山頂の小さな小屋(荒川三山・小河内岳縦走コース:静岡県)
夜中、2時半頃起きたら晴れているではありませんか。やはり台風一過のせいか。これは期待していけるでしょう。
今回は、塩見岳ひとつ狙った去年の8月30日と違って、深南部の一掃を目指します。方向は荒川岳。
Σ(゚◇゚;)ガーン
何だか曇っているんですけど。しかもものすごーく分厚い雲で。
三伏峠から烏帽子岳に向かう道。もう夜明けになっているはずだけど、ものすごく暗い。これは、期待していただけに猛烈な精神的ダメージです。
烏帽子岳山頂。三伏峠からここまで来るのに1時間以上かかってしまいました。何だか足が猛烈に重く、からだがだるい。昨日の雨に濡れたのをちゃんと乾かさずに昼寝してしまったのが痛恨で風邪を引いたのかもしれない。これは一転暗闇の底に落とされた状態です。ふうたろう大ピンチ。
烏帽子岳を過ぎると急坂はなくなります。そこから高山裏避難小屋まで、地図上では比較的なだらかです。
しかし、猛烈に曇っていて暗いことは殆ど変わりません。
塩見岳からこちらの小河内岳のある辺りの稜線を見たとき、「絶対あそこは歩きたい!」と思っていたのです。展望の良さそうな稜線、出っ張った小河内岳の上にある小河内避難小屋を見て。でも、この曇りようは、はっきり言って何処歩いているのか判らないとしか言いようがありません。
小河内避難小屋の分岐。曇りまくっているので寄り道する気分にもならず。足重いし。
小河内岳。これならふうたろうの家のパンツ一丁で出られるベランダの方が展望いいよ。
しかし、この雲というかガス、悪いことばかりではありません。この稜線は、見晴らしの良い場所もさることながら、花や樹林もなかなかのものです。樹林帯も長くないので、樹林帯として楽しむことができます。
林床にはマルバダケブキ(キク科)が群生していて、霧の中に浮かんでいます。薄暗くおぼろげな状態がいい。
でも、本来展望のあるところでのガスは、ただの障害です。(゚皿゚#)
霧を楽しむということは、霧の特徴を楽しむということです。向こうが見えない、あるいはぼやけていることを楽しむのです。
…うん、確かに、霧でぼやけた樹林は、ふうたろう好きかもしれない。
高山裏避難小屋に下るトラバース道。こういう場所でのガスはなあ…。
やっとまともに明るい外の景色が望めました。ネコの額ほどだけど。
この黄色い液体は…?
ふうたろう、高山裏避難小屋の前の椅子に座り、バウムクーヘンを食っていました。すると小屋の親父さん。(※あくまでもニュアンスです)
小屋番「おう、俺にもくれや。」
ふうたろう「あ、いいッスよ。」
小「うめえ…。下では食わんけど、ここで食うとうまい。…お茶いるか?」
ふ「え、いいんですか!?」
小「やるって言ってんじゃねーか。」
ふ「いただきます。」
小「コップ出せ。」
ふ「ないッス(笑)」
小「…こんなバウムクーヘンもらうんじゃなかった…(ぶつくさ)」
…というやりとりの末、いただいたお茶です。
ここの親父っさん、まあ、他にもおもろいところがあったのですが、ひとつだけ述べておくとすれば、変なおべっか使いは見抜いているような感じがします。何というか、如何にも気遣い無用という感じか。
親父っさん、ふうたろうの行き先を聞いて、中岳避難小屋に連絡を入れてくれました。中岳で行程を終わるか、荒川小屋まで行くかがまだ曖昧であることを考慮して、中岳避難小屋の小屋番に伝えたと、話してくれました。
何とも不思議な人です。インパクトが強すぎて、実際のところどう反応すればいいのか悩まされますが、どう見ても思うままに喋っている感じです。
高山裏避難小屋の側にあるテン場。雨が降ったら水がかなりたまってきそう。雨天時には張りたくないなあ。
高山裏避難小屋からしばらく樹林帯のトラバース。日も差してきて明るい樹林です。
水場です。ここで汲んでいかないと、基本的に上には水場がありません。
前岳への上りで後ろを振り返ると、高山裏避難小屋までの稜線が見渡せます。しかし、まだあちらはガスの中。
この大きなカールの斜面、非常にキツい上りですが、展望抜群。もう少し上に行くと更に判るようになります。
ガレ場をジグザグに登っていきます。
休憩は振り向いて写真を撮ることでも可能です。とにかくゆっくりと。
暈を被った太陽がおります。天気図では日本海に前線が停滞しているので、不吉です。
南アルプス北部の方が見えてきました。荒川三山の前岳はもう少し。
切れ落ちている南斜面。パラパラと崩れる音がずっとしています。
まずはふうたろう、東岳、いわゆる悪沢岳を目指します。ここは縦走の際に盲腸線になります。しかも、その盲腸、長いし。
赤石岳(あるいは荒川小屋)方面への分岐のところに座って、ふうたろう、辛ラーメンで腹ごしらえです。あまりエネルギー補給せずに歩いているのでハラが減って…。
食べたら出発。
まだ中岳で終わるか荒川小屋まで進むか悩んでいます。中岳の山頂に着いたのに。
しかし、あの先に見える中岳避難小屋を見て、ふうたろうは迷いを断ち切りました。
Open the door!
今日はここに泊まりましょう。
受付がてら20分くらい小屋番と話をしていましたが、ここの方もなかなか特殊な感じがしますぞ…。
とりあえず、悪沢岳を踏みに行きましょうか。小屋番のNさんにそう言って、水筒だけ持って出発。
晴れています。谷がよく見えます。遙か北にある塩見岳などの山々は少しぼんやりしていますが。
遂にあのデカい悪沢岳に取り付きます。目の前に来ると、本当に、斜面が壁のように立ちはだかります。
猿たちが我が物顔で、余裕ぶっこいてこの坂を歩き回っているようですが、ただの人間であるふうたろうたち登山者は、ヒィコラ言って登ります。
Σ(゚□ ゚#)ヌオッ!
ガスってきよったではないかっ!!
何かの呪いか?
ん~~…
まあまあですな。でも、時々雲が晴れて見通しが利くようになるので、良しとしますか。
帰る途中で、山頂で会ったおっちゃんのうちのひとりがゆっくり歩いていくところに出会いました。中岳避難小屋に泊まるというので、話しながら戻ります。おかげで、速い速い。
ふうたろうたちが小屋に着いたらあっという間に外はガスに巻かれてしまいました。そのガスの中から、ひとりふたりと、小屋に逃げ込んでくる人が現れ、小屋の中は12人ほど。瞬く間に小屋番Nさんも入れて宴会場と化しました。別に酒が入っているというわけでもなく、ただひたすら交流会というか。
結局、今日も夜空を見ることはできませんでした。台風も過ぎ去ったのに、前線を巻き取っていくわけでもなく、台風一過の晴天はたった3~4時間で終わってしまいました。それでも、ふうたろうみたいに悪沢岳だけでも晴れたのは幸運だったのか。あとに来た何人かの人たちはガスに巻かれまくってひどかったそうだから…。
それよりも、小屋がおもしろすぎです。だいぶくせのある小屋番のNさん筆頭に、常連のSさんとか、普通に客で来ているひとりひとりも、とにかく交流しまくりです。これは眠るのがもったいないくらいで。
さて、明日は赤石岳方面。…に行けるのかな。天気がどう考えても絶望的ですが…?
天気:くもり時々晴れ(長野県下伊那郡大鹿村・静岡県静岡市)