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登山家と科学者と活動家と

2012年 5月 17日

 今日も仕事は忙しい。しかし、今日も仕事はヒマだ、と書かなければならない日の不幸度満々に比べれば、絶対値を付けたくらいすばらしい日だと言っても良いくらいです。
 そんなふうたろう、仕事を猛ダッシュで終わらせ、17時半過ぎに職場を飛び出し、向かうところ高田馬場へ。


 今日は勤労者山岳連盟主催の「放射能汚染 山と登山道の実態は」という学習会へ出向きます。ふうたろうも知っている日本大学の野口邦和先生が講師をしてくださいます。恐れるべきところとそんなに力を込めなくてもいいところを、冷静に区別できる専門家として、ふうたろうは信頼しています。これは出ない手はありませんよ。


    【放射線の基本】

  • 放射能とは、ある原子がひとりでに別の種類の原子に変化する性質(能力)のこと(例:131Iは131Xeになるので131Iには放射能がある」という
  • 放射能の強さは1秒間に何個別の原子に変化するかを表し、それをベクレルという単位で表現する
  • 放射線は原子が別の原子になるときに出てくる高エネルギーの粒子の流れ
  • 放射能の半減期とは放射能の強さ(放射性物質の量)が半分になるのに必要な時間のこと
  • 半減期を10回迎えると放射能は約1000分の1(≒0.510=1024分の1)になる
  • 半減期が8日の131Iは事故後420日経った今では52回迎えているので、1000000000000000分の1以下になっている
    【汚染の実態】

  • 南相馬市立総合病院のホールボディカウンタによる体内放射能量検査では、2011年9月に比べ、2012年1月では検出限界以下が圧倒的に高くなっている(内部被曝はかなり減っている)
  • 福島県内の住民の食事の放射能量は中央値で4.01ベクレル、最大で17.30ベクレル。年間に直すと23μSvに相当する。なお、年間の自然放射線による被曝は1500μSv程だそうである(概ねブレの範囲内という意味)
  • 福島県では、外部からの被曝が大きい。外部線量を下げる必要あり
    【放射線障害について】

  • 急性障害に現れるような、鼻血が出る、血小板が減る、などの障害は、一定以上の線量を浴びないと起こらない。確定的影響という
  • 起こるか起こらないかの全か無かのような、ガンのような障害は、確率の大小の問題であり、線量が低くても起こる確率が存在すると考えられる。確率的影響という
  • 放射性セシウムの新基準値(殆どの食品が100ベクレル)は、年間の被曝(内部)が1mSv(1000μSv)にならないようにする値。これは「安全基準」ではなく「がまん基準」である
    【山での汚染の実態】

  • 上空からの汚染マップは大雑把すぎてアテにならない。地上を歩いて測ろう(勤労者山岳連盟の会員たちが測定しているデータがある)
  • 福島県の入山可能な山の登山道で最も高い値が6~7μSv/時。ただし、登山道を外れたヤブなどに入ると(゚皿゚;)10μSv/時以上になるところもある
  • 通常の山を数時間歩く程度では、一回で受ける被曝量は7μSv程度で控えるほどのものではない
  • セシウムは粘土など土に吸着されやすいので、空気はもちろん、水にも殆ど含まれない。即ち、わき水はほぼ安全(水からはセシウムは実際検出されないようだが、各地の湧き水を実際測る必要性は指摘された)

 …と、大まかにこんなところでしょうか。山に登ることで特別放射線を多く浴びることではないと解釈してもいいと思いました。ただ、ふうたろう的に聞き捨てならないのは、ヤブの中などは高いという下りです。むき出しの状態ではないので、流れ出しにくかったり葉っぱなどに残ったりで高いのではないかということですが、ウルトラデラックスハイパーヤヴこぎゾーンいつものようにもそもそしているふうたろうは被曝しやすいかもしれません。特に、この福島県近郊の山域では注意です(滅


 この原発事故によって放出された放射性物質による汚染では、多くの場合問題なく生活はできる。でも、「多くの場合」であって、「全部」ではない。山屋の楽しみの一つである山菜は汚染されてしまった。キノコは?ワラビは?コシアブラは?汚染されている実態があるだろう。そればっかり一年中食わないからいいという問題ではない。「がまん基準」を超えるようなものをドヤ顔で押しつけられたらたまったもんではない。天然放射線が1500μSv程あったとしても、それにセシウムによる放射線が例えば1000μSv(「新基準値」=「がまん基準」)上乗せされると確率的影響は2倍近くになるかもしれない。そもそも、殆どのものが安全だからといって、原発の利益に群がってきた輩に、ドヤ顔で「安全宣言」など出す権利はない。汚染した部分、損害を受けた部分については、耳を揃えて保障すべきだとふうたろうは思う。
 野口先生の科学者として賞賛すべきは、正確な危機管理、事故処理、心構えを求めるところだと思う。怖がりすぎないが、侮らない。そして、責任の所在ははっきりしている。ふうたろうもかくありたいと思う。


天気:くもり時々晴れ(東京都板橋区・豊島区・新宿区)
覚え書き:来客と写真を撮るなどの重要イベントがあった!が、記載していません(ぇ

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