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化学ポテンシャル

2008年 4月 19日

 今日は、予定どおり休日出勤。…といっても、休日出勤の手当が出るわけではありません。すべてが自主的に行われるもの。これが損得勘定だけで動けばいいかというとそうでもなし。実際、僕が行くことで誰かが助かっていることもあり、逆に行かなくて誰かが苦労することもある。
 …ということです。
 今日の出勤は、行って良かった…かな。殆ど会場設営だけで終わってしまったという感がなくもないけど。


 ところで、今日は班会というには人数がいなくてどうにもならなかったんですが、気心の知れつつある(とようやく気がつき始めた)仲間たちと話をしていました。
 3月30日のM青の幹部会議の、その煮え切らない思いを遂に吐き出した!
 …何でもない。
 Sくん:「むしろ、君と同じ考えを持っている人も多いと思うよ。」
 Tさん:「今だからいうけど、あの会議は前向きだったという意見があったよ。」


 結局、色々一人で悩んでいても見えていないことが、これだけあったということでした。あの30日の会議の時に言われた「視野が狭い」「議論のしかたが下手」というのは、そういう意味で当たっていたかもしれません。
 良く考えてもみれば、相手が何と感じようと、それがたとえ一面的だと言いたくなろうと、相手の感じた事実に対しては謙虚になってこそ、でしょうな。あの時は呪殺されたくらいひどい精神状態でしたが、SくんとTさんに話してみれば、本当に、微々たることです。これなら、あの出来事も受け入れられそう。

 で、何で今日の題名が「化学ポテンシャル」なのか。
 実は、人間の成長というものが、実に発エルゴン反応に似ているからです。
 発エルゴン反応とは、熱力学的にエネルギーを放出する反応。つまり、自発的に起こる反応です。
 ところが、発エルゴン反応であっても、必ずしもすんなり進むとは限りません。例えば、砂糖は火を付ければ焦げて燃えてしまいますが、そのまま空気中に何年放置しても炭化することさえありません。それは、発エルゴン的であっても、その反応速度が遅いからです。その速度を決めているのが活性化エネルギー。火を付けると、活性化エネルギーの山を越えて、二酸化炭素と水に燃えてしまうのです。
 実に、火を付けるという乱暴なやり方は、生き物の体の中で同じことをやれば、生物体の崩壊を招きます。そこで生物は酵素を持っています。酵素は、物質に活性化エネルギーを越えさせるのではなく、活性化エネルギーを下げてやるのです。そうすれば、火を付けなくても、人の体温37℃付近で反応が起こります。当然、発エルゴン反応によるエネルギーの生成は変わりません。
 今日、こうやって話をしていると、僕は高い高い活性化エネルギーを一人で越えようとがんばっていることに改めて気が付きました。熱力学的に言えば、無謀。そして、むりやり火を付けるような真似をすれば、身体を壊し、目的としたものとはまったく別の結果を生んでしまうかもしれません。砂糖は燃やせば二酸化炭素と水と熱にしかなりませんが、酵素の力を借りれば、ATP(アデノシン三リン酸)という、生命エネルギーの通貨と言わしめるほどのものを特異的に、かつ素早く作れます。
 今日、僕が2人からもらったものは、間違いなく、"酵素"の力です。とても独りでは越えられそうもない活性化エネルギーを下げてくれる、究極の触媒です。

 酵素の反応化学は、特異的で即効性が高く、調節可能なのが特徴です。僕たちは、みんな化学ポテンシャルというエネルギーを持っている。その化学ポテンシャルは物質によってすべて違い、どんな物質へ進むかも違います。しかし、火を付けて燃やせば、概ね行き着くところは同じ、二酸化炭素と水、則ち、死んだも同然になるのです。
 事実だから、合理的だから、それだけで人の生き方を決めることは、多様な化学物質をひとつの酵素、あるいは加熱などの単純な方法だけで目的物質を作ろうとしていることくらい馬鹿げているのです。化学ポテンシャルの減少する方向(意思)が正論だとすれば、活性化エネルギーを下げるのは周囲の支援です。そして、その化学ポテンシャルは、殆どすべての物質が持っています。
 僕には、その化学の合理性が、人の成長と実に重なって見えてしかたがないのです。
 常識がないとか、大人になれていないとか、自己責任だけを問う哲学はもう終わりです。エネルギーの高低だけを見て化学反応を語るのが馬鹿げているのと同じように、「人の正しい道」とやらであれこれ正論ばかり述べているのもばかばかしいのです。その正しい道は、周囲の支援無しには難しいどころか、殆ど成し遂げられないのです。
 …政府・自民党などが述べている道徳観も同じですね。反応速度論を無視した熱力学者と同じく、盲目です。
 科学に基づかない理論と行動は、思わぬ方向、時にはまったく逆方向に物事を進めるのです。

 それにしても、こんな風に考えたこと、一度もなかったな。難解なオパーリン語と熱力学の理屈に、こんな所で助けられるとは…。

天気:くもりのち時々雨、朝のうち晴れ(埼玉県所沢市・東京都板橋区・豊島区)

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