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命の沙汰も金次第

2007年 5月 19日

 今日はいつもと同じくらいの時刻に「出勤」です。いや、正確には、僕の職場での仕事に大いに関係する、「食糧主権」を訴える国際フォーラムへの参加です。
食糧主権宣言(案)(農民運動全国連合会)
 「食糧主権は、すべての国と民衆が自分たち自身の食糧・農業政策を決定する権利である。」と、農民運動全国連合会の『食糧主権宣言(案)』では書かれています。今、WTOとか、FTAとか、EPAとか、とにかく、経済連携という名で、あらゆるもの(人でさえ!!)を輸出入自由化しようとしています。でも、これが、自由だなんて、話を聞けばウソであることがすぐに解ります。

 今日のフォーラムには、韓国とフィリピンの人がパネリストとして来ておられて、100人(以上か?)の聴衆を前に、パネルディスカッション。
 フィリピンの話。バナナのプランテーション。ミンダナオ島に31000ヘクタールのバナナ畑。ここはデルモンテ傘下のフロレンド家というのが3分の1~半分くらいを占めているそうです。栽培には農薬が大量に使われ、そこに従事する農家の女性は子供が産めない、奇形の子が生まれる、ガン(肺)、などに苦しめられているそうです。あろうことか、裁判で明らかになったことだそうですが、フィリピンでは使用が禁止されている農薬を使っているとか。
 …こうして作られたバナナを、日本などに輸出し、一本数十円で買っているのです。給食にだって出てきます(僕の時はそうでした)。
 これが、食糧主権に基づいた農業といえるのか。フィリピンの人たちが好き好んでこういう農業をやっているとでもいうのか。死人や病人が出ているのに?
 なお、このフィリピンで、このフロレンド家と闘っていた団体のリーダーが、暗殺されたそうです。日本の、長崎市長射殺事件や加藤紘一衆議院議員実家焼き討ち事件などを彷彿とさせます。金のためなら、自分たちの身勝手な思想のためなら、何でもやるのです。これが、経済界や政界で権力を握る者の実態。
 こういう社会に対して、フォーラム主催側から、このフォーラム締めくくりとして、「ある国が無法な弾圧などを加えている場合、各国の連帯で、無法な政治を国際的に包囲する」(ニュアンス)、と訴えました。各国の自主性を尊重しつつ、いざとなったらいつでも助ける用意がある。そんな関係が見て取れる。まさに、食糧問題をも超えた、「主権」尊重の態度だと思います。
 フィリピンのバナナなんてほんの一例でしょう。プランテーションなんて、発展途上国では日常茶飯事。
 念のため、「プランテーションをやめれば、プランテーションで働く人々は飢え死ぬぞ。」というのは、ナンセンス。その人々のことを考えるならば、農業技術、食糧援助など、本当の意味で援助すればいい。相手の望む形で助けるのが本当の優しさ(相手の要望を誘導するのは論外、念のため)。安く買い叩いて、一部の資産家だけが儲けるシステムを作っていることこそ、最大の「飢え死に」の原因です。

 帰り、本屋で「薬理学」のテキストを探しました。ピンからキリまで、2000円台から16000円くらいまでするものまであります。当然、高いものほど情報量や挿絵、カラーなどが充実。子どもの小遣いじゃ、本気で学びたくても、10000円は手が出ねぇや。それでも、医学系の学生はこんな本を必修で買うことになってるんですよね。
 …命の沙汰も金次第、そして、学びの沙汰も金次第。奨学金150万円くらいを返して金欠気味の僕です。ふぅ。
 あと、帰ってから、半年くらい放っておいた『にがい涙の大地から』(海南友子)のDVDを見ました。慰安婦問題、水俣病問題、原爆症問題、その辺の話と構図がそっくり。いつまでも被害者の尊厳を傷つけ、彼女・彼らが死ぬのを待っている責任者。このDVDは、中国に日本軍が捨てた毒ガス兵器で事故に巻き込まれた人々のドキュメンタリー。
 被害者や遺族は、金を積まれても死んだ父親は戻ってこない、広島の毒ガス兵器を作っていた島を見に行ったときに、原爆で亡くなった人たちの写真を見て、(亡くなったり、傷ついたりした人たちのことが)忘れられない、すべて日本の侵略のせいだ。そして、こんな辛いのはもう私たちでたくさんだ!と言っています。
 「金が目的だ」(慰安婦・水俣)、「自虐的だ」(慰安婦)、「報復だ」(イラク戦争など)、なんてことを呑気に言っている誰かと違って、人の辛さや痛みをよく解っています。僕からいわせれば、自国民の命を守ることも他国民の尊厳を回復することも出来ない人種の方が、よほど「非国民」であり「売国奴」であり「反日」であると思います。国際連帯までして世界中の人類が飢餓や貧困から救われるために努力している人々を弾圧・殺害するような人種こそ、本当に反社会的です。恥を知れ。

天気:くもり一時雨(東京都板橋区・豊島区・茨城県取手市)

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