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慌てる者の道は荒い(十勝岳・美瑛岳【白銀荘より周回コース】:北海道上川支庁)

2014年 5月 11日

 昨日は慌てて白銀荘に到着、チェックイン、そしてその後は片付けなどをバタバタやって、友人Iさんに挨拶すらまともにできないまま別れることになりました。当然、写真なんか撮っている暇もないと。
 というわけで、やっと今朝になって一枚目の写真が撮れました。窓の外には三段山が見えています。


 さて、朝飯のいつものチャーハンを作ろうか。50円で20分使えるガスコンロが設置されているので…おや。50円玉がないわ。
 ヌオッ(゚皿゚;)
 両替機がないじゃないか!しかもフロント閉まってるし。


 しょうがないので買いたくもない缶ジュースを買って50円玉を製造しました。スパイス類およびご飯があるので、安心安定のカレーチャーハンを食います。


 なんかこの施設、5時半か6時かにならないと、扉が施錠されていて出入りできないらしい。この北海道の初夏で、4時台出発とか当たり前なのに、そのシステムって、…まじオワッてるんですけど(じと目


 設備に問題はないのですがシステムは前途多難な白銀荘を、6時前に出ました。


 さて、天高く昇った朝日の方向に歩き出します。


 目指す十勝岳山頂は東南東方向です。しかし、上手く谷や急なガレ場などを避けねばならないので、さすがにまっすぐは行けません。


 夏道は雪に埋もれて見えませんので、方向感覚で進むしかありません。


 う~ん…参った。この左側(進行方向)は深い谷だ。


 上流側にいくか下流側にいくか。


 下流側は対岸も崖になっていてムリっぽい。


 とりあえず、河原(?)に下りたらなんとかなりそうなところが上流方向にありました。


 第一回目の徒渉、難なくクリア。


 さらに太陽に向かって進みます。


 広大な雪原と下界の畑作森林地帯、すばらしい眺めですね。


 このまま尾根を上に向かえば、方角的には確かに十勝岳山頂に至りますが、途中、毒ガスを発生させている噴火口があります。それが前十勝。


 とりあえず前十勝は迂回するしか毒ガスから逃れる術はありません。


 しかし、トラバースが徐々にきつくなってくる急坂です。


 これまで歩いてきた道は彼方森の奥に消えています。


 すばらしい眺めです。遮るものがありませんから。


 日はどんどん高くなります。雪が緩む前に一定のところまで進みたい。


 ふうたろうの歩んでいる場所は登山道とはかけ離れています(地図で見ると一目瞭然なのです)。裸地化して植物すら生えていない火山灰の足場はかなり歩きづらいですが、雪がたまに途切れていることがあるのでやむを得ません。


 石を飛んで進んでいます。今日のふうたろうはサブザック装備なので身軽スペシャルです。


 さあ、あちらの尾根までトラバースです。


 安心安定のシュプールですが、ここはかなりの斜度があります。アイゼンがガッツリ効く雪質だと楽ですが、変に沈む湿った雪になると非常に厄介になるでしょう。


 今日はそれでも荷物が軽いので、まだまだ、楽勝です。


 ふうたろうが歩んできた足跡がよく見えます。実に快適です。


 旭川市のある上川盆地から富良野盆地にかけての広大な大地が見渡せます。大きいですね…


 前十勝の噴火口から湯気が出ているのが判ります。


 この尾根を上がると噴火口の縁に至ることができますが、その先進めなかったら詰んでしまうのでとりあえずまっとうな人間の登山道を目指しましょう。


 あちらに堅実に生きる人々の道があります。


 でも、いい加減すぎるふうたろうの道はここにしかありません。


 遂に今まで見えなかった十勝岳の山頂が姿を現しました。


 でも、ちょっとその前に噴火口でも観ていこうかと思います。


 噴火口も小高くなっているので十勝岳の眺望はいい。


 ただし、あの火山ガスをまともに浴びると危険なので、風向などは自己責任で判断しましょう。


 ふうたろうの方に流れてはこなさそうなので、それでも注意しながら、火口を覗きにいきます。


 真正面の十勝岳。目の前に広がる雪原。


 火口の縁は雪がなくなっています。元々風が強く積もらないのでしょう。


 …。火口、あんまり大したことなくてザンネンの件。


 それに、十勝岳をこの写真右側から回って登るのは、火山ガスなどの影響上不可能ですね。


 あのごつごつした山は美瑛岳。2009年9月22日に肩を通過しただけだったあの山、今日は行きたいと思っています。


 十勝岳と前十勝岳の間にある広い窪みは、「グラウンド火口」と呼ばれているようでものすごく広く、確かにサッカーとか野球とかできそうです(笑


 そのグラウンドを横切って、直接あの尾根に取り付きましょうか。今日のふうたろうは荷物が軽いので何でもありです。


 とはいっても、100mほどの急坂が待っています。雪質も徐々に悪化してきています。


 やっと、まともな人生を歩む人々の世界に戻ってきました(黒笑


 ふうたろうは恐らく、未来永劫やることはないと思いますが、スノーボード痕のようなものがあります。


 そしてふうたろうは再び横着の道。


 今日はこの9日間でもっとも天気の良い日と言ってもいい。5日の天気も良かったけれども。


 そのため、日差しは猛烈です。出発の時に日焼け止めを塗っておきましたが、どの程度防護してくれるでしょうか。


 十勝岳の縦走路が見えてきました。あの広いところはガスったらけっこう大変なのでしたね…


 というわけで、十勝岳山頂到着。出発から3時間40分後の9時41分です。かかりましたね…


 十勝岳から南西方向。上ホロカメットク山や富良野岳の方面が見えますが、今日はこちらには行きません。


 ふうたろうが今日向かうのはこっち、美瑛岳方面です。


 では、行きましょうか。誰も行った形跡がないのが気にならなくもないけど。


 ここは濃霧時、厄介です。


 十勝連峰からは天塩岳もクマネシリも見えます。ただし、天塩岳は山頂よりも中腹くらいの方がよく見えましたかな。


 縦走路から見た十勝岳。初見ではガスっていたので拝めませんでしたね。


 ここ、確かにガスったらひどいのですが、別にまたキツいことがあります。


 とりあえず美瑛岳方面へ向かいますが…


 このウルトラデラックスハイパーぬかるみゾーンが鬱陶しいのなんの。雪よりも重い火山灰が靴底にベッチョリと…(滅


 美瑛岳が少しずつ近づいています。


 でも、雪のあるところないところ、ともにそんなに歩きやすいわけではない。


 この稜線に立つと、ニペソツなどの山々が見えます。しかし、その手前側にはまだふうたろうが下りたったことのない大森林もあります。トムラウシ温泉などに向かう林道などがあるところで、バスも7~8月にかけての1ヶ月間しか走っていないもので、恐らくふうたろうが使うことはないだろうと思います。トムラウシ、今思えばそれほどいい山だったか?と…ね?人多いし(滅


 雪の踏み抜きが始まりました。キツい。


 雪がハゲて登山道が露出しているところは、遠慮なく辿っていきます。


 振り返って十勝岳。


 このトラバースはけっこう鬱陶しい。


 いっそのこと、尾根に上がってしまった方が楽だと思います。


 しかし、あまり端に行きすぎるとヅドンするでしょう。


 うむ、十勝岳は手前の岩山のさらに奥でしたね。


 ここは1896mピーク。美瑛岳が圧巻。


 でも、雪庇の上には乗らないように。


 雪の状況がどうなっているか判らない場所は避けて通りたいもの。ここは尾根ギリギリでも良かったようですが、確信が持てなければすれすれの位置は非常に危険です。


 なんかこのあたり、小ピークがいっぱいあって位置が解りにくい。既にピークの数1つ数え間違えてたし。


 十勝連峰の縦走路、核心部ですねえ…


 美瑛岳南部の崩落地。落ちたら終わりですね…


 美瑛岳が近づいてくるにつれて岩場が多くなります。


 見えているのになかなか近づかない美瑛岳です。けっこうキツい。


 この辺りで初めてオプタテシケ山以北の縦走路が見えてきます。2009年9月21日、歩いたあの頃が懐かしいですな。


 スピード出しているのですが、遠いです。


 確実に景色には変化が現れているのに、遅々として進まない気がするのは、既に焦っているからなのでしょうか。


 オプタテシケ、トムラウシ、石狩などの各山々が見えます。みんな、行きましたねえ…


 この鞍部を越えたら美瑛岳です。しかし、また雪ヅボゾーンが…


 美瑛富士、オプタテシケ、その先トムラウシから大雪山まで、ずっと見えています。今日は5月にしては空気が澄んでいますね。


 ところで、地図ではあそこの岩場を右側に巻くようになっているのですが、道が見えませんね…


 こうなったら、直接岩と雪を登ってしまいましょうか。


 美瑛岳、最後の肩です。さあ、行きましょう。


 展望も抜群です。


 しかし、最後の最後までこの雪の付き方、雪質はイヤラシい。神経使います。


 それに、あの美瑛岳山頂右側のあの雪の付き方、最悪ですよ(じと目


 …と言っている間に11時57分、美瑛岳山頂到達。白銀荘出発から5時間56分。長かったね…


 展望の良さはいうまでもありません。


 ここで岩の上にカメラを置いてセルフタイマーで記念撮影もしましたが、ふうたろうは現れませんでした(何


 さ、時間も押しているので下りましょうか。


 美瑛岳西側の稜線上を歩いていき、途中からポンピ沢に下りるような道があるようですが…


 この辺りは雪少なめ。ムリに雪の上に乗って雪庇崩壊とかシャレになりませんから、おとなしく歩きやすい登山道を。


 しかし、こういう木が中途半端に出たところは不安心不安定の踏み抜き定番(滅


 で、これ、どこまで下ればいいんだろう。しかも雪質悪くて踏み抜きがひどく、精神力がどんどん削がれていきます。


 ウボァー(゚Д゚)
 ハイマツの中を歩く。でも、まったく快適な歩行とはならず。むしろ転倒して岩に肩をぶつけてひどい目に遭いました。


 そろそろポンピ沢に下りていく頃だと思いますが…


 こういう場所での位置特定は難しいですね。少なくとも、地形で判断して歩くことはできても、道を判別することは、地形図は不向きです。道の判別はGPSの方が遙かに精度が高いのです。


 おや?あそこ、道ですな。


 これを辿ればきっと下れます。


 踏み抜きは股下までという悪辣な状態ですが、それでも進むしかない現状ですが、辿ればゴールに行き着けるなら…


 ヌオッ(゚皿゚;)
 道が消滅した上に雪の崖…!?


 これから1時間ほど、めちゃくちゃ危険な雪の割れ目の近くを、ハイマツでクリフハンガーしていきます。そして、それが終わったらヤヴ漕ぎ。


 ポンピ沢の川辺までやってこられたのはずいぶん先でしたね。まじ死ぬかと思いました。


 すっかり昼下がりになってしまった美瑛岳山麓。本当はこんなつもりじゃなかった。


 道迷いの心配は微塵もありませんが、この先ちゃんと下山路を確保できるのかどうかが問題です。


 しかし、こうやって見るととんでもないところを下ってきたなあ、と…


 美瑛岳西部の稜線からこの足跡が見えていました。目下目指すべきはこの踏み痕だと思って歩いてきて、ようやく辿り着きました。


 う~ん、改めて、ムリせずにもっと下ってから回り込めばよかったなあ、と。時間的に余裕がないとこうなるのだと改めて反省。


 さて、あの雪の上を渡って、沢を越えましょう。


 美瑛岳を振り返ればけっこうな風景です。


 この沢、渡る場所を見定めないと苦労しますね。場合によっては雪庇を掘って進んだ方が速いとか?


 そして、安心安定のシュプール。


 美瑛岳の凜々しいお姿。


 ヌオッ(゚Д゚;)
 雪崩怖え!


 ヌオッ(゚皿゚;)
 オープンゲレンデ怖え!


 いつもの5月の鬱空に戻っています。


 おいおい、この雪トラバース、いつまで続くんだべ?まだ踏み痕とシュプールがあるからいいものの…


 ここで美瑛岳は見納めです。ばいばい。


 雪トラバースが終わりました。一安心です。


 ここを回り込んだら、地図を見る限りでは、ふうたろうの知っている場所に出てくるはず。


 富良野岳方面が見えています。


 通ったことはないけどここから白銀荘まではどうとでもなりそうです。


 しかし、人が全然いない。今朝はそれでもけっこうたくさんいたんですけども。


 正規の登山道がどこにあるのか判らない。方向感覚だけで突き進むしかないのが現状です。


 上りの時はもっと上を通っているはずです。


 どうもこの先(写真では左方向)は沢で崖になっているようです。徒渉点を探さないと…


 夏道が存在する以上、徒渉点はどこかにあるはず。上流にはないことが判っているので、下ってみます。


 うん、ここですな。


 雪解け水で水かさが増していますが、この程度、徒渉のうちにも入らない。さっさと渡りましょう。


 というわけで、白銀荘目指して歩いたら、ずいぶん上に出てきました。白銀荘の周りは迷いの森で、地形にも変化がなく、難しい…


 無事、バス停到着。15時44分到着。


 白銀荘。魚の腐った汁が付いたような靴および靴下を脱ぎ、着替えなどを預けていたザックから出すこと小一時間。


 昨日の夜は入らないままだった温泉に、今日は入っておきます。今夜は夜行列車で帰り、明日はそのまま直で出勤ですからね…。


 温泉から上がったら荷物をまとめて郵送の手続き。それが完了してやっと帰る態勢です。
 ところで、脱衣所でタイツを穿いたままズボンを穿き忘れてホールまで出てきてしまいました。荷物をまとめている最中に、着替えの入った袋の中にズボンが残っているのを確認して初めて気がつきました。
 ああ旅は恥のかきすて(滅滅滅


 17時40分の上富良野町営バスに乗って、運転手とマンツーマンで話しながら上富良野駅。ゆっくり走るバスでしたね。


 帰りは旭川駅で45分の待ち時間があったので何か食べようと駅の外に出ました。駅ナカのフードコートは閉まっていたのです。
 それほどガッツリ食べられそうもなかったので、軽食をと、禁じ手のロッテリアに入りましたが、15分以上待つことになりました。こういうときにイラついてはいけないのですが、なにぶん次の電車があるのでついイライラ。それでも店員の彼女らは非正規で働いている人々だろうなとか思っていたら、いつの間にか札幌駅に着いていました。
 札幌駅からはいつものはまなす号です。
 ふうたろうのように旅をできる日本人は、本当に少数なのでしょうね。日に二桁時間の労働時間で年中過ごす人はどれだけの数に上るのか、実態を見たこともないふうたろうですが。


 ふうたろう、何を焦っているのでしょうね。十勝岳と美瑛岳を登れたのはよかったのですが、転倒や道誤り、イライラ、何をそんなに慌てることがあるのでしょうね。そういえば、帰りのはまなす号でも車掌にイライラしていましたね。
 今回の北海道の旅全体を通しても、何となく慌ただしかっただけのような雰囲気をぬぐえません。もう少しゆっくりするつもりだったのに…
 明日は直の出勤。また下界の更なる不快感が待っています。


天気:晴れ(北海道空知郡上富良野町・上川郡新得町・旭川市)

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