雨の旅なるか?(八ヶ岳:山梨県)
※記録:9月11日
夜中からテントに時折雨の当たる音。とても悪いムードです。仲間のSくん、「うおお~うぜぇ~」。しかも、睡眠不足で、寝覚めも非常に悪い。歩き始めてから雨合羽を落としてしまい、数百メートル戻りました。睡眠不足で意識がもうろうとし、もはやここまでかと思っていました。
さて、本日のルートは、観音平(小淵沢町内)グリーンロッジから押手川、編笠岳(あみがさだけ)、青年小屋、権現岳(ごんげんだけ)、旭岳を経由し、キレット小屋(跡)の野営場(キャンプ場)までです。
編笠岳までは鬱蒼とした森林が続きます。折からの雨で濃霧。睡眠不足の頭が覚めてくれません。
ところが、編笠岳方面と青年小屋方面への分岐である押手川で突然晴れてきました。こうなれば水を得た魚。編笠岳への急登も段差のある木の根や大きな岩も何のその。まるで光合成をしているかのようにパワーアップ。そんなところから見る景色は最高です。一方、仲間のSくんはパワーダウン。急登と大きな岩に絶叫でした。お疲れさまです。
編笠岳の頂上からは一面の雲海。ガスも晴れて、南アルプスが少し見えました。編笠岳頂上はガレ場で、結構登山客も多いところです。高山特有の岩と旅仲間を味わっていきたい。
編笠岳からは権現岳を見ることが出来ますが、意外と距離があるように見えます。写真の二つのピークの右が権現岳です。
青年小屋に向かうと、えぐれた低い松林の道からこれから1時間ほど進む道すべてが見渡せます。えぐれた道で露に潤いを感じ、その次のガレ場でアスレチックを楽しみ、青年小屋で少しの休憩後、再び急登とザレ(小さな石や砂などの道)を噛みしめることになります。
青年小屋はきれいに整備されていて、トイレや水場もあります。トイレは一回100円、水場は小屋から5分だそうです。小屋から編笠岳を見上げると、大きな岩に小さな人が隊列を作って登っていました。自然は大きい。
青年小屋から権現岳に向かうルート。トリカブト(キンポウゲ科)が生えていました。しかも、群生。おもしろい形をしているなぁ。
ルートからはずっと権現岳が見えます。「あんなところまで行くのかよぉ~」という弱音はタテマエで、ただただ雄大な景色と可憐な高山植物と表情豊かな雲たちに感動するばかり。山はいいねぇ。
左の写真の、左にある小屋が権現小屋。泊まれます。なお、キャンプはこの辺りは禁止されているそうです。右の写真は権現岳の岩。後であそこに立つのです。
権現岳頂上は前述通り岩。足すべらかせたら奈落の底。それを覚悟で岩の上に立つと、まさに天上の人です。雲がアイレベルで巻き上がる光景は感動。周囲の山が見えるのもいいけど、この雲もたまらない!
権現岳を後にして、キレット小屋を目指します。ここからは非常にアップダウンの激しい、急登の続く縦走です。断崖絶壁あり、10m(Sくんによると20m)の梯子あり。山慣れした隊長のWさんは余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)。でも、縦走はいいものです。ずっと景色見ていて、飽きません。
キレット小屋の周辺は森林の中です。つまり、それだけアップダウンの激しい縦走だということになります。湿度の高い森の中はこけやきのこがいっぱい。近くにはコマクサも群生しています。
そんな自然豊かな中、閉鎖されたキレット小屋が佇んでいます。打ち付けられたドア、朽ち果てた壁。人を待ちきれず倒れた山中の廃墟です。
キャンプ場はまだ使えます。しかし、斜面にあるためやや斜め。我慢しましょう。ハードなルートで腹を減らしたSくんとWさん。辛いカレーを披露して差し上げました。胃が辛いとか何とかいいながら、みんなよくがんばって食べてくれました。僕にとってはこのカレー、やや辛い程度なのですが…。
ここには水場とトイレがあります。
水場はキャンプ場から1分ほどのところにあるのですが、水量が少なく、重石の石にはヒルかプラナリアのようなものもくっついています。でも、ここしか飲み水はありません。ミジンコがいようと使います。なお、水自体はとてもうまい。
トイレはキャンプ場のすぐ上にあり、「音入れ」という看板が掛かっています。しかしこのトイレ、小屋閉鎖後、くみ取りに来る様子もありません。肥だめから糞尿が山の斜面に溢れかえっています。どうにかならないものか。
今日の旅はここで終わりです。翌日は赤岳、硫黄岳、夏沢ヒュッテ、などを経由して下山します。
しかし、今夜も眠れず。18時半頃に眠り始めて、20時45分頃目が覚めてから2時まで眠れませんでした。いったい5時間も何してるんだろう…。
天気:くもりのち時々晴れ(山梨県北巨摩郡小淵沢町・長坂町・大泉村・長野県諏訪郡富士見町)