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ドラクエ登山(朝日連峰主脈コース:山形県)

2010年 7月 18日

 3時半に起きました。予定通りです。以東岳のご来光を見るつもりで。
 …しかし、既に東の空は明るくなり始めていて、その時点で諦めの早いふうたろうは、メシとトイレ。
 実は、ふうたろう、ご来光を山頂で、というこだわりは殆どありません。富士山なんて、ご来光のためだけに、あの大渋滞に耐えたり、夜中にしんどい思いだけして登ったりするなんて、ふうたろうはできません。
 …という軟弱哲学で、以東小屋前からのらりくらりと朝日を見ます。


 夜中、晴れたり曇ったりを繰り返していた模様です。そして今は雲量のやや多い晴れです。


 昨日の夕方すっかり話し込んでしまった新潟のTさん、千葉のNさん、時々話していた宮城の彼(名前聞き忘れたのでMさんとする)。
 みんなそれぞれ朝日を楽しんでいたようですが、ふうたろうは黙々と、出発の準備。
 そして、4時45分、出発。


 以東岳に向かって歩き出します。小屋が離れていきます。みんな、お先に。


 空には絹雲がたくさん。まだ完全に梅雨明けしきっていないという感じです。でも、絹雲きれい。


 まだ日の当たらない朝日連峰主脈。北東斜面は雪がまだまだ残っています。真冬はいったい何メートル積もっているんだろう。そして、どうやってこの数ヶ月でその大量の雪が溶けきるんだろう、いつも不思議に思います。


 以東岳の山頂にはろくな標がありません。まあ、一応通らないと縦走コースの先に進めないので、必然的に通ることになるという感じで。
 ただ、この山頂の展望は抜群です。朝日でも夕日でも何でもバッチリ見られるでしょう。昨日の雷雨の時にここにいたらどうなるか知らんけどね。


 左に小さく以東小屋が見えています。山の大きさを感じます。雪渓も残っていて、あれが水源になります。ありがたし。


 さて、誰も来ないし、先に進もう。Tさん、準備早かったし、来るかと思ってたけど…。


 以東小屋の影。


 ん?
 何やら頭上に細かい雲が…!?
 この雲、この稜線上で湧いているようですぞ。


 とりあえず、以東岳を背にして前進。


 雲多めの晴れ。5時台の太陽がキラキラと輝いています。


 遙か続く朝日連峰。大朝日岳が豆粒のように小さく見えますが、いったいどれという感じ。嗚呼、気が遠くなる…。


 清々しい草原地帯…
 …といいたいところですが、空は変な雲がかかって取れないし、地面は土壌が流出して剥げまくっているし、なんかさっきから無性に気分が悪くてしんどいし、ゲッソリ。


 (゜Д゜;)
 まるで呪われた城の上にかかっている雲だ(何


 元はこのような美しい草原だったに違いない。それを思うと、残念でなりませんね。


 ニッコウキスゲの美しい草原。本来なら極楽です。…が、今は気分が悪くてへたり込んでいます。さっきから見えていたTさんやNさんがふうたろうを追い越していきました。


 遙かなる草原。プリンペランを飲んで再出発です。


 ふうたろう、あのふたりに追いつくことは、もうできないのか。


 以東岳方面は相変わらず雲が覆っています。


 進む先も暗雲の下のようです…。


 しかし、この小さな池塘のあるところで、6~7人グループの人たちと話をしているTさんNさんがいました。
 …どうやら追いついたようだ!


 ここから、Tさん先頭に歩く3人パーティのようになりました。ふうたろうもまだそんなに速くは歩けないので、彼女に付いていくような感じです。後ろをNさんが歩きつつ、そこら中でコンパクトデジカメを取り出しています。そういえば、何を撮っているんだろうか。
 …TさんとNさんが仲間にくわわった!


 空の雲が切れてきました。どうやら、呪いが解けたようです(何
 そして、ふうたろうの毒(何)も抜けたようです。


 先頭はTさん。北寒江山(きたかんこうざん)はまだまだ遠い。あの取り付き辺りに狐穴小屋があるのです。


 仲間の力か、若干道も歩きやすくなったような気がする。


 シシウドのようなセリ科の花が群落をなしています。既にこういう花のネタなどで、仲間同士の交流が発生しています。


 歩いてきた道。空はすっかり青くなりました。
 ふうたろうは歩きながらMPが回復するようになった!


 シャクナゲが増えてきました。朝日連峰も花の宝庫ですね。


 もうすぐ狐穴小屋。水場があるので楽しみです。ちなみに、今日も猛烈な暑さです。まだ7時だけどね(゜Q゜;)


 狐穴小屋前の大きな雪渓。雪渓を踏む箇所はここくらいではなかったか。とりあえず、腕に雪を塗っておきました。だって暑いんだもん。


 宮城の彼、Mさんがこの辺りから抜きつ抜かれつを始めます。とりあえず、休憩箇所では必ずMさんと出会うので、一緒にマッタリします。食料などを分け合うのです。
 なお、ここでふうたろう、Tさんからポカリスウェットの粉末を少しいただきました。ハイポーションですな(違


 ホースで引かれた清らかな湧き水。ビールが冷やされているという計らいはおもしろいですが、その恩恵にふうたろうは与れません。もちろん、この水そのものの恩恵には与れます。ええ、ホースの先からグビグビやりましたとも。もちろん、バケツの水を汚さないように、ですよ?


 だいぶ以東岳、遠くなりました。でもまだ、狐穴小屋を越えたばかりということは、3分の1くらい、ですね。まだまだ先は遠い。


 北寒江山。空の青さがいっそう深くなったようです。休憩も気分がいいです。まあ、暑さは時間を追うごとに厳しくなりますが。


 しかし、見れば見るほど朝日連峰、大きいです。
 そういえば、去年の飯豊連峰は半分以上雨だったので、こういう大きさを感じることは、十分にはできませんでしたね。大雪山~十勝連峰はもう秋になっていましたから、ちょっと感じが違っていましたし。夏の青々とした大山脈の容姿を見るのは、実はこれが生まれて初めてかもしれません。


 何枚撮っても飽きない山です。


 以東岳の方に向かって歩いても、これはまたおもしろいのかもしれませんね。


 大朝日岳が、中央奥に小さく見えます。まだまだ遠いです。そして手前には寒江山。


 寒江山の上りから北寒江山方面。緑が美しい。


 そして、大森林の谷も美しい。


 寒江山から先です。トムラウシからオプタテシケへの縦走の時みたいに、越えたら越えた分次々と山が出てきます。これが縦走の素晴らしいところなのでしょうか。


 向こうの山、沢ができているように見えます。あんなに遠いのに、水が流れているのが判るのですよ。


 アップダウンを繰り返す道。きついけどやはり美しい。


 寒江山を振り返っています。


 こびりついたスプーンカットの雪渓。


 雪渓と大森林。


 遙かなる草原。まだここは土壌が崩壊していないみたい。


 竜門小屋が見えてきました。狐穴小屋からここまでは、以東岳から狐穴小屋までに比べるとかなり楽だったように思います。これも仲間のおかげかな。


 竜門小屋です。Tさんはここでしばらく昼寝をすると言ったので、彼女だけ昼寝タイム。ふうたろうやNさんは、濡れた靴を干したりしていました。
 って、雨に当たったNさんはともかく、雨に当たっていないふうたろうの靴が何でこんなに濡れているんだと。


 ここにも水場。当然グビグビ。
 竜門小屋には宮崎や兵庫などからの登山者も休憩していました。まあ、ふうたろうは誰彼関係なくそこら中の人に話しかけます。だから、とても気分はいいです。みんな優しいし。


 ハラが減ったのでラーメン。汁まで飲みます。
 だいぶ体力も戻ったようです。ふうたろう、昨日の脱水症状とミネラル不足でここまでしんどかったのではないかと思っています。


 小屋を出発です。


 ずっと続く大森林と大草原。遙か北東の方向には月山が見えます。つい1ヶ月ほど前に登った山です。あの、鍵なくして慌てた、山です。


 だいぶ大朝日岳が近づいてきました。しかし、まだまだ越えなければならない大ピークが何個か残っています。中ボスレベルの上り坂と、断続的に照りつける日差しに、少し疲れが。


 かなり強い中ボス、西朝日岳に取りかかっています。しかし、この辺りから雲が多くなってきました。もう11時半です。狐穴小屋から4時間半ですか…。まあ、竜門小屋で昼寝とかラーメンとか、1時間弱過ごしていたからね。


 西朝日岳到達は11時55分頃。Mさんがここで30分ほど寝ていたようです。速いね。


 西朝日岳周辺だけ雲が厚いのかな?


 残るピークは大小合わせて2個ほど。ただそのうちの大きい方1個は、またバカでかいやつです。中岳。


 おっ!きれいなチョウですね。何というチョウだろう。とりあえず、ふうたろうは逃げられずに撮れましたが、Tさんは逃げられていました。


 西朝日岳からの下りもなかなか急でした。これからの中岳の急な上りのために急な下りを味わうことになり、本当にきつい。


 中岳の手前に細かいピーク。こういうボディーブローのような攻撃がけっこう痛い。っていうか、猛烈に暑い。


 小さいピークを含む中岳と戦闘中。みんな暑さに閉口。


 ガスが周辺を流れています。これが太陽を隠してくれているときがむしろチャンス。暑さが少しだけしのげます。


 中岳は山頂を踏みません。巻き道だけです。それがせめてもの救いと言えましょうか。
 そして、この辺りで後ろからMさんが追いつきました。
 ふ:「先行ってください」
 Mさん:「いや、バテてしまって…」
 ふ:「でしたら、一緒に行きましょう!」
 …Mさんが仲間にくわわった!


 感動的な4人パーティになりました(何
 そして、その4人は、最後の大朝日岳の肩にある大朝日小屋を目指します。


 小さい大朝日小屋と大きな大朝日岳がすぐそこに見えています。しかし、見かけ以上に遠い。Nさんもそれは指摘していました。


 小屋に行く前に、名高い水場、金玉水で水汲みをしていきましょう。そして、グビグビも。
 残念ながら他のところみたいに汲みやすくはないけど、冷たくて美味しい水が流れています。Tさんがここで頭から水を被っていました。っていうか、ふうたろうがかけていました。


 小屋に向かいましょう。
 しかし、さっきよりも空の青が深くなりましたね。白く輝く雲が余計にその青を際立たせていますね!


 小屋に向かってラストスパート。あと少しだ、がんばろう。


 大朝日小屋に到着。いや、みんなお疲れさまでした。


 何とこの小屋、テントを張れる場所があるではないか!小屋が埼京線並みに混むことが多いらしく、小屋からはみ出た人は小屋に置いてあるテントに住まわされるようです。
 しかし、ふうたろう、テントを持っているので、自慢気に張ります。いや、あの向こうは景色抜群ですから、どう考えてもVIP席でしょう!
 …まあ、ふうたろうはVIPじゃないけど。


 とりあえず、14時前に到着した4人で、小屋前でマッタリタイム。ふうたろうはハラが減ったのでカレーを食いました。
 3人も、小屋が混んでくるのでメシは今のうちに食った方がいいというおっちゃんの話を聞いて、なんやかやと食べました。


 ところで、雲行き、どうなるんだろう。12時頃の雲の量から、増えなくなったようですが…。


 さあ、ラッシュアワーです!
 次々と登山者がやってきて、小屋がどんどん膨らんでいきます。屋根裏に回される人も出てきて、遂に入りきれなくなったとき、VIPテント小屋登場。
 …ふうたろうも、設営、お手伝いしようっと。


 絹雲が青い空に浮かんでいます。嗚呼、この特等席、最高です。


 雲が発達しきらないようです。今日は雷雨、なしかな。


 でも、ちょっと不安な、濃密なガスがやってきました。


 しかし小屋前のVIPテント集落はそれをものともしないほど、非常に賑やかです。


 その賑やかなグループの中に、岡山からSさんという人が来ていました。
 このSさん、非常に不思議な人で、ただの飲んべえのオッサンのように見えて、かなりの博識、ユーモアのセンスがあって、彼を囲んで4人で小一時間くらい話し込んでしまいました。
 そうして話している間に、空は再び晴れてきました。


 雲が巻き上がる。


 みんな考えることは一緒。空を仰ぐ人々。


 たなびく低い雲と高い雲。山の上ではいっそう迫力を感じられます。


 岡山の人たち。Sさんを取り残して水汲みに出掛けたようです。


 なんか、凄い風景ですね。雲の上を人が歩いてるって感じで…。


 そして、あっという間に夕暮れ。


 昨日より空気が澄んでいるみたいで、あかね雲の色が鮮烈です。


 ちぎれては空に消えていくあかね雲。


 これからが夕焼けのクライマックス。


 燃え上がります。


 そして、急速に燃え上がった雲が消えていきます。この輝きは5分ほどの命しかありません。Tさん、残念でした。次の山で見よう!


 さあ、山の宴は終わりです。でも、集う人々はまだ小屋前で盛り上がっています。


 遠くの雲海。
 ここでちょっと失敗したことがあったけど、まあ、それは内に秘めておくことにしようかの…。


 というわけで、今日は朝日連峰主脈を、半日かけて歩きました。アップダウンの多い、とても展望の良い道でした。
 道中は昨日ほどではないにしても猛烈に暑く、急坂には何度もあえいだものです。しかし、小屋や水場で飲む水のうまさを、展望を遮るガスの別のありがたみを、歩ききった後のメシのうまさを、よりいっそう強く感じることもできたはずです。夕焼けの美しさもまた、あのガスがもたらしたものであり、そのガスは強い日差しが地上を照らした結果です。嗚呼、何と弁証法的なんだろう!
 そして、今日は何より、歩いている間に仲間が増えていったことが、今までにないおもしろさです。みんな単独なのに、それが集まってなぜかパーティになって…。何と素晴らしい旅ではないかっ!
 明日は祝瓶山(いわいがめやま)を目指し、小国町方面に下山です。明日も長丁場になりそうですが、どういう展開が待っているのやら。歩ききれば朝日連峰の縦走、大成功です。


天気:晴れ時々くもり(山形県東田川郡朝日村・西村山郡西川町・朝日町・西置賜郡飯豊町・新潟県岩船郡朝日村)

  1. kawabe.goro
    6月 11th, 2015 at 06:44 | #1

    はじめまして
    朝日連峰の縦走はすばらしいですね
    他の報告も少し拝見しました
    アルプスや北海道の縦走をずいぶん登られていますね
    吾妻の冬の縦走も拝見しました。たいへんな経験をされていますね
    私は一度、西吾妻の北を下ろうとして迷い、雪洞を掘って一夜を過ごしたことがあります
    (冬のテントはとにかく寒い。もう若くないのかな)
    よければHP見てください(立ち上げたばかりです)
    https://sites.google.com/a/meizan-hitoritabi.com/hitoritabi/2-4b-kankozan-030811

  2. ふうたろう
    6月 11th, 2015 at 14:36 | #2

    はじめまして。kawabeさん。
    kawabeさんも楽しそうな山行とスキーをされているようですね。移動手段に縛りがないので、場所も選ばずに行けるのも、実は羨ましいです。
    いろいろな山を縦走してきた僕ですが、交通機関の関係で別の山からアクセスするしか方法がないなど、やむを得ずやっているものもあったりなかったりします。
    でも、今となってはその「やむを得ない」状況を取り外したら空虚な旅になってしまいそうで、怖くてできなくなっています(それ以上に車の運転が怖いです)。
    みんなのやらない(≠できない)旅を楽しそうにすることをモットーにこれからもやってきます。

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