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慌て者の末路(佐武流山【赤湯赤倉山コース】:新潟県)

2012年 9月 1日

 …ああ、身体がだるい。これは精神的なものも影響しているのだと思いますが、何となく動きたくない、という思いがうごめいています。でも、よりによってこの旅館にいるわけにはいきませんので。挨拶もそこそこ、風呂には予告どおり一切立ち寄りさえもせず、100リットルザック担いで出発です。


 駅前のバスに乗ります。南越後観光バス上浅貝行きのバスに乗ります。6時5分発というダイヤ設定は見事としか言いようがありませんが、いかんせん、宿に前泊しなければならないというのが傷物です。
 それにしても、空はほぼ快晴。幸先がいい、かもしれない(ぇ


 バスが平標(たいらっぴょう)登山口の駐車場前に止まって、平標方面に登って谷川ロープウェーに抜けるという若い兄ちゃんふたりと、赤湯方面に進んでそこから苗場山に登るおっちゃん(爺ちゃん?)やどう考えても険しすぎるとしか考えられない佐武流山などに進むふうたろうとの、大きく二手に分かれました。
 平標山および仙ノ倉山、谷川岳は、ふうたろう300名山撃破劇における切り札なので、登るのはもう少し先になるでしょう。


 さて、駐車場のトイレでビッグベンしたら出発です。どこに赤湯(山口館)方面の道があるのか解らないかも知れませんが、平標の駐車場より越後湯沢駅方面に100mほど戻れば西側(左側)にあります。看板があるので、迷うことはほぼありません。
 ところで、朝のけだるさはさっきから一緒だった兄ちゃんたちや爺ちゃんのおかげで、かなり解消されています。ふうたろうはMPで山に登る生き物ですから。


 ふうたろうがビッグベンしている間に爺ちゃんは先に進んだのでしょうか。ふうたろうよりずっと荷物も小さかったし、相当先に進んでいるんじゃないかなと思って、あえて追うなんてことはしません。Going my way!


 程なくして、小さな尾根を乗っ越すためのスロープを上がります。しかし、ふうたろうの荷物ではこのスロープもそこそこの負担。さすがにお盆の北海道ハイパー合宿(全長94km)とウルトラデラックスハイパーヤヴこぎ越前経ヶ岳(福井県)を連チャンでこなしたのでグッタリ。しかもどうやら、夏バテを食らっているようですな。
 ふうたろうはどくにおかされた。もちろんどくけしそうはありません(何


 あちら平標山方面。アレもアレでガッツリ登るコースを設定してやれば、ハイパーコースになるのでしょうね。腹も減らないような登山は逆に疲れますから、加減が難しいものです。


 しかし、今回の佐武流山、手加減しなくても腹が減りそうで、胃腸の筋肉のタンパク質まで分解されるかもしれませんな。この最初の鉄の橋を渡るまでに、ひどく急な下りをぶちかまされます。


 ああ川が美しいなあ(棒読み


 …南の空、山の方が不吉な雲に覆われています。まだ7時半頃だべ?夕立には早いぞ。


 道なりに進んでいくと、林道というか、ダートと何度か交差します。赤湯方面の札は欠かされていないので迷うことはありません。
 しかし、ふうたろうも、こういうところを10kgくらいの荷物で歩いてのんびり小屋泊まりとか、200回に一回くらいはしたいなあ(じと目
 あーこないだの夕張岳がそうだったのか(棒読み


 アップダウンのある川周辺の道をグダグダ歩いていると、沢の渡渉があります。きれいな水の流れている沢。赤沢です。
 ふうたろうはこの沢の水を汲んで飲みましたが、あまり美味しくありませんな。上流に変なものはなさそうなので(地図上では)飲んでみましたが、推奨しません。え?そんなもの飲まないって?
 昔は手を少しでも洗わないとお菓子をつまむことさえためらったふうたろうなのに、いやあ強くなったなあ(遠い目
 ところで、ここでマッタリしてると、さっきの爺ちゃんがなぜか後ろからやってきました。どうやら入口の看板を見落として迷っていたらしい。


 林道に突き当たると、いよいよ林道歩き開始です。


 しばらく爺ちゃんがお供してくれます。いや、ふうたろうが爺ちゃんのお供なのかな?
 この橋で一応一般車は通行止めのようです。ま、歩きのふうたろうにはまったく関係ない話ですな(不敵な笑い


 橋の真上から滝が見えると思ったら、砂防っぽい人工の滝。この堰堤を見なければ砂防には見えなかったので、土砂で完全に埋まっていると見た。


 このように、しっかり河原になっています。
 砂防ダムの上でキャンプとかできそうだなあ(黒笑


 しばらく進むとゲートがあります。まあ、ゲートといっても鎖一本なんだけども。そこに登山届を出すところがあるので書いていきましょう。
 ん?(・ε・;)
 …オレの行く山がねえ…(アヴラ汗
 ま、ふうたろうはいつも相手にされていないので気にしない気にしない(ぺっ
 なお、佐武流山とか白砂山は、ふうたろうがテキトウに書き足しておきました。


 ゲートを抜けて奥に進むと、車が2台ほど停まっていました。これは小屋番たちの車でしょうね。赤湯・山口館の。


 さっきのところで林道が終点になり、登山道開始。爺ちゃんとは赤湯の少し先まで一緒です。


 この棒沢のところで一度休憩しましょうか。
 爺ちゃんは言います。「山をやることでがまんや辛抱することを覚えることになる。つい急いで進みたくなるところを、ジッとがまんして(セーブしながら)進むのが長く歩くのには大事。」
 …というニュアンスです。まさにその通りですね。ただのがんばり自慢でも、軍隊や体育会系のような根性論などでも、ない。先を見通す我慢を知る。


 ひとまず、水に癒されますか。既に空気は秋の雰囲気を漂わせてひんやりしてきてはいますが、動いてれば容赦なくクソ暑いので。


 さ、ここから鷹ノ巣峠方面、急坂が少しきついです。でも、一緒に進む人がいると、なぜか励まされませんか?


 鷹ノ巣峠の指導標。まあ、ここでバテていたらどうにもなりません。この先、お互い厳しい道が待っていますから。


 次のチェックポイントの「見返りの松」でしたか、そこで、外国人のお父さんとハーフの愛娘との組に出会いました。目をこすっていた女の子、日本語か英語かどっちが判るのか判らなかったので、とりあえず「Are you sleepy?」と聞いてみたら、「眠くない」と日本語で返されました。こりゃ、バイリンギャル(老害)でしたかな(黒笑
 なお、父ちゃんも日本語をしゃべれました。ま、そうじゃないと不便でしょうがないもんね…。そして、彼女は自分のことを名前で呼んでいましたが、何と言っていたか聞き取れませんでした。とりあえず、人見知りしない、チョーぷりちー(Very pretty)な女の子でした。(完)


 さて、赤湯までもう少し、行きましょう。


 再び沢に下りてくればもう少し。鉄の橋を渡ります。


 鉄の橋は2本。ここを越えれば赤湯。


 橋の上からノゾキができますよ(たぶん男湯)


 この温泉、ハイパー山奥なのに、温泉成分どころか、レジオネラ菌検査までしています。この秘湯にそんなん持ち込まんでええやんけ。まあ、雌阿寒岳(北海道)の野中温泉の骨董品レベルの成分表くらい凝っていれば話は別ですがね。


 山口館は休憩できる場所があるようです。ひとまずそこで休憩&水汲み。


 色づいたアキアカネが、花びらの散ったオオハンゴンソウに留まっています。いやあ秋だねえ…


 ところで、空がいよいよ不吉な色を醸しています。まだ11時台ですけど?


 何と雨までぱらついてきましたがな!


 でも、直ぐに止みました。アヴネー…。


 山口館から進んで最後の一つ、鉄の橋を渡ったら、短いけどすごい急坂になります。そして、それを上がったところが佐武流山方面と苗場山方面との分岐です。ここで爺ちゃんともお別れ。ふうたろう、ひとりの旅です。


 お互いこれから長い旅。苗場山もなかなか遠いですぞ。しかし、ふうたろうのこの先は、おそらくヤヴを伴った急坂。心してかかるべし。


 深い樹林帯の隙間から苗場山の台地状の地形が見えます。


 そして、ふうたろうの進む道は、本当に笹ヤブ状態です。それでも、先週の越前経ヶ岳よりはまったくといっていいほどマシ。


 しかし、これを見ると、そんなにマシにも見えませんか。五十歩百歩の世界。


 さっきのチョー不吉な雲はどこに行きましたか。とりあえず、今日は北西に行くほど雲が少ないように見えます。


 疲れたら休みましょう。中途半端に立って休むとか、中腰の姿勢でいるとかじゃなく、足を伸ばし、しっかり座り込んでしまいましょう。同じ鬱蒼とした樹林も見え方が変わります。


 ひたすら急坂が続く上にヤブも断続的に出てきます。道が判らなくなるほどのヤブではありませんが、快適とは言いがたい。


 このさび付いた白い看板には、1730mと書いてあります。まだ標高1730mですか…。単調にバカみたいに登っていくので、位置を精確に当てられません(鞍部の一つでもあれば解りますが)。


 その1730mのところは岩場になっていて、展望が利きます。しかし、楽しんでいる余裕はあるかな?そろそろ疲れてきた?


 天気の方も雲が多く、すっきりしません。そして、上に来るほどヤブが濃くなっているように思います。


 少し尾根を南側に外すようなトラバース状のルートを上っていくようになりますが、そこの笹ヤブが非常にイヤらしい。誰かが刈り払ってくれていてそれでも若干マシですが、直径1cm以上のネマガリダケが猛威を振るっていて身体やザックが当たると突き返されます。


 石狩岳(北海道)や越前経ヶ岳のデラックスヤヴとは違って、やいばの森ではありません。それでも、このヤヴ急坂を抜けたときは本気で安心したものです。


 苗場山からの縦走路との出合。ここは赤倉山の山頂ではなく、その50mほど北の場所らしいです。一応、テントが張れそうです。


 道は至って安寧。今までを思うとまさに砂金を敷いた舗装路です(ぇ


 そして赤倉山。ここで休みましょう。


 何個か散らかっている腐りかけた丸太に腰掛けてボーッとあたりを見ていると、あの木の上の方にある赤いリボンに目が行きました(黄色の丸)。高さにして3~4mはありそうです。おそらく、積雪期に佐武流山や白砂山を縦走するときの目印なのでしょうね。そして、それほどまでに雪が積もる豪雪地帯、ということです。
 ああ雪山が恋しいなあ(棒読み


 さて、安寧にもほどがある道を突き進みます。もし明日、白砂山まで抜けきるなら、赤倉山なんかで留まっていてはどうにもなりません。


 赤倉山のだだっ広い山頂前後は、林床の笹の生えていない平らなところであれば、けっこうテントが張れそうです。その代わり、水はしっかり持ち上がっていないとアウト。


 赤倉山を越えると佐武流山方面に向かうとして左側の展望が最高です。が、雲がモックモク。


 あの山は佐武流山ではなく、ナラズ山(25000分の1の地図にはない、2051.7mのピーク)。今日はあのピーク付近にテントが張れれば、と思っていますが…。


 しばし展望を楽しみつつ。ただし、疲れはやっぱりかなりたまっています。寝不足も含めて、ね。


 アップダウンもあります。だって、縦走ですもの。


 ナラズ山側の上り返しから赤倉山を見ます。ザンネンなのはやはり天気ですか。


 っていうか、ザンネンどころかマジでガスってこようとしてますが(滅


 彼方の苗場山方面はけっこう晴れているみたいですがね。関東地方に近いこちら側は南風の影響を受けているという罠ですか?


 マイヅルソウの芽を見て、「食べられるかなあ」などと言っていたのがついこないだ、船形山~泉ヶ岳(山形県~宮城県)に登った5月中旬。それがもう花も終わり、実をつけています。早い、本当に早い、時間が経つのは。


 雲が多いです。雨には降られたくありません。でも、降られそうならテントに逃げ込むまでです。そんなに深刻ではありませんので。


 ふうたろうの居る場所・高さまで雲がやってきました。ガスっています。そして、目をこらすと、虹が見えるのです。そこでは雨が降っているのですね。


 鉛色の空。ちょっとしんどくなりますわな…。


 少しの上りも辛い今、必死に登ってナラズ山。しかしここにはテントを張るスペースはないようです。もう少し先に進むしかありませんね…。


 しかし、ナラズ山より先、佐武流山方面は何と笹がさっきまで生い茂っていたかの如く。誰かがこの悲惨極まる笹ヤブをかっ捌いてくれたために歩けるまでになっていますが…


 斜めな上に笹の切断面が竹槍状態なのでマジしゃれになりませんぞ。さすがに人里以外ならどこでも寝られると言っても、これは無理。


 樹林帯の下、林床には笹は意外と生えまくってはいません。この先どれほど適地があるか判らないので、少しでも平っぽいところがあったら幕営してしまいます。これが、どこでも寝られる強み(何


 荷物を突っ込んでいないテントの何と広いことよ。雨も降らずカラッカラの外だから、多少荷物を置きっぱなしにして寛いでいても大丈夫。
 …アレ?ヘッドランプと鍋の取っ手とニンニクが入ってないんだけど(滅滅滅


 というわけで、スパゲッティ(フェットチーネ)を茹でるのにもあらゆる角度から苦労しました。暗いし、熱いし、物足りないし(滅滅滅


 というわけで、無事、佐武流山の稜線までやってきました。問題は、佐武流山から白砂山までが抜けられるかどうか。ヤヴがすごいのであれば、時間や天気などの条件が整わないと難しい。ガスっていたり、体力が落ちていたり、時間があまりにも押していたり(野反湖の最終バスは15時6分)すると、ヤヴ突入前に諦めねばなりませんから。
 とりあえず、今日は疲れたので、苦労して作ったフェットチーネ、食いきれないまま寝ます。


天気:晴れ時々くもり、一時小雨ぱらつく(新潟県南魚沼郡湯沢町・長野県下水内郡栄村)

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