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原野で体育座り

2024年 4月 29日

 天気のよい聖都・旭川市の朝。
 それにしても、たった10年で、ここまで山に登らなくなってしまった自分に、愕然とします。思えばイングレスとの出会いが決定打だったかと思います。あれは山に登っていたらプレイできないゲームでした。下界での移動を余儀なくされ、自転車での移動に時間と体力を使い、登れませんよ、そんなもん。
 こんな青空を見られるのなら、あのときのふうたろうならもう登山を開始しているはずです。でも、山に登るにもイングレスの足元にも及ばないにしても、機動力と時間的自由度は必要ですから、ふうたろう1000名山確立のために動いていたとしても、多少はね‥


 この濁った川は‥石狩川‥のようです。雪解けで増水しているようです。


 旭川市には、前々から気になっているものがあります。それがこの環状交差点です。ここ以外で何処かで見たことありましたかね。東京やさいたまの交通量の凄まじいところで導入したらどうなるのかあまり想像できませんが、信号待ちとその渋滞のストレスは少しは緩和されるんじゃないかと、素人目に思ったりもします。


 旭川市の名物はこの駅前から真っ直ぐ続く買い物通り。でも、数年前に比べると店の数がものすごく減ったような気がします。少子化による労働力不足やコロナの影響、近年の(日本だけ?)スタグフレーションなんかが影響しちゃったりしているんですかね。


 旭川駅前は、本当にびっくりするぐらいさっぱりしています。日本全国いろいろな主要都市の駅を訪れてきましたが、仙台や大宮のように、動線の悪い駅ビル内商店街とペデストリアンデッキで外に出ることすら大変な駅とも違うし、かといって駅前には買い物通りと(よいか悪いかは別にして)イオンモールがあるので、食料調達や時間つぶしに苦心することもないです。


 個人的には20年前の旭川駅のほうが好きですが、今のこれはこれでバランスよく仕上がっていると思えるようになりました。まあ、これが聖都・旭川の風格だって、はっきりわかんだね。


 さて、今日は数年ぶりに三股山荘に行こうと思います。あそこに公共交通機関で到達するには、旭川~帯広を結ぶ都市間バスの、層雲峡や三国峠経由のやつに乗らなければなりません。しかも、旭川10時30分発、十勝三股16時3分(帯広14時10分)のものに乗る以外の方法がありません。それでも1日1便でも出ているだけ奇跡だと思いますけどね、あの利用者数を見る限り‥


 都市間バスや高速バスは、ドラクエウォークとの相性は激悪です。理由は特急列車と同じです。それでもイングレスよりはマシですが。
 それはそうと、雪がありません。昨日も苫小牧に着いたときから思っていたのですが、コート無しでうろつける4月の北海道自体が不気味です。今朝の旭川も暖かいを通り越して、暑い領域です。


 三国峠経由のバスの車窓風景は、全国のバスの中で最上の素晴らしさだと思います。たぶん、この東大雪の大森林とクマネシリ岳山系を一望できるレベルに匹敵する路線バスは、他にないでしょう。


 さて、バスが十勝三股に着いたら、そこから3時間は動けなくなります。三股山荘は定休日があるので、それをうっかり忘れて行こうものなら、石狩岳山系が見渡せる原野で体育座りしているしかありません。携帯の電波は数年前からau系列が通るようになったようですが、通信速度がものすごく遅く感じます。ま、ガチ圏外だった10年前よりずっとマシ、なんでしょうけど。三股山荘の従業員とそこに来る客のための電波ですし、多少はね。それか、ぬかびら源泉郷から大雪湖までの50km以上(自動車で1時間以上ですぜ)を圏外にしておくのはこの時代、安全性に難があると考えたかもしれません。


 三股山荘に入る前にドラクエウォークでやることをやっておこうと思って少しウロウロしています。初見モンスターをちゃんと上士幌町で倒しておかないと。「はじめてたおした場所」の欄に東京都板橋区などの烙印は押されたくありませんのでね。


 とりあえずやることをやって三俣山荘にいざ入ろうとすると、札がかかっておりまして。予約客で満席になっているとかで入店不可だとか書いておりまして。
 (・ε・;)ん?
 まさか、本当に原野で体育座りの刑ですか?


 さすがにそれはヤヴァいので、一応かけあってみたところ、席が空きそうだったのでちょっと待ってもらえれば、ということで、事なきを得ました。
 三股山荘のメニューはどれも、見かけよりかなりボリュームがあります。ふうたろうは大概ノックダウンします。でも、味は保証します。


 この三股山荘との出会いは、2012年のニペソツ山登山のときでした。この山頂標はその年の9月13日まで使われていたようです。
 あのとき、ふうたろうは歪んだ恋に暴走していました。今となってはただの黒歴史で振り返る必要もないことです。でも、「歪んだ恋」なんて言い方している時点で、まだ恋愛経験についてはレベル1のままなのかもしれませんね。しらんけど。
 それはそうと、三股山荘のスタッフは今は母娘ふたりのようです。10年前は旦那さんもいたのですが、店の中に旦那さんのものと思われる雑誌や本の類が積み上げられて販売されていました。あのとき味わったかぼすシロップなどの手作りドリンクも今はなくなっていました。ふたりはふうたろうのことを(マスクを外したら)認識できたようですが、ずいぶんご無沙汰していましたし、店内も当時より客数がかなり増えているので、あまり深い話はせずに店を出ることにしました。
 どうか、今後もお元気で。また来ます。


 というわけで、原野で体育座り(比喩しにいきます。何しろ、この三股山荘付近は散歩コースの奇跡といえるほど素晴らしいところですから。


 南にウペペサンケ山が見えます。あの山、ついに登らないまま体力を落としてしまいましたね‥行ける気がしません。いや、クマの強襲を恐れなければテント泊でなんとかいけますかね?
 ウペペサンケ山はふうたろうの山人生で終わらせていない宿題だと思っています。


 ちょっと西寄りに視角を変えるとニペソツ山、かな。十勝三股から登って、岩間の湯に降りたのでしたっけ。その後石狩岳を目指すも雪の絶壁に阻まれ‥懐かしいですね。でも、あの山行が楽しかったことは、今でもよく覚えています。‥死んでも山と化学の記憶は手放したくないなあ。


 この荒れた道の向こうにトンボ沼だかトンボ池だかがあるみたいなので、行ってみます。そういえば、何度もここ来ているのに、深入りしたことないのですよね。


 これが、トンボ沼?ですかね。ある程度の季節になったらヤゴとかが湧いてくるんですかね。


 原野を流れる水は、本当に清らかです。きっとここの水は、地球規模の汚染を誇るPFAS(PFOAやPFOSなど)ともほぼ無縁ではないかと思うほどです。でも、北海道は色んなところの産廃処理場を受け入れているはずです。ふうたろうの職場の産廃も北海道に来ていると聞いています。本当に無縁かどうかは、測定してみないとわかりません。もしここが汚染されていたら、どうしよう。


 何年も山を歩いて、ずっと好きだった景色の一部。


 今でも、一眼レフを携える体力すらなくなっても、撮っておきたい景色だからスマホのカメラを構える景色。


 すすきのヤヴの中に無意識に突っ込むのは当時の名残でしょうか、それとも、当時を忘れたくない足掻きでしょうか。


 今思えば、登山をしに行ったというより、冒険したかったというより、自分の足跡すべてを画像と言語に残したかったのだと思います。


 でも、記憶はしょせん記憶でしかありません。記録もしょせん記録でしかありません。この景色は、この瞬間とこの座標にしかありません。ふうたろうの記憶は、その瞬間と座標には絶対かないません。だから、本当は行き続けるべきなのです。継続をやめたら思い出は枯れていくのです。


 もちろん、ここを歩いているときはそんな渇きに悶えているときのことは忘れています。飲むのに必死です。それが没頭というやつではないでしょうか。


 ウペペサンケ山とニペソツ山。その間にある台形の地形はずっと気になっているのですが、登る山ではないのですよね。雪が積もっていたら行けるのかな。


 この十勝三股は昔、栄えていた場所だったそうです。鉄道もあったそうです。でも、瓦礫の破片一つ見当たりません。人がいなくなったら、東京も大阪も旭川も、そのうちこんなになるのかもしれませんね。常に営みがあるから都市も存続し続けるのでしょうね。


 ところで、今回は初めて十勝三股に折りたたみ自転車を持ち込んでいます。黙って体育座りなんてしませんよ。ふうたろうの行動範囲は広がったのですよ。


 ここは、ふうたろうがかつてニペソツ山に登るときに使った林道の入口です。それどころか、銀泉台から忠別岳と石狩岳を越えて降りてきたときもここからヌッと出てきました。でも、あの看板、ブルーシートが巻かれてて‥?


 ‥ここ、ミズバショウがきれいだったんですよ。なんでこんなに蹂躙されたような景色になっているんでしょうか。


 時々考えます。
 福島原発が大事故を起こしても、体内に放射性セシウムを溜め込んだ野生のイノシシやクマはヒトのコントロールをものともせずに生き続ける、と。
 PFASが地球規模の汚染を繰り広げても、汚染された魚たちは何もなかったかのように子孫を残し続ける、と。
 どれだけ人が自然を破壊し、時にある種を絶滅させても、ヒトより先にほかがすべて滅ぶことはない、と。
 ヒトが思っているほど、地球を覆う生命は弱くない、と。


 幌加温泉の方に向かってダウンヒル気味に自転車を走らせると、ミズバショウ畑がありました。車やバスだと、通り過ぎてしまうところですが、自転車や徒歩は強制的に視界に入ってきますよね(にっこり
 ふうたろうの300名山は、その強制力に本当に強く支えられました。あれがなかったら、成し遂げられなかったのではないかと思います。


 幌加温泉の入口まで降りてきました。しかし、幌加温泉そのものに行くにはめんどくさい登り坂が待っていたので、簡単に諦めました。だってしんどいんだもん(怠惰


 ここは電波が通じずドラクエウォークではぐれメタル倒して時間つぶしもできないので、そのへんの山林を散策しました。まあ、さっきの三股山荘の周りの延長、みたいな。


 でも、あんまりおもしろくなかった‥(滅
 ふうたろうはどうやら疲れてしまったらしいですね。


 というわけで、復路のバスで旭川に戻ります。近道になるかなと調子に乗って旭川駅ではない少し手前で降りてみましたが、普通に遠回りでした。聖都・旭川を知るには、もっとレベルを上げねばなりませんね(何
 明日は天気が悪い予報なので移動日とし、稚内に向かいます。稚内で泊まって、明後日朝イチの船で利尻島に渡ります。あ、その前に行きたくもない宗谷岬に行かないといけないんでしたっけ(吐き気


天気:晴れのちくもり(北海道旭川市・河東郡上士幌町、移動中は含まない)

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