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天国と地獄との境界(三ノ沢岳など【麦草岳~福島Bコース】:長野県

2014年 9月 28日

 19~20時にはもう寝ていました。一昨日(昨日だけど)の夜は遅かったですからね…そして、よく歩いた(`・ω・´)キリッ
 食欲はビミョーだったのでスパムチャーハンを5分の4くらい食べて、残りは行動中にでも食べようと、コッフェルに入れておきました。


 出発は5時24分。ふうたろうにしては夜明け前、上出来の早さですな。そして宝剣山荘に向かうルートは、中岳の山頂を通るコースと西側をトラバースするコースとの2つがあるのですが、まだ通ったことのない後者を選びます。


 しかし、後者のトラバース道は岩場の険しい道です。あまり観光客向けではありません。


 夜明け前の西斜面はウスグラさ満点です。帰りは宝剣山荘から濃ヶ池経由で将棊頭山に向かうので、ここは通らないかもしれませんが、何かの縁があればまたこの景色を堪能するかもしれません。


 プチ登攀をしてやってきた宝剣山荘前。天狗荘もすぐ近くにあるけど、こちらは立ち寄ったことがあったかな…。


 宝剣山荘の小屋番の人に、荷物を玄関先の端の方に置かせてくれと願い出たら、食堂の片隅に置かせてくださいました。これが良くも悪くも、観光地クオリティなんだろうなと思います。


 御嶽山の噴煙は、一帯を覆っていた雲海が消失したため、際立ってはっきり見えるようになりました。噴火の様子を知らないふうたろうは、あそこがどんな地獄なのか、想像できる程度もたかが知れています。


 さて、三ノ沢岳に行くには、まずは宝剣岳を越えねばなりません。宝剣岳は立派な岩山で、油断すると何十メートルも、奈落の底を旅することになります。


 しかし、景色は折り紙つきです。


 崖から御嶽山がよく見えます。


 宝剣岳はおばちゃんたちの行列で大渋滞してしまいました。ふうたろう、さっき道端で、いつもの癖で知らない人に声をかけて話し込んでしまったので(真顔


 というわけで、宝剣岳山頂の岩を一瞥だにせず、三ノ沢岳方面へ特攻します。


 宝剣岳南側は、宝剣山荘側に比べると圧倒的に人は少ないです。でも、こちらはもっと道が険しいので、少人数でも渋滞します。
 まあ、こないだの涸沢岳~北穂高岳のおぞましさに比べれば、なにもかもへっちゃらですけどね(真顔


 はい、宝剣岳を抜けました。ここは三ノ沢岳の分岐です。


 では、サクッと行きましょうか。


 …サクッと行きましょうか…
 …昨日の疲れがとれきっていない(滅


 でも、景色いいですね。


 しばらく下りが続きます。サブザックなので負担も軽いです。


 …嫌でも目につく噴火中の御嶽山。あの火山灰の一部は、この周辺にも飛んできて、あたりが一瞬靄がかかったようになりました。


 三ノ沢岳への(本来)一本の道は、アップダウンを繰り返します。鞍部に到達してからが正念場でしょうね。


 谷には日が差していません。赤い川の谷間が見られるのは昼前になるでしょうか。


 最大ズームで御嶽山を見てみました。
 ところで、写真に写りこんでいるツブツブは何でしょうかね。他の写真にはないものです。虫か、火山灰(!?)か。


 この辺りも紅葉スポット。


 朝日が当たって綺麗ですね。


 ほぼ鞍部に到達したので、これからアップアップダウンですな…


 お約束の写真です(真顔


 ふうたろう、一本道なのに道を間違えてウボァー(゚Д゚)しました。


 尾根を乗越てまたダウン。


 山頂近し。けっこうきつい。


 三ノ沢岳、今日は一番乗りかな?


 三角点の横にある出っ張った岩に腰掛けると、御嶽山を含む西側の山々の風景が一望できます。こちらの天国、あちらの地獄、たかが30km程度離れているかどうかのあの場所と明暗を分けたのは何だったのでしょうかね。


 あの薄い雲のようなものも、火山灰ではないのかな、と思ったりしています。


 ふうたろうがマッタリしていたら、おっちゃんふたりがきました。


 合計40分程度、三ノ沢岳のところで過ごしていました。その間に御嶽山を取り巻く風向きが変わって、縦に伸びる噴煙が姿を見せるようになりました。多くの人を天国から地獄の底に突き落とした、噴煙が。


 では、そろそろ戻る方向で。将棊頭山、行くんですよね?一応、そういう希望は持って行きましょう。


 日が当たるようになり、緑に代わって黄色や赤が目立ち始めた山肌が浮き彫りになってきました。奥には空木岳や南駒ヶ岳が望めます。


 西寄りの風はいつの間にか北寄りの風に変わっているようです。


 2回目だという、山のお姉さんとすれ違いました。きつさを知っているので、と、元気に山頂に向かって行きました。若いっていいなあ(←ゴルァ


 行きは通らなかったモニュメント。誰かの慰霊碑のようです。何故かモンブランとか、外国の山で亡くなった人の。
 ふうたろうは、ひとまず外国の山に手を出す気はありません。


 黄葉に埋もれながら歩ける場所。岩とハイマツばかりの高山なので、こういう場所は案外少ないのです。2500m以下くらいに下がらないと、本気で美しい紅葉は見られないんじゃないかな。


 今日は雲が湧いてくる様子もなく、ひたすら晴れ続けています。


 紅葉の分布も綺麗に層状になっています。


 最低鞍部は2650mくらいの標高のようですが、落葉低木があって美しいです。


 帰ってくる頃には日も差しているだろうと思っていた伊奈川谷の紅葉(黄葉)、素晴らしいですね。


 しかし、天国と地獄を分ける線は、どこにもなかった。


 これから上り。まずは主稜線に戻りましょう。


 でも、脚が疲労しきっています。玉乃窪小屋経由でエスケープすることを考えますか。


 三ノ沢岳、終わりです。メインという感じがあまりしなかったのは気のせいか?


 すっかり日が当たって輝いている宝剣岳を通って、宝剣山荘の荷物を取りに行かないと…分岐に荷物を置いていたら、このままロープウェー、ということも考えましたけどね。


 肩から胸、背中にかけての疲れで、なんとなく吐き気のような感触があります。でも、何とかなりそうな感じですので、とりあえず行きましょう。


 宝剣岳の岩場。往来が激しいので時間かかりますよ、この通行は。


 岩にくっついている黄葉もまた乙です。


 御嶽山、目立ちますね。いやというほど、目立ちますね。


 今日、もし玉乃窪小屋から福島AあるいはBコースを通っていったとしたら、中央アルプスの山域で立ち寄っていない場所はこの千畳敷カールのみとなります。そして最期になめてかかって怪我するのですねわかります(棒読み


 三ノ沢岳往路の時はサクッと来ましたが、フルザックでは通過困難な芋虫通路です。この岩の外側を回れなくはないですが、危険きわまりないです。


 切れ落ちた滑川谷。宝剣岳は滑落で死者も出ている場所なので、油断大敵。


 宝剣岳山頂の岩の上に立つ人。腰引けてるよ(真顔
 黒いつぶつぶは虫が飛び回っているために写り込んでいるものです。


 この岩は、上がるのも大変ですが、降りるのもまた厄介です。間違ってもフルザックで上がろうなどと考えてはなりません(`・ω・´)キリッ


 見たことだけしかない千畳敷カール。沢のように付いているラインは遊歩道です。


 岩の上からの展望は最高です。さみしい時、かなしい時、ここに座って風に吹かれるのもいいかもしれません(何


 噴火の続く御嶽山。それどころじゃない、岩にへばりつく登山者たち。死んだら、どんな理由であっても、命を失うことは同じ。ただそれが、どの程度の理不尽さか、だけだと思います。


 生きている我々は、自分たちの人生を自由に生きる権利がある。30kmほどしか離れていないあの場所で、地獄絵図が描かれていたとしても。ふうたろうはこういう時、ある程度の「鈍感力」は必要だと思います。


 宝剣山荘に戻ってきたら、たくさん置かれてあったザックはほとんどなくなっていて、ふうたろうのフルザックと他少し残っている程度でした。だいぶゆっくりしていましたからね…。
 350円のグレープフルーツジュースをぐい呑みして、出発です。三ノ沢岳で出会ったおっちゃんたちがすぐそこのテーブルで休んでいたので、挨拶してお別れです。


 帰りもトラバースを使いましょう。岩場だけど上らなくていいなら楽です。


 朝の薄暗い景色とは打って変わって色鮮やかです。将棊頭山に行けないことはある程度わかっていたことなので、実は帰りでここの風景は撮り収めるつもりでした。


 このルートは上らなくてもいいですが、たまに鎖場や登攀(とうはん)の必要な場所があります。そして、指導標などはないため、観光客レベルの人がやってくることもあるようです。地図なしで、真剣に道を聞いてくる人がいて、ふうたろうは後に話す兄ちゃんと一緒に、首を傾げていました。


 これを見ると、「観光気分」では、ちょっと歩きづらいですね。でも、中岳を通過するより展望はいいかもしれません。


 もう、木曽駒ヶ岳に登ることはないでしょう。こんなこというのもなんですが、山頂自体はそれほどでもないと、ふうたろうは思います。


 頂上山荘の横のトラバース道を行きます。ここは通ったことあるので、本当は頂上木曽小屋のところのトラバース道を使ったほうが、ルートハンティングにはぴったりなのですがね。


 2011年9月に木曽駒ヶ岳に登った時から、あの三ノ沢岳は登っておきたい、そう思っていた念願が、今日叶いましたね。


 このトラバース道もまた、半分バリエーションです。滑落しやすいところもありますので、楽しようと思って行くと大変な目にあいます(フラグ?


 上松Aコースの尾根に至ると、木曽前岳(左)と麦草岳(右)が見渡せます。さあ、この辺りはルートが錯綜していて、どこを通るか悩みます。虚栄心の塊のふうたろうは、どこへ行くのかなあ(ヴォー読み


 玉乃窪小屋に着くまで、悩みながら進むとしましょうか。


 信仰の対象の山ならば、こういうものも多い。山には神社がつきものといえるほど、神社はどこに行ってもありますね。


 玉乃窪小屋と木曽前岳。なお、玉乃窪小屋はなぜか休みでした。


 玉乃窪小屋のところで、さっき話しをしていた兄ちゃんがおにぎりを食べていました。聞くところの話によると、今朝4時半に登山口を出てきて、上松Aコースを登って、今帰りらしいのです。凄まじい速さですね。
 で、ふうたろうはどこに行くの?ということですが、悩みぬいた結果、禁断の牙岩~麦草岳コースをエスケープルートとして使おうと思います。


 そして、出発。なんか、いきなりさい先悪そうな道が現れました。牙岩の南側につながるこのトラバース道は、25000分の1の地図には出ていませんしね。


 景色は折り紙つきですが、道の悪さは札付きです(じと目歯ぎしりヴォー読み
 なお、玉乃窪小屋からBコースに向かって下ろうとしているおっちゃんをひとり、このウボァー(゚Д゚)トラバース道より見かけました。


 この錦の絨毯を見よ!


 ここから見ても、どこを通って麦草岳に至るのか、まったく想像できません。これはマジでウボァー(゚Д゚)コースを選んだかも。


 でも、この魔性の光景はたまりません。


 おそらく、この道には悪魔が棲んでいると思います。


 木曽前岳が被っていますが、黄色の裾をまとった木曽駒ヶ岳は素晴らしい。


 42分ほどかかって牙岩の手前に至りました。かなりヤヴがウボァー(゚Д゚)していたので苦労しましたが、なんとか到着。


 木曽前岳の西側からも降りてくることはできるようですが、以前確かめた時、猛烈なヤヴだったと記憶しています。


 さて、難所と思われる牙岩を越えます。でも、景色もかなりすごいと思います。


 赤がほしい?
 いや、なくても十分すぎるほどです。


 影のついた木曽前岳。木曽前岳も展望の良い山です。でも、あの時はガスっていたかな…。その前の時(高校生)は、みんなグロッキーで…


 ところで、牙岩の通過はかなりヤヴァい。これまた出っ張った岩にフルザックが引っかかって、進めない、戻れない!
 ん?(・ε・;)


 なんか、岩場の反対側に道があるような…


 ヌオッ(゚Д゚;)
 景色もそこそこいい、10秒で通過できる巻き道が、岩の南東側にちゃんとついていました。ザックを引っ掛けながら歩く必要はまったくありませんでしたし、牙岩の景色を楽しむなら、上まで登ったら戻るべきでしたね。


 さて、次は牙岩から続く崖道です。なんか、ふうたろう、さっきエスケープするとか言っていたような気がしますがどこのことだっけ(遠い目


 ヌオッ(゚皿゚;)
 幅30センチほどの砂でできた細い尾根というか突起物というか、そこを通らなければなりませんでした。両方とも崖で、崩れたら終わりの世界。この道が通れなくなるのも時間の問題かと思います。というか、フルザックで来たくないし(じと目


 エスケープとノタマッていた割に、今日一番の見せ場はこの景色かもしれませんね。麦草岳までの地獄ルートに、噴火中の御嶽山。


 ここから先、砂地の崩落地が続きます。西側が切れ落ちているので、警戒怠らずに。
 なお、さっきのような砂地の細い道(崩落しかけの道)は、さっきのところともう一箇所、あったと思います。


 ここもえぐれた北股沢谷。これほどの険しい谷が出来上がるまで、いったい何万年を要したのでしょうか。


 そして、最凶にデインジャラスなのがコレです。下ってきたところですが、クサったハシゴが掛かっています。コレを使わないと、先へ進めません。


 しかも2連とか、過ぎ去ってからでないとマジ笑えない(ガクブル


 牙岩が右奥に見えます。
 上のハシゴは崖の上にかかっているものなので、力をかけすぎてヅドンしたら、奈落の底に直行です。その点下のやつは、落ちるだけで済むかもしれない。どちらにしてもカンベンしてほしいけどね(じと目


 ものすごくきれいな黄葉の景色ですが、間違い探しのように同じ光景を何度も見ると、(Θ_Θ)どよーんしますよ。


 クサったハシゴを過ぎてすぐ、ちょっとした上りがあるのですが、ここ、砂地の上に踏み跡がついていて、それに従ったらコレまたまじヤヴァい。天空の蟻地獄です。貼り付くように砂地を登って、なんとか上まで来ましたが、砂地がずれたら奈落の底に直行です(ガクブル
 手間でも、東斜面のヤブっぽいところを歩いたほうがいいかもしれません。


 ほら、2枚前の写真とほぼ同じ…(じと目


 しかし、この道、ちっとも進まねえ…(アヴラ汗
 ここ、エスケープどころか、より強敵じゃないか(目から血


 指導標はゼロです。踏み跡っぽいところを探し、進行不能な場所に当たったらまずそこは間違いだと思って引き返し、一歩引いて先を見ましょう。草やぶなどに隠れた道が見えるかもしれません。


 あれが麦草岳…だといいな(棒読み


 何枚目?三枚目?いやもっと(ヴォー読み


 縦にしてみよう。
 しかし、麦草岳手前の急坂から見る木曽駒ヶ岳の風景は秀逸です。ふうたろうのコンディションというか、逃避行がヴォー読みなだけで。


 よく、紅葉の風景は鮮やかに撮られることが多いですが、目で見た感じはこのくらいです。コントラストや彩度を上げると、もっと鮮やかになるのですが、写真をあまりいじりすぎるのは好きではありませんので…


 あの奥真正面の山がおそらく将棊頭山だと思います。おそらく、濃ヶ池経由で進んでいたら、今頃茶臼山を越えて下り始めていると思いますねー(じと目


 もうすぐ麦草岳山頂、やっとおぞましい崩落地の尾根を越えたと思ったら、ウボァー(゚Д゚)が。


 ハイマツのウボァー(゚Д゚)が。


 麦草岳の上から見る木曽駒ヶ岳より、さっきの上り坂から見る景色のほうがずっと素晴らしいです。その代わり、これまでのヤヴをウボァー(゚Д゚)しなければなりませんが。


 この尾根を下っていくのかな。


 右奥に麦草岳山頂標と思われる棒が見えます。


 …。
 天候不順の夏、そして一転して好天続きのこの3週間ほどの週末、久しぶりの紅葉の当たり年、土曜日、正午直前…。
 やっと晴れて、紅葉を楽しみたいと思い、たまたま御嶽山を選んだ人達が集まった。なぜ、噴火はこの時を狙った。


 到着した麦草岳。知っている人も、正直少ないのではないでしょうか。八ヶ岳の麦草峠なら知っている人はいるでしょうけど。


 ん?(・ε・;)
 地図をよーーーーく見てみると…(昭文社の山と高原地図)
 麦草岳の駒石と福島Aコースは繋がっていませんでした。25000分の1の地形図だけを見ていたふうたろうは、ハマりました(滅滅滅滅滅滅
 このまままっすぐ下山すると、上松Bコースをたどることになります。まあ、通ったことない道だけどねー(ヴォー読み


 というわけで、麦草岳さんこんにちはお久しぶり(真顔


 ふうたろうの持っていた古の25000分の1地形図には、駒石より7合目避難小屋までのルートは記載されていません。昭文社の地図には駒石より福島Aコースのルートが記載されていません。まともに考えて、どっち信用したらええねんと。どちらかがウルトラDXヤヴ漕ぎゾーンなのは間違いないわけだし。


 しかし、もはやここまで来ると、何でもタノシくなってきますな。妙にテンションが高いですよ、今。


 ああ紅葉が綺麗だなあ(棒読み


 そして、駒石から迷った時間含めて36分で、7合目避難小屋。そういえば、ふうたろうが玉乃窪小屋からのウボァー(゚Д゚)トラバース道より見かけた、福島Bコース方面に下り始めたおっちゃんは、もうとっくにここを通過したのですかね。


 ところで、この指導標は4枚ですが、ここ、叉路
に見えるんですよね。降りてきた駒石方面、玉乃窪小屋方面、福島Aコース方面は棄却できたけど、あと2つ。


 とりあえず、小便でもして考えよう。チップは忘れずにね(黒ハート


 避難小屋の観察もしていこう。ふうたろう、心に余裕はあるようですからね。
 これ、玄関と暖炉。ここで語らうと愛が芽生えるに違いない(何


 寝室は2階建て。ここまじで素晴らしい小屋ですぞ。ただ、便所が冬に使えないのは残念ですな。


 さて、地図は間違いなく尾根伝いに道がついていますし、実際尾根伝いに道があるようにも見えますが、正直者のふうたろうは階段の付いている道を進むとしましょう。
 え?正直者は馬鹿を見る


 耐えました。ちゃんとつながっていました。ふつうの道(福島Bコース)に。


 小屋を出発して19分で6合目。


 さらに12分で5合目。コースタイム1時間のほぼ半分です。いい調子ですな。


 でも、時間の方ももう16時をとっくに回っているので、いい加減ですよ。


 ハシゴが壊れた上にぬかるんでいる場所があります。なんか、さっきからハシゴネタが多いですな。こういうところは、慌てず慎重に。


 4合半のところには力水とかいう水場があるらしかったのですが、発見できませんでした。というか、しようとも思わなかったけど。それより、このように谷間に突っ込んだので、ウスグラさ満点なのですよ。急がないと、渡渉点通過が日暮れに間に合わなくなっちまうぜ。


 5合目から29分で4合目。正直、この下りはかなりきついです。テンション上がっているのに、さっきほどのスピードは出ません。前傾姿勢で、膝に負担がかからぬようにしているつもりで突っ走ってきましたが、いやいや、長い長い。


 4合目から6分で渡渉点。たった6分しか経っていないのかと、改めて驚きです。でも、猛烈なスピードで来たことは確かですね。


 水量はとても少ないです。靴を脱がなくてもサクサクっと渡れます。顔洗って出直しましょう(違


 渡渉しきったところで、本気で沢で顔とメガネを洗ってから、廃スキー場に下りにかかります。車道はあまりタイムを縮められないポイントですが、すでに日暮れまで30分程度のはず。安全はほぼ確保されているとはいえ、急ぐべき時刻ですからね。


 渡渉完了(16時50分)から15分でスキー場跡まで来ました。


 下の方にスキー場中央棟の廃墟っぽいのが見えます。


 そしてさらに5分、福島Bコース登山口に到達。7合目避難小屋以降、ほぼコースタイムの半分ほどの時間出来ています。いい感じですな。


 でも、ふうたろうの山行は、少なくとも公共交通限界地までは続くのです。そして、このまま行ったら、その限界地である大原上バス停到着は18時を回るでしょう。1日4便しかないバス停に、そんな時刻のバスがあるとは到底思えませんからね…(目から血


 おや?あの車は誰のだろう。仙台ナンバーでしたが、宮城県から登りに来たのか、それとも、大震災の被災者でこの近くに避難しているのか…
 どちらにしても、この持ち主は、まだ山の中に…?ちゃんと降りてくるかな…


 ちょっと気がかりだけど、まさか、トラバース道から見たあのおっちゃんじゃないよね?ふうたろうよりも先に下っているよね?


 このスキー場、潰れて何年経つんだろう。スキー場は、自然破壊の象徴であると同時に、国民生活破壊の象徴だとも、ふうたろうは思っています。アベノミクス(この言葉自体、反吐が出そうです)の成長戦略とは、誰が成長するためのものなのかを見ておきたいものですね。


 ペンション(?)があります。どういう目的の人が泊まりに来るんだろう、と思いますが、犬もいるし、自販機も生きているので、経営はしているのだろうと思います。


 この中央棟、廃墟です。なんだか、さみしいね。


 水を汲む場所があります。上りの時であれば、ここでグビグビしていくといいでしょう。でも、ふうたろう、さっきのペンションのところで缶ジュースをグビグビしてしまったので、要らなくなりました。


 あ、砂で埋まりきったダムだ。浚渫(堆砂を掘り出す)しようぜ。地元建設業者も潤うし、それこそ防災にも役立つと思うし。砂防ダムは、埋まったまま放置していてもダメなのではなかったか?


 もう、日は暮れました。ふうたろうの脚も、さすがに限界ですぞ。


 あと少しで大原上バス停です。もちろん、別荘地の地図にそんなもの書いてませんけどね。


 とりあえず、やるだけのことはやった。公共交通限界地まで、歩きましたぞ。タクシーを呼ぶ準備でも…
 ん?(・ε・*)


 18時32分に…バス、ある!?
 え?まさか…(冷や汗


 おいおいおいおいおいおいおいおい!!!
 ホントに来たぜ!バス!!ふうたろう大感動!!!
 エスケープ、成功じゃないか(ぇ
 しかし、このバスの中で、運転手に、御嶽山の現実を聞かされました。心肺停止状態の人が31人。行方不明者が43人、だったかな。心肺停止…!?昨日の昼の事故だよ?あれから30時間も経っているんだよ?


 木曽福島駅前の食堂でえび天そばを食べ、隣の土産屋でクッキーを買って帰ろうとしたら、レジのところに信毎(信濃毎日新聞)の号外が置いてありました。さっき、運転手のおっちゃんに聞かされた通りのことが書いてありました。
 どう考えても、史上最悪の事故になるでしょう?最低でも31人は…すでに亡くなっている人も4人。
 …なぜ、噴火はこの時を狙った。


 帰りは終電でした。塩尻を20時8分に出る最終のスーパーあずさ新宿行き。きっと、御嶽山からこれに乗って帰る人もいたはずなのに…
 帰りの電車では放心状態でした。ふうたろうのFacebookには多くのコメントが入っていました。返信するも、顔文字なんか入れる余裕はほとんどありません。下山報告はいつもどおりやろうとしましたが、あまり明るくは書けませんでしたね。
 でも、ふうたろうはこれからも山に登ります。東日本大震災の後、ほんの少しひるんだ瞬間があってもすぐに山に戻った(300名山撃破に向かった)ように。生きているみんなには、自由に生きる権利があると思います。サバイバーズ・ギルトを感じる人もいるようですが、御嶽山で多くの人が犠牲になったのは、誰のせいでもない。
 …ましてや、隣の山で、何の関係もなく遊んでいたふうたろうには、そんなサバイバーズ・ギルトを感じる資格もないと思います。
 紅葉、綺麗だったよ。38km以上、歩いたよ。いい山だった。今年の山行の中で上位3位に入るほど。


天気:快晴(長野県上伊那郡宮田村・木曽郡木曽福島町・上松町・駒ヶ根市、JR中央本線など)

  1. 好漢(ハオハン)
    10月 2nd, 2014 at 07:56 | #1

    素晴らしい山行だったようですね。特に後半の本格的エスケープルートは、生きてる実感を湧き起こす描写です。御嶽噴火のことは敢えて言いません。受難者の冥福を祈るのみ。
    腐ったハシゴは最大の難所ですね。怖いよ、そんなとこ。同じ怖さでも蟻の戸渡りの方がまだ度胸で渡れそう。フルザックでそんなとこ行くんだね、ふうたろうさん。
    7合目の避難小屋、きれいですね。こんなとこ泊まれると幸せだろうな。
    そして最終バスに拾われる、まさにラッキーボーイ。おめでとさん(笑)
    楽しく読ませていただきました。ありがとさん。

  2. ふうたろう
    10月 3rd, 2014 at 08:06 | #2

     好漢(ハオハン)さん

     本当に、驚異的に素晴らしい山行でした。天気の良さ、人との交わり、コース選択(結果論)…
     ラッキーボーイ、ですか。あえて言うなら、山に登り続けられることこそ、ラッキーなのかもしれませんね。

     いつこの日記が停止するか解りませんが、その時まで、よろしくお願いします。

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