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死の灰の痛苦

2008年 3月 1日

 やや寝坊して、あわてて出発の、ビキニデー初日。豊島原水協(原水爆禁止日本協議会)の人たちと一緒に行ったはずの焼津駅は、既に東京駅から一緒の人がかなりいたのでした。そして、それよりも先に来ていた参加者が、またもや道路の半分を埋め尽くしていました。
 寝不足が続いているのに、僕はこれから「トレーニング」もどきをやる羽目になるのです。


 久保山愛吉さんの遺影を先頭に行進。愛吉さんが永眠されているお寺まで、歩くのです。これは、ただのデモ行進ではない。


 お坊さんたちも、核兵器廃絶のためにアクションを起こしています。それぞれの人が、やれることをやる、やりたいことをやる。それでいいのです。それ以外に言うことはない。僕は前から後ろから、いつものように行進隊を追いかけて、写真を撮る係(?)です。


 こんなところに、ビキニデーのポスターが。
 でも、町中でこのポスターをほとんど見かけない状態こそ、あとで、「大変異常なこと」であると知ります。


 色あせたポスター。もう、安倍晋三元首相は、半年も前に辞めているんです。
 理由は何にせよ、「安倍首相」はもう存在しない。


 うたごえの人たちが、「広島のある国で」「青空」「ねがい」などの歌を歌っています。ここはもう、久保山愛吉さんのお墓の近くです。


 久保山愛吉さんがいるお寺。混雑と段取りの悪さであわてていたのとで、寺の名前を確認すらしなかった、罰当たりです。
 参列者の多さをそれでも撮っておこうと、すぐ裏の山の階段を駆け上がりました。


 献花する人たち。これに「~系」というセクトは本当はないはずですが、挨拶に来ていた政党は、僕の知る限り、共産党だけでした。社民党や民主党は、来ないのですか?それとも、呼ばれなかったのですか?あるいは、1954年3月1日の第五福竜丸の被爆を知らないのですか?


 この言葉に、何か怨念やイデオロギーを感じるとしたら、それは自分の性格を疑った方がいいと、僕なら思う。僕がそう感じるとしたら、疑う。今日はまだ健康だったので、そうはならなかったけど、ある時、いつそういう斜に構えた態度をとるようになるか、判らない。
 なお、この思いは、原爆症で亡くなった人たちにも共通することで、「こんな辛いことは私たちで終わりにしてほしい」だそうです。報復しても何もならないことを、被害者である彼らが誰よりも知っているのです。
 重要なことなので、誰もが肝に銘じることだと思います。


 お昼には、焼津市内の漁港近くにある、「かどや」食堂で、「のどくろ」という魚の煮付けを食べました。底魚のようで、形態的に古代のにおいがします。でも、味は絶品。今朝取れたてなんだってさ。
 ビキニデーの日にあわせてくれた、そう思っておこうかな。実際、今日がビキニデーで混み合うことを、店のおばちゃんも言及していましたし。


 海鮮丼を頼んだ人もいました。1500円という値段で、ボリュームもすさまじいので、僕はパスしましたが、今日は「のどくろ定食」を、この混雑の中で完食でき、かつ具合も悪くならずに過ごせたのです。すばらしいことです。


 かどやから、焼津市民文化センター(だっけ?)まで、徒歩40分くらいでしたか。小石川(二級河川)にはフナが橙色の口をぱくぱくさせていて、歩きながら「おぞましい」やら何やらの暴言を吐いていた僕でした。


 会場です。外観。そんなに混雑していないように思うでしょ?


 ホールは満席。僕は、少し話を録音しましたが、エナジードレインを食らいました。あえなくリタイヤ。静岡農民連のブースの横で床に座って数十分寝ていました。


 大石又七さんは、ビキニ環礁の水爆実験による被爆を乗り越えて生き残ってこられた中の一人です。肝がんも経験していて、死の灰によるものだろうと考えているそうです。
 原爆症が1%以下の認定しか受けていない事実と、大石さんたちのように核実験の被爆で体を蝕まれた人がまっとうな待遇を受けていない事実は、ほぼ起源を同じくするでしょう。日本政府その他、核を必要とする勢力がどうしてそんな事実を認めるでしょうか。
 差別の目から逃れ、日米政府間の、わずかながらの米国側からの見舞金(200万ドル)で政治決着がはかられ、焼津の魚は売れず、非道が当然のようにまかり通ってしまいました。
 被爆したのは第五福竜丸だけではありません。他にも数百隻、数万人の被爆者(船)がいるにもかかわらず、差別の目を逃れるために、みんな口をつぐんだのです。
 核の価値が、この数万人の被爆者の命や権利よりも大きいのか?


 夜、「青年の集い」が終わってから、静岡市(焼津市ではない)の飲み屋でMeeting。つまり、宴会です。馬鹿話もできるし、そうでない話もできる。僕はなにげに、一人の知り合いもいなかったけど(2回だけ会ったことのあるMさん以外は)、余裕です。
 …それでも、寝不足とダッシュの撮影、それからアドレナリンを枯渇させるほどの話はずいぶん疲れました。夜中1時前までの交流は楽しくはあったけど、体力的にはだめみたい。


 静岡北ワシントンホテルプラザ。部屋は個室でした。そして、インターネットのLAN線があって、おかげでこうして日記も書けます(超眠いけど)。


 感心したのは、ここ、あの使いづらい歯ブラシセットやひげそりを使うのかどうかを、客のチェックイン時に確認していたこと。無駄なゴミを減らす努力だそうです。もちろん、経費節減にもなる。
 歯ブラシやひげそりくらい、自分で持ち歩いた方がいい。


 初のビキニデー参加でした。新しい友達ができ、新しい知識が生まれ、その意欲も湧いたのです。体力限界に近いですが、とりあえず、成功といってよいでしょう。
 明日は大丈夫かな…。

天気:晴れ時々くもり、日和雨あり(静岡県焼津市・静岡市)

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