エンゲルスの髭
風邪が治らない。
夕方、お使いがてらに、商店街まで野菜を買い出しに行きました。所沢にはまともなスーパーや商店街はないのです。コープは前も書いたとおり、寂れた雑貨店。
買った野菜は、アシタバ、オカヒジキ、エノキタケ。
アシタバもオカヒジキも、生協にはないね。
これは、エンドスルファンという農薬(殺虫剤)のマススペクトル。この前は、バカボンのパパの鼻毛程度で済みましたが、塩素の数が6個にもなると、組み合わせが多様になって、こんなになってしまいます。これは、バカボンのパパの鼻毛どころか、エンゲルスのヒゲ。
この解析作業を繰り返すとなると、ぞっとします。まだ、折り返し地点。あと40~50個くらいの物質の解析が残っています。おもしろい、を通り越して、集中力が失せます。パソコンの動きは悪いし。
ふ~、
おいらは、いったい、何をやっているんだろうか。
さんざん、農薬抽出の速度を上げてきて、労働強化を図ってきたけど、結局それは、自分を楽にするよりもむしろ、自分を部品みたいに扱うようになってしまいました。
ううん、最初から、部品です。資本主義的生産の、宿命。
僕が今日、「あーでもない、こーでもない」と言ってやっていたマススペクトルの解析も、機械に任せれば、文字通り機械的に処理できます。オペレータSくんのやっていることは、僕には、機械的に見えます。
…これが、生産手段の発展による、労働強化の実態です。僕みたいに、マススペクトルの知識がなくても、動かせてしまう。そして、マススペクトルを読むという労働価値が大幅に下がったのです。
やりがいなんか湧くはずないよね?
そして、中途半端な知識でぶつかっていけば、レベルの高い敵に当たります。この前のブロマシルやエトフメセートに始まり、今回のエンドスルファンも、本当に解析できているのかどうか、怪しい。
本当は、労働強化なんて言っても、同じ商品を作れているとは限らないんだよ。小規模で、専門的で、泥臭くて、時間がかかって、同じものなんて2つとなくて…
…そういう生産と、機械的な生産が、同じなもんか。誰でも同じ結果が出る分析と、プロがやらないと上手く出てこない分析が、同じなもんか。
分析だけじゃない。ウナギの蒲焼きも、陶器の茶碗も、登山靴も、デスクトップのパソコンも、夜食べたスパゲッティペペロンチーノも…。
「便利になる」
これは、労働者、消費者のためなんかじゃない。そう見せかけて、労働力の再生産にかかる費用を安く、少しの労働力から多くの「同じ」商品を作るためのものなのさ。
本当、何やってんのか…。資本主義の歯車に巻き込まれているだけじゃん!
奇しくも、マススペクトルはエンゲルスのヒゲでした。エンゲルスの…ね。
天気:晴れのち一時雨、雷を伴う(東京都板橋区・埼玉県所沢市)