Home > ふうたろう旅日記 > みんなの山(前穂高岳【重太郎新道コース】:長野県)

みんなの山(前穂高岳【重太郎新道コース】:長野県)

2014年 9月 13日

 昨日の特急あずさが、ガッツリ30分以上遅れてくれたため、寝るのがその分遅くなりました。それでも起床は4時25分ころです。ここで4時45分松本発の松本電鉄臨時快速便に乗っておかないと、登山者らしい登山開始時刻に上高地に着けませんから、これは義務なのですね…
 それにしても、この時刻の松本電鉄は登山者ばかりなので、ものすごく異様です。しかもかなり混雑しているという…(果てしなく遠い目
 上高地でコンビニ飯(滅)を食べ、水を汲んだらいよいよ出発です。


 今日はこれでも通常(週末)登山の一環なのですが、前穂高岳~槍ヶ岳の縦走を目論んでいます。問題は穂高岳山荘の向こうにある涸沢岳~南岳の岩稜帯の通過です。ふうたろうの110リットルフルザックで通過できるのかどうか、夏は体力のつくような登山がまったくできなかったため(雨のせいで)、このハードさに耐えられるのかどうか、不安ではあります。


 河童橋前です。ここで100円のチップを払ってリトルジョンを済ませておきます。


 河童橋は、普段なら朝飯時のこの時刻に、人が沸いています。まだ、ノーマル観光客はここには来ない時間帯だと思います。


 河童橋からは焼岳と梓川が一望。


 反対側を見ると、明神岳や岳沢方面がよく見えます。左側に続いている岩尾根は、2011年8月29日ころに、奥穂高岳から西穂高岳まで縦走していますね。


 明神岳や前穂高岳を巻くように流れる梓川。本当に青くて美しいけど、この山域のオーバーユースを考えると、汚染はすでに進んでいると思います。


 今日は岳沢コース。道自体は「重太郎新道」というそうです。14年前の9月に、寄せ集めメンバーで下った記憶がありますが、どんな場所だったか、意気地も体力も何もかもがゲロヨワだったふうたろうの脳みそには記録されていないようです。そんなの、登っていないのと同じですからね。


 誰かが一緒にいないと山に登れない、そんなことを当時は平気でほざいていたのです。山自体が好きなら、一人でも複数でも、関係なく行けるはずです。あの頃のふうたろうは、ただ誰かに依存したかった、誰かをそばにいさせるための口実にしたかった、本当に山をなめているカスみたいなもんだった…


 …今日の北アルプスの人出は、今年のお盆休みの人数の3倍程度に達しているようです。その中でふうたろうは一人というのを感じると、カスのようなふうたろうでなくても、なんとなく心が空っぽになるような気にもなります。ある程度は人間だから、しょうがないのかな。


 ふうたろうが人混みを避けるのは、人が嫌いだからではなく、人混みにいると強い寂しさを感じるから、なのかもしれませんね。なまじ、出会いや交流の可能性を残し、落ちるところまで落ちた状態ではなくなり、心がざわめく。


 …では、今一度、独り身で岳沢(だけさわ)に向かいましょう。もう、15年前のふうたろうじゃないんだからね!


 目の前の砂利道を作業用の軽トラか何かが通過していきました。さ、行こう。


 麓は薄暗い。これはいつものこと。むしろ、登山口から展望ばっちりとかだと、興ざめします。物事には順序があるのですよ。


 針葉樹林帯で特に暗さを感じます。


 カメバヒキオコシ(シソ科)でしょうか。ちょっとザンネンな写真ですね。


 道が舗装されてきました。登山者はそこそこいますが、写真に写り込ませざるをえないほどの人数ではないようです。


 これは、なめこですかね?採る気はありませんけども。


 これはテングタケの仲間でしょうか。そばを3人組の女性が通りかかって、何のきのこかふうたろうに聞いてこられましたが、ふうたろうもテングタケの仲間であることくらいしか判りませんでした。


 ここは天然クーラー、らしいです。さっきのきのこのところで言葉をかわした人だと思いますが、どこがクーラーなのか判らない様子でした。たしかに、気温そのものが低めですからね…


 人が増えてきました。写真をゆっくり撮るのも難しい。でも、優しくも待ってくださる人のほうが多いです。もちろん、迷惑をかけないようサクッと撮りますけども。


 そして、ついにガレ場に出てきて、展望が開けるようになりました。


 空の流れるような巻雲が素晴らしい。


 これはガレ場を主眼においた構図のつもりですが、しっくり来る構図が決まらない。


 浮石注意、だそうです。ヘタすると、かなり下の方まで岩と一緒に転がっていくことになりますからね。


 どうもこれらは西穂高岳の稜線のようです、が、ふうたろう、どこかこの場所を「しょせんは観光地」としてバカにしている風があったのではないかと思います。もちろん、登山の行為そのものをバカにしているわけではなくて、ね。


 後ろを振り返ると霞沢岳。そういえば、あの時も結構な混雑でしたね。2012年10月14日。あそこで出会った人いますね。


 見事なガレ場と岩稜帯です。北アルプス、しょせんは観光地、とはいっても…


 崩落地の際に咲くノコンギク(キク科)


 ヨツバヒヨドリや笹などが生い茂っている登山道脇から岳沢のガレ場と霞沢岳。


 あのジャンダルムは、100リットルのザック担いでも行けた。今回の涸沢岳~南岳はどうだろう…


 これはさっきのカメバヒキオコシでしょう。


 天をつくサラシナショウマ(キンポウゲ科)


 朝露をかぶった葉っぱ。


 ムシカリ(スイカズラ科)が赤い実を生らしています。


 やっと岳沢ヒュッテが見えてきました。上高地出発から2時間半。


 真ん中にあるとびきりデカいのはミヤマシシウド(セリ科)かな?そして、その周りを覆う菊っぽい花は、リュウノウギク(キク科)かな?
 セリ科もキク科も識別が難しいです。


 ヒュッテまであと少し。ガレ場からの風景は素晴らしいです。


 ガレ場から今度は稜線を見上げます。こちらもまた素晴らしい。


 岳沢ヒュッテのテラス。大勢の登山客がマッタリしています。


 玄関まで30歩
 ここでへばっていたら、この先、重太郎新道はもっと悲惨なことになるでしょうね…


 テラスからの展望は素晴らしい。岳沢ヒュッテ、稜線にあるわけでもないから大したことないと思ったけど、そんなことなさそうですね。


 もちろん、この岳沢ヒュッテがどんなに素晴らしくても、ふうたろうはまだまだ進まなければなりません。ヒュッテに泊まりに、遊びに来ることが目的なのでなければ、ね。


 小屋のチップ箱に100円を入れて、玄関のところにあった蛇口から水を汲んでグビグビして、出発です。
 …チップ箱があるってことは、「経費がかかるものなので協力してください」ということなので、みんなちゃんと払うんだよ?宿泊者以外は。


 再びガレ場を横断します。ここからはふうたろうも集団に混じっていくのかな。


 凄まじくいい天気です。こんな天気は8月5日の飯士山(新潟県)以来ではありませんか?


 ここにも水場がありました。しかも、無料で飲み放題です。悔しいのでここでも飲んでいきますが、ここの水のほうがうまくて余計悔しかったりします(←こら
 ところで、写真が斜めなのは、あまりの急坂でバランス感覚が狂っているからです(滅


 青天の行軍(一人だけど)、がんばろう。


 焼岳が右奥に見えています。標高はおよそ2350m。あれが目線くらいに見えるということは、そろそろそういう高さに達しつつあるということを意味しますね。


 でも、あんな遠くの山の高さなんて、あてになりません。ヒュッテがどんどん小さくなるばかりです。


 ふうたろうの周りには重太郎新道をともにする人々がいっぱい。坂はこれからどんどんきつくなるでしょう。ふうたろうにとってもそれは同様ですが、なんかこう、みんなも頑張っているのを見ると、血沸き肉踊りますね。


 ストックを突いて登ってきましたが、そろそろ手を使って岩を這い上がらないといけない場面が出てきました。ストックをしまいましょう。


 高さ10mくらいのはしごかな。キツいわけではありませんが、110リットルザックで重心が後ろにあるので、転がらないように注意です。


 周りには目指すところが同じ人がいっぱいいます。この景色を独り占めするのもありですが、みんなで見てもなくならない景色なら、みんなで見るのも素晴らしい。


 上の縦の写真と、この横の写真、どちらがいいでしょうか。はしごを登り切った場所からの展望です。


 しかし、遠く乗鞍岳などにかかっている下層雲と同じものが、穂高連峰稜線にもかかり始めたようです。


 2350mは越えましたね。地図に書いてある地名は、どこまで正確なのか判りません。位置的には「カモシカ平」と書いてある場所がさっきのはしごを越えてしばらくした辺りだと思うのですが…


 ふふふ…
 みんな空を仰いで、岩に這いつくばって、梯子をよじ登ってきます。
 きついけど、ふうたろうはみんなからすでに元気をもらっている気がします。みんな挨拶したり、話しかけたりしたら返してくれますから。


 この崖の途中に座れる場所があったので、ちょっと休憩してたけのこの里をイナヅマ食いしました。おそらく、たけのこの里一袋分くらいだと、この激烈な急坂と大荷物の場合、せいぜい30~40分歩くぶんのカロリーしか得られないでしょうけども…
 まあ、ふうたろうには周りのみんなからドレインすることだってできますけども(黒笑


 明神岳の稜線もガスってきました。こりゃ、ふうたろうが前穂高岳に着いた頃には(略


 焼岳の山頂はガスの中に入ったようです。


 西穂高の稜線も完璧にガスの中になりました。


 遠隔攻撃がダメなら接近戦で(何


 イワツメクサ(ナデシコ科)がいっぱいです。


 みんなドンドン来る来る。
 ここは、たぶん2505m付近だと思います。もちろん、半径100m程度の誤差はありますが。


 そして、ここが、岳沢パノラマ直下だと思います。もちろん、登っているときは脊髄で歩いているので、そこがどこかなんて気にせず、ただ景色と人だかりに見とれているのみです(←こら


 ヌオッ(゚皿゚;)
 完全にガスりました。前穂、こうなってしまったら、モチベーション下がるなあ…(じと目


 これ、ペンキでマーキングしてあるから道だと思えるんですよね。そうでなかったら、マジ、五里霧中どころじゃないし((((((((( ;゚Д゚))))))))ガクガクブルブルガタガタブルブル


 縦に割れた岩。どっちが新しい地層なのかな?


 岩場にそっと咲く、控えめなトウヤクリンドウ(リンドウ科)


 ん?(・ε・*)
 雷鳥広場って、岩に書いてある…
 なお、ここでこの先一緒に歩くことになる、KnさんとSgさんに出会います。Knさんは百名山を今年の夏にクリアしたそうで、今は百高山とバトルしているようです。


 Knさんたちとはひとまず別れて、ふうたろう、紀美子平にミサイルのように突き進みます。頭ぶつけないようにしないと(何
 そういえばここじゃないかな、15年前に下った時、怖かったところ。


 雷鳥広場から30分で紀美子平。ここまで来てやっと先が少し見える段階ですね…


 さて、荷物をほっぽらかして、前穂、パクりに行きますよ!


 そして、脱荷物宣言して前穂目指したら、調子に乗って走りすぎて、バテました(滅滅滅
 なお、ここで、北尾根と呼ばれるバリエーションコースから上がってきた夫婦が同着しました。ふうたろうもザイルを使うようになればそういう場所も行けるのでしょうけど、どうも、そういう山行はふうたろうの趣味とは違うようです…


 前穂の山頂からは、涸沢側の方だけ、景色が見えました。


 ま、このレベルだけどね(じと目


 前穂を再びダッシュで下っていると、Knさんがこれまたダッシュで登って来られました。後で聞いた話によると、それでかなりバテたそうです。
 お互い好きよのう(黒笑


 さっきまでいっぱいいた人も、このガスにモチベーション下がったかな?ほとんどいなくなっています。


 元気に咲く、トウヤクリンドウ。


 紀美子平に戻りました。さっきよりもずいぶん人は減ったかな。あれから小一時間経ってますしね。


 さて、ガスっていますがこのまま吊尾根をばく進して奥穂高岳に行きましょう。


 これはウサギギク(キク科)かな。


 鳥の城になっているような岩があります。


 上のアングルとこのアングル、どっちがいいかな。


 空は、ふうたろうが前穂を登り終えたら晴れてきた感じです。


 いやあ今日は素晴らしい天気ですなあ(ヴォー読み


 ミヤマアキノキリンソウ(キク科)でいいかな。


 ここで休んで行動食をイナヅマ食いしていたら、Knさんと、単独の女性のSiさんがきました。此処から先、一緒に行くことになります。


 天気は一進一退。まあ、どちらかと言うと、膠着状態です。


 これが北尾根というやつです。たしかにこちらはガスっていません。


 霧に霞む梓川。


 ワシントンDCから出張で来たというアメリカ人の女性がいました。日本語が上手です。北アルプスは高山ですが雨が多いため、緑が豊かだといいます。


 あれ、奥穂かな?Knさんは、あれが奥穂でなかったら、あれを奥穂に変えてもらう、とか(笑


 その、「奥穂」の最後のどんつき。鎖、いるようないらないようなレベルですが、ふうたろうは110リットルザックが後ろを引っ張ってくるので、部分的に頼りました。


 …思った通りの展開でしたね(真顔
 Knさんは叫んだかな?


 ガスりまくったこの向こうに、今度こそ奥穂高岳があるはずです。


 南稜ノ頭から6分。すぐそこに奥穂高岳の山頂が見えています。まあ、これなら叫ばなくてもいいよね(笑


 ガスにまみれた奥穂到達。上高地出発からほぼ9時間かかりました。遠かったですなあ…


 みんな、登頂の記念に撮影しまくりです。
 でも、このアングルで撮影すると、後ろにジャンダルムが見えるんだよね、ホントは。


 今回の目標は奥穂高岳ではありません。何しろ、これでもう4回目の登頂です。夕張岳に次ぐ多さです。いや、登頂数で言えば同じかな。
 ふうたろうの山は一期一会ですから、本来は…


 Knさんはまだ山頂近くで遊んでいたようですので、ふうたろうやSiさんは先に行きます。SgさんもまだKnさんと一緒かな。


 うっすら赤い屋根が見えてきました。


 今日の終着、穂高岳山荘です。ここも4回目ですね…。


 展望はいまいちです。でも、この山荘も、晴れると東西の眺望が素晴らしいのです。


 とりあえずテントを張りますが、通常のテン場はとっくの昔に満杯で、ふうたろうは展望台みたいなところの隅に張ることになりました。まあ、それがどういう結果を生むかは後のおタノシみですね(棒読み


 夕焼け雲の中にいるようで、景色が赤いです。
 それにしても、すさまじい数のテントと人出です。オーバーユースを肌で感じますね。
 ふうたろう、9月のこの時期でここまで多いとは、本当に思っていませんでした。


 小屋の中もすさまじい。いや、より深刻です(笑
 まるで収容所というか野戦病院というか、みんなの顔が疲れきっていないだけで、小屋がパンクしそうなくらい、人がひしめき合っています。このザックの数もある意味壮観です。


 テントに戻って寝る支度。曇っていた空が晴れ渡りました。21時近くなって、月が昇ってきました。涸沢カールなどが雲海になり、松本盆地の夜景が見えています。常念岳のシルエットもありますね。


 これは現像の仕方を変えました。もちろん、アングルも違いますが。


 びっくりするほど人の多い山行ですが、あまり嫌な気がしません。いつも一人(孤独)スタイルばかりなので、違うものを求めているのかな?
 明日は本番の大キレットですが、行けますかねえ…


天気:晴れ時々くもり(長野県松本市・南安曇郡安曇村・岐阜県吉城郡上宝村)

Comments are closed.