白いブラックホール街道(ニペソツ山岩間温泉廃道コース:北海道十勝支庁)
目が覚めたのは日付が変わる前だったと思います。が、辛うじて数度寝して、日付は変わったような気もします。
結局、いろいろな考え事が頭の中をグルグルして、2時まで寝付けませんでした。そんな寝付けないときに星空を撮ってみましたが…
何気に斜めだね(滅 水平器がほしいです。
3時に最終的に目を覚ましました。これ以上寝ると出発に差し支える…。
毎年思うけど、ゴールデンウィークの北海道の朝の早いこと!3時にはうすら明るくなっているんですよ。そして、さっきの星空も、2時前の写真ですが、心なしか、太陽の出るところが他の部位に比べて明るいんですよ?
さて、早よ片付けな…ん?(・ε・;)
カラカラカラ…
ヌオッ(゚皿゚;)
なんと!昨日の雨の後、急激に気温が下がったために、雪が凍ってカリンカリンになっているではないかっ!!外に出した空の水筒用のペットボトルが、等速直線運動して谷の方に呑み込まれていくっ!!
木の周りに開いた雪穴の中に落ちて何とか止まりました。さ、遊んでないで(イヤ、遊んでないって(滅))出発の準備でござる。
ところで、昨日の日記に書き忘れていたけど、水筒の蓋が、なぜか壊れているんですよね、しかもそれは出発前からっぽい(¬_¬;)
雪面がテカっています。気温が若干低めで、ふうたろうの好きな状態です。やっぱり雪山はこうでなくては。ハイパーきたなごり雪はイヤですわな。
あれは1681ピークです。普通の人は、車であのピークの東側の登山口まで車で来て(入れないときは来ないだろう)、ここを往復していくでしょう。しかし、ふうたろうは…
1681ピークの西に向かいます。後日(5月4日頃)付で載せる予定の地図を参照されたし。
そして、そんなふうたろうの前に見えてくる次なる峰があれです。
北東面の樹林が雪に埋まっているようで、国境稜線の山並みがガッツリ眺められます。
そして、ふうたろうが次に向かう峰であるアレは、1618mのピーク。さっきのは1681m。紛らわしい。
雪は低温のためによく締まっていて、非常に歩きやすい。荷物が重くて坂が辛いくらいで済んでいます。イヤ、快適快適。
東の空にはまだ薄雲が残っています。あの国境稜線に当たる朝日の光にグラデーションがあります。
この5~6時の贅沢な朝の時間を、最大級に堪能しているふうたろう。これは、どんなに金を積んでも、自分で行かないと味わえない幸福であります。
スプーンカットになりつつある残雪に、朝日や夕日が当たると、光と影ができていい感じになるのです。
1618ピークに上りかかると、ニペソツ山の山塊が姿を現します。
少し坂はきつく感じますが、踏み抜きの心配をまったくしなくていい、激しく快適な道です。
そのピークの上り坂は、樹林がほぼ皆無です。そのために、1681ピークのすらっとした山容が一望できます。
ちょっと、ニペソツ山の山頂部までは見えなさそうだけど、充分かっちょいいね。
疎林の日当たりのよいゲレンデです。スキーができる人はこういうところでは遊ばないのかな?
この1618ピークを越えて、今日は岩間の湯に下ります。地図では廃道扱いになっています。もちろん、リボンとかもありませんから、地形をよく見て歩くことになるでしょう。せめて、ウルトラヤヴこぎゾーンでないことを祈ります。
どうやら、ウルトラヤヴこぎゾーンどころか、遮るもの一切なしのガチオープンゲレンデです。石狩岳山塊がガッツリ見えます。
転んだら命はないです。あの遥か下まで滑っていくでしょう。でも、雪がカチカチなので、アイゼンもしっかり食いつきます。だいじょうび。
この坂は、上りには使いたくないね…。いや、本当は上った方が楽なのかな?
東側は少しだけ斜面が切り立っています。その縁をなぞるように少し下ります。
ある程度下ったら、音更山の東峰めがけてまっすぐ進むのです。だから、ガスってたらこんなところ通れません。道迷いキケンです。
だんだん音更山というか、景色そのものが閉ざされていくのですが、隙間からよく見て進みます。
なだらかな坂が突然急になるポイントがあります。それがどの方向なのかはよく見極めなければなりません。東や西の方向に下りたらややこしいことになるでしょう。北面を下ります。
しかし、ここまで下がってくると、快適さはいつの間にやら消え失せています。股まで踏み抜いて、きーんとなりました(死滅
下り続けていると、雪の下を流れる沢の音が聞こえ始め、沢そのものも見えてきます。
しかし、この沢、融雪水でものすごく水量が増えていて、とても向こうに渡渉とかいう話ではありません。沢靴でもあれば違いますが、裸足でこの0℃近い水の中に足を突っ込むのは…
この先、一応地図で見る限りではゴルジュなどはなさそうなので、トラバースしながら進みましょうか。
ん?(・ε・;)
…きつね先生の足跡が…。
どうやら先生は高巻きしているようです。ついていこう!
方向感覚と地形をアテにして進んでいると、ヤブに当たりました。ふむ…
ん?(・ε・*)
何だか硫黄のようなにおいが…?まさか、気のせいではなかろうか。
いや、その崖っぷちから覗くと、どう考えても湯船がありますな。
無理やり下りてみたら、上流側にももう一つ、崩壊した湯船に温泉が溜まっていました。そして正規の温泉が彼方に…
これは、今の登山靴とスパッツの状態なら、何とか進めるレベルではないか?
右側の崖からはところどころ熱めの温泉が垂れ流されているので気をつけると。まあ、火傷はしないだろうけどもね。
そして、岩間の湯。看板があるし、意外としっかりしてるじゃん。
誰もいないし(来るわけないし)、これは入っとく価値あるでしょう!(`∀´)
さて、その温泉で小一時間マッタリしたら、先に進まねば。
で、マジでこの華奢な丸太橋、渡るんですか?
しかも、この先は平坦な雪道で、もちろん気温が上昇している今(9時)、ウルトラ雪踏み抜きゾーンは覚悟です。
この丸太…
(゚Д゚;)ぎゃああーー
まともに渡れるはずないだろ。しかも、100リットルのザック背負ってんのに、こんな平均台以下の丸太なんか渡れるかよ!
靴を濡らしながら、特に右足は沢靴になりましたが、無理やり通過。まあ、ふうたろうらしいですよね、こういうのは。今のような世界最悪の雪質でなければ、さっきのところまで戻ってそのまま右岸を下っていけばこの丸太を渡らずに済むはずだ。
そして、今度は渡ったら渡ったで、また続く雪道。しかも、右足がずぶ濡れなので、あの沢に落ちた三畝山(三峰山、三重県)の時みたいにちょくちょく靴の中を拭きながら進もうと思えば、わかんアイゼンなんて着けてられません。
この果てしなくまっすぐな、ブラックホール雪道を見よ…(吐血 わかんアイゼン着けられないから、沈む沈む…(滅
っていうか、よく見たらわかん壊れてんじゃねーか(壊滅
そして、地図上の、御殿大橋。やっとニペソツを下りて、次なる石狩岳に向かえる…でも、靴が…(おえッ
水の流れは強い。そして、そのガーガー流れる沢の向こうには石狩岳などが。
できれば、石狩岳は持って行きたい。問題は、やっぱり靴が濡れて、100%の力で歩けないこと。
またここが平坦な雪ゾーンなので、踏み抜きまくりなんですよ…(肩からため息
ところどころリボンが付いていますが、まあ、見失うでしょうね、ほぼ確実に。
水の流れがきつくて深いところは普通なら越えられても、30kg弱の荷物を持って飛び越えることはできないので、ここで今日の行程は終わりですな。
持っていた東京水を全部飲み干したので、この沢の水を採水して、飲料水にします。ただし、エキノコック水である可能性があるので、こうやって燃料を使って煮沸しなければなりません。
濡れまくった靴などは立木やピッケルなどを使って干しときます。まだ12時半だから、少しは乾くでしょ…
これほどゆっくりした昼間はないね。ほんとなら、ガンガン進みたいんだけどさ…
ま、疲れを癒すのです。後半戦(礼文島)もけっこう長い距離歩くのだろうしね…。
さて、石狩岳の麓まで来ました。明日、なんとか日帰りで取りに行きたい。というのも、食糧が尽きたからです。まあ、食べるものそのものはあるんだけど、お菓子食ってもなあ?岩手山の時のクッキー飯とか、死ですからね…
さあ、ふうたろうのXデーも刻々と近づいています。5月3日、無事にふたりで礼文島へ旅立てるのか、そわそわします。天気予報はどうなんだろう、いや、天気がたとえ多少悪くても、一緒に行ければ楽しいだろう。
…いろいろな思いを交錯させながら、最高の雪山を一つ、越えてきました。明日の石狩岳で、一つの区切り。ニセイカウシュッペ山は、昨日・今日の雪の雰囲気では層雲峡から登るのは厳しいかもしれないので、今回は切り捨てることになるだろうな…。
天気:晴れ(北海道十勝支庁上川郡新得町・河東郡上士幌町)