黒の地獄(空木岳池山コース:長野県)
泊まったホテルはホテルオオハシ駒ヶ根…だっけ。じゃらんのネット予約で4700円。朝食無料というか、朝食がセットになっているパックです。ただ、食べられるのはゆで卵と食パンだけで、あとはオレンジジュースとか紅茶とかコーヒーとかがあったかな。まあ、食べられるだけ充分ありがたいのですが。
これから登る中央アルプスを客室の窓から見てみると、何となく雲がモサモサ。ビミョーですな。
7時と7時半のバス便があると、ホテルオオハシの中にあった時刻表に書いてあったので駒ヶ根駅前のバス停に行ってみたら、始発は8時。犬死にしました。
しかし、空木岳が素晴らしくきれいに見えています。頼んだぞ!天気!!
しかし、これから起こる地獄を知らぬまま、ふうたろうは駒ヶ池バス停に降り立つのでした。
空木岳池山コースを歩くのであれば、菅の台バスセンターではなく、駒ヶ池(410円、11分)が最善です。駒ヶ根インターまで高速バスで来ているのであれば、女体入口から、駒ヶ根市の高速バスセンターであればすずらん通りから、それぞれ乗るといいでしょう。
タクシーやマイカーを使えないと、駒ヶ池からの徒歩となります。タクシーやマイカーであれば、どこまでか解らないけど林道をある程度進むことができるみたいで、ふうたろうはここでハンデを背負うことになります。
まだ雪不足のスキー場の駐車場。太陽が燦々としています。このまま晴れてくれるといいけど…。
冬枯れの山。ほんとに奥多摩かどこかに来ているかのような長閑さです。
この空木岳の雪山に散った若い登山家たちを追悼する碑(いしぶみ)が、誰も通らないアプローチの途中に3個、あります。山は死と隣り合わせです。でも、究極的には、生きるということはそういうことなのかも知れませんね。
林道の終点です。しかし、どこか途中が崩落しているので、ここに止まっている車はありません。
この駐車場からの展望は意外といいのです。2008年11月23日に登りに来たとき、まだ知らない南アルプスの山々を漫然と眺めましたか。
ここからが普通の人の登山口。まあ、この時期なら、駒ヶ池から歩く人なんて殆どいないでしょう。
ここで登山届けを出すことができるはずですが、ケースには登山届けの用紙が入っていないという。書いてきて提出すべきなのですね(滅
荷物が重いので、早く中からわかんやアイゼンなどを出したい。でも、これでは使えないではないか。
タカウチ場(鷹打ち場)。2年前の11月にはもうこの辺りも雪景色だったはずなのに…
しかし、サルオガセが垂れ下がる谷筋の道になってくると、雪が現れ始めます。
きれいな雪道。ちょっとクラストしている感じの雪で、深くもないので快適です。
池山小屋とマセナギ方面の分岐。水場があるのでここで一杯やってから上に行こう。
冬らしい道になってきました。山頂に近づくにつれてもう少し深い雪になるでしょう。
お約束の雪に木の影。この山に限らず、これからこういう風景が増えていくでしょう。
マセナギはもうすぐ。2008年11月23日のあの時と比べれば、体力も根性も格段に上がっている。余裕です。
マセナギ到着。11時過ぎ。
それでもやっぱり荷物は最大級の重さ。この道、当時の軟弱ふうたろうとはいえ、音を上げただけのことはある。厳しい道です。
マセナギの崖は、実はとても展望の良い場所ですが、熊伏山の青崩峠コース同様、崩落が現在進行形で進んでいます。近寄れないようにロープが張られています。
マセナギを過ぎると一旦傾斜が楽になります。上り下り合わせるとここはもう何度目になるでしょうか。だから、勝手が解って歩きやすいのです。
¨:∴(゚ε゚;)ブッ
食おうと思ったイギリスのショートブレッドがこなぐすりになっているではないか。オプタテシケ山の上でキティランドがこなぐすりになっていてシブい思いをしたことが、こんな所で思い出されるとは。
マセナギを過ぎ、ピークを巻くトラバースが終わり、これから小地獄・大地獄を迎えます。前に来たときはここで15時くらいになっていた気がします。今はまだ12時。全然大丈夫。
鎖と岩と急坂の連続の小地獄。まあ、こんなもんは地獄の内に入らないね。
檜尾岳~宝剣岳方面は相当雲が多くなっています。やっぱりダメ?
何だろう、この櫓…?ここで立ち往生したらテントでも張れってことかな?
ちなみに、小地獄以降、ヨナ沢ノ頭までテントを張れるようなスペースは一切ありません。マセナギを過ぎてトラバースを登ったところのひと区画分のスペースが最後のテン場です。
伊那谷の方はまだ晴れています。これからどう天気が転ぶかなあ。
そして大地獄へ突入。おそらく、大地獄は、小地獄の岩と急坂の連続に対し、急な斜面のトラバースの連続を指すのだと思います。ここからが本当の地獄の始まりです。
雪が突然深くなります。トラバースの道は完全に雪に埋もれていて、リボンが見つからなかったら絶対先に進めません。基本的に大きな上り下りはないので、真正面から少し上下を見れば、大抵は大丈夫ですが…。
この風景、覚えがあると思ったら、おそらくこの辺り、2年前に来たとき、無理やりテントを張って寝たところのような気がします。よくこんな崖っぷちで寝泊まりしたなあ。
迷尾根と書いてあります。歩いてきて思ったのですが、このトラバースは非常に時間がかかります。雪道はまさに地獄の道行き。
この看板には、小地獄の始まりから急で狭い道が続くだのと書いていますが、そういう問題ではありません。
ところどころ、開けた沢筋みたいなのがあって、雪が崩れて落ちていかないかと不安で不安で…。
辛うじて階段の痕跡が見えるけど、この辺りからは上りのきつさがトラバース雪道に加わってきます。大地獄も佳境に入ってきました。
南アルプス南部の山々にも雪雲がかかり始めています。寒気がいよいよ強くなってきたか…。
大地獄終了点はヨナ沢ノ頭手前の稜線との出合。
しかし、それを前後して、雪の深さがいっそう凄まじくなります。わかんを履いている状態で、膝下まで普通に潜ります。何がキツいかって、完全に体重をかけないと雪が退かない程度の固さであること。足でかき分けられるくらいの柔らかい新雪だったり、乗っても沈まないほど固い根雪だったりすればいいのですが、そのどちらでもない中途半端なのが一番辛い。
あっという間に暗くなってきました。空木平避難小屋まで行きたいのに、これでは…
雪トラバースの上り坂が緩やかに続いていました。トラバース道は雪のたまり場。嫌気がさして稜線まで上がりましたが、今度はヤブと深雪の地獄。しかも、闇と風雪です。冬山が猛威を振るっています。
いったい今、何時だろう。18時は回っていると思いますが、テントを張れそうな場所が…
このあと、空木平避難小屋と駒峰(こまほ)ヒュッテの分岐のところに至りましたが、吹雪と暗闇で道が解らなくなり、結局そこでテントを張ることになりました。
思えば大地獄を過ぎてから、何度雪道に倒れたことか。歩けなくなり、普通の装備であれば寒さと空腹に耐えられなくなり、遭難死するのはこういうところなのかも知れませんね。
でも、悪いけどふうたろうはこの程度では死にません。「もうイヤだー!」と叫ぶ程度で、死ぬなどとは考えられんのです。そのための100リットルザックで、25kgの荷物でもありますから。
しかし、それでもこの風雪と寒さはしんどいですな。明日、天気図その他諸々を確認して、進退を決めよう。
天気:晴れのち雪、強風を伴い強く降る(長野県駒ヶ根市)
ああ、なつかしい。
マイカーの私は林道は車なのでした。おまけに季節は夏。
ぜんぜん厳しさが違いますね。
それにしても小地獄、大地獄って名前負け?
すごいところ想像していたので未だに???って感じです。甲斐駒の天狗の刃渡りみたいな場所とおなじ。
名前でおどかすのはやめてほしいです。
25キロ100リットルこの中に生きる道具が満載。
中途半端な雪の一歩一歩が疲れますね。
これでまた脚力が増加されたのではないですか。
そうやってふうたろうはどんどんつよくなるのであった。
>ふうたろうはどんどんつよくなるのであった。
むしろ体力が奪われていってバテるという罠。
体重が数ヶ月前より3kg減っているのですが、おそらく12月に入ってからの鬼山行はヤヴァイのでしょうね。
小地獄と大地獄は、名前の通りでしたよ。あれ、雪が積もったら軍隊の訓練になるんじゃないですかね(滅