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70万円?

2007年 3月 23日

 まず、今日の怒りの一言。昨日告示された知事選挙。マスコミが勝手に叫んでいる二大政党「制」に世間は踊らされているようですが、その踊りに一人70万円以上もかかっている事実は驚きでした。
 石原都政で、オリンピック関連、外環道などの公共事業で、8.5兆円が費やされようとしているといいます。東京都の人口は確か1200万人。生まれて間もない赤ん坊から、年金生活のお年寄り、末期ガンで苦しんでいる病人まで、全都民をあまねく含めて、平均して70万円の負担になります。…。
 どこかで、ワーキングプアとか、健康保険証の取り上げとか、産婦人科の消滅とか、聞いたことあるなぁ。…理由は、金がない(石原氏の場合は、自分のこと棚に上げて「福祉は贅沢」と宣った)?
 東京都民は、この事実を突きつけられても石原慎太郎に投票するんだろうか。それとも、宮城で同じことをしてきたという浅野氏に入れる気だろうか。前も述べたけど、吉田万三氏を推薦した共産党に向かって、「共産党は一緒に浅野を応援すべきだ」などと言っている奴がいるらしい。昨日のタバコの件といい、唖然とします。

 右の写真はなんだと思いますか?(読んでいる人にだけ問いかけ)
 答えは、ピペット。ポリエチレン製のピペットを誤って乾燥機の中(80~90℃)に入れてしまい、ご丁寧に網の跡がついてしまったのです。ポリエチレン(スーパーのポリ袋、家庭用のゴミ袋、ダイオキシンのでないラップなどはだいたいこれ)の耐熱温度は80℃程度。沸騰したお湯の中に入れただけで変形します。
 タッパなどの容器に使われるポリプロピレンは120℃くらいまで耐えられるようです。お菓子の袋なんかもポリプロピレンである場合が多いようです。最近は「プラ」の表記しかなく、判別が難しくなっていますが、気にしてみると、意外と勉強になるし、プラスチックにも色んな種類があることに驚きます。そして、きっと「燃えないゴミ」として捨てられているプラスチックゴミのことを再考できると思います。

 帰ってきたら21時半。メシを食いながら、生化学の分厚い教科書を眺めていました。
 遺伝子組換えの除草剤耐性作物の話がありました。モンサント社が出しているラウンドアップレディという作物(ナタネ、綿花、トウモロコシなど)は同社が出している「ラウンドアップ」(成分名グリホサート;Glyphosate,除草剤)をかけても枯れない作物です。グリホサートは、その反応機構については知りませんが、5-エノイルピルビルシキミ酸-3-リン酸合成酵素(5-Enoylpyruvylshikimate-3-phosphate synthase:略称EPSPS)という、植物が必須アミノ酸や補酵素、その他さまざまな微量化合物を合成するのに必要な酵素の働きを弱めます。
 そして、教科書にはこう書いてありました。

『カラー生化学』(西村書店、2003年5月15日第一刷)581-582ページより

 …ほとんどの豊作(ママ、「農作」の誤りだろう)植物および雑草植物の成長(ママ)は、ラウンドアップとして販売されている効果的な広範囲の除草剤である、グリホセート(ママ)によって阻害される。バイオテクノロジーの最近の成果は、グリホセートに抵抗性を与える遺伝子の農作植物への導入である。…(略)…こうした改良があって、雑草管理は簡単で効果が高くなっている。農地に噴霧すれば遺伝子組換え作物の種以外の植物をすべて排除してしまう。

以上、引用終わり

 情勢は変わっていますね。最後の「農地に噴霧すれば…すべて排除してしまう」というのは、既にグリホサート耐性雑草の出現で現実のものではなくなっているようです。また、有機ナタネを栽培している農家に対する被害や、安全性などの問題も解決しておらず、人類の成果としての技術のバイオ企業による独占(特許)についても考えていかなくてはなりません。
 そこで、常に弁証法的に物事を考えなければならないはずの生化学者たちが、こういう記述をしていていいのだろうかと思いました。2000年頃に農学部の教授からグリホサートの有効性について教えてもらったときも、僕は、「耐性が生まれることはないのですか?耐性が生まれるようなこの農薬依存の農業に展望はあるのですか?」と詰め寄ったことがあります。教授はだいぶ困っていたような気がしますが、あれは自己矛盾への困惑だったのか、僕の詰め寄りに面食らっただけだったのか、今となってはブラックボックス。

 僕は化学が好き。でも、化学が好きなだけじゃダメなんだ。常に真実に忠実でなければならないのは当然ですが、他分野の学問に対して相対的にその学問を見、人の幸福を願う人権意識を持ち、そのために活かすことが大事なんだ。自分の専門に固執して、人の幸福のために活かす広い見地を持てないことは悲しいことです。ましてや、水俣病や原爆症などに見られるような、事実をねじ曲げてまで保身や利権に手を染めるなんて、もはや人として失格ですよね。
 この前「教育再生会議」で野依さんというノーベル化学賞を取った人のことを書いたけど、科学者として、本当にこれでいいの?

天気:晴れのち時々くもり(東京都板橋区・茨城県取手市)

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