次元のはざま(種池山荘:長野県・富山県)
※記録:11月3日21時台
ちゃんと目覚ましかけて、昨日の夜はいつもより早く寝て、盤石の態勢。ちゃんと予定通りの5時18分の所沢駅発の電車に乗り、新秋津で滞りなく武蔵野線に乗り換え、
「次は、新小平~、新小平~」
うまくいった。
って、ちょっと待て!何で北府中駅やねん!!
Σ(゜◇゜)ガーンΣ(゜◇゜)ガーンΣ(゜◇゜)ガーン
北府中駅は、本来乗り換えるべき西国分寺駅のひとつ先の駅です。ちゃんと起きていたのに、西国分寺という放送が全然聞こえなかった。次元が歪んだのか?
しかも、慌てて飛び降りた北府中で、もう一つ先の府中本町駅から迂回できることを思い出しました。(゜◇゜;)ガーン
…早朝なので、中央線の本数が少なく、待ち時間が長めに取られていたのが不幸中の幸い。事なきを得ました。
岡谷駅までは富士見と茅野に止まったことを覚えているくらいで、他はしこたまグースカ。
岡谷駅からはとりあえず松本まで立ち席(なぜか高校生が多い)。松本から最寄り駅の信濃大町までは、たまたま登山ルートを殆ど同じくした3人パーティーと話をしていました。
何とラッキーなことか。さっきの3人パーティーの人たちが、タクシーで同じ「柏原新道」登山口まで行くというので、一緒に乗せてもらうことができました。
でも、みんな熟達者っぽくて、ちょっとおいらとは次元が違うかも…と思ったり。
一緒に乗せてもらったので、先に行くべきか行かぬべきか。すっかり心のペースを乱しきったふうたろう。結局、あとで、そのパーティーのリーダーっぽい男性に、「別パーティーだから、一緒にいるのはやめよう」といわれて踏ん切りが付く始末。先行き不安。
扇沢という、川というか、谷というか、そういう感じのところ。まだ登山口です。
登山口から見上げた山は雪を被っていたけど、この道はまだ雪はありません。
そういえば、あの3人パーティから外れたんだから、熊スズ付けるべきだった…(゜◇゜)ガーン
この柏原新道(登山道にはこうして名前が付いているものも多い)は殆ど上まで樹林帯。他の道のことは知らないけど、とにかく樹林に視界を阻まれていることが殆どです。
東側の、信濃大町駅から来る谷筋が見えるのはここだけだったような…。
だいぶ高度を上げてきました。
ぶっちゃけ、こういう風景がずっと続くので、早速飽き始めています。
八ヶ岳が見えるベンチだそうで。…ウソでしょ?もっとスッキリ晴れていれば見えるのでしょうか。
どのくらい歩いたでしょうか。20kgのザックが肩に食い込み始めてだいぶ辛くなってきた頃、雪が現れ始めました。アイゼン履く時も近い。
樹林の隙間から、時々展望が。
これは扇沢と、蓮華岳などの稜線、つまり、僕がこれから登ろうとしている山脈の一本南を走る稜線です。
大きすぎて、だんだん気が遠くなってきた…。
ふと、俯いた顔を上げると、種池山荘が見えました。もうすぐっ!と思ったのは一瞬で、これからが長い。
本格的に雪道になってきました。そりゃそうさ。さっきの小屋の周り、食パンに厚く塗られたマーガリンの上に散らかっているパンくずみたいじゃない。
針木岳(はりのきだけ)や蓮華岳は、実は僕がこれから向かう種池山荘の稜線と西側で繋がっています。理解するには地図見るしかないかな。
mixiに残しといた暗号のようなコース表は、友だちに託した登山届けのようなものさ。何かあった時のために。
いくら登っても、近づいてこない。ザックが身体に合っていなくて、真剣に辛い。しかも、普段は気力95%とやらで何てことない辛さなのに、今日はダメみたい(当日の気分で記述)。
上の写真と間違い探しみたいですが、やっと、一つ目のピークである爺ヶ岳(じいがたけ)が見えてきました。白い山脈の右端のところ。木のすぐ左。
漫然と歩くふうたろう。空は青く、ふうたろうも茫然自失で青い。
似たような風景が続く…。
雪が足首くらいまでの深さになってきました。登るごとに、季節が進んでゆく…。所沢とは次元の違う世界とさえ感じます。
山に引っ掻き傷を入れたような筋が見えますか。アレが登山道。…ものすんごく遠いッスよ。
( . . ;)
実は、ここまで雪があるとは思ってもいなかったので、ピッケルを装備していませんでした。たぶん、それが精神的ダメージの最大の要因です。因果応報、自己責任。
(゚◇゚)ガーン
辛いコメントを付けると、きれいな雪道でも、すごく辛いものに見えるから、不思議。見方を変えてみたら…?
さっきの引っ掻き傷、少し近くなった?ねぇ?なったよねぇ?なったって言って!!
うきゃ~(゚ロ゚)"
長居したくない。でも、写真撮ってるって、しっかり長居してるやんけー
(゚o ゚ )ヾ(–;オイオイ…
その谷の、下斜面。雪崩は起きないだろうけど、怖い怖い。精神的にダメージ受けてるから、いつもの何十倍、怖いッス。
ぎゃー\(;-皿-;)/
何じゃこの雪トラバース(斜面を渡る、とでも言いますか)は!!
4月末の羅臼岳(知床)から下山する時、何回もピッケルに助けられたような斜面だった…。
なお、渡れたのは、既に前を行くピッケル所持者が踏み痕(trace:トレースとも言う)を作ってくれていたから。
斜面が落ちてきそう。精神力がこれほどものを言うとは思わなかった。
ここがなぜか一番怖かった、崖。既に雪トラバースは過ぎたところです。ふぬけふうたろう。
なお、この少し先で、地響きを伴って、何かが崩れる音がしました。
いつの間にか、空には雲がなくなっていました。太陽が眩しい。応援は嬉しいけど、おいらの光合成能は落ちています。
辛いばっかりじゃつまんないから、ふうたろうの好きな構図で。太陽の位置に注文を付けたいけどしょうがない。
蓮華岳の尾根に雲が。実は、僕ら側の尾根は雲全然ないけど、蓮華岳の尾根の向こう(南側)は、すごいガスみたいです。
これが爺ヶ岳だと思ってはいませんでした。そもそも、目標の山ではないし…。
さっきの、引っ掻き傷の道に入っています。雪トラバースを抜けたところから、そうです。
ガスが、蓮華岳の稜線を越え始めました。右端の尖ったところがどうなるのか、しばらく目で追っていました。消えるのかな、伸びるのかな、なんて思いながら。
種池山荘までもう少しのはずだけど、荷物が重くてその上にひっくり返りながら剥げた枝の写真を撮っていました。
あ"ー、づがれだー\(-皿-)/
小屋が間近に見えてきた!もう少し!今度こそ、もう少しです!!
既に、鹿島槍ヶ岳という目標は諦めています。すぐそこに見えている爺ヶ岳にでも登って帰ろうという目先の目標にすり替えて、すっかり余裕になってしまったふうたろう。
太陽の真下にある山は、実は、種池山荘のある稜線と、さっきから蓮華、蓮華といっている、蓮華岳や針木岳のある稜線とを繋いでいる稜線。体力と時間と技術があれば、回れるようです。
僕が小屋に着いた頃、ガスが扇沢近辺の谷に一気に流れ込んできました。上からじゃあの下がどうなっているのか、想像すらできないね。
小屋の前には先客2人。OさんとSさん。京都から来たんだそうです。既に酒が入っていて、上機嫌の2人。着いてほっとするふうたろうを労ってくれました。テントを張るための雪ならしまでしてくれたり…。
陰ながらふうたろうを励まし続けていた太陽が山の向こうにいなくなろうとしています。でも、もう少しだけ、付き合ってくれるって。
板が張り付けられた小屋。でも、何だかその前にいて、妙に嬉しくなります。撮った時は意識していたかどうか、正直覚えていないけど、こうして撮っているってことは、安心感とか色んなものがどっと押し寄せてきたんだろうな、と思うのです。
種池山荘からまさに針木岳の方に繋がる稜線に、雪のトレースが。おそらく、遙か下で僕を抜かしていったあの3人パーティーでしょう。遠くから大きな声が聞こえました。
どこまで行くんだろう。
左の雪を被った山が、鹿島槍ヶ岳です。小屋の北側(富山県側)に回ったら見えまくりです。すり減らないので、見まくってやりましょう。
さっき、僕のテント張りのための雪ならしをしてくれた、Oさん(Sさんと一緒のパーティー)、
「明日、鹿島槍ヶ岳まで行って戻ってこようと思うけど、行けるところまで、一緒に行かへんか?」
…それで行くかどうかを決めるのはふうたろうですから。最終的には名前も覚えてくれた2人の気持ちも嬉しくて、「行けるところまで」行こうと思います。
さっき、だいぶ上まで来ていたガス、雲海になっています。その上空は、僕らのところも含めて、無風快晴。今日の僕には、もったいないくらいのご褒美です。
西日に燃える松林とその向こうの爺ヶ岳。ヅボラなふうたろうは、寒いからテントの中から撮ったような気が…。ばちあたりですね。
いつも通り、イカす袋で米を炊いてグリーンカレー。
一酸化炭素?気にしないッス。
グリーンカレーに噛みついていたところ、Oさんがまだ名前を知らない僕のことを呼び、この景色を見るように呼んでくれました。爺ヶ岳の南峰、中峰、北峰すべてが赤く焼けていました。(どうやら、学生だと思っているようだ)
鹿島槍ヶ岳も、焼けていました。でも、Oさん、ここまでは見ていなかったみたい。寒そうな態度で、Sさんの呼び声にも、微妙な反応で…。
日が沈みました。沈み始めから、ふうたろうに色々付き合ってくれて、ありがとう。
三日月と金星が見えるんですが、画像が小さすぎて解らないかな…。
ふうたろうは、こういう木の影が好きなのです。Sさんに、「ほら、これ、きれいですよっ!」と言うと、「えー、ホンマにええんかいな、これが~!?」とだみ声を伴いながらコンパクトデジカメを取り出すのです。
雲海が晴れてきて、長野県大町市の夜景。星空の下で、共に眠ろうじゃないか。
ちなみに、気温は氷点下で、床は雪でボコボコなので、肉体的には寝苦しいことこの上なし(寝返りを打つと冷たいから)。睡眠剤ふたつ使って何とか寝ました。寒さは全然ない。100%凍死しない自信があったから使ったのです。
これがアルプスなのかな。何となく、他の山にも登ってきたけど、やっぱり、何か違います。山自体のスケール?
もっとも、いきなり北アルプスが雪に覆われていたので、比較対象が、高校生の時の奥穂高と槍くらいしかないのですが。とりあえず、今日はビギナーズラックということにしておきましょう。
天気:晴れ、稜線上では快晴(長野県大町市・富山県中新川郡立山町、移動中は含まない)