環境ホルモン話
環境ホルモン。そういえば、この言葉を聞かなくなって久しい気がします。専門的な学術論文を読む機会すらない一般市民にとって、金持ちなどが垂れ流す「環境ホルモンはウソ」説を信じるしかない情勢では、仕方のないことなのかもしれません。しかし、そんな中、池袋で行われた、『環境ホルモン問題は今どうなっているのか』と題したミーティングに行ってきました。市民レベルで主催されたこのミーティング、どの程度Science baseで話を聞けるか半信半疑でしたが、それでもとりあえず期待していきました。
しかし、情勢の厳しさは変わらないようです。なぜなら、イボニシのインポセックス(雌にペニスができる)や、異常行動との関連を、性格に突き止めるレベルにはまだいっていないからです。講師の森田さん(内分泌攪乱物質学会)もこの問題を「永遠の課題」といっています。確かに、目に見えないレベルで起こる、複合的な問題なので、解明は難しいでしょう。そうであるなら、現段階で環境ホルモン問題は政治・経済レベルの問題なのかもしれません。
環境ホルモン問題のみならず、遺伝子組換え食品や食品添加物、排気ガスその他の毒性問題は、自然科学によって解明するものでありながら、真相が解らないのを良いことに政治レベルの問題に持って行かれます。何となく、従軍慰安婦や南京大虐殺問題と似ているような気がしなくもないですが、何にせよ、物的証拠を揃える必要があります。
ところが、物的証拠を揃えるための生物化学的・疫学的な研究には、膨大なお金がかかります。それは機能性食品の研究とも同じはずです。でも、利益になる機能性食品の研究に対置する、利益にならない毒性学研究に、いったいどこの企業が自主的にお金を出すのでしょうか。結果的に、国が支援するしかないのですが、そういう情勢ではありません。そして、それを研究している機関は、一部の大学と、一握りの公的機関に限られるようです。各食品・医薬品企業がしのぎを削って新しい商品を研究するのに比べたら、何と貧弱なことでしょう。事実、大学の研究室を探すときも、環境も含めて、毒性学的な研究をするところは、機能性食品のそれに比べ、1割あるかないかです。
一方で、この環境ホルモンや化学物質全般の毒性問題について、科学的根拠があまり無い情報が市民の中に一人歩きしている現状もあります。講演の後に質問コーナーがあったのですが、驚きました。
質問者:近頃、男性にも内股で歩く人が多い。また、トイレで座って小便をする人が多い。缶コーヒーの内側にある塗装がビスフェノールA(ポリカーボネートというプラスチックの原料)と関連があるのではないか。
「内股で歩」いたり、「座って小便をする」ことが、この質問者の中では「男性ではない」証明になっているらしい。かつては化粧をしなかった男性が化粧をし、髪が短い人が多かったのが、今ではロングヘアーも現れました。それは良い悪いは別として、社会的要因です。ジェンダーと呼ばれるものでしょう。2月5日の時の味噌作りでもそうでしたが、そういう穴は、抑圧階級側の餌食になります。
そういえば、この会場、今世間を賑わせている会社の欠陥エレベータでした。とりあえず、こうして日記を書いているので、無事だということですが。
帰ってきたら、昼間は咲き誇っていたトケイソウが、殆ど萎んでいました。けども、2輪、綺麗に咲いているものがあり、撮影。
天気:くもり時々晴れ(茨城県取手市・東京都豊島区)