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君の伝えんとするは何?

2008年 2月 14日

 火傷の傷跡がまだ痛むので、左の靴下を脱いで作業していました。
 …今日も農薬の抽出。4件で、少なかった。昨日、僕がトラクターを見ている間に、がんばってくれた仲間がいたんです。そのがんばりがなければ、今日11件やっていたことになるのです。大変なことですね。
 夕方、見学者の方々が。特別、化学の知識などがあるわけではないようでしたが、メモ取って、写真撮って、見える位置に立ち回って、熱心でした。…が、何より、僕の靴下に目が行ったようで、ブロッコリーの重さを量っている横から、靴下の履いていない左足の火傷のことを聞いてきました。もちろん、飯盒をひっくり返して湯を被ったことを正直に話しました。…けど、飯盒という単語が通じなかったような。GC/MSよりも、この靴下のない足の方が気になったそうですね。

 夕方、3月15日の講演ラッシュで、主任以外の分析センタースタッフにも依頼が来ることになりました。Sくんは既に行くことになっていましたが、僕は決心が付かず。一番の理由はその日に入っている学習会なのですが、それと同じくらい二の足を踏む理由があります。
 それは、「食のプロ」として講演をやってほしいということ。「食のプロ」?僕は食のプロなんかじゃない。自分で何が解っているのかさえ解らないほど、食のことなんか解っていない。僕は化学が好きで、下手の横好きで適当に色んな本を読んだり、ちょこちょこ出掛けたりしているだけです。主任は、「俺は分析をやっていて見えてくるものがあるから」と言いました。僕が分析をやっていて見えてくること…って何だ?「君にしか言えないこともあるはずだと俺は思う」とも言われた気がするけど、何だ?
 話が前後しますが、「輸入食品と食の安全」について話をしてくれということでした。…輸入食品が安全かどうかなんて、分析してても解らんよ。ただ漠然と、国産のものに比べたら、安心でないことが思えるくらいですよ。残留農薬の分析をしていて、今や店に売られているものを当てずっぽうに買って分析してみても、違反品が見つかるなんてほとんど無い。農薬以外ではどうか知らないけど、「輸入品=危険」という図式は最初から、無いんです。
 ただし、輸入品の安全性を高めたのは、分析を続けてきたことです。冷凍ほうれん草のクロルピリホス違反事件で輸入食品に対する規制が強くなったのは、間違いなく、分析をしてきたことでした。そして、それと連動する運動の結果でした。漢方薬やベビーフード、フライドポテトのジャガイモ、そんな特殊な加工品の残留農薬の存在を暴露したのは分析という作業でした。
 こんなにも解っている?それとも、こんなことしか解ってない?アホみたいに悩むおいら。
 ああ、そうです。要は、余計なプライドを捨てることですよ。それから、風呂敷を広げすぎないこともあるかも。解らないことは解らないと言えばいい。後で調べると言えばいい。あるいは厳しく、「調べてみて」と言えばいい。何より、自分がみんなに知ってほしいことを考えればいい。
 …でも、それって何だ?漢方薬やフライドポテトが有害であるってのを言いたいのか?どうも違うようです。
 じゃ、輸入食品が安全ではないと言うためには…?という前提が違うということ?じゃないね。
 僕は今まで日記に色々書き込んできた中に、その「知ってほしいこと」は無いか?何が起こるか解らないという、人工の化学物質の存在について、挙動について、使用について…。僕は、論文や新聞で、化学物質に関する事実のほんの一部を知っているのではないか?何より、化学の好きな僕は、化学物質を見てその動きにいつも照準を合わせているんじゃないのか?
 …だとしたら、その化学物質のことを話せるのは、僕の職場に限れば、僕だけかもしれない。化学物質の不確定性という最大の不安事項を。
 苗場山頂でスクラロース入りのドリンクを飲んだだけで、その挙動を気にした僕に言えることは何?「害が見られない程度の微量の化学物質なら毒性は気にしなくていい」という意見に妙に反発を覚える僕に、言えることは何?原因確率論(原爆症の)に苛立ちを感じている僕に、言えることは何?
 で、輸入食品にこれだけ頼っている日本が考えるべきことは、何?僕が伝えたいことは、何?

 とりあえず講演は断ったけど(学習会の方に行きたいから)、学習会でどのみちメタミドホス(に関連すること)を発表することになるだろうから、よく狙ってやってみるがいいさ。僕自身が何を本当に伝えたいのか、を。
 …何だろうなぁ…。

天気:快晴(東京都板橋区・埼玉県所沢市)

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