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半信半疑、抗ガン剤問題

2007年 4月 2日

 今日は本当に書くネタがありません。印象的なことと言えば、昨日から続く筋肉痛くらいですか。

 右に掲げた本は、この前裏磐梯スキー場の休憩室で読んでからちょっとずつ読んでいた本で、抗ガン剤について書かれています(船瀬俊介氏)。前にも少し紹介しましたが、極端で、僕は一歩引いて見ています。
 この本は同じことを何度も書いているので中身の割に分厚く、実はまだ5分の3ほどしか読んでいません。それでも、要旨は何となく解りました。

  1. 三大療法(抗ガン剤・放射線・手術)はダメ
  2. 三大療法は「ガン・マフィア」が儲けるためにある
  3. 代替療法で免疫力を高めよ

 …というところでしょうか。他にもあげられると思うけど、もういい。

 抗ガン剤については、僕もちょっとだけ勉強したことありますから、理解できます。
 そして、製薬企業によるデータねつ造も、あながちウソとは思わない。…ここまではいい。でも、3番目の「代替療法」がやっぱりどうしても気になる。
 免疫力を高めるために、ストレスをなくしたり、食生活を調えたり、タバコを控えたり、さまざまな生活習慣や心の持ち方を変えたりするといいといいます。著者も、ここでやめておけば、僕もそれなりに納得はしました。
 でも、ホメオパシー、プロポリスやアガリクスなどの健康食品への信仰が出てきた時点で、落胆しました。著者は「ガン・マフィア」というけど、健康食品だって僕は似たもの同士だと思うから。

 これ以上はちょっと専門的になります。クドいの好きな方はどうぞ。

 アドリアマイシン(ドキソルビシン)という抗ガン剤が、スーパーオキシドアニオンラジカルという活性酸素を連鎖的に発生することを、大学院のときに勉強して知りました。パラコート(メチルビオロゲン)という除草剤も活性酸素の連鎖的な発生で植物を枯らしてしまいますし、人が自殺するのにも使われてきました。抗ガン剤の活性酸素と除草剤のそれが本質的に違うとは僕には思えません。放射線も同じです。遺伝子に対する毒性はダブルチミンやヒドロキシルラジカル(活性酸素の一種)の生成として語られています。だから、抗ガン剤や放射線が、かなりの場合で有害であることは理解できます。
 一方で、健康食品でガンを抑えるというデータは、この健康食品ブームのさなか、まともなものはないといいます。藤竿一郎さんという方がそういう系統の本を出されているので参考にするといいと思います。
 ホメオパシーに至っては、一粒のレメディ(テンサイ糖の粒)の中に、目的の分子が一つ入っている確率が、天文学的レベルで低い。
 そもそも、ホメオパシーは、体に毒になる成分を1000000(100万)分の1から10010000分の1(1の下に0を100万個付けた値)くらいまで薄めて、患者に投与するものらしいです。想像が付くかどうか…。毒の成分なんか、植物1kg採ってきても、ものによるけど、数mgくらいでしょう。10mg入っているとして、目的の毒成分の分子量が100g/モルとしても、植物全体の濃度は0.1ミリモル/kg。0.1ミリモルというのは、6.02×1019個の分子の粒の数と同じです。念のため、100=1×102、10000=1×104です。これを1020分の1(レメディでいえば、20x)に薄めたとしたら、0.602個。つまり、1kg中0.602個の目的となる分子が入っていることになります。個数に小数なんかないので、1kgの薄めたものを手に持って、その目的成分が入っている確率は約60%です。しかし、実際のレメディは1gにも満たないくらい小さなテンサイ糖の粒。その粒一つに含まれる確率になると、一粒1gあるとしても、0.06%。1年365日、1日3回一粒ずつ使って、1095粒。1年使い続けて、目的成分1分子に出会えるか出会えないか。まさに博打の世界よりも怪しい。
 僕の知り合いにはこのホメオパシーを信じている人がいますが、その人にはあえて僕は何も言いません。しかし、僕は曲がりなりにも科学を目指す人間。断じてこのようなものは認めません。
 …「ガンマフィア」という著者。確かに抗ガン剤で多数の人が亡くなっている事実はあるでしょう。でも、非科学にまで手を出すのはやめるべきだと思うのです。僕がここで日記を書いているような立場とは違います。理性と道理を以て、社会の矛盾に立ち向かって欲しい。
 とはいえ、僕は、当たり前を当たり前として終わらない考え方は大好きです。この前はつい「思考停止」などと書いてしまいましたが、著者がより深くものを考えてくれることを願ってやみません。

天気:くもり(東京都板橋区・茨城県取手市)

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