1年、東北の山に捧ぐ(阿仁森吉山ヒバクラ岳~黒様森~阿仁打当コース:秋田県)
さあ、朝だ…。今回初登場のウナギ。いつもカレーだと本当にイヤになりますので。いくらチーズ載せようが、あの油で溶かしたようなルウは、見たくなくなります。せめてインドカレー・タイカレーですが、みんな鶏肉とかが入っていて安心できないという罠。ダルカレーは存在すら希有という大罠(滅
でもまあ、これが冬の景色だと思えば、悪くもない…かも?
でもよく考えてみれば、こんなガスりまくった雪景色の中、しかも雪もかなり強く降ってるのに、涼しい顔して写真撮りながら歩いている自分は、いつの間にかマヒしたよなあと。
上州武尊山で、ガスった道で不安になって、座り込んでソラナックスとプリンペランを飲んで、気分を落ち着けた頃が恐ろしく懐かしい(遠い目 しかもそれがちょうど5年前の昨日だという件。
ああふうたろうも成長したなあ(棒読み)
雪に埋もれたガスりまくりの道なき道歩き。こればかりはやめられまへんなあ(黒笑
いや、ガスはいらん。晴れてくれればこういう道は恐ろしくきれいですからね。
ガスっているのと雪が降っているのとで、本当に霞んでいます。普通の人は、こんなところは歩かないんだろうか?うん?本当は歩くんじゃ…?
少しガスが薄くなったのかな?お隣の尾根が見えているような希ガス。
標高が下がってくると、雪庇が崩落して歩きにくくなります。この尾根は、雪がなくなったらとてもじゃないけど歩けませんな。
ここは本来空中でありましょう。雪が吹きだまって雪庇状に積もってくれているおかげで、天空の怪道が出来上がっているのです。
この辺りから尾根の乗り換えを何度か繰り返します。しかし、このクソだだっ広いところに、この樹林帯、そしてビミョーなガス。いくらか進んでみて試行錯誤しないと、先が見えんぞ。
樹林帯の種類が変わり、濃密になってきました。そして、心なしか雪が重くなってきた上に踏み抜きが多くなってきました。
打当(うっとう)集落が見えています。標高は700m前後。気温が上がってきたような。
雪庇の上なのかどうなのか。とりあえず見晴らしが濃密なガス越しに拝めます。
そして今度はヤセ尾根。雪庇は気温が高いせいか崩落していて、VIP雪庇怪道(何)はありません。歩きにくい。
さらに雪が盛り上がっていて、ステップを切らないと短い足が上がらない(滅
上がったところに雪庇崩落のためにできた割れ目(シュルントというらしい)にハマってもがくふうたろう(死滅 雪で埋もれてるので見えないというガチ罠。
晴れていれば向こうに森吉山が見えるのだろうけど、期待する方があんぽんたん(滅
なんというか、決して悪い景色ではないのですが、こうも巡り合わせの悪さというか、人が山に行こうとするとこうして天気がジャストミートで崩れるというか、そういうのが苛立つんですよね。
道だけは間違わないように。下るべき尾根を間違うと、そのままゲームオーバーになりますから。
そして、地面は重い雪がじっとりと。標高が低くなってきて雪質もいよいよ険悪。
これが太平洋側の山だったら、こんなルートは歩けません。おとなしく、元来た道を戻るか、ケモノがたまに歩くくらいのハイパーヤヴこぎゾーンを通るかのどちらかになるでしょう。
そして、雪質というか、雪のタチが悪いというか。ずるずるの雪で、ハマるハマる。それでも黒法師岳~三ツ合の悪魔の踏み抜きゾーンよりは全然マシ。
おそらく、これが最後の分かれ尾根。どちらに進んでも下山できるけど、尾根の端っこまで、せっかくなら歩きますかということで、道を選びつつ歩いています。
打当内の集落の家屋が見えます。そこには打当内川が流れています。その東隣の尾根を歩いています。
ところで、どうやって道路に下りろと。
…廃材みたいなのを置いた場所に雪が掘られていたところがあったので、そこから無理やり下りました。
下りたところに、マタギのかんじき工房なるものが。これは入っておかねば。かんじき、修理を繰り返しているけど、そろそろ限界だし。
しかし、かんじき工房に入ったら、おっちゃん一人。しかも、おっちゃん、かんじきの原材料であるクロモジという木を採取する時期に身体をこわしてしまったらしく、今年はかんじきが作れないのだそうです。かんじきも残念ですが、いや、けっこう長い病気だったらしく、お気の毒でした。
そして、そういう話をしながら、このお茶をいただきました。かんじきの原料にもなるクロモジのお茶だそうです。特殊な香気のある、ふうたろうでも飲める美味いお茶です。
このお茶、弘前大学の研究チーム(農学部)が抗ガン作用の対象として研究しているみたいです。おっちゃんはこれを飲んでたら、3回再発した肝がんが消えたとか。それを切欠に研究チームが研究し始めたのだとか。n=1だけど、そういう研究も、本当は純粋に、あってもいいよね。
とりあえず、抗ガン作用はさておいても、このお茶は美味い。香りの成分と抗ガン作用の成分は同じなのか違うのか知らないけど、linaloolとかテレビネロールとか、書いてあった気がします。確かに匂いそう(笑
なお、リナロオール(linalool)は確かに薬科学大辞典にもあるほどの一般的なフレーバー成分のようです。すずらんの香りだそうで?すずらん…?
これが欲しかったわかんです。この辺りの山岳救助隊が使うようなクラスのものだそうです。ちょっと履かせてもらいましたが、いやはや、かなり丈夫で、これは値打ちもの。でも、これを6000円ほどで売っているのだそう。それじゃ元は取れません。しかし、東京の店に行けば使い捨てのようなわかんが安く売られています。これが市場原理ですわな。
なお、聞いたところによると、おっちゃんのこの技術の跡継ぎはいないそうです。そりゃ、暮らしていけないようなかんじきなんて、作っても生きてけないよね…。このかんじき一つ作るのに半日、それも材料が揃っていての話だから、人間らしい生活を営もうと思えば、片足分で1万円以上してもおかしくない。労働時間∝価格という考え方からすれば、そうなりますよ…。
電車の発車時刻に合わせて、おっちゃんの工房を出て来ました。森吉山に次登る機会があったとしても、ここに立ち寄れる可能性は、ふうたろうの場合は限りなく低い。本当に一期一会だと思いますが、この度は少なくとも、話ができてよかったと思います。どうぞお元気で…。
そして、阿仁マタギ駅。利用者はいったいどのくらいいるんだろう。観光客がたまに使うんでしょうか。ふうたろうはこういう場所にはよく行くので当たり前のように利用しますが、それはあの雪道を歩いてきたのと同様、希有なものなの?
角館に戻ってきたら、駅前の食堂でメシです。サバのみそ煮定食を食べましたが、どうもこれはレトルトを切ったような不味さでイケませんでしたな(滅)
併設していた土産物屋で、しょっつるを買っていきました。チャーハンにでも使いましょう。
この後、14時50分の秋田新幹線で東京に帰ります。しかし、電車を待っている間に、あの東北地方太平洋沖地震・東日本大震災の14時46分を迎えました。角館駅ホームで、大山ハッピーロードで買った電波時計の腕時計で正確に時刻を確認し、約1分間、黙祷を捧げます。
………
今回はこのために東北に来たのです。雪が降っても東北の山に登るつもりで来たのです。本当は福島の一切経山で黙祷を捧げたかったけど、さすがにあそこは悲惨の極致レベルの天気の悪さだったので、パスしました(滅
震災から1年。ふうたろうはそれでも無事、山に登れていることに感謝ですね。
#159阿仁森吉山クリア。
天気:雪、強く降る(秋田県北秋田郡阿仁町、移動中は含まない)
覚え書き:帰りに好日山荘(2時間)