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毎日毎日農薬とともに

2008年 2月 26日

 何気に、毎日日記のネタを考えながら、写真まで撮るのは大変です。特に、疲れている時なんか、シャッター押す気にもならないし、ネタも浮かびません。
 今日は、昨日から続けている、添加回収試験。サンプルに加えた農薬がちゃんと抽出できているかどうか、の試験。75%~120%の間が、概ね合格なのですが…。


 フラスコにこびりついているものは、リン酸カリウム塩と食塩が殆どです。珪藻土カラム(バリアン社の『ケムエルート』)を通せば普通は水分と一緒に除去できるはずなのですが、うまくいきません。もちろん、他にも水分を除く方法はあるのですが、うまくいきませんでした。
 そして、GC/MSの機械に入れて、分析の段階になっても、真の値をはじき出すのは本当に難しい。純粋な有機溶媒(アセトン)に農薬を溶かした時と、米の抽出液(溶媒はアセトン)に農薬を同じ量溶かした時とでは、はじき出される濃度値はがらっと変わってしまいます。ひどい時は4倍とか差が出ます。だから、上手くやらないと、回収率400%とかいう怪奇現象になってしまうのです。その「上手く」というのは…けっこう面倒くさいですが。
 …昨日、朝出勤してきたら、部品の一部であるフィラメントが切れていました。このフィラメントは、本当に電球のフィラメントのようにくるくる巻いています。それは質量分析計(MS)の心臓部なのですが、それが息絶えていたのです。1200時間も使ってりゃ、そりゃ死にますよね。
 わが職場施設も、GC/MSを導入して早1年半。話に聞いていたほど扱いは楽ではありませんでした。権威も金もある施設では、こういう機械が何台もあって、更に高性能で、人員も豊富だったりするそうです。だから、1台が不具合を起こしても、他ので補えるでしょう。僕らからすれば、理想的で、とても贅沢です。
 でも、いくら「手段」を持っていても、「行動」を伴わなければ、それはあまり意味のないことなのかもしれません。わが職場は、公定法にがんじがらめにされる必要もないし、いざとなれば駆け込み寺としての役目も果たせるし、自由な調査活動だって出来るのですから。データを自分たちで作り出せる(捏造するという意味じゃなくて)のは、何よりの強みですから。
 給料が、同じ業界の中では安い方で、人員的にも少なくて、機械も十分買えなくて、施設自体もそんなに広くはないけど、自由な発想で物事をやれる方がいい。社会を前向きに変えていけるほんの些細な一撃が出来るだけで十分です。
 …あのギョウザ事件以来、ちょっとそういうことを考えるようになりました。

天気:くもり時々晴れ(東京都板橋区・埼玉県所沢市)

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