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谷川岳の岩場を歩いてみろ

2007年 7月 2日

※記録:7月3日

 ある、長崎県出身の国務大臣が「広島・長崎の原爆投下はしょうがない」などという発言をした、との報道を見ました。
 僕は、靖国神社の遊就館(ゆうしゅうかん)に行ったことがあります(2006年7月2日。あ、何気にちょうど一年前)この遊就館は、太平洋戦争を美化しているといわれていたので、とにかく行って確かめてみたかったのです。そこでは、「大東亜共栄圏云々が、王道楽土を作るために何とか、日本軍は何とか」という感じで、武勇伝を語っていましたが、さっぱり意味が解らず、ただ疲れるだけで外を出ました。結局、美化というより、がんばり自慢にしか見えなかったけど、原爆に関する記述は中学生の夏休みの宿題みたいだったけど、ま、ともあれ、原爆に対して「しょうがない」なんて一言も書いていませんでした。
 しかし、この国務大臣は、ついに、原爆のことまでアメリカに売ってしまいました。こういう言い方はしたくないけど、紛れもない、「反日」です。僕が抗議するまでもなく、関係者の怒りの声はガンガン飛んで、居直っていたのも束の間、一転撤回したそうです。
 他にも、沖縄集団自決を「軍は関係してない」といってみたり、慰安婦問題を「なかった」といってみたり、どうすればこうなるのか、僕に解りやすく教えてください。

 僕は、こういう人たちに資質を問うても意味がないと思っています。もう、心を成長させるまでの時間を持っていないと。しかし、それでもなお、被爆者たちの痛みを理解できない心は改善されるべきです。自分の弱さと闘うべきです。
 ある被爆者の背中に、回復不能のケロイドがあるのを知っていますか?そういう人が、その不安定な体調を圧して、飛行機でアメリカまで核廃絶運動に出かけていることを知っていますか?そこで被爆者の実情を知ったアメリカの一般市民が心を傷めていることを知っていますか?辛さを、事実を知る人間は、その辛さを繰り返すようなことはしない。ましてや、「しょうがない」などと切り捨てることなんてしない。今の安倍政権には、そういう人の苦しみや、克服への努力を、自分の経験としてものにしている人間が見られません。
 この閣僚たちに、一度昨日の谷川岳のコースを歩かせてやりたい。あれだけで心が入れ替わるなんて微塵も思わないけど、黒塗りの車でふんぞり返りながら遊説して回っているのではなく、自分の足で、自分の判断で、険しい道を歩いてみなさい。打撲やスリップで打ち身や擦り傷を作り、それでも後戻りは出来ない場所で、判断し歩いてみなさい。
 改めてもう一度言います。
 一度、谷川岳の岩場と急斜面と岩だらけの沢を歩いてみろ。原爆の熱線と放射線に身を焦がされてみろ。あらゆるところで苦しむ、あらゆる人民の、あらゆる苦労を味わってみろ!
 原爆によって8時15分で止まった時計は、物理的に壊れても、戦後の人民によって動かされ続けています。しかし、歴史を直視しない人間の時計は、どんなに立派な高級時計でも、その当時のまま止まっているでしょう。

天気:くもり一時雨(東京都板橋区・茨城県取手市)

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