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氷の城(平ヶ岳:新潟県)

2008年 10月 12日

※記録:10月14日21時台

 0時30分起床。
 …。
 (・_・)
 これ以降、一睡もできませんでした。
 え?テントが凍るくらいの寒さで?
 いえいえ、寝付けなかったのです。19時に寝始めて5時間半しか寝られなかったのです。朝まで、どれだけ長かったか。


 明け方、平ヶ岳山頂に向かいました。本丸を乗っ取りに行きます。
 しかし、周りは枯れ草と氷の冷たい戦場。


 玉子石はあとで。とりあえず、本丸を叩きに行こう。


 薄暗い中で、平ヶ岳の輪郭が、ガスっているけど少し見えます。
 …どうもいまいちな風景ですなぁ。


 そうだった。平ヶ岳本丸を攻めるには、凍った木道を通らなければならないのです。大自然の城下町はそんなに甘くはないということですな。


 夜、ずっと起きていたので、空が時々晴れて、オリオン座(しか知っているのがないので)が見えているのを確認していました。ガスが時々まだらになって、隙間から青空が見えます。


 …平ヶ岳山頂。
 なんか、あまりにも呆気なさ過ぎて、どうでも良くなる感じです。機械的に撮影後スルー。


 辺りがすっかり明るくなると、色々なものがはっきり見えてくるものです。看板が凍っています。


 こちらには何が続いているのかわからないけど、通行止めだそうです(南方面)。


 いきなり周りが黄金色になったかと思ったら、太陽が輝き始めました。ブロッケンの妖怪、見られるかと思ったけど、見られませんでした。


 ガスが濃すぎてイライラするけど、隙間から見える青空はその分美味しいのです。平ヶ岳、2008年10月12日、おはよう。


 雲が吹き飛ばされるように北から南へ駆け抜けていきます。ものすごい強風ですから…。


 気怠い平ヶ岳頂上(三角点のこと)に萎えてから、玉子石。どうやら名物らしい。向かおうじゃないか、本丸のついでに蔵も取ってやろうじゃないか。


 本丸を取っても、城の廊下や城下町は何も変わらない(当たり前か)。何度滑って身体を打ち付けたことか。何度湿原に落ちたことか。まだ池塘(堀)の中にドボンしなくて良かった。


 平ヶ岳周辺は湿原が発達していて、こういうところがたくさん。
 強風が水面切りをしていきます。


 冒頭のテントでも示したように、強風と氷点下です。しかもガスがかかっているのなら、出来るのはエビのシッポ。これ、何の木?


 …名物に大したものはない。
 玉子石、ガスのせいもあろうけど、かなりくすんでいます。お宝のない蔵なんて要らないぜ…。


 玉子石の下(西側に当たる)の高層湿原。向こうが見えたらどんだけきれいだったろう…。


 点在する針葉樹の向こうから、登山客が現れました。
 …まだ7時くらいじゃないか。そんなにこの頂上にテントあったかな、見た限り、僕の分あわせて3つしかなかったと思うけど…。
 答えは、通称「皇太子ルート」と呼ばれる道から、早ければ2時間くらいで登り詰めてきたということです。
 いみじくも、登山者は口々に「ずるをした」という。でも、それは違う。皇太子ルートはちゃんと道を整備してバス停なりをととのえれば、誰でも使えるルートになるでしょう。事実上、宿に泊まった人だけが使えるルートなので、登山客たちにそう言わしめているだけ。僕はここを登ってきたという、200人ともいう人たちの誰しをも、ずるをしたなんて思わない。ひとつのコースとして楽しめばよいと思います。
 あまり口幅ったいこと書きたくないからサラッと書くけど、皇室関連の曰く付きルートだとも聞きます。皇室・天皇を、こういう神聖な場所で、政治や経済の道具に使うのはやめてくれ。
 それと、僕は天皇主権主義者ではないけど、皇太子が山好きなら、まずは皇太子自身にルートくらい決めさせてあげてもいいんじゃない?こういう場合、特別扱いされて、皇太子は嬉しいのかなぁ。象徴くらい、本当の意味で大事に出来ないで、日本国民はそれでもいいのか?


 樹氷、通称エビのシッポが立派に生長しています。ずるしたとか、そういうのナシにして、堂々と見ていこうや。


 姫ノ池に張った基地(テント)に戻ってきたら、池塘の縁がきれいに白くなって…。みんなエビのシッポなのです。
 いい時に来たんですね。天気がもう少し良ければ御の字なのですが…。
 皇太子ルートから上がってきた人たちは、この氷の城下町で野営していた僕を奇異な目で見ていました。
 たぶん、みんなにとっては信じられないことをしていたんでしょうね。


 結局、下山開始が9時前。信じられないくらい遊んでいましたね。なんだかんだいって、結局楽しんだんじゃあないか。


 あれ?おいらが下り始めた瞬間、ガスが晴れてきましたよ。
 え、何、これ。


 …とか何とかいって、損した気持なんて、これっぽっちもないくせに。
 高層湿原の稜線を見ています。池ヶ岳の北に広がる稜線の湿原。何だかボケた感じになっているのは、フィルタが曇っているのに気が付かなかったから…。


 昨日、こんな所登ってきたんですね。同じところとは思えません。昨日は10m先が見えない煙玉の中でしたから。


 谷に広がる笹原と広葉樹林と雑木林。
 Priceless!


 平ヶ岳の頂上も見えてきました。上からの景色はどんな風に見えるんだろう。今度は皇太子ルートを使ってきても良いかもしれないね。その時は誰か一緒に連れて行きたいものです。


 スケールが大きすぎて、頭がパニックです。なんなの、この大きさ。


 カメラのレンズが曇ったことに気が付かずに撮ったのはメチャクチャ悔しい。これは秀逸の構図だと思いますがいかがでしょうか。


 この底抜けに青い空、底抜けに緑の深い針葉樹、底抜けに赤く黄色い広葉樹。ポカーン(゚ロ゚)とするしかないでしょ。


 頭にカメラを仕込んで連写し続けたい。


 赤一色、黄一色じゃないところがいい。目移りは避けられない。


 薄曇り状態ですが、かなり晴れているので、一枚一枚が輝いています。昨日のダークマターの中を歩いていたのは幻だったのかもしれない。


 ナナカマドが強烈な赤を放っています。その向こうには、昨日はほとんど見えなかった燧ヶ岳(ひうちがたけ)。空が青けりゃ言うことないんだけどにゃ~ε=(-。-)フッ…


 目が痛いほど赤い。いや、オーバーなのではなく、本当に目が痛いほど赤いのです。


 もうかなり戻ってきたから、平ヶ岳もだいぶ遠くに。大倉山は越えましたから、もう半分は来ています。


 赤いじゅうたんの上を歩くよりも気持ちいい。ここは、地図のコースタイム通りには歩けない。


 富山県からわざわざ来た老夫婦が言っていたけど、立山のとはスケールが違うんだって。何だか、解る気がする。立山の紅葉は見たことないけど、何となくその意味が。


 燧ヶ岳が遙か遠くに。手前の尾根ぜんぶ真っ赤。(゚ロ゚)ポカーン


 女性が見ていたら申し訳ないですね。でも、どうしても、アレに見えたもので。
 え?モザイクなんかかけなければ気が付かない?
 …もうこれを撮った時からこのネタはお約束でしたので。
 写真をクリックするとありのままのソレ(奇岩)が見られます。(^Q^)
 ここのピークは、鷹ノ巣山…?


 まったく、神聖な平ヶ岳で何を考えているんでしょうね。
 嗚呼、あっちの燧ヶ岳も、きれいなんでしょうなぁ。懐かしいですね。あの時が。


 火を放ったかのように真っ赤な山ですね。


 こういうの、もみじ狩りっていうんですよね?


 アントシアニンが薄くなってきました。だいぶ高度を下げてきましたから…。でも、これもこれでまた、いいですね。


 ヤセ尾根はパノラマだといいました。しばし見ながら行きましょう。足下に気をつけて。


 ここも。


 ここだって…。


 ヤセ尾根が終わったら、もう終点も同然。国道まで歩こう。


 はい。下山完了。#43平ヶ岳、クリアです。


 あとは、バッジを回収しにいかなければなりません。平ヶ岳のバッジなんてあるのかなぁ。
 …ありました。清四郎小屋というところで売っていました。平ヶ岳登山口バス停から結構歩きましたが、ありました。
 でも…、なんか、葉っぱと葯がゴゼンタチバナ(ミズキ科)で花びらがツマトリソウ(サクラソウ科)キマイラみたいなバッジでしたな。よく考えると、ものすごくレアかもしれない。(`ー´)ニヤリ


 ここはもう、尾瀬御池という、福島県なんですが、鷹ノ巣バス停(清四郎小屋前)から運転手さんと二人きりで、VIP接待を受けました。
 といっても、座席にヒマラヤンの毛のような座布団が敷いてあるとか、ましてや若い女性のからくり人形が扇子で扇いでくれているわけでもありません(っていうか、寒い)。
 運転手さん、色々話しかけてくれました。というか、正面から来るマイカーの運転が不慣れなことから始まって、バス路線問題という政治・経済問題、ついには小泉構造改革路線問題まで、たまっている怒りをぶちまけていました。
 うん。よ~~~っく解ります。あいつのせいで日本はメチャクチャになったんだからね。僕はひとりで、公共交通だけで旅をするから、どちらかというと、交通弱者がどんだけ割を食っているのか解る方です。交通手段が断たれた人は、その場に住めませんから。ヒドいもんです。もっとも、小泉だけではなく、今までの政権を恨むべきなのですが。当然、反省の色さえ見せない麻生政権も同じ。(゚ロ゚メ)ゴルァ


 御池の駐車場から西に沈む太陽を。
 …太陽が出ている間、ずっと起きていたね。甲武信ヶ岳~金峰山の時よりもずっと長いですよ。
 このあと、同じVIPバス(会津バス)で、職員の人たちと同席して、アルザ前というバス停まで。奥只見湖の船着き場で仕事をしていたという、若い兄ちゃんHくん(と呼ばれていた)はバス酔いで顔面蒼白でした。ご愁傷様です。
 奥只見~檜枝岐(ひのえまた)のヘアピンは日光のいろは坂もびっくりです。


 今夜の幕営地はここ、「キャンプ場 泉」です。のんびりしたじいちゃんがちょっと出掛けていて、たまたま2回目の利用者夫婦が気を利かせて、電話で呼んでくださいました。
 うん、さっきからかなり助けられてるな、おいら。


 そして、助けられついでに、そのリピーター夫婦が、泉のキャンプ場に泊まっていれば近くの温泉を割安で入れるとの情報をくださいました。
 でも、割引券なんかもらってないし…。ま、いいか。とりあえず入りに行こう。
 ふうたろう:こんばんは~。
 受付嬢:いらっしゃい。
 ふ:大人一枚で入りたいんですけど(-.-);…泉のキャンプ場を利用したら割引があるとか聞いたんですけど…(-。-;)\
 嬢:あ、この券預かってますけど、昨日から泊まっている…?
 ふ:(・_・)昨日?券??ないです。(-o-)ショボーン
 嬢:じゃあ、いいですよ。どうぞお入りください。(^_^)\\
 ふ:(・_・)え?料金は…?
 嬢:いいですよ。
 ふ:…え、あ、じゃ、とりあえずレシートで証明ってことで…(@_@;)ガサゴソ
 …かくして、無料で風呂を使わせてもらうことが出来ました。しばらく茫然自失だったので礼の言葉が出るまで時間がかかりましたが、ちゃんと礼の一つは言っていきましたよ?一応。
 19時までの営業、健全…。本来、こうでしょ、やっぱり。


 エピソードの長い城攻め2日目。帰還後も何だか面白いことの連発で、いや、充実したなり。
 それから、実は、昨日のうちにテントを張ったのも大正解。今日はテントラッシュで、テント担いでいる人を10人くらい見ました。ウッドデッキとかそんなにあったかな…。
 もう一つ!
 昨日の辛い道を知っているから今日が輝いているのだ!こればかりは、昨日の強風とガスと寒さと雨に耐え抜いた者にしか味わえないぞ。(`ー´)ニヤリ
 それから!
 会津駒ヶ岳の麓に来てしまいましたよ。これで明日もう一つ日本百名山を撃破できますよ。天気はいいみたいですし、派手にやらかしましょうか。


天気:くもりのち晴れ(新潟県北魚沼郡湯之谷村・群馬県利根郡水上町・福島県南会津郡檜枝岐村)

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