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雨も味方に(ニペソツ山十六の沢コース:北海道十勝支庁)

2012年 4月 29日

 一日目が終わりました。そして、二日目。今日から数日、山で一人暮らしです。
 さて、天気は良さそうですので、安心してニペソツに向かいましょう。ただ、雪質は…


 雪質が時々緩い場所があります。それでも、昨日のあの異常な林道に比べれば比較にならない程良いのです。たまに踏み抜きますが、めげずに進むと。


 空はもやとかガスとかいうレベルではないほど霞んでいます。おそらく、黄砂が飛んでいるんだろうなと思いますが…


 樹林が少し薄くなり、標高も高くなってきたので遠くが見えるようになってきました。あの峰の向こうに見える山並みは、石狩岳や音更山など、でしょう。


 出発から1時間半ほどの6時過ぎ、1484mの小ピークに至ります。荷物が重い割には健闘していますか。向こうに見える峰は1681mのピークです。ただし、あれは通りません。


 この1484mのピークは、はっきり言って踏み抜きます(滅 どこ行っても逃げようがありません。


 そのピークからしばらく、ほぼ平坦なルートですが、踏み抜きがひどいのでさっきの上りの方がマシなくらい。北斜面寄りを歩くと幾分マシですか。


 樹林が更に薄くなってきたので、見通しは利くようになってきました。


 雪が吹きだまるのか、この辺りから広い雪面も出て来ます。もちろん、そういうところは踏み抜きもあまりありません。


 広葉樹(ダケカンバ?)などの疎林になってきました。こういう尾根はもっとも快適です。踏み抜きもないし。


 空は薄雲が出ている上での霞状態で、(Θ_Θ)とならなくもないですが、この雪の上を歩けるのはそれでも気持ちいい。


 十勝平野はどうも雲海になっているようですが、このもや―おそらく黄砂は間違いないと思いますが―で遠くの見通しが悪い。


 この辺りの樹林は低木中心でしょうか。ともあれ、雪の上のヴァージンロードです。


 南の彼方にはウペペサンケ山が見えます。糠平温泉あたりから登れるのでしょうか。あの山もいつか登りたい。


 あの切り立った崖のようなところの上を巻いて、ニペソツに向かうのですね。しかし、暑さと荷物の重さでこれがなかなか進みません。


 そして、やっと1681ピークの、その肩を越えました。その身体を向けた方向にニペソツ山があります。
 なお、1681ピークは、登り切る必要はありません。まあ、登っても景色はいいとは思いますけど。


 …随分下からトラバースできたようです。スキー跡が…


 ここから見えているあのピークはニペソツ山ではありません。手前のいくつかのピーク群(天狗岳?)の一つのはずですが…
 なお、ふうたろうはあのピークから石狩岳の稜線に向かって歩こうと思っています。でも…?


 何やらリボンの付いた意味深長な竹竿が雪に刺さっています。きっと、ふうたろうに先立ってニペソツに向かった誰かが、この辺りでテントでも張ったんでしょう。
 しかし、何だか、その近くに投げられているザックを見ると、テントっぽいものはない…?遭難とか、やめてくれよな。


 さっきの竹竿リボンのところがキャンプ指定地で、1681mピークと1888mピークの鞍部に当たります。樹林はその辺りにしかありません。
 …というか、そのあとは雪がせり出したところ(吹きだまったところ)の上を歩けます。もちろん、雪庇(出っ張ったところ)を踏んだら\(^0^)/オワタですので、やや内寄りに。


 広大な雪原。1681ピークが目線よりも下にあるようです。


 樹林の向こうには、どうやら大雪山山系がバリッと見えているようです。


 外に寄りすぎると雪庇が崩れて落ちるかもしれない。内に寄りすぎると踏み抜きがひどくてとても歩けたものではない。難しいところです。


 周囲を覆う樹林が少なくなると、大雪山の全貌が見えてくるようになります。展望がいい、それだけじゃなくて、これから進もうとしている国境稜線までの縦走(路)を黙視で確認しておかねばなりません。万が一雪がなかったら、その時点で進めませんから。


 すばらしい稜線ですね。ところで、ルートは…(・ε・;)


 もう少し上に行けばもっと明瞭に見えるでしょうか。


 石狩岳や大雪山の山々とは反対を向くと、ウペペサンケ山。


 このピークは、幌加温泉から延びてくる登山道の通過点です。幌加温泉でもバスが国道まではあるので、登れなくはありません。しかし、このニペソツ山主稜線手前の急坂を、雪が付いた状態で登るのは勇気がいるだろうなと判断し、あえて十六の沢コースを選びました。


 ふうたろうはもうこの辺りから悟っていました。
 縦走はムリと。
 …雪溶けてんじゃねーか、あっちより標高高いここで(滅


 ハイマツもどっさり出ています。もし、雪がなかったら、このどっさりハイマツの中をウルトラデラックスハイパーヤヴこぎしなければなりません。そうでなければ、高山植物を踏みつけながら歩くことになります。


 さて、東面が切れて、雪の上を歩くのが憚られる頃になると、ハイマツの中の正規夏道登山道に入れるようになっていました。あの、下界ではザンネン級のハイパー踏み抜き林道を考えると信じられませんが、ありがたしと思って進みましょう。


 遠くの低い山が雪に覆われているのに、ここが雪無し状態…


 阿蘇山か霧島にでも来たんじゃなかろうか(違


 彼方に大雪山。旭岳なども見えています。


 ハイマツ越しにウペペサンケ山。靄はかかっているけど、すばらしい展望です。


 そして、ハイパー岩ゴロゴロゾーン(滅


 ふうたろうが歩いてきた右(東)の尾根と、可能であれば進もうとしている縦走路の始まりの左(西)の尾根と、この違いはなんだろうか…。
 なお、雪は東面よりも西面の方がよく溶ける、と、何かの本で読んだことがあります。なぜなら、同じ日照が東面と西面に公平に当たるとしたら、気温が上がる午後の方が雪面の温度が上がるのに、より有利になるからだそうです。


 1888ピークのところからふうたろうは石狩岳方面に向かいます。しかし、ニペソツ山をその前に踏まないと、クリアになりません。荷物を置いて、水や食べ物などだけを持って、ニペソツに向かいます。


 この1888ピークまで来ると、ニペソツがはっきり見えるようになってきます。しかし、思いの外遠い。


 ガレ場を下ります。雪がない…。


 一旦下ってまた上る。のっぺりした雪面に爪先を差し込みながら進みます。さっきの岩ゴロゴロゾーンなどでアイゼンやわかんは脱いでいます。


 進むべき方向はいいのですが、どこが道なのか判りませんがな。踏み越えますよ?


 ニペソツ山の看板あり。行こう。


 こういう雪田は、足を置いた途端ヅヴォッといきます。わかんなんか履いても、おそらく悪あがき程度にしかならないでしょうね…


 それより、この岩とハイマツと遠くの雪山の景色はすばらしいですね。ふうたろう一人で食うのはもったいないくらいです。


 さあ、雪がなくなって夏道と化しているルートを行きましょう。


 カール(氷河で削られた)のような地形。それとも、本当にカールなのかな?


 遠くに、3年前の9月に黒岳から縦走して3日目に到達したオプタテシケ山が、しっかりと雪を纏って見えています。
 雪のシーズンに、あの黒岳から十勝岳の縦走をしたらまた楽しいかもしれませんね。


 ルートはニペソツにそのまま続いています。


 広大な雪の山並み。しかし、こないだ景鶴山で見てきた越後山塊の雪景色には及ばない。所詮は残雪、きたなごり雪ですから。


 最後のピークを越えると、いよいよニペソツ山がその全容を見せてくれます。


 さて、エネルギー補給にチョコレートでも食うか。フルタ製菓の回し者じゃないよ(笑


 ここから、かなり急な下り坂です。いや、この期に及んで一回下るってのは、かなり精神的ダメージがデカい。


 できればこの下の雪の塊に乗っかって撮りたいくらいだけど、この下は直角の崖なので、無理。


 アゴがしゃくれそうな坂が再び(滅


 後ろを振り返ると、越えてきた、天狗。確か、そんな名前の山だったかと。


 ハイマツが生い茂る、中途半端に夏道のルート。しかし、ここ以外に歩くところはない。


 霞んでいるのが本当に惜しい。広大な東大雪の森林と雪原は、空気が澄んでいるときにもう一度眺めたいものです。


 さっき天気予報を確認したら、どうも今日の上川地方(ここは十勝と上川の境界だが、上川で見るのが正しいだろう)は天気が午後から下り坂。空の薄雲もそれを告げていますね。帰りにこの下りの景色が撮れるかどうかは判りません。


 同時に、さっきの天気予報の確認で、黄砂が飛んでいることがはっきりしました。さっきまで見えていた旭岳が判らなくなっています。


 さて、ニペソツ山頂に近づくと、雪の付き方が非常にイヤらしくなってきます。あの、ふうたろうが死にかけた五竜岳みたいなおぞましい地形ですよ。


 ふうたろうの先を行っていた登山者ふたりが、山頂から下りてきていました。若い男の子でした。しかし、その彼ら、どう見てもツボ足で登ってない?しかも、ピッケルじゃなくてスキーのストック…?(゚Д゚;)


 あの上が、ニペソツ…でしょうか?


 雪の斜面を慎重にトラバースしながら、最後の尾根に出ます。これを登り切ると、漸く頂きに立つことができるのです。


 雪がまったくないガレ場。アイゼンは脱ぎたいけど、どうせ下りでもまたあのイヤらしい雪ゾーンを通るんだもんね…


 11時58分、ニペソツ山到達です。出発した頃に比べると、空気も黄砂で汚れ、空の薄雲も随分広がってしまいました。でも、ここから見る山々は本当にきれいだろうなあ、と思います。


 当初、ニペソツ山の南尾根を上がってくることも考えました。しかし、この雪の量・状態ではとてもそれはかないませんね。


 ニペソツ山は2012.7m。北海道で2000mを超える山は多くありません。周囲の山々は殆どが眼下に見えます。
 で、肝心の縦走路ですが、やっぱりもっとも勾配のきつい石狩岳稜線の、ニペの耳手前の尾根に上がるルートがハゲています。ああこれは縦走はムリだな…


 下はあれほど雪があるのに…


 天気が崩れる、先はまだ長い、そんな思いに突き落とされるかのように、下山を始めます。


 これは、遠くの冬山の風景と夏山とを合成したような感じですね。


 ヌオッ(゚皿゚;)
 …いや、上るときから判っていたことですよ。下りはより慎重に行きましょう。


 ヤダなあ…。といっても、進むしかないんだけど。


 (`皿´;)
 きついなあ…。


 ぐはぁ(゚Q゚;)
 これで終わりだ!


 まだ空が青い、大丈夫かな。


 と思ったら、程なくして一気に乱層雲っぽい雲がたたみかけてきた!


 …あっちの十勝連峰の方は雨が降ってるっぽいね…


 なんとかダッシュ気味で戻ってきたけど、そろそろ空は限界っぽい。それどころか、雷が来そうで怖い。


 ザックを置いたあの分岐(違)まであと少し。
 しかし、遂に雨が降り始めた…。


 結局、縦走は諦め、ひとまずキャンプ指定地まで後退です。何、まだ策はある!


 急速にガスってきました。これは結構大きく崩れそう。


 しかし、ここに至っても、天気の崩れ方は波を繰り返します。天気予報では雨は夜までで明日は晴れるとのことです。ならば、むしろこの雨を楽しんで、黄砂ともやを洗い流してくれることを期待しちゃいましょう!


 また1681ピークが顔を出します。もう少しで指定地です。


 指定地に概ね到着。雪の上なら問題ないので、ここに張っちゃいましょうか。


 というわけで、まだ15時だけど、テントです。
 …といっても、今日は10時間以上行動していますがね。


 縦走が、まさか雪がなくてできないとは思わなかったですな。仕方ないので、明日は強引に廃道を下って、石狩岳シュナイダーコースに向かいましょうか。


天気:くもり時々晴れ、のち雨で夜は雪が交じる(北海道十勝支庁上士幌町・上川郡新得町)

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