黄色いゾンビも雪の空(滅)(箱根駒ヶ岳【早雲山神山~防ヶ沢姥子コース】:神奈川県)
体調は下の中。はっきり言ってよろしくない。でも、ここで休んだらもう戻ってこられないかも知れない、そんな気がして。具合に気を尖らせながら小田原駅までやってきました。箱根登山鉄道に乗ります。
箱根湯本でスイッチバック式の電車に乗り換えてしばらくしたら寝ていて、気がついたら彫刻の森駅(変な名前だな)を過ぎ、時期に強羅(ごうら)駅へ。強羅駅から早雲山駅までケーブルカー。
…まあ、何とも忙しいことよ。体調が普通なら、この忙しさもまったく普通なんでしょうけどね。
早雲山駅前。まだ空は晴れていますが、既に雲が空を覆い始めていまして、実に不吉です。
とりあえず、ふうたろうが今日登るルートの始まりはここ。早雲山から神山と駒ヶ岳を通り、防ヶ沢方面へ抜ける。その後時間と、とりわけ体力に余裕があれば、芦ノ湖の西岸を歩く。
…しかし、登り始めてすぐ、やはりいつものパワーは出ません。いやむしろ、3割程度ではないか。
この冬枯れに、何の感情も抱かず、自分の不健康さを呪うばかり。
ついに雪が出てきました。先週の金剛山はもちろん、その前の男鹿岳の雪とも違って、ガチガチに凍っています。まじ最悪。
たまに照らしてくる太陽がこのガチ氷に反射してきれいです(じと目
後ろから追ってくる3人組のハイカーから逃げるように上に向かっています。こんなところで抜かれるようなら、ふうたろうも終わりだという強迫観念か。今日は体調だけでなく、精神もおかしくなっています。
雪道が続きます。気温が低いのでアイゼンがあれば上手く進めますが、今日はそんなものを持ってきていません。
ふうたろうは神山に向かいます。大涌谷と神山が同じ方向というのがピンと来ず、思わず駒ヶ岳の方に進んでしまいました。
神山と大涌谷の指導標に隠れて、冠ヶ岳の指導標があります。
…せっかくだから、行っときますか。しかしどうも、こういう盲腸線は好きになれないふうたろう。
冠ヶ岳の山頂はガッツリ樹林帯。しかも、木漏れ日どころか、雪もちらつき始める始末。天気・体調・精神状態、トリオで最悪(滅滅滅
ふうたろう、今日はろくに写真を撮っていませんね。それほどまでに余裕がない。心身ともに出力3割なら、いつものパワーの1割に満たない推進力か…そりゃダメだね。
しかし、一応箱根山最高峰の神山到達。
駒ヶ岳の山頂が樹林に隠れて見えていますが、樹林よりもこの重たい雲がさらに行く気を削ぐという。
神山は最終目的地ではありませんので、ひとまず進みます。駒ヶ岳まで行って、箱根山は完成でしょう?
しかし、霜柱や雪で、オーバーユース気味のえぐれた登山道がぬかるんでいます。
何となく残雪期の東北や北陸の山々を思い起こさせますが、そんなにさわやかならこんな苦労はしない(歯ぎしり
今日は登山客が少ない。まだ対向から来る人は4人。しかもその4人全員が女性で、内3人は20代と思われる、きわめて珍しい状態。そして、そんな花畑状態の中を、気がついたら全身真っキッキの服装で(黄色のズボンに黄色のインナージャケットで歩いていたので)、ゾンビ顔しながら歩いていたという、とんでもない罠。
黄色いゾンビは駒ヶ岳と神山の鞍部に立っています。さて、また何気に盲腸線だけど、ここで放棄するわけには…。
広場があり、そこからやっとまともな展望らしきものが、と思ったら、空はハイパーどんよりモード。やる気が出ない。
やる気だけで登っていられると思ったら大間違い。やりたいことをやるには、やりたくないこともやらなきゃいけない。
大げさだけど、人生とは、7~9割は、やりたいことのために犠牲にするものだと思っています。
山頂近し。しかし、この笹ヤヴ、ヌカルミと氷でけっこう鬱陶しいかも。
土壌が剥がれ、ぬかるんでいる山頂の向こうに、神社らしきものが見えます。
箱根元宮、という名前だっけ?殺風景な中にぽつんと建っています。
表参道の階段。何か、異様な風景ですなあ…。その辺にいる観光客は、これが絶景とかいろいろ言っているようですけど。
ところで、元宮よりもずっと目立って気になっていたのがあの建物です。恐らく、ロープウェーの駅舎でしょうけど。
25000分の1の地図には、もう一つケーブルカーの表記があります。そこそこ古い昭文社の地図にさえ書かれていないので、廃線になって久しいのでしょう。今は展望台になっています。
天気が悪いからなのか、雪があるからなのか、理由ははっきりしませんが、今日はとにかく人が少ない。荒涼としています。というか、猛烈に寒い。
そして、間近で見る「駅舎」。本当に廃墟ではないのか?確かに人はぞろぞろ出てくるんだけど…
「駅舎」横の展望台からは芦ノ湖や駿河湾がよく見えます。もちろん、曇っているので良い景色かといわれると大目に見てもビミョーですが。
中に入る前に靴を洗えということですが、水が出ないし、ボロボロ…
中に入れば電気は通っていて(当たり前か)、ロープウェイ受付は機能しています(これも当然か)。
しかし、元はあっただろう2階のレストランや展望スペースは封鎖されていましたし、この自販機とプリント倶楽部(老)のぽつねんとした姿が何とも。
あまり悪く言うのも何だけど、老朽化が激しすぎます。事故が起こらなければ良いのですが。
…さて、ふうたろうもこれでも登山者の端くれ、歩いて下山しましょうか。
とりあえず、防ヶ沢分岐まで元来た道を戻ります。さっきと同じく、凍っています。
笹かぶりの道です。雪は凍ってはいませんが、少し沈むので靴が濡れる…
この分岐、左に行けば防ヶ沢。まっすぐ進めば姥子。姥子方面は2月中旬まで通行止めだったらしいですが、今は3月上旬なので進めるはず。行こう。
しかし、いよいよ具合が悪い。何というか、気分が沈む具合の悪さ。歩く気力が奪われるような気分の悪さ。このまま死んでしまうような、あるいは死んでしまってもいいような、気分の悪さ…
かつてこんなのは経験したことが無い。
でも、ここでくたばってもしかたのないことです。頭の中を覆っているのは、なぜか絶望ばかり。それでも、くたばれない。くたばるのが怖い。
どんよりした箱根。この空と空気が、いっそうふうたろうの気持ちを突き落とします。気持ちだけはもうこの谷底かも知れませんね。
支えにしていた棒が、雪に滑って転んだ拍子に真っ二つに折れました。相棒が死んだ。
でも、不思議と相棒がなくなると、スピードが上がりました。写真も撮りやすくなったし。
ふうたろうの25000分の1の地図は古いので、この道はありません。しかし、どこにいるのかは地形から推測できます。
地形図を読めなければ、指導標に頼るのが吉です。指導標が無くても歩けてこその普通の道は愛せないのコースですから。
尾根伝いに道が延びているようですが、今更行く必要もあるまい。
言うまでもなく雪ガチ氷ハイパー崩落ゾーンです。雪が凍っているだけでなく、階段も壊れています。
ふうたろう、今日は何で箱根の山を歩いているんだろう。何で、体調を圧してまで登っているんだろう。
…荒れた植林帯に出てきました。
俺が、もっと生きやすい生き方はないのか。そんなことばかりを考えながら歩いています。
今日の箱根山は、本当にキツい。このきつさは、異質なものです。
…でも、どうやら、箱根山の登山道を抜けたようです。
このホテルみたいなところの道を通って、桃源台駅を目指します。そして、高速バスを拾って帰ろう…。もう、芦ノ湖の浜辺なんて歩く気力も体力もありはしないのだから。
ここから桃源台へ下ります。
箱根の道は縦横無尽です。人がたくさん訪れる観光地なのとは裏腹に、ふうたろうにとってはどこへ行けばいいのか解らなくなりそうな場所です。
でも、誰かが道を教えてくれるわけではなく、ルートを決めるのは自分。それは解ってはいても、今日はそれでも辛い。
ここから桃源台へ向かう道はもうおおむね1本しかありません。下山した安堵感もあって、気持ちが少し持ち直しました。
箱根には何かふうたろうには想像できない建物がたくさんあります。そしてそれは、どちらかというとふうたろうにはあまりありがたくないものの場合が多いようです。
さ、桃源台まであと少しです。地図から自分の進む道を見つけ出すことだけは絶対です。もちろん、指導標の力も借りていい。
…しかし、ここを歩いていると、所沢市の航空公園を歩いているときのことを思い出すんですよね。ま、似たようなもんだからしょうがないけどさ。
どうやら、ここからは30分に1本の割合で新宿行きの高速バスが出ているようです。
15時30分のバス便を確保しました。
本当は15時のバスにも余裕で間に合ったんだけど、辛いだけの想い出なんて悲しいから。もう少し粘らせて。
…
ヌオッ(゚皿゚;)
本格的な雪だ(滅滅滅
これで、この3週間、東西南北、全部で雪にぶちのめされたよ…(ため息
帰りの高速バスは予想通り渋滞しました。でも、判っていました。多数の乗客が乗り降りして、乗り換えも多く駅移動も大変な鉄道より、バスの方が精神衛生上も安全ですから。
ふうたろう、こんなに弱り切ったまま山に登ったのはもう何年ぶりでしょう。それでも、この箱根山に登らなければ、来なければよかった、とは決して思わないところだけは、自分ながら褒めてやりたいと思います。
#274箱根山クリア。
天気:くもりのち一時雪(神奈川県足柄下郡箱根町)