どうやら、ダイヤモンドダストのようです。大気中の水(化学的な意味での水の気体)が昇華して氷の粒となって降って来るものです。


 きゃー
 サンピラー(Sun Pillar=太陽の柱)だ!(目がハート


 ふうたろう、スーパーハイテンションですな。これは幸先がいい。


 空の窓。全部が美しい窓の景色。


 歩きにくい道なのは変わらないけど、昨日と比べれば雲泥の差だし、景色は月とすっぽんという次元を超えていますから。


 南西方向に見える日高山脈の、おそらく主稜線。あれがドカーンと見える場所に行きたいものです。


 ポンヤオロマップ岳が近づいてきました。今回の行程で、もっとも坂が急な場所かもしれません。地図からの判断、ではありますが。


 日差しが強くなってくると、空の青が濃くなり、雪の白が深くなります。白が深い、という感覚が解るでしょうか。


 十勝平野が見えています。


 風に煽られて樹林にとりついている雪が舞い上がっているようです。
 ええ、ふうたろうも舞い上がっていますとも(`∀´)


 ふうたろうは、あの森吉山や西吾妻山などのアイスモンスターより、やっぱりこの木の形をした霧氷林が好きです。もちろん、アイスモンスターも愛すべき存在だけどね(`∀´)


 ポンヤオロマップ岳。あれはそれでも気がかりです。


 1058mピークから先に進もうとしたら、岩場みたいなところでまっすぐ進めなくなりました。巻いて進みます。


 ポンヤオロマップ岳がすぐそこにありますが…若干雲が多くなってきた、か…?


 とりあえず進みます。天気がこの後どうなるかはまだまだ解ったもんじゃありません。


 雪の日高山脈。


 …しかし、遂に行き詰まってしまいました。
 それはポンヤオロマップ岳山頂直下です。岩場にイヤらしく雪が着いていて、更に先に進もうにもそのルートが見あたりません。言わばぜんぶ雪付きの崖(滅


 こんなところを登ってきてしまったのを少し後悔したり。でも、今ならまだ引き返せる。


 程なくして、天気の方も急変。風が強くなってきました。


 青空はどこに行ったのか。強風が霧氷林に咲く大輪の花々をぜんぶ引きちぎっていきます。


 これが同じところなのかと思うほど。さっきサンピラーだと騒いでいたのが6時半頃ですが、これは10時前後。たった1時間前まで晴れていたのです。


 風が強く、気温はかなり低い。鼻毛が凍るので-10℃以下であることは確かです。
 まあ、至適温度ですが(黒笑


 ポンヤオロマップ岳どころか、隣の1058mピークさえもろくに見えないほど。これが山の天気の急変。朝の天気に合わせてたら死ぬ。
 でも、ふうたろうはこの程度では死にませんから。装備は抜かってません。空荷に近くても、防寒具は完璧に近いのですよ。少し動けば暑くなるほど。


 1121mピークのところで大樹ハイヤー(タクシー)に電話して、明日迎えに来てもらうことに。「待つのがイヤなので」とか言われてじと目になりましたが、文句言ってもしょうがないので、マージン取って朝の9時にかしわばら牧場に迎えに来てもらうことに。
 ついでに、こんなところで緊急地震速報を拾いました。ちっこい地震みたいだったけど。
 ところで、トレースが大方消えています。足が潜ってめんどくさいです。


 12時半頃にテントに戻ってきました。その頃にはエラい吹雪です。雪はまだ強くはないけど、風が強い。さっさと大開放して撤収します。
 あ、そうだ、明日一日時間が空きそうだから、札幌のyumiさんに連絡してみよう。


 ふうたろうが撤収に手間取っている間にyumiさんからOKの返事が来て、鼻水を凍らせながら喜び勇んで下山です。


 ハラが減ったら吹雪に曝されながら菓子を食うのです。しかも素手で(黒笑


 上りで苦労したハシゴのところ。下りも苦労しますわ…滑落したら終わりですからな…


 昨日みたいに雪崩の音は聞こえません。代わりに木々が強風に煽られる音が聞こえます。


 さて、ここからあの苦労した忍者コース


 こんな急坂の深雪ゾーン、やっぱり忍者にでもならないと無理ですな…


 そして登山口。
 もちろん、ふうたろうが一昨日テントを張っていた場所は完全に雪に埋もれているという件。


 しかし、なんだ、この猛烈な雪は…(遠い目
 稜線は今頃猛吹雪だろうなあとか思ったり思わなかったり。


 これが、昨日ひっきりなしに聞こえていた雪崩の音の主の一つなんだろうなと。ふうたろうの足跡が埋まっていますね。


 この大幸橋はふうたろうと同い年?


 …なんて笑っている余裕はもうとっくになくなっていて、青息吐息で林道を這っています。
 ああポンヤオロヌップ川の積雪がきれいだなあ(棒読み


 辺天橋まで行ったところでテントを張りました。もちろん、雪は強く降っていて、下界なので湿っていて、何もかもが雪まみれになって不快極まりありませんでした。あの青空やダイヤモンドダストは幻だったのか…(滅
 ともあれ、ここまで下りてきました。あとは明日、牧場まで歩いて札幌まで向かわなきゃ…。明日の下山口は札幌です(何 がんばりましょう。


天気:くもり時々雪、強風を伴い一時強く降る。朝のうち晴れ(北海道十勝支庁広尾郡大樹町)

Comments are closed.