やっと宇宙を見た夜(中岳・赤石岳・百間洞縦走コース:静岡県)
天気、夜通し雨と風に、小屋が叩きつけられています。1時過ぎに目が覚めて、結局寝られないまま4時になりました。寝られないので、天気予報やmixiで今後の天気の確認や状況報告(っぽいこと)をやっていました。
ところで、天気予報を見ていると、南アルプスのある場所はほぼ雲の境界です。北陸~東北は雲に覆われていますが、南アルプスは境界ライン。もう何時間かしたら晴れてくるのではないかと。
それにしても、もうカップ麺も受け付けません。ハラが減っていたはずなのに、少し残してしまいました。
しかし、朝5時、6時となっても、なかなか晴れてきません。若干明るくなったり暗くなったりはしているようですが、強風とガスに煽られ、眼鏡が曇ってしまいます。これでは歩くこともできません。
7時前後になると、雲が薄くなりました。太陽が薄く出てきて、たまに青空も見えます。しかし、晴れることはありません。
少しガスが薄くなった、それだけでももう十分出発する理由になります。名残惜しいけども、行きましょう。
しかし、出発直後の中岳、やっぱり猛烈なガスです。赤石岳に着くまでに晴れてくれることを祈ったものですが、果たしてどうなることやら。
中岳と荒川小屋の分岐のところにザックを置いて、悪沢岳を往復する人がいます。しかし、ここにザックを置いて、どこから降りるんだろうか。また赤石岳まで戻って椹島(さわらじま)へ降りる?
荒川小屋に向かうには、まずは思い切り下ります。これでもかといわんばかりに。
そんなに写真撮るところもないので、延々と歩き続けると、水場があります。その脇の岩壁に沿うように道を進み…
小屋で荒川三山と赤石岳のバッジをゲット。時刻8時15分頃だったので、小屋は掃除モード。昨日はいったいどれだけの人が泊まっていたのだろう。
ふうたろうとほぼ同時に中岳避難小屋を出発したバンダナの兄ちゃんがふうたろうに数分遅れてきました。彼は赤石小屋で今日の行程を終わるそうですが、ふうたろうは聖岳(ひじりだけ)の手前の兎小屋まで行く予定です。この荒川小屋からだと7~8時間はかかるのではないでしょうか。
というわけで、少しお先に出発です。
荒川小屋から大聖寺平までの展望のないガレ場を黙々と歩きました。
それでも、悪いことばかりじゃなくて、小赤石岳の肩のところで懐かしい(何)人たちに会いました。この柿の種はその「懐かしい人」にいただきました。
そう、KくんTくん家族のみなさんです。荒川小屋に泊まっていて、こちらに進んできたのだそうです。また会うとは思わなかったな。
しかし、7歳にして3000m級の山をボコボコ元気に登っているのがスゴいね。
小赤石岳のところで、バンダナの彼も再び合流し、計6人のにわかパーティーになったふうたろうたちでしたが、ふうたろう以外のみんなはこの分岐から赤石小屋に向かうそうです。赤石岳避難小屋なら山頂付近にありますが、赤石小屋はだいぶ下ったところにあります。とりあえず、みんな山頂を踏むために、ここにザックを置いていきます。父ちゃんだけ、弁当や水などの荷物を担いでいますが。
さて、それなりにあっさり赤石岳に到着です。分岐からそんなに時間はかかりません。まあ、ちょっと休んだだけでふたりは元気だこと。こんなにガスっていて展望もない赤石岳の山頂だけど、嫌にならずにすみますわ。
このあとバンダナの彼は赤石小屋にそのまま下りていきましたが、Kさん家族とふうたろうは赤石岳避難小屋で休憩ということになります。しかし、ふうたろう、不覚。写真を完全に撮り忘れました。
小一時間休憩したら、いよいよKさん家族たちともお別れ、再び一人歩きです。
しかし、基本的に朝と同じで、晴れるように見せかけて晴れません。何度期待を裏切られたことか…。
ここは百間平(ひゃっけんだいら)。
…この前の原水禁のことで、腹立たしい知らせが携帯メールで届いていて、すっかりMPが0になっています。報告の原稿の締め切りが、いつの間にか今日の設定になっていて、こともあろうにふうたろう絵日記の印刷で補うとかいわれたのです。…そんなもん、許されるはずがなかろう。
っていうか、何でなんの話し合いもなく、今日締め切りなんてことになってんだろうかと、不信感を抱くしかありませんでしたな。嗚呼、腹立たしい。
百間平から百間洞へのガレ場の下り。ガスが再び濃くなってきて、ひたすら萎えます。
ユリ科の高山植物に、何か白い虫がたくさん湧いています。ガかチョウの幼虫でしょうけども、こんなにたくさん虫にやられている高山植物は見たことがない。
百間洞の谷につきました。谷底に百間洞山の家が見えます。テン場はあそこの小屋で手続きしますが、テン場そのものはさっきの虫ゾーンあたり、かなり上です。
小屋前の広場に、昨日Kさん家族たちと同時にいた3人組の女性がいました。しかし、開口一番に「晴れなかったじゃないですかー。みんなでうそつきって言ってたんですよー。」
MP0のふうたろうは内心頭に来ましたが、耐える気力もなければ怒る気力もありません。兎岳に向かわなきゃならんのですよ。
…しかし、ふうたろうが小屋の人に兎小屋の状況を聞いてから百間洞を出発しようとすると、辺りが急に暗くなって…
ふうたろうは先に進むのを諦めました。まだ3時間も先の兎小屋です。その間に雷雨になったら、この稜線には逃げ場が一切ありません。
今思えば、これはもうこの先進まない方がいいというサインだったのではないか。
小屋泊まりの手続きをして、部屋に入ると、ふうたろうの入る予定の区画には既に4人いました。けっこう小屋の中は混んでいるようです。
…ふうたろう、さっきのメールなどでかなりテンションが低かったのですが、そのまま小屋の雰囲気に突入すると辛い宿泊になることはまちがいありません。実際そんなことを思って行動したわけではないけど、まずはみんなに挨拶し、話しかけます。すると不思議なことに、気持ちが楽になりました。知らない間に山話が盛り上がり、声が聞こえるのはここだけになっていました。別の区画で寝泊まりすることになっていた兄ちゃん(ふうたろう絵日記にコメントを書いてくれているが)まで話に混じってきて、ひとつのコミュニティが完成。MPが回復。
14時に小屋に着いて、それからみんなが小屋のトンカツ定食(夜飯)に出掛ける17時半までずっと山話。ふうたろうは最後の順番の人が出て行ってから、辛ラーメンを作って食いました。ラーメンを食べていた広場ではまた別の登山客の人と雑談したりとか、マッタリモード。
ところで、明日聖岳を通って明日中に下山をしようと思えば、12時間歩いて13時までに椹島に着くようにしなければなりません。出発、夜中の1時!?それは不可能でしょう。
実は、百間洞に泊まる段階で、別のルートを見ていました。それは、聖岳の冬季ルート。奥聖岳や東聖岳を通って下山する破線ルート。これを使わないと確実に間に合わないと考えられます。したがって、小屋の人やさっきの仲間たちから得た情報で、3時頃小屋を出ることに決定。
かくして、この五目ご飯と間違えて持ってきた赤飯を、明日すぐに食べられるように戻しておきました。
(゚◇゚)ガーン
…塩、忘れてんじゃねーか。
しかし、それを憐れに思われた小屋仲間のOさんが、塩を恵んでくれました。
∵‥ヾ(-ε-)塩フリフリー
∵∴:Σ(゚ε゚;)ブッ
げっ!!塩入れすぎたっ!!
Oさん「汗かくから大丈夫だよ(苦笑)」
…という楽しいひとときでした(棒読み)
歯磨きに外に出たふうたろう、―もちろん歯磨き粉なんて使いませんけども―空を見上げると、星が出ているではありませんか。久しぶりの宇宙です。流れ星が見えます。願いは何だろうなあ。無事下山、明日の晴天、などなど。
さっきの女性の一人が実はこの場にいましたが、もう苛立ちはどこかに行っていました。悪意で言っていたことではないのは、あの時点で判っていましたしね…。
すっかり小屋の仲間たちと馴染んでしまったふうたろう。寝る直前の20時までずっと交流会で、すっかり元気になりました。混雑さえも悪いことばかりではない。本当に、どこまでこの山行は奥が深いのかと、つくづく思うのでした。
さあ、明日は最後の修羅場。明暗を分ける戦いになりますぞ。
天気:くもりのち晴れ、一時霧雨(静岡県静岡市・長野県下伊那郡大鹿村)