スーパー下剤山(市房山:熊本県・宮崎県)
※記録:8月17日12時台
昨日、有佐駅(熊本県)で水筒のフタをなくしたことは昨日の日記に記しておきました。
そして、絶対やってはいけない組み合わせですが、このマグコロールの袋にポカリスエットというのは、その苦肉の策です。
今日の山行に必要な水分すべてです。
ビジネスホテル千代鶴は朝食が出ないので、近くのコンビニの焼きたてパンを食べました。あとで判ることですが、もっと美味い駅弁屋が近くにありました。
九州産交バスに乗って、人吉駅前から直接市房登山口まで行きます。値段は確か1150円くらいだったような…。
市房山のある水上村(みずかみむら)までに、この大きなループ橋を通ります。
緑色の市房ダム。
スゴく雨が降っているイメージだけど、今年の降水量はハンパじゃないくらい少ない。データとして、少ないのです。
貯水率は何%でしょうか。人吉市は球磨川水系の水を使ってはいないそうですが、その他の市町村も水は使っているでしょうし、「美味しんぼ」で話した常連客の人も、地下水脈の水が減っていると話していました。ただごとではありませんぞ!
市房登山口バス停。でも、本当の市房山の登山口は2kmくらい車道を歩いた先にあります。本当に車社会ってイヤです。
とはいえ、車通りは比較的少ない、世間では平日の田舎道。歩こう。
この辺、製材所が多い。よく見てみれば、杉林がたくさん。まだ林業が生きているのでしょうか。
ここが市房山の、本当の登山口。鳥居があります。
しかし、さすが神社の林だけあって、暗いな。
杉が自然に生えているかのような雰囲気漂う、神社の参道にもなる登山道。
しかし、3合目まで、ほとんどの人は車で入ってくるのでしょうね、あまり歩きやすい道とは言えません。
この橙色のバージョンなら見たことあるけど、白は初めてです。
登山客にかなり踏みつぶされていましたが、残っているやつをパチッと。
晴れていれば多少は明るいだろうに、雲が多いので、樹林の中は暗めです。光合成不可能。
ウィルソン株…なんてね。
あとで判るけど、屋久島系の雨が降り出します。
この神社までで4合目。先は長い。
そして、神社の中はどうも避難小屋にもなりそうで、囲炉裏みたいなのがありました。ただ、ちょっと怖い。
時々樹林の間から遠くが見られます。まだ、全天をガスが覆っている、という雰囲気ではなさそう。
5合目。
半分来たというべきか、まだ半分かというべきか。
猛烈に暑くて、下剤袋のポカリスエットはいつもの倍速で減っていきます。
よく見ると、水上村とか湯前町などは晴れているようです。この調子で山頂も晴れてくれればいいのですが…。
7合目看板。
6合目くらいから雨が降り始めました。僕もこの看板みたいに、倒れそう。
市房山は急登が長く続きます。その上に、雨と滑りやすい木の階段に、大変苦労します。
山頂まであと5分。
ここに来るまで、ほとんど空荷に近いのに、かなり苦しみました。あと5分…。
山頂付近は雨がやんでいました。
しかし、この1722mの市房山に登り切るのに、実に高低差1000m以上を歩いていたのです。そりゃぁ、辛いわな。よく3時間ちょっとで登ったよ。
この赤い葉っぱを写真に撮っている時、西の空から雷鳴が。
ブルブルブルっ!!
速攻下山しますぞ!!
下り道は、上りの急登の倍キツい坂に感じます。そして、8合目あたりから毒矢のような雨。海パンで泳いで下れそうなくらい降ってきました。
しかし、雨で参っている僕と違って、スギゴケは嬉しそうです。
高温多湿。下剤袋のポカリスエットが500mlを割ったのは、かなり前です。
カメラのレンズも曇り、あるいは濡れるくらい、土砂降り。登山道が濁流になりかかっています。
木の根で区切られ、棚田のようになったところを、滝のように流れていく雨水。雨合羽もその機能を果たしていません。登山靴はそれでもこの大雨に耐えていました。
猛ダッシュで、2時間くらいで市房登山口バス停。既にこちらも雨模様で、あずまやの下に入りました。
とりあえず、カメラの曇りを、トイレにあったペーパーで拭いて(もちろんフィルタの方を)、レンズの曇りはフィルタを外して自然乾燥。
ところが、ここで、ふうたろう3回目の痛恨の一撃。
携帯水没&データ死亡。
携帯が殺されたくらいでめげていては旅は続けられません。財布とカメラと命さえあれば、何だって出来ます(順不同)。
とりあえず、次のバスまで1時間半もあるので、空きっ腹を満たしました。
蕎麦を食べた店の隣にあった建物、見捨てられています。この家の時間は、何時から止まったのだろうか。
サンショウの実です。赤くなるのは初めて知りました。この赤はカロテノイド系かポリフェノール系か。
一粒くらい手にとって確かめてみればよかったな。
蕎麦を食べてもなおあまりある時間を、ぼけーっとしててももったいなかったので、歩きました。
水上村の棚田。市房山が晴れていたら、もっときれいだったろうなぁ。
湯山温泉街は、石畳でした。なかなか雰囲気のよいところです。僕は温泉自体に興味はないのでスルーするだけですが、身体を休めるとしたら、こういうところが良いでしょうね。
ううむ…。
あれだけ毒矢の雨に当たったのに、この水の少ないダムは何事だ!
しかも、蒸し暑さも凶悪です。
無人販売所に放逐されているオクラが20本くらい入って100円。カレーにオクラが合うことを知っているので、買っていくとしますか。
隣にある鉄パイプに、ボットン便所にやるように100円玉を投下。
市房ダムに架かる吊り橋。結構長いので、渡っている時間はなさそう。
でも、市房山はまた来たい山です。その、また来た時、渡ろうかな。
朽ち果てた建物の側に、朽ち果てたバス停。隣の道路を立派な車が走っていきました。僕は前者の側。朽ち果てた方にいます。もちろん、僕が朽ち果てているのではなくて。
北海道から九州まで、どこへ行っても、唯物論的に同じ光景。
バスで湯前駅まで。
乗ったまま直接人吉駅まで帰ることも出来ましたが、ここで「くま川鉄道」を使わなければ、ポリシーに反するような気がしまして。
2両編成のくま川鉄道の車両。平成元年(1989年)にJRから切り離されたそうです。不採算部門は切り離される―これが資本主義の原理。何度も言うが、資本主義が自由をもたらすというのは嘘です。
どこの広告でしょうか。
地方交通は、今、どうやって支えられているのでしょうか。
どう見ても、この広告、地元の商店です。多良木町に相良村。豆腐やら仕出しやら。他に、医院の広告などが貼ってありました。乗客がもたらす運賃で賄われているのはどのくらいでしょうか。
思いを巡らせばきりがない、そんな地方交通。そして、他人事ではない、大問題です。立派な研究テーマにもなる、大問題。
…人吉市に戻って、殺された携帯を何とかしようと、携帯ショップを探しました。幸運にも、ビジネスホテル千代鶴の西数百メートルのところに店があって、機種交換。
完全に中に水が入って、死んでいました。
熊本の方言で機種交換してもらいました。
「いい思い出になるとよ。」と店のおっちゃん。
元々地元の電気屋さんだっただろう、店の看板よりも大きく、「au」。数百メートル離れたところから見つけられるくらい大きい看板ですから。
教えてほしい。家電などの修理や販売の割合、auに支払う料金(ロイヤリティというのかな?)、人吉市内あるいは周辺地域での電器販売の景気。
でも、聞けなかったな。
今日は、ビジネスホテル千代鶴真ん前の、日替わり定食しか出さないという変わった食堂で夕食。
たまたま魚の日だったのでよかったけど、これが昨日だと肉料理でした。ヤヴァイヤヴァイ。
元々米屋さんだったそうです。
今や米屋で食べていける時代ではなかろうて。米の券が食券みたいに扱われていて、常連客が毎日食べに来るみたいです。
日に扱う客は50人。でも、若者はいないから、この先はどうなるのか、判りません。手頃な値段(735円、税込み)で手作りを食べられる、素晴らしい食堂ですが…。
米津米店だって。
若い旅人もしばしば寄っていくそうです。
まだまだこういうところ、ものを大事にする人は残っている。小さな町の小さな食堂。日本中の食堂をマクドナルドにしてしまって良いと考える人ばかりではないと、思いたい。
山行2日目。
地方都市を見て歩いたような日記になってしまいましたが、それもまたふうたろう旅日記です。
昨日・今日と雨に打たれ、後半戦に賭けるしかなくなった、今回の大長編。どうなるのやら…。
天気1:くもり時々雨、雷を伴い非常に強く降る(熊本県球磨郡水上村・湯前町・宮崎県児湯郡西米良村・東臼杵郡椎葉村)
天気2:くもり(熊本県人吉市)