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牛に轢かれて阿蘇山登山(阿蘇山高岳:熊本県)

2008年 8月 11日

※記録:8月17日9時台

 起きたのは3時。でも、既に、出発前の記憶がなくなるくらい山に適応しています。
 そして、天狗岳の時と同じように、ヘッドランプを忘れるという痛恨の一撃。


 実は、3時に目が覚めたのは、雨の音でした。
 テントを揺するかのごとくビタビタと音をたてて、起こしてくださいました。
 5時頃までには上がって、見ての通り、雲が切れてきましたが、一時はどうなることやらと。


 5時過ぎには出発。
 何もすべての荷物を持って出かける必要はなかったので、サブザックに、水分と行動食と、雨具その他。
 人気(車気)のない道路を闊歩するのは最高です。


 青空も見えてきたし、今日は天気上々でしょうか。


 阿蘇町・一の宮町の市街地はまだ下層雲の下。暗いですね。


 阿蘇は牛や馬のために作った箱庭なので、そこら中で牛・馬が放牧されています。胴体に烙印まで押されて、なんだかなぁ。
 ところで、動画じゃないと判らないけど、反芻しています。口がもごもごと横に動いています。臼歯発達草食動物。


 本来はもう夜が明けているようですが、山際まで見えるほど晴れてはいません。


 そして、ここが昨日ハマった登山道の第二ゲート。犬連れていなければ(?)、通っていても、怒られません。僕の隣を管理用っぽい軽自動車が通り過ぎていきました。


 クモの巣も、これじゃ目立ってしょうがないだろうね。
 周囲はガスに覆われてしまいました。


 第三ゲート。
 ここから、うんこ地帯です。


 舗装路がずっと続いています。スニーカーでじゅうぶん歩けます。
 ただし、こういうルートであれば、の話。


 うんこ街道まっしぐらです。
 牛がそこら中にいて、轢かれやしないかと思いながら歩きます。


 ちゃんとしたアスファルト道路。一応、登山道の延長線上です。


 山の天気は変わりやすいという。あとで判ることですが、熱帯低気圧が近づいているそうで、なおさら不安定なのでしょう。晴れとくもりと雨も断続的です。


 下界は異常に暑く、熱帯低気圧が通っているけど、空は秋めいています。


 さっき見かけた、黒毛の牛ではなく、ジャージーっぽい牛です。牛の分類を知らないので、知っている人、夜露死苦。


 うんこ街道の終点、そして、昭文社の地図には載っていない道との分岐点。
 看板もあって、じゅうぶん歩きやすい道が、ロープウェー乗り場まで続いています。


 咳払いはしても咳は出ていないので、登ります。Go!


 阿蘇の噴火口まで、遊歩道として、舗装路が設けられています。かれこれ舗装路歩くこと2時間半。


 舗装路が終わったら今度は木道。霧の中に消えゆく、先行き不安街道。


 これだけガスがひどいと、遭難の恐れもありますが、ちゃんと矢印が着いているんですって。視界3mくらいでも、落ち着けば登れます。


 時々薄くなるガスの向こうに、ゴツゴツした山肌が姿を見せます。箱庭といっても、やっぱり九州最大の火山です。


 坂がきつくなるポイント。景色もクソもないので、疲れだけがたまります。


 赤は鉄分。ここではないが、黒い部分もあります。黒は酸化鉄ではなく、硫化鉄か?


 稜線漫歩と地図上には書いてある場所で、歩きやすいのですが、強風とコロイドのレベルを超えた霧で、濡れるし歩きにくいったらありゃしない。


 今日みたいな日に歩いていたら、この碑もより現実味を帯びてくるものです。


 中岳の分岐のところから、コロイドのレベルを超えた霧が、霧雨になって降りかかってきました。
 高岳は雨。三角点だけ踏みにじって帰ります。
 コッソリ、#39阿蘇山。


 酸化鉄の稜線。
 下山時には迷いやすいポイントがあり、岩に「止レ」と書いてあるので、周囲をよく見渡しましょう。


 ガスの高さがかなり上がったような気がしますが、天気が良くなったとは、控えめにも思えない感じ。晴れていれば、火山の全貌がきれいに見えたんだろうなぁ、…そう思います。


 砂千里ヶ浜。草千里ヶ浜というのもありますが、ここは草ではなく、砂。さっき、木道のあったところです。


 霧の中から見えてきたのは、黒山の人だかり。
 …おいらが高岳に登っている間に、おぞましい光景になっていました。


 何やら、石ころやらを売っています。黒曜石が何とかとか言っていました。
 国立公園の石を売るんじゃねぇ!
 もっとも、ここの石でなければ、売り手がサギということになりますが、そんなこと、おいらの知ったことではない。


 阿蘇山の噴火口西側。
 11年くらい前、来ているはずなんですよね、祖父&いとこの末っ子と。


 噴火口の火口湖。噴煙(水蒸気)も上がっています。
 火山って、人が作ったわけでもないのに、なぜか工業的な雰囲気を醸しているように感じます。そのギャップが好きです。


 硫黄なんか、普通に精製して売ればよろしい。
 そういえば、昔、叔父が言っていたけど、これはここ(阿蘇山)で採れた硫黄じゃないとか。
 …採掘してたら違法でしょうが。もっとも、買う理由もないけど。


 火口に群がる人々。スゴい数。
 そして、火口を撮るためにさっきの硫黄売り、脚立を設けて、利用1回あたり10円をせしめていました。
 よくよく考えたら、なんで国立公園で風景の妨害しといて、カネを取ろうとするんだよ。
 阿蘇山は100名山から外すべきだと思いたくなった今日の登山。


 ロープウェーに駆け込み乗車。ごめんなさい。
 しかし、ここも満員電車ですな。西武池袋線並。


 観光地なので、さぞかし栄えているだろうと思うけど、片隅には廃墟と化した建物もあります。駐車場でさえガラガラ。
 火口により近い場所にある土産物屋などが流行ります。


 バスに乗ろうとしたら、客席にふんぞり返りながらスポーツ新聞を読んでいたオヤジが、
 「What?」
 …なんで英語なんだよ。
 一瞬、韓国か中国の人用の観光バスにでも乗り間違えたかと思いました。呆気にとられて、開いた口がふさがらなくて、そのオヤジさんが日本人の運転士であることに気が付くまで時間がかかりました。


 結局さっきのバスにはまだ乗るには早かったので、バス停でヨーグルトでも飲んで待っていました。
 ジャージー牛乳から作ったヨーグルト、菌の質か乳の質か、粘度がハンパじゃありませんでした。
 美味いかどうかは、飲んでみれば判る。


 キャンプ場までバスで戻ってきて、次なる地へ向かいます。
 「ゴミはここで捨ててくれ」と、持ち帰ると言った僕の言葉を打ち消したおっちゃんに従って、捨てました。
 理由はうっすらと判りました。ゴミ袋に「RDF」と書いていました。RDFとは、Refuse Derived Fuel(廃棄物固形燃料)の略です。
 燃料を得るためにゴミを集めなければならない、そんな本末転倒なことがあるか。


 阿蘇駅13時57分頃発の豊肥本線で、熊本方面へ向かいました。向こうは雲が多そうです。ここは立野駅…かな。


 ふうたろう痛恨の一撃。
 ここは八代駅ですが、ちょっと前の有佐駅(ありさ・えき)で、水筒のフタを線路に落としてしまいました。ドアが開いている時に手を滑らせて。


 八代から人吉までの鈍行列車。のんびりしているといえば聞こえはいい。でも、正直阿蘇山で猛烈に疲れたので、早く人吉について欲しい、という思いもあります。
 しかし、この時点で、まだ今夜泊まる宛もない、という驚くべき事実。


 車窓から何枚か死ぬ気で撮ってみました。球磨川の流れはとうとうと。でも、電車が井野団地の震度4よりも揺れるので、上手く撮れませんでした。


 いさぶろう・しんぺい?
 …去年も乗った観光列車。これ、正直しんどい乗り物でしたわ。出来れば、二度と乗りたくない…かな。


 人吉駅に17時54分に着きました。
 観光案内所は18時で閉まりますが、駆け込んで宿の紹介をしてもらい、格安のビジネスホテルを2泊分手に入れました。
 ビジネスホテル千代鶴
 一泊3700円で、300円出せばインターネットも使え(ただしパソコンは持ち込み)、自転車も貸し出してくれます。ただし、朝食などは一切付かないので、外に食べに出ていかなければなりませんが。


 部屋は相当ボロボロです。
 ですが、設備自体は申し分なし。山小屋に泊まると思えば、じゅうぶんでしょうが。


 霧と霧雨にぶちのめされた衣服をコインランドリーで洗濯。乾燥機を使うと、プラスチックの塊に還りかねないので、洗うだけ。


 貸してもらったチャリで走ってたら見つかった、食べ物屋。外の窓から見た親父っさんの顔が怖かったので入るのに躊躇しましたが、面倒なので入ってしまいました。
 人吉駅近くの、「美味しんぼ」という店で、常連客が3人いました。


 キスフライ定食を注文しました。
 味は普通。
 人吉市の水は地下水なので美味いだろう、そう人吉市民の常連客の人に言われましたが、正直、埼玉県の蛇口からがぶがぶ飲む水とあまり変わらないような…。
 球磨川水系の水ではなく、地下水脈から採っているのだそうです。水道から直接ついでもらった水を出してもらえるとありがたかったかも。


 長い長い一日が終わります。今日から遂に本気の山行ということになっていましたが、だいぶ精神的に滅入る初日でした。あとはコインランドリーに靴下を一足半忘れてくるというオチもありましたが、もうアクシデントは腹一杯でしょう。
 でも、滅入るといっても、まんざら悪かったわけでもありません。これも経験、鍛錬だと思えばそんなに、ね。
 これでも、笑顔は平日よりは多かったのですよ。
 これで37.5%が終わりです。明日は市房山。どうなる?


天気1:くもり時々晴れ、明け方雨で非常に強く降り、阿蘇山頂は霧雨(熊本県阿蘇郡阿蘇町・白水村・一の宮町・高森町)
天気2:くもり一時雨(熊本県人吉市)

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