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氷の地獄谷(会津朝日岳リタイア【楢戸沢下りコース】:福島県)

2014年 4月 13日

 不安なはずの夜はあっという間に終わりました。4時の目覚ましをかけたのに3時50分に目が覚めるという悔しさ。あと10分、寝ました(何
 とりあえず、起きたら朝飯。なぜか昨日の朝よりも手間取りました。


 さて、6時前、出発しましょうか。できるだけ早いほうが、色々といいのです。


 まずはこの尾根を下りましょう。地図については後日、全ルート耳を揃えて(違)提示します。


 樹林帯へ突入。…といいたいですが、斜面は雪に覆われていて急です。ふつうは道として見なしませんよね?


 ところで、この尾根から谷に下りなければならないのですが、雪庇崩壊や雪崩で雪の断崖ができています。どうしてもヤヴを越えなければなりません。


 ええ、越えてやりますとも。越えないと本気でゲームオーバーなんですからね。
 町に下りて、みんなに無事な姿でドヤ顔するんでしょ?


 今朝は冷え込んでいます。雪崩も雪が緩んでくると起こりやすくなります。雪に刺激を与えながら斜面を歩くことになるので、できるだけ早く下へ。


 もちろん、必要以上に歩くわけにはいきませんね。


 うまく尾根を乗り移って順調に下っています。


 一刻も早く、安心したいですな。


 まずはこの谷に降り立つこと。見てのとおり、雪で埋まっています。


 正直、雪崩痕が最強にデインジャラスです。が、この上に雪崩れる雪がなさそうなので、それほど怖くはありませんが、それは知らない者の強み、かも知れません。


 もちろん、朝日岳方面へ上がろうなどと思ってはいけません。あちらにはまだ余力を残した雪がいっぱいありますから。


 岩や沢、ゴルジュなどがすべて覆い隠されているため、非常に歩きやすい。ふうたろうはこれを狙って下りてきました。雪崩が大量に起こっていることを狙って。


 何も尾根の雪は溶け去ったのではありません。溶けた分ももちろんありますが、谷底に落ちていったものも多いはず。ならば、ヤブで体力を奪われ、滑落の恐れもある尾根を選ぶか、ロープを使えば下りられる可能性もある谷を選ぶか、ビミョーなところです。
 念のため、これがベストな選択というわけではないと思います。ふうたろうは今回そういう判断をしたということです。


 もちろん、万が一にでも落石や雪崩をくらったらまず、命はないです。あくまでも確率論。でも今はまだ雪は締まっているので、確率は幾分低いと信じたい。これが午後になったらどうなるか判らない。


 向こうのデブリの上でキツネがこちらを見ていました。思わず挨拶してしまいました(笑


 …。この雪の下には水が流れています。今は厚みのある雪ですが、これがどこまで続くか…。


 とりあえず、受けられる恩恵は思い切り受けましょう。雪崩は命を奪いかねないものであっても、今はその雪崩に救われているのです。


 大小の雪崩が多発しています。川を埋めるほどの雪崩が。くらえば死ぬ。でも、これを利用しなくてもまた、死ぬ。


 ふうたろう、氷の地獄谷コースです。もしこの雪がなかったらここはどんな地形なのでしょう。


 雪崩が沢まで達さない場所はゴルジュっぽくなっています。とても進めません。高巻きをしなければなりませんが、左岸?右岸?


 右岸に一旦出てみましたがダメそうだったので左岸を進みましたが、結局そちらもとんでもない崖に出て詰みました。


 右岸を見ると、小さなスノーブリッジが架かっているのを発見。支流に架かるスノーブリッジでしたが、これにかなり救われました。


 樹林でよく見えませんが、ここには崖下の沢があります。


 ん?(・ε・*)
 何かあの上の方に林道になっているような気のする場所が見えなくもない(何


 あそこが法面のように見えるし。


 しかし、世の中そんなに甘くなかった(滅


 とりあえず、雪を伝ってどんどん進みましょう。


 尾根の上はどこも雪がありません。あんなヤブを10km以上歩き続けていたら、恐らく着かない。


 また雪崩痕。真ん中に雪の梯子(何)がかかっていますから、あれで対岸に渡りましょうね。


 しばらく平地。


 沢の合流点で崖っぽくなっていましたが、これは何とか沢に下りられる…?


 ワイルドすぎる…
 なお、足を置きかけた雪の塊が崩れました。落ちることがある程度予測できたので問題はありませんでしたが…。


 そこで沢に入らないとムリなようです。


 ここの沢はくるぶしよりも上くらいの深さしかないので、沢突撃します。


 案外ずぶ濡れにならないと判ったので、更に沢突撃します。


 しかし、さすがにやり過ぎるといつずぶ濡れになって素速さが下がるか判らないので、ほどほどにしておきましょう。


 また、スノーブリッジの上に乗ります。


 もう、ここまで来れば安心できそうです。どんどん行きます。


 雪が緩んできました。雪崩の起こる確率は上がっていますが、まあ、ここ進む以外に道はないし。


 再び沢突撃。


 今度は沢に木の枝が出っ張りまくって阻まれました。雪沢ヤヴ漕ぎゾーンという新しいジャンルが生まれました(真顔


 この沢は楢戸沢といいます。楢土沢は左岸側より右岸側の方が気持ちなだらかに見えます。途中から林道に当たるのも右岸側なので、こちらを行きましょう。


 雪崩で沢が埋まっていますが、まっすぐ右岸を進みます。


 支流もスノーブリッジがなければそのまま渡ることはできないので…


 雪のあるところまで登り返します。


 おや?この足跡は…?


 まさかとは思うが、これはやっぱりツキノワグマじゃ…


 ふたりの足跡(黒ハート


 厄介そうな徒渉だけど、熊はここもちゃんと渡っています。


 ふうたろうはオリジナルの道を歩んだけど、やっぱり熊の方が正しかった(没


 地図を見ると、あと1kmほどで林道と思われる場所に出るようです。


 支流の数、方向、対岸の様子など、そのあたりを考慮すれば、沢での現在地確認もある程度できます。


 ここは平なので林道なのかなあ、と思いますが…


 あそこからは間違いなく林道。


 6時前に出発して10時に林道に出ました。よく下りてきましたね。


 でも、それが即ち下山を意味しているわけではないという。林道も雪崩で荒れ果てていますから。


 横着して薄っぺらいスノーブリッジを踏むと簡単にヅドンするので、横着はいけません。


 この先林道は10kmくらい続いていると思います。しかもほとんどが雪まみれで。


 この沢の雪崩は大規模です。スノーブリッジも分厚そうなので、横着しましょうか。


 似たような風景の道を延々と歩きます。雪質が悪くなってきているのでつらくなっています。


 ここは洗くつされています。コンクリートの上を歩きます。


 斜面が雪崩れて、樹林が剥ぎ取られた痕になっています。新緑の時ここを見たら、きっと緑がきれいでしょうね…。


 ああ青がきれいだなあ(棒読み


 ここの崩落は激しい。ふうたろうが写真を撮っている崩落は、ほんの一部に過ぎません。


 ん?(・ε・;)
 ツルッ
 ヅドン!
 ボチャッ!!


 …そろそろ一回目の橋(人が作ったもの)が出てくると思うのですが。流されていなければ、ね…。


 どうやら流されていなかったようだ。


 道を埋め尽くす雪崩の痕。でも、雪崩れた痕なのでふうたろうがくらうことはありません。


 気温が上がって雪がぐずぐずになると、沈むんですよね…。いや、心がじゃなくて、足が物理的に。
 疲れたので座り込んでいます。


 このあたりの洗くつも激しい。


 そして、ここの道はほぼ跡形もなく崩れ落ちています。


 直ぐそこにたたき壊された砂防があります。


 この砂防を見て思うのは、流速を下げるのか上げるのか、判らないところ。中央に流れが集中すれば、流速(水圧)も上がる気はするけど、全体のエネルギーは若干落ちるのか?


 そこかしこに水たまり。水たまりの中にはサンショウウオか蛙か何かの、両生類の卵があります。


 ここも恐らく流れが変わっていると思います。元は右から左へ曲がっていたはずですが、あの3年前の豪雨で…


 やっと文明の香りのするところまで来ましたね。


 「あらはげばし」


 8年前に作られた橋らしい。この橋の下には古いコンクリートの橋がまだ残っています。


 小さなほこらがあります。


 ちょっとここで、フキノトウを、調査のために拾っていこうと思いました(130gほどにしかならなかったけど)。
 なぜここで取ろうと思ったかというと、2011年3月15日の水素爆発で飛び散った放射性物質が、その年の7月30日の豪雨で洗い流されたのだとしたら、汚染もなくなっていると思ったから。
 しかし、本当に汚染云々を語るなら、土壌を持っていって測る必要がありますね。


 しかし、下れば下るほどひどくなる雪質の道、いつまで続くんだ…


 と思ったら、ようやく雪かきされている場所へ!


 この護岸工事、異常と思いたくなるほど念が入っていると思いますが、それほどあの大水害は凄まじかったということなのでしょうね。まさにトラウマになって、人々をここまでさせるほどの水害だったと。
 でも、ふうたろうは、こんなことでは自然災害を制することはできないと思っています。


 …さあ、もう少しで国道289号線に出ます。


 あちらに家々が出てきました。


 国道289号線。ここでオーバーパンツやらを脱いで身軽になります。一瞬只見駅までタクシーを呼ぼうかと思いましたが、ふうたろうの登山は、里も歩いてこそ意味があることを思い出しました。


 これが今まで10km以上歩いてきた、ほとんど源流から歩いてきた、楢戸川。


 ここ、新しい橋の架け替え工事か何かをやっています。楢戸川の橋です。実は、3年前の濁流で破壊され、今もまだ復旧中という事態だそうです。


 畦にはカンゾウが芽吹いていました。これ、食べられます。が、人の土地に生えているものを勝手に採るわけには行きませんからね…
 なお、この只見町で採れたものでも、放射能検査をしてからでないと売ることができません(次の店の店員談)。もちろん、1kg集めなければなりません。山菜を1kg集める苦労は、さっきふうたろうが130g集めたフキノトウだけでも十分理解できます。
 ところで、東電(と国)は「自主検査については補償しない」という態度を取っているという話をあるところで聞きました。取引先などが検査を要求しているという条件が付かないと、確か補償されない、と…(何かの記事が見つかり次第どこかで載せたいと思いますが)。
 なぜ東電など加害者に補償の対象を決める権利があるのか、そもそも理解できませんね。


 しばらく歩いていると、いわゆる地元の産直売り場というか道の駅っぽいところに来ました。何か産直野菜でも買えるかと思って入ったのですが…、この周囲を見てのとおり、冬ですから、何もありません。そういえば、トウガラシが置いてあったので買いました。
 ふうたろうが入店したら若いお姉さんが出てきました。これまでの経過をお話しし、写真をお見せしました。30分ほど居座りましたかな…リポビタンDを2本飲みましたね。トウガラシ一袋よりも高いリポビタンDを2本も。


 さて、残りあと少し、駅まで歩きましょう。電車の時刻は正直何時なのか判りませんが、とりあえずあるものしか使えませんからね。


 ギラギラと輝く太陽の下に、浅草岳が頭だけを出しています。見事にテカッテカに輝いていますね…。


 もうすぐ只見駅。


 あと500mらしい。


 そして16時19分、駅到着。なお、小出方面の電車は2時間16分後でした(遠い目


 とはいえ、その2時間16分というのは決して余裕のある時間ではありません。ひとまず下山届を観光協会に出してしっかりブラックリストに載ってから、100円のレンタサイクルで買い物や食事に出かけます。当然、小汚いというより濃汚い装備を解除して。


 黒沢橋より下流側を。ここをあふれんばかりの濁流が満たしていたのですね。それが、3年経っても復旧に至らない現状に。


 ショッピングセンターで明日のメシの種を買っていきましょう。どうせ東京に着いても夜中ですからね…


 と、まあ、買い物は荷物になるので、先にチャリで散歩を。
 ここは、さっき下りてきた楢戸沢林道の入口(出口)です。チャリだとあっという間ですね(15分かからない)。


 正規の会津朝日岳の入口はどこでしょうか。「会津小林」の地図があれば判りますが、今は持っていません。そして、時間切れになったので、買い物して戻ります。


 昨日も今日も、長かった…。でも、これほど充実している時間はありません。昨日と今日で、下界で過ごす3年分といえばオーバーかな?寝ている間も瞬きしている間も、生きている実感を持てるのが山の中です。
 もっとも、下界のあれやこれやがなければ、そう思えないのかもしれないですがね…。


 只見駅前の山六定食という飲み屋で、観光案内所の人に勧められた辛子味噌ラーメンを注文してからチャリを返し、食堂に戻って食べます。なお、チャーシュー抜いてもらう手はずを整え忘れました(滅


 2時間16分はあっという間に過ぎ、東京へ戻ります。重い荷物を担いで。
 只見町は落ち着く町でしたね。会津朝日岳は登れませんでしたが、登山規制が解除されたら今一度、ゆっくり行きましょうか。それまでに他の4個は今年中に終わりますね。
 敗退山行ですが、一昨年の3月に行ったペテガリ岳東尾根の敗退よりはおもしろい山行だったと思います。


天気:快晴、東京では晴れ(福島県南会津郡只見町・東京都板橋区、JR只見線など)

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