Home > 未分類 > いろんな記念日(祈念日)

いろんな記念日(祈念日)

2006年 8月 9日

 朝起きたら雨でした。というか、寝る時にはすでに雨音がしていました。いつもはゲームを睡眠薬代わりに、つけっぱなしで眠ることが多いのですが、昨日の夜は雨音を聞いて寝ました。夢を見たかどうかは覚えていません。悪夢ではなかったと思います。今朝の雨はとても激しく、僕の出勤時刻を狙ったかのようです。傘を悉く職場に置いてきてしまった僕は、小さな壊れたビニール傘をさし、雨に濡れないように袋に入れられた新聞を新聞受けから引っ張り出し、信号に引っかかったバスに向かって炎のダッシュ。髭を剃るのを忘れていることに気が付いたのはそれからだった気がします。

 職場では今日、職場創立10周年に向けていろいろな取材がありました。たった2年ちょっとの僕にも、「印象深かったことは何ですか」「抱負は何ですか」などの質問を投げかけられました。あとは、フラスコ持っているところ(無精髭付き)や集合写真を撮ったりも。
 印象深かったこと…。やっぱり1年目、主任が熱を出して倒れた時の、ガスクロマトグラフィーの操作に必死だったことでしょうか。主任が夜遅くまで粘って農薬分析のサンプルをこなすのを少しだけ代わりをやったっけ。あのおかげで、ガスクロマトグラフィーの操作が少し解り、今に至ります。少しくらい主任が抜けても、抽出から報告書の作成まで、トラブルがなければ出来るようになりました。少しくらいなら、トラブル対処もできるようになりました。そうか、1年9ヶ月くらい前のことなんだなぁ。機械操作がそれほど得意でないので、カラム(キャピラリーカラムという針金みたいなやつ)や検出器(とても脆い)の交換はまだやっていませんが…。
 抱負。抱負かぁ。抱負というよりも興味ですが、僕はやっぱり化学が好きです。農薬という有機化合物を見ると、やっぱりムラムラと来ます。僕が純粋に関心があるのは「毒性」や「栄養価」に対する問題です。法律の枠を外して、動植物に対して科学的にどういう生理作用があり、環境動態をとるのか知りたい。論文読みたい。
 農家や消費者のために…なんてことは、僕には言えません。化学の力だけで「農家を守る」なんて大それたことを?…確かに言ってきたけど、ちょっと後悔しているところもあります。自分にウソをついていたような気がして。農家の苦悩の根源はダンピングされた輸入食料の跋扈(ばっこ)不安定な生産を支える保障の不十分さです。一時的に、中国やアメリカの食品の危険性を指摘したところで、根本解決にはなりません。技術向上で違反確率が下がるのは当時から予想されていました。そして、食品の安心・安全を確立するためにできたはずのポジティブリスト制度は、輸入に甘く、国内農家に厳しい法律になっています。農薬を使うことで農家同士の分断を生み、不必要に排除される作物が増えるでしょう。農家を続けられないという人もいると聞きました。輸入食料のダンピングが輸入側でも輸出側でも弱者(農民や労働者)を苦しめていることに多くの人が気が付かなければ、未来は無い。農家のため、消費者のためを叫ぶとしたら、これらの根本問題に介入できないと、僕自身、自分を偽っているようで、辛い。
 それでも、分析をした上で、農薬が出ていなければより安心できますし、農薬が残らない栽培技術を助けることもできるはずです。あるいは、使わない手助けをできるかもしれないとさえ思います。それから、できることは毒性物質の検出だけでもないはずです。農家や消費者が困っていることに応えられれば、それは「農家のため、消費者のため」になるのかもしれません。例えば、紫(アントシアニン色素)のアスパラガスの色を落とさないためにはどうしたらいいかを研究する、とか(実は、福岡で雑談混じりで相談を受けました)。
 僕は確かに化学に首っ丈。毒性や栄養、農薬の作用機構とか、おもしろくてしょうがない。けど、それと政治問題を考えることはまた別。両方やりたい、贅沢な僕です。

 今日、ある人から励ましのメールが来ました。その人は、「己自身を偽らないところが、強い」と僕に言ってくれました。全然そういうレベルに達してないけど、嬉しかった。今日、こんな日記になったのはそのメールの影響です。それと、昨日まで読んでいた『さとこ先生のホームルーム2』でしょうか。

天気:くもり時々雨(茨城県取手市・東京都板橋区)

Comments are closed.