Home > ふうたろう活動日記 > 夢のようなうつつ

夢のようなうつつ

2014年 9月 2日

 山元町役場の、代行バス乗り場より相馬駅まで行き、そこから20分程度歩いて、「野間土」という、道の駅のような場所に行きます。実は、ふうたろうもここの正確な意味を理解していません。今後の課題ということで許していただきましょう。
 ところで、代行バスの他にも相馬と山元町役場を結ぶ路線はあります。バスだけなら山元町役場から何本も出ているので、事前調査していれば余裕の旅ができるはずです。


 この野間土には、意外と地元産のものはあまりありません。しかし、それも理由はわかるはずですよね?


 ここには検査機器もあります。ベルトコンベア式の、全袋検査ができるタイプのものです。10秒で測定、確か、検出限界は25Bq/kgだったか。ただし、50Bq/kgを超えるものについてはゲルマニウム半導体検出器で精密検査をする、とのこと。
 どこかのブログか何かに、福島県は「10秒で検査を打ち切っている」というような、悪意のある書き込みがありました。打ち切っているのではなく、全部やろうと思えばそうするしかない。20分かけて検出限界を20以下にして、それを全部できると思っているのがそもそも間違いです。


 とはいえ、放射能の検出されたものを食べるのに抵抗があるのはしかたのないこと。そして、それを頭から安全と言い切るのが、推進側の勢力であることを考えると、説得力ゼロなのも仕方ない。


 しかし、それ以上に、生業を失い、丹精込めて作ったものが売れず、生活の糧を手にすることができないのは、放射能を拒否する人のせいではありません。100%、推進してきた政府と電力会社の責任。「想定外」の津波のせいで云々という言い訳を聞きますが、その想定外をちゃんと想定していた人はいますし、国会の中でもその想定外を指摘していた議員はいます。
 生業を失い、住居を放棄せざるを得なくなった人々の心まで補償することは残念ながら不可能ですが、推進した個人・団体・企業すべてで、相手が納得するまで補償するしかありません。
 …それが、自己責任の世界というものですよ。


 補償の額は青天井になるでしょうけど、自業自得。原発がいかに費用対効果の見合わないシロモノかを知ればいい。身銭を切るとなれば、原発なんて誰もやらないんじゃないかな。
 自己責任を謳う者ほど責任を取らない。
 愛国心を謳う者ほど愛国心のかけらもない。
 これらに関して異論は受け付けませんのであしからず(真顔


 と、まあ、棘のある話はその辺にしておきますか。
 これから、南相馬市や浪江町の視察に行きます。貸切バスで乗りあわせていきます。


 ナミエボウル。
 住んでいる人もいなければ、使う人もいない。そもそも、倒壊しています。


 建物自体は無事でも、人のいない住宅や商店。放射線の線量に関係なく、ここは立ち入りの制限されている20km圏内なので、こうなります。


 それにしても、バスで進みながらしか見られないため、まったくろくな写真が撮れません。特に、窓際にすら座れない人にとってはほとんど意味を成さないのではないかと思うほど。


 この風景、今朝、亘理町で見てきた風景にそっくりです。しかし、実際は似て非なるもの。ここは立ち入りの制限されている20km圏内。福島第一原発も、丘のむこうに見えます。


 津波で倒壊した橋でしょうけど、倒壊しただけなら再建できます。


 右側には瓦礫が積まれています。線量は0.4μSv/hくらい。意外と高くない。それでも、通常時よりは10倍はあるのですけども。ただ、線量の大小にかかわらず、ここに住むことはできません。


 これらの意味していることは、復興そのものが事実上不可能であることです。亘理町では、「工事が遅れていて」作付ができない、という話を聞きましたね?亘理の方も線量はそれほど低くないそうですが、農業は復活していますし、浜吉田駅前はふうたろうがダメージをうけるほど人がごった返していたわけです。
 原発のある場所、原発が事故を起こした場所というものの異質さは、まさにここにあるのかと思います。
 なお、20km圏外の南相馬市各地でも、農業復旧率は3.4%に過ぎないそうです。


 浪江町役場でトイレ休憩します。さっきの場所が最も原発から近い場所でしたが、今この場所に立っていても、放射能汚染地域にいる、という実感は正直持てません。まるで、夢でも見ているかのようです。
 目にも見えず、痛みも感じない放射線。微量の有害化学物質とも繋がる話ですね。


 バスの窓越しに、除染した田畑から出てきた汚染土を入れておく黒い袋がところどころに積み上がっているのが見えます。あれをどうする気なのか。一度事故を起こせばこうなる原発に、まだアドバンテージが有るというのか。


 最後は、それでも地域を活性化させようとやっている田んぼアートを見て終わり。もちろん、今日の視察の部の終わりです。
 ふうたろうはこういうアートにはあまり興味はありません。さっきの視察で現実をつきつけられながら学習するほうが性に合います。


 夜は相馬市に戻って、松川浦にある旅館に泊まります。暗くなったので写真はありませんが、その写真は明日に委ねようと思います。
 それにしても、もう一度言いますが、この現状見ても、まだ原発に部があると思いますか?いや、ためにする質問ですね。この3年で、多くの人は結論を出しているのだと思いますから。


天気:晴れ時々くもり(福島県相馬市・双葉郡浪江町、現・南相馬市一円)

Comments are closed.