西武池袋線ブリザード(爺ヶ岳:長野県・富山県)
※記録:11月4日7~19時台
起床4時37分。
…言い忘れていたけど、時計と携帯を忘れていたので、カメラの時計でごまかしていました。ピッケルといい、戸隠山に続く、とんでもないばちあたり登山です。
さて、まだ夜も明けてないけど、大町市の、昨日の夕方よりやや暗くなった夜景。5時前でもこんなに明るいんですね。
キウイフルーツ持参。夜中の氷点下で冷凍キウイにならなくてよかった。
やうやう明かりゆく東の空。正確には南東の空か。よーく見てみると、朝焼けの中に富士山が浮かび上がっています。数百キロ離れていますよ。
Oさん、Sさんが鹿島槍ヶ岳に出発しました。僕は、荷物を持って軽くなりすぎたテントが、突然強くなってきた風でひっくり返って、大慌て。遅れました。
みんなより大幅に遅れて、僕も出発。テントは小屋の壁沿いに置いておきました。
さっきよりもハッキリ明るくなってきました。夜明け近し。時刻にして6時半頃。
目指す鹿島槍ヶ岳はこちら側と同じように、快晴。風が強いのが気になるけど。
うさぎ…?
突然の冬到来でびっくりしたかなぁ。でも、動物の足跡が結構たくさんありましたよ。
小屋からずいぶん歩いてきたように思うけど、そうでもない。まだ全然、Oさんたちに追いつかない(写真これだけ撮ってりゃ当たり前か)。
トレースが爺ヶ岳に向かって真一文字。雪歩きはこれができるところが良い。
鹿島槍ヶ岳にも日の目を見る刻がやってきました。本当にいい天気です。
赤沢岳などのある稜線(種池と蓮華岳などとの両稜線を南北に繋ぐ稜線)も、いよいよ日の目を。
雪山の朝は素晴らしい。
どうも、これは剣岳らしいのですが、登ったことがないので知りません。
こちらは目的地、鹿島槍ヶ岳。よ~く見ると、ものすごく切り立っていて、雪庇(読んで字のごとく、雪の庇<ひさし>)もバリバリに発達しています。
前に、OさんSさんの他、もう一人の登山客がいて、僕は遂に追い抜きました。真一文字のトレースはご覧の通り、ない。なので、ここからは僕がラッセラー。
一方、南東方向は薄曇り。それはそれで、ならではの風景です。山が10枚刃くらいになっているのがよく解ります。
いい景色を見るためなら、ラッセルなんて屁のカッパ。まだ膝下から膝上ですから。
それに、鹿島槍ヶ岳も、「行けるところまで」という気楽さでOKですから。
基本的に天気下り坂の予兆なのに、傷みかけた果実のように、魅力を醸す絹雲。
爺ヶ岳南峰到達。
このころになると、ハンパじゃない強風。西武池袋線の急発進・急停車で培われたバランス感覚で、何とか耐え凌ぎました。…まだこの強風の方が安定感あるけどね。
ブリザードのような地吹雪。時々顔に音をたてて当たって、痛い。
写真では伝わりにくいけど、この巻き上がっている雪が、風の強さを表しています。
この稜線を行きます。遠くから見ると平均台歩きみたいに見えますが、実際間近で見ると、そうでもないですよ。
ぬっ!(`へ´)"
鹿島槍ヶ岳に、遂に雲がかかり始めましたぞ!
ふうたろうが南峰で遊んでいる間に、Oさんたちはトラバースして先に進んでいました。一緒に行くって言っても、やっぱり別パーティですから。あまり寄りすぎてもしんどいでしょうしね。
…と、自己正当化しておく。
でも、元気なのですぐに追いついてしまいます。水を得た魚のように邁進するふうたろう。
トラバースする2人を見送りながら、僕は爺ヶ岳中峰に。余裕過ぎるぞ。
…ヤバいな。本格的に鹿島槍ヶ岳にガスがかかってきた。内心、もうダメだと思っているふうたろう。
そのガスを確認して程なく、急激にガスが濃くなってきました。これが、山スタンダードの激しい天気です。さっきの写真から30分強経ってはいますが、これほどいきなり変わられると、ふうたろうもびっくりです。引き返すしかない!
ヤベッ!Σ(゚ロ ゚;)
爺ヶ岳の方までガスって来やがった!
これ、鹿島槍ヶ岳ではありません。爺ヶ岳と種池山荘の方面です。不安は一気に急上昇。
…なんてね、ガスったくらいで死ぬか。落ち着いて帰りましょ。鹿島槍ヶ岳は今日はヤンピです。
爺ヶ岳の上は雲があります。風が強いから、ものすごい勢いで駆け抜けていき…。
止めどなくやってくる雲は、いったいどこからやってくるのやら。もっと西や北の方角から来ているように見えます。
程なくして、カラッと晴れました。あまりの気まぐれに驚きを隠せません。
あ、そうだった。いつの間にか、OさんとSさん、いなくなっていたのです。僕よりもずっと後ろを歩いていて、立ち止まっているのは気が付いていたのですが、気が付いたら姿が!
しかも、吐いたか何かの痕が雪の上に残っていて、何かあったのか、と思ったり。
でも、何とかかんとか、爺ヶ岳中峰にいたようです。
やれやれ。
でも、具合が良くないのは変わりないようです。この寒さや天候の変化などで、具合が悪くなったのかもしれませんね。
雪のカーテン。
この暴風と膝上の雪の中ではしゃぎ回っているのは、僕だけでした。
谷に伸びるふうたろうの影。風が吹いていることなんて、西武池袋線の揺れほども辛くないわ!気温が低いおかげでカメラもそれほど濡れずに済むし。
Oさん、Sさん、そりゃ、記念撮影くらいしたいッスよね。シャッター押してあげようかと思ったら、もうすぐに下山(基地に戻る)態勢。腹下してんだもんね…。
こちら爺ヶ岳は晴れているけど、鹿島槍ヶ岳の方はやっぱりガスの中。しかも、あれだけ急峻なところ、トレースもピッケルも無しではやっぱり辛いと思います。
…と、今更のように諦める理由を作っておく。
さっき、西武池袋線ブリザードにやられそうになった、爺ヶ岳南峰。スカッと晴れて、強風もまたたのし。
これ、絹雲ではありません。地吹雪。
そういえば、テント、大丈夫かな。行く前に1回ひっくり返ってたけど?
雪道をボコボコと歩きますが、来た時のトレースがあるので、そこを通っていこう。
手前と言っても意外と長いかも。まぁ、歩く楽しみが増えたと思え。
( ・ _ ・ )
あれ?
おいらのテントは?
Oさんが叫びました。
「おう、あそこに飛んどるわ。…取れるところで良かったのぉ。」
うっひょ~~~Σ(゜◇゜;)
50mくらい飛ばされとるわ。小屋の壁にくっつくように置いといたのに…。きっと、大胆に弧を描くように飛んでいったに違いない。
しかし、これが扇沢の谷底に落ちていたら、10万円を超える大損害と環境破壊は計り知れないッスね。
で、Oさんたちはまた一晩ここに残って酒盛りでもするらしく、さよならしてきました。おかげで、爺ヶ岳のスリル溢れるエキサイティングな遊びができました。
僕は、そのエキサイティングな場所(落下地点)で、これからラーメンでも食べようとしています。とりあえず、テントの中に散らかったもの、片付けなきゃ…。
うん?また雲行きが怪しくなってきたな。しかも、ちょっと絹層雲が…?
とりあえず、ラーメン。もちろん、辛ラーメン。赤城山の時に雪を掘って風を避ける方法を会得していたので、それをば。
僕が食べている間に、昨日針木岳目指した3人パーティーと、後述の夫婦一組が横を通過。夫婦の方は、小屋で昼ご飯を食べてそのまま降りてきたようです。上りと下りで会いましたから。
で、僕も湯が沸く間にとっとと片付けて、下山です。
昨日は怖がっていた谷も、今日はへっちゃらです。人間、余裕を持った動きをしないと、ムダに辛い思いをするだけですね。
雪が溶けて、岩肌が露出しています。こういう中途半端な状態が一番質悪い。
!
これは…!
間違いなく、あの夫婦のフリースです。なぜか、ニオイでかぎ分ける、犬ふうたろう。
Bダッシュで夫婦を追いかけたら、どこかで気が付いたのか、その旦那が上ってきました。間に合って良かったね。
そして、無事下山。扇沢の登山口到着。
あれ?まだ何かあるのか?
そう、まだ続きます。わらしべ長者のごとく、そのご夫婦は、扇沢バス停(歩けば15分以上はかかる)まで車に乗せてくださいました。奥さんが韓国の人で、「ありがとう」と「問題なし→(どういたしまして?)」を教えてもらいました。「かむすはむにだ?けんつぁな・よ??」
…犬語ふうたろう。
とりあえず、帰ったら、Sに自慢してやるか。(^0^ヘュオッホホ
さて、さっきの案内板に、トロリーバスと書いていましたね。30分以内に即決。向かうは立山室堂(たてやま・むろどう)。
知らなかったのですが、ここはどうも、立山アルペンルートというものだそうで、人だらけゾーンです。
そして、なぜか、水たまりを見るとコインを投げたくなる人多し。黒部ダムの百数十分の1の大きさだとか。ここはお賽銭箱じゃありません
扇沢からトロリーバスに乗って着いた先が黒部ダム東側。人が歩いてくる方向が扇沢。僕が向かうのはその反対側。西武池袋線以外ではラッシュは御免!
袋田の滝(茨城県)を思い出すけど、展望台には人がびっしり。他人事のように見ていると、笑いがこみ上げて来るなり。
立山、晴れていますね。明日、登れるかな。
え?黒部ダムは見なかったのか?
翌日に回します。今日はテントΣ(゜◇゜;)で腹一杯ですわ。
「ムロドウ(室堂)・ステイ?」
(何でいきなりカタコト英語やねん!( -皿-#)q )
…阿蘇山でバスに乗ろうとした時もいきなり、「ふぁっと?」
だったもんなぁ…。(`3´)
ふうたろう犬クオリティ?
This is Kurobe-ko cable car station. A staff told me like before. I’m not a foreigner!(-皿-)
…ケーブルカー、ここからいきなり人が少なくなって、どう見ても生活手段として使っている人4人と、ムダボッカの僕だけになりました。
ここは大観峰(だいかんぼう)。正面に赤沢岳。昨日の登山口から見えていたのと正反対から見ていることになります。
どう見ても、ハイパー・キノドク・スーベニアでしょう。
全然人がいない…。
大観峰から再びトロリーバスに乗ってきて、室堂着。17時30分。どこの廃墟工場跡だ?
室堂に降りてから、とりあえず、外に出るのに一苦労。立山に来てまで地下で迷子はいやです。
そして、外に出れば、もう闇夜。嗚呼、11月2日は太陽に見送ってもらえなかった…。
はて、ここはどこの無人小屋?
いいえ、ここは、「室堂山荘」という立派な山小屋でございます。キャンプ場探して歩いていたら、90度方向間違えて、室堂山荘に到着しました。というわけで、室堂停泊です。
この部屋、自炊のふうたろうのために小屋番たちが空けてくれた小部屋なのですが、隣が食堂で、何も知らない職員たちが写真左下の扉のすぐ横まで来て訝しげにチラ見していくんですよね。ここに泊められたら大爆笑ですが、ここで一人、イカす袋で飯を炊いているふうたろうがいる時点で、大いなるネタです。
とにかく、朝から笑いが尽きない日でした。数多のふうたろう旅日記の中でも、これほど腹がはち切れんばかりに盛りだくさんだったことは…、ありません。こんな日が毎回続いたら、ふうたろう旅日記は破綻するでしょうね。
一人、狭い自炊部屋で忍び笑いに耐えるふうたろう。
天気:晴れのちくもり(長野県大町市・富山県中新川郡立山町)